アセットマネジメント会社とは?サービス内容・業界の最新動向をやさしく解説

はじめに

本記事の目的と想定読者

本記事は、アセットマネジメント会社に興味を持つ方、特に資産運用を検討している個人・法人、あるいはアセットマネジメント業界への就職・転職を考えている方を対象に、アセットマネジメント会社の基本的な役割から提供されるサービス、業界の最新動向、そしてキャリアパスまでを分かりやすく解説することを目的としています。

アセットマネジメント業界への関心が高まる背景

近年、日本政府が「貯蓄から投資へ」という方針を掲げ、「資産運用立国」の実現に向けた政策を推進しています。2024年1月からは新NISAが始まり、個人の資産形成への関心は急速に高まっています。また、少子高齢化社会において、長期的な金融安定を実現するための資産運用の重要性が認識され、アセットマネジメント業界全体への注目が集まっています。このような背景から、アセットマネジメント会社の果たす役割はますます大きくなっています。

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アセットマネジメント会社とは

基本的な役割とビジネスモデル

アセットマネジメント会社とは、投資家から預かった資産(アセット)を専門知識と経験に基づき管理・運用し、その価値を最大化することを目指す企業です。主な収益源は、運用する資産残高に対して一定の料率で徴収される「信託報酬(運用管理費用)」です。このビジネスモデルは、一度顧客を獲得すれば継続的に収益が発生する「ストック型ビジネス」と呼ばれ、顧客との長期的な信頼関係が基盤となります。

他の資産運用関連業種(信託銀行等)との違い

アセットマネジメント会社は、投資信託の企画・商品開発を行い、実際にどこに投資するかを決定し、信託銀行に運用を指示する役割を担います。一方、信託銀行は、アセットマネジメント会社の指示に基づいて資産の売買を執行し、運用資産の保管・管理を行います。また、通常の銀行業務や融資事業なども手掛けている点で、アセットマネジメント会社とは役割が異なります。

外資系と日系のアセットマネジメント会社の特徴

アセットマネジメント会社には、日系と外資系の両方があります。

  • 日系企業 日系企業は、大手金融グループ(証券会社、メガバンク、保険会社など)の傘下にある場合が多く、グループ全体で見ると大規模な組織であることが特徴です。日本国内の投資家や販売会社との強固なリレーションシップを持ち、幅広い運用商品を自社で手掛ける「総合型」の企業が多い傾向にあります。
  • 外資系企業 外資系企業は、ビジネスの中心を置く本国に多くのリソースを割くため、日本法人は少数精鋭で効率性を重視したコンパクトな組織であることが多いです。運用部門が海外本社にある企業も多く、日本法人では営業やリサーチ業務が中心となることがあります。一般的に日系企業と比較して年収水準が高い傾向にありますが、成果主義が色濃く、働き方がハードになることもあります。

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提供される主なサービス

投資信託の組成・運用

アセットマネジメント会社の主要なサービスの一つが、投資信託の組成・運用です。これは主に個人投資家向けのサービスで、多数の投資家から集めた資金を一つの大きな資金プール(ファンド)として、株式、債券、不動産など多様な資産に分散投資します。これにより、個人では難しい少額からの分散投資を可能にし、専門家による運用を通じて収益を目指します。

機関投資家や個人向け資産運用サポート

アセットマネジメント会社は、個人投資家だけでなく、年金基金や保険会社、事業法人といった機関投資家に対しても、それぞれの運用目標やニーズに合わせたオーダーメイドの資産運用ソリューションを提供します。投資助言業務や投資一任業務を通じて、高度な専門知識に基づいたコンサルティングや運用実務を代行します。

オルタナティブ投資やヘッジファンドとの関係

伝統的な株式や債券といった資産に加え、近年では「オルタナティブ投資」と呼ばれる代替資産への関心が高まっています。不動産、プライベート・エクイティ(未公開株)、インフラ、そしてヘッジファンドなどがその代表例です。アセットマネジメント会社は、これらの多様な投資対象を組み合わせて、顧客のニーズに応じた運用戦略を展開しています。ヘッジファンドは、相場の上げ下げに関わらず絶対的な収益を追求するファンドとして、特定の機関投資家や富裕層向けに提供されることが多いです。

質の高い情報提供とサポート体制

顧客への質の高い情報提供とサポート体制もアセットマネジメント会社の重要なサービスです。定期的な運用報告書の提供はもちろんのこと、市場動向や経済状況に関するレポート、投資セミナーや勉強会の開催などを通じて、投資家が適切な判断を下せるよう支援します。特に投資初心者向けの学習コンテンツの提供にも力を入れている企業が多く、金融リテラシー向上にも貢献しています。

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アセットマネジメント業界の最新動向

ESG投資やデジタル活用など最近のトレンド

アセットマネジメント業界では、近年いくつかの大きなトレンドが見られます。

  • ESG投資の拡大 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を考慮したESG投資は、持続可能な社会の実現への関心の高まりとともに、投資の主流となりつつあります。アセットマネジメント会社は、企業のESG要素を評価し、投資戦略に反映させることで、収益性と社会貢献の両立を目指しています。
  • デジタル技術の活用 AIやビッグデータを活用した投資分析、ロボアドバイザーによる自動資産管理、ブロックチェーン技術による透明性の高い取引環境など、デジタル技術の活用が進んでいます。これにより、運用効率の向上や新たなサービスの提供が可能になり、IT・デジタル人材の需要も高まっています。

業界内での企業の多様性と成長分野

アセットマネジメント業界では、伝統的資産(株式、債券)の運用を主軸とする企業から、オルタナティブ資産(不動産、プライベート・エクイティなど)に特化した企業まで、多様なビジネスモデルが存在します。特に再生可能エネルギーなどのインフラファンドや、社会課題解決に貢献するテーマ型ファンドなど、新たな成長分野への投資が活発です。

外部環境の変化による運用手法の進化

日本政府による「資産運用立国」実現プランや新NISAの開始は、国内の家計金融資産が投資に振り向けられる大きな契機となり、市場の拡大を牽引しています。低金利環境の継続や世界経済の変動、地政学的リスクなど、外部環境の変化に対応するため、パッシブ運用とアクティブ運用を組み合わせたハイブリッド型運用や、マルチアセット戦略など、運用手法も進化を続けています。

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主要なアセットマネジメント会社の特徴

主要プレイヤーの一覧と特徴(個社名は例示せず)

国内のアセットマネジメント業界では、大手金融グループを背景に持つ企業が大きな存在感を示しています。これらの企業は、グループの強力な販売網と顧客基盤を活かし、幅広い投資信託や投資顧問サービスを提供しています。一方で、独自の運用哲学や特定の投資分野に強みを持つ独立系の企業も存在し、それぞれの強みを活かして競争しています。

国内外のさまざまな企業が展開するサービス領域

国内企業は、日本株や国内債券といった伝統的資産の運用に加え、海外市場への展開やESG投資への注力も見られます。一方、外資系企業は、グローバルな運用ノウハウや多様な商品ラインナップを強みとし、特定の分野に特化した専門性の高いサービスを提供する傾向があります。サブアドバイザリービジネスとして、日系運用会社と提携し、そのファンドの運用部分を受託するケースも見られます。

各社の強みや運用スタイルの傾向

各社は、運用資産残高の規模、提供する商品の多様性、独自の投資戦略、顧客サポートの充実度などで差別化を図っています。例えば、特定のインデックスに連動する低コストのパッシブ運用に強みを持つ企業もあれば、専門家による綿密な調査・分析に基づき市場平均を上回るリターンを目指すアクティブ運用に注力する企業もあります。また、ESG評価を投資プロセスに組み込むなど、サステナブルな投資を重視する企業も増えています。

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アセットマネジメント会社を選ぶポイント

顧客として選ぶ場合の比較基準

アセットマネジメント会社を顧客として選ぶ場合、以下の点が比較基準となります。

  • 運用方針とリスク許容度 自身の投資目標やリスク許容度に合った運用方針を持つ会社を選ぶことが重要です。安定的なリターンを重視するか、高い成長を目指すかによって、適した運用スタイルは異なります。
  • 手数料体系 購入手数料、運用管理費用(信託報酬)、解約手数料など、運用にかかるコストは会社や商品によって異なります。長期的な資産形成において手数料はパフォーマンスに大きな影響を与えるため、複数の会社を比較検討し、コストパフォーマンスを見極めることが大切です。
  • 運用実績と安定性 過去の運用実績や資産残高の規模は、会社の信頼性や安定性を示す指標の一つです。ただし、過去の実績が将来を保証するものではない点に注意が必要です。
  • 商品ラインナップ 多様な投資対象や運用戦略の商品を提供しているかどうかも確認しましょう。NISAやiDeCoといった税制優遇制度に対応した商品の有無もポイントです。
  • サポート体制と情報提供 初心者向けの学習コンテンツ、定期的な運用報告書、オンライン相談、セミナーなど、顧客サポートの充実度も重要な選定基準です。

投資信託や個別ファンドの評価基準

投資信託や個別ファンドを選ぶ際は、純資産総額(ファンドの規模)、運用方針(インデックスファンドかアクティブファンドか)、信託報酬(運用にかかる手数料)、そしてファンドマネージャーの情報や投資先の詳細などを確認することが大切です。これらは、目論見書や運用レポート、会社の公式サイトで確認できます。

サービスの質・サポート体制の違い

アセットマネジメント会社は、顧客との長期的な信頼関係が重要となるため、サービスの質やサポート体制は重要な要素です。担当者の専門知識や説明の分かりやすさ、問い合わせへの対応スピード、提供される情報コンテンツの充実度などを総合的に評価すると良いでしょう。利用者の口コミや評判も参考にしながら、自分に合った会社を見つけることが推奨されます。

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就職・転職先としてのアセットマネジメント会社

求められるスキルや職種の例

アセットマネジメント業界は専門性が高い一方で、多様なスキルや経験を持つ人材に門戸が開かれています。

  • 運用フロント:ファンドマネージャー、アナリスト、プロダクトスペシャリストなどが該当します。高い分析能力、金融市場への深い知見、リサーチ経験、コミュニケーション能力が求められます。
  • 営業フロント:投資信託営業や機関投資家営業などがあります。法人営業経験や高い対人スキル、プレゼンテーション能力が重要です。
  • ミドル・バック部門:トレーダー、リスク管理、法務、コンプライアンス、経理、ITなどが含まれます。正確な事務処理能力、PCスキル、データ分析能力、金融機関でのバック業務経験などが求められます。
  • その他:IT・デジタル人材やESG分析の専門家など、業界のトレンドを反映した専門スキルを持つ人材の需要も高まっています。

業界での働き方やキャリアパス

アセットマネジメント業界は、一般的に金融業界の中ではワークライフバランスが比較的取りやすい傾向があると言われています。残業時間は証券会社や投資銀行と比較して少ないことが多く、リモートワークや時短勤務など柔軟な働き方を採用する企業も増えています。

キャリアパスとしては、アナリストとして経験を積んだ後、ファンドマネージャーへステップアップする経路が一般的です。また、ミドル・バック部門で専門性を深めるキャリアや、異業種からの転職で培ったスキルを活かして新たな分野で活躍する道もあります。日系企業内でキャリアを築くケースが多いですが、外資系企業へ転職して年収アップを目指す道も考えられます。

年収・社風・働き方のポイント

アセットマネジメント業界は、高い専門性が求められるため、年収水準も高めです。日系企業でも高水準ですが、外資系企業ではさらに高くなる傾向があり、特に運用部門や営業部門では成果に応じたインセンティブが大きく影響します。

社風は企業によって異なりますが、日系企業は比較的日本的な企業文化を持つ一方、外資系企業は成果主義が強く、少数精鋭で業務を遂行する傾向があります。

働き方については、海外市場と連携する業務が多いため、時差の影響で夜間や早朝に業務が発生する可能性もあります。しかし、全体的には専門性を磨きながら安定して働ける環境が魅力と言えるでしょう。

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まとめ

これからの資産運用とアセットマネジメント会社の役割

アセットマネジメント業界は、政府の「資産運用立国」構想や新NISAの開始を背景に、大きな変革期を迎えています。個人や機関投資家の多様なニーズに応えるため、ESG投資やデジタル技術の活用、オルタナティブ投資など、サービス内容や運用手法は進化を続けています。アセットマネジメント会社は、顧客の資産形成をサポートし、社会全体の経済的な持続可能性に貢献する重要な役割を担っています。

読者に向けてのアドバイス

アセットマネジメント業界は、高い専門性と社会的意義を持つ魅力的な業界です。資産運用を検討されている方は、自身の目標やリスク許容度に合わせて、各社の運用方針や手数料、サポート体制を比較検討することが重要です。また、業界への就職・転職を考えている方は、自身の強みとなるスキルや経験を見極め、必要な知識(金融知識、語学力など)を積極的に習得することで、この成長分野で活躍するチャンスを掴むことができるでしょう。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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