コトラ（広報チーム） 
女性取締役としての挑戦
ビール業界初の女性取締役への道のり
福原真弓さんがサッポロビールの女性取締役に就任したのは2016年で、ビール業界では初の快挙となりました。サッポロホールディングスにおいて福原さんは「生え抜き」の女性で、このポジションに到達するまでの道のりには、性別を超えた挑戦とまっすぐな努力がありました。その背景には、同社が男女雇用機会均等法を受け入れ、1985年以降に性別を問わず採用を始めたという会社の方針がありました。福原さんはその「均等法4期生」として、1988年に入社。その後、経営企画部や都市開発本部など多彩な部署で成果を残しました。
福原真弓氏の経歴とキャリア形成
福原さんのキャリアは単なる立身出世にとどまらず、異なる部署や職種に果敢に挑戦する姿勢が特徴的です。東京都で生まれ、一橋大学社会学部を卒業後、サッポロビールに入社。駆け出し時代には経営企画部での企画業務を経験し、都市開発部門ではサッポロファクトリーの再開発を手掛けました。その後、恵比寿ガーデンプレイスの完成に伴い関連グループ会社へ出向。ワイン小売事業の中心的存在として約13年にわたり取り組みました。さらに、人事部長として会社全体の組織マネジメントや人材育成をリードし、これらの経験が2016年の取締役就任の土台となりました。
取締役として果たした役割とリードした変革
福原さんが取締役に昇進した2016年、女性の社会進出を支援するため「女性活躍推進法」が施行されました。その中でサッポロビール自体も大きな変革の必要性に迫られ、福原さんはその旗振り役として「3年計画」を主導しました。この計画により、事務職として採用されていた女性社員の多くが総合職へキャリアを転換し、多様な働き方を可能にしました。また、女性が育児や家庭との両立を図りながらスキルを伸ばせる環境づくりに尽力し、環境改革が会社の文化となるよう力を注ぎました。その結果、サッポロビールは社員一人ひとりが性別を問わず多様な能力を発揮できる企業へと進化しました。
仕事と育児の両立に向けて
2児の母としての奮闘
福原真弓さんは、サッポロビールの生え抜き女性取締役として初の就任を果たす一方で、一男一女の母としての役割も全うしてきました。32歳と35歳というタイミングで2度の産休と育休を取得し、家庭と仕事を両立させる道を歩まれました。当時、育休を取得できる期間は1年間と限られており、復職後に活躍している女性のロールモデルは少なかったそうです。しかし、福原さんは「仕事を続ける決意」を固め、生後間もない子どもを保育園に預ける選択をされました。その覚悟と行動力が、育児とキャリアの両立の第一歩となったのです。
育児を通じて学んだ仕事への視点
福原さんは、2児の母として子育てを経験する中で、職場環境や働き方について多くの新たな視点を得たといいます。育児を進める中で、「効率的に動く」「限られた時間でベストを尽くす」という能力が自然と身に付いたと話しています。そして、この能力は家庭だけでなく、職場でのマネジメントや意思決定の場面でも大いに役立ったと語っています。また、家庭での育児体験を通じて、チームメンバー一人ひとりのライフステージに配慮することの重要性を実感し、それを実際の組織運営にも反映させました。福原さんにとって、育児で得た経験はキャリアの質を向上させる鍵となったのです。
家庭と職場のバランスを保つ秘訣
多忙な取締役という立場と、母親としての役割を両立するため、福原さんは自身の「時間管理」と「周囲との信頼関係構築」を重要視しています。家族との充実した時間を確保するために、仕事の効率化に取り組み、優先順位をしっかりと見極めることを徹底してきました。また、家庭と職場の両方で「助けを求めることを恐れない」という柔軟な姿勢を持つことも大切だとしています。サッポロビールという職場は、福原さんのような働き方を支援するため、多様性を尊重する文化や制度を整備しています。こうした環境も彼女の挑戦を後押ししたといえるでしょう。
サッポロにおけるダイバーシティの推進
女性活躍推進プロジェクトの取り組み
サッポロビールでは、女性が性別を意識することなくキャリアを追求できる環境作りに注力しています。特に福原真弓氏の取締役就任以降、「女性活躍推進プロジェクト」がさらに加速しました。このプロジェクトの一環として、2016年から2018年の間に事務コースの女性社員の65%が総合コースへ移行するという大胆な試みが行われました。福原氏はこのプロセスを支える「3年計画」を主導し、大きな成果を上げました。この取り組みは、企業内での女性比率の向上だけでなく、女性が責任あるポジションで活躍する事例を生み出す土台となったのです。
ダイバーシティ推進の背景と成果
ダイバーシティ推進の背景には、2016年に施行された「女性活躍推進法」の影響がありました。しかし、サッポロビールではこの動きを単なる法令遵守に留めず、企業文化全体を変革する機会としました。福原氏は「越境せよ」という理念のもと、異なる価値観や立場を尊重し活かす環境の重要性を訴えてきました。これにより、組織全体としての課題解決力が向上し、事業の効率性やイノベーションの促進につながっています。その成果は、社員満足度や企業の競争力を測る様々な指標にも現れており、女性だけでなく、すべての社員が貢献できる場を広げたと言えます。
社員全員が輝ける環境の構築
ダイバーシティの推進によって、サッポロビールは「誰もが輝ける企業文化の醸成」を目指しています。福原氏は、これを実現するためには単なる制度導入ではなく、社員一人ひとりが変化を受け入れ、多様性を活かす風土を築くことが鍵であると考えています。具体的には、柔軟な働き方の提供やキャリアプランにおける多様性への配慮、そして社員が安心して自分の能力を発揮できるサポート体制を整備しています。このような取り組みは、働きやすさだけでなく、個々のモチベーションと成長を促進し、サッポロビールの持続的な成長にも寄与しています。
次世代へ送るメッセージ
働く女性への応援と期待
福原真弓さんがサッポロビールの女性取締役として歩んだ軌跡は、多くの働く女性に勇気を与えるものです。ビール業界初の女性取締役という位置づけや、育児と仕事の両立という課題に果敢に挑んだ姿勢からは、性別に左右されず全ての人がその能力を活かして活躍できる可能性があることを示しています。福原さんは「一人一人が自分らしくキャリアを追求することで、企業や社会に新しい変化を生む」というメッセージを次世代の女性たちに伝えています。
「諦めない姿勢」がもたらす未来
福原さんは、キャリアの中で何度も困難に直面しながらも、「諦めない姿勢」を貫いてきました。特に2度の産休・育休を取得しながら職場復帰した経験は、当時の働く女性にとって決して容易なものではなかったはずです。しかし、諦めることなく自身のキャリアを深め、同時に職場や役職の枠を越境することで常に新しい視点を取り入れてきたことが、現在の地位を築く鍵となりました。この姿勢がもたらす未来には、個人だけでなく企業や社会全体の活性化が期待されています。
キャリアと家庭の両立を語る重要性
福原さんは、自分の体験を通して「キャリアと家庭の両立」を実現する重要性を語っています。特に、仕事と育児を両立させるために必要だった具体的な工夫や、家族の協力を得るための努力は、多様な背景を持つ社員が活躍できる環境づくりの基盤となっています。福原さんは「語ることで課題を共有し、他の人にヒントを与えることができる」と述べており、実際に社会全体で両立を支援する動きが広がる一助となっています。彼女のメッセージは、次世代の女性たちがキャリアと家庭の両方を実現するための力強い後押しとなるでしょう。