コトラ（広報チーム） 
千葉銀行における女性活躍推進の歴史
女性支店長登用の先駆け：1986年の施策
千葉銀行は、女性活躍推進の先駆的な取り組みを進めてきた地銀の一つです。その象徴的な一歩として、1986年に初めて女性支店長を登用しました。当時、金融業界全体で見ても女性の管理職登用は極めて少ない状況でしたが、千葉銀行は「性別によらず、能力が評価されるべき」という考えに基づき、この施策を実行しました。この施策は、単なる性別平等推進にとどまらず、当時の固定観念を打ち破る大きな試みと言えました。
「女性いきいきキャリアアップ宣言」の意義
千葉銀行は、女性活躍をさらに推進するため、「女性いきいきキャリアアップ宣言」を掲げました。これは、女性が働きやすい環境を整え、キャリア形成を支援することを目的としたものです。この宣言を通じて、具体的な数値目標を設定し、管理職の人数拡大や研修制度の充実など、多方面での取り組みを進めてきました。この宣言は、銀行全体の雰囲気を変え、女性職員一人ひとりが自己成長に向けて前向きにキャリアを築ける風土を作り上げる基盤となっています。
女性管理職比率向上のための取り組み
千葉銀行では、女性管理職比率を着実に向上させるためにさまざまな制度改革を進めてきました。2013年度にはわずか5.5%だった女性管理職比率は、2019年度に15.1%へ、さらに2022年度末には引き続き大幅な向上が見られました。この成果を支えた要因として、職域拡大や積極的な人材育成が挙げられます。特に、女性社員が管理職や専門職へステップアップしやすい環境づくりを進めたことが、結果的に組織にも大きな活力をもたらしています。
全国的評価と「女性が輝く先進企業表彰」の受賞
千葉銀行の女性活躍推進の取り組みは、全国的にも高く評価されています。その象徴的な成果の一つが、2015年に内閣府から「女性が輝く先進企業表彰」を受けたことです。この表彰は、女性が輝き活躍できる社会の実現を目指す企業を対象に選出されるもので、千葉銀行は性別によらない公平な評価制度や働き方改革において他の模範となる存在とされました。この受賞は、地元千葉県をはじめ全国へ向けた誠実な取り組みの発信となりました。
ダイバーシティを支える経営の視点
千葉銀行が推進するダイバーシティ経営は、単なる女性登用という枠を超えています。その根底には、「多様な人材が持つ価値を引き出し、組織の競争力や魅力を向上させる」という経営視点があります。ダイバーシティ推進の中心には、女性役員の存在感も大きく、取締役専務執行役員の淡路睦氏などが改革の旗振り役を担っています。このような視点から、生産性を維持しながら多様な人材が働きやすい環境を整備し、従業員全体の柔軟性と力強さを高めています。
女性役員が目指す新たなキャリアモデル
淡路睦氏：キャリア形成の背景と信念
千葉銀行初の女性取締役専務執行役員であり、現在グループCSuO（Chief Sustainability Officer）を務める淡路睦氏は、1989年に銀行へ入行しました。長いキャリアの中で、女性ならではの視点を活かしつつ、組織にとって貢献する方法を追求してきました。淡路氏の信念は、能力やスキルをきちんと磨き上げながらも、多様性が生む力を活用し、社会的な価値を創出することです。これにより、性別にとらわれない公平な評価基準を社内外に促してきました。
社内での挑戦：地銀における男女差を乗り越えて
淡路氏のキャリアは、地方銀行という環境の中で、女性ならではの制約や挑戦を多く経験した歩みでもありました。同世代の男性職員とは異なる評価の基準やハードルに向き合いながらも、柔軟な視点と強い意志により、着実に成果を積み上げてきました。その結果、2019年には執行役員に就任し、2021年には取締役のポジションにまで昇りつめました。この過程で千葉銀行のなかでの女性活躍推進の重要性を説き、多くの後輩たちに希望を与えてきました。
挫折から得たもの：出向14年の経験
淡路氏のキャリアの中で特筆すべきなのは14年にもわたる出向経験です。この時期、淡路氏は銀行本体の業務から離れた環境で視野を広げ、他分野の経験やスキルを吸収しました。一見すると遠回りに見えるこの道のりが、後の役員としての視座や政策づくりに生かされています。「挫折や変化は大きな成長のチャンスである」と語る淡路氏の言葉には、自らの困難な経験が裏付けとしてあります。このような経験を通じて、変化への適応力と多角的な視点を培うことができたといいます。
キャリアとライフイベントの両立術
仕事面での成功にとどまらず、淡路氏はライフイベントを通じた学びやキャリア構築の重要性も強調しています。意識してきたのは、家庭と仕事のバランスをとることだけでなく、一つひとつの選択を柔軟に捉えることでした。千葉銀行では、男女問わず育児休暇取得を推進していますが、そのような環境の整備にも淡路氏の目指すビジョンが反映されています。自らが体現した「長期的なキャリアとライフプランの両立」は、次世代の女性リーダーにも大いに参考になるモデルとなっています。
女性が活躍するための環境整備と支援
職域拡大：採用から職責へのステップ
千葉銀行では、女性職員の採用から管理職への登用まで、一貫した支援体制を整えています。特に、女性役員や女性管理職を増やすという明確な目標を掲げ、具体的な取り組みを進めてきました。採用段階では、多様な人材の獲得を目指し、働きやすい職場環境やキャリア形成の魅力を訴求しています。その後も、職域の拡大や能力に応じた適所配置を行い、女性職員にとって公平な成長機会を提供しています。
階層別研修の実践と成果
千葉銀行では、女性のキャリア形成を支援するため、各キャリアステージに応じた階層別研修を実施しています。この研修では、リーダーシップスキルやマネジメント能力だけでなく、女性ならではの課題を克服するためのノウハウも学べる設計がなされています。また、ロールモデルとなる女性管理職による講演や交流機会を設け、自己実現の具体的な道筋を示しています。この取り組みを通じて、女性管理職比率の向上と職場全体の意識改革が進み、男女を問わずキャリアアップが可能な環境が築かれています。
働き方改革と柔軟な職場づくり
働き方改革は、千葉銀行の女性活躍推進において重要な要素となっています。フレックスタイム制度やテレワークの導入により、仕事と家庭の両立を可能にする柔軟な働き方を支援しています。また、短時間勤務制度や産休・育休からの円滑な復帰支援プログラムも整備されています。これにより、ライフイベントがキャリア形成の障壁になることを防ぎ、長期的に安心して働ける環境が実現されています。
男性育児参加の推進とその効果
千葉銀行では、ジェンダー平等を実現するため、男性の育児参加を積極的に推進しています。2020年には男性育休取得率が100%を達成し、この実績は全国的にも注目されました。男性が育児に参加しやすい環境を整備することで、女性職員が仕事と家庭を両立しやすくなり、職場全体の働きやすさが向上しました。その結果、男女問わず多様なキャリア形成が進み、業務効率や従業員満足度の向上に貢献しています。
次世代に伝えたいキャリア成功の秘訣
積極的な挑戦を後押しするメンタリティ
成功するキャリア形成には、積極的な挑戦を恐れないメンタリティが欠かせません。千葉銀行の女性役員たちは、自分の限界を決めず、多様な業務に取り組む姿勢を貫いています。たとえば、淡路睦氏は50歳の時に銀行本体に戻り、新たな役職での挑戦に意欲的に取り組みました。そのような精神が、地方銀行での女性役員の登用を推進する原動力となっています。挑戦を後押しするメンタリティを持つことが、次世代の女性たちにとって重要な成功のカギとなるでしょう。
学び続ける姿勢とスキルアップの重要性
キャリアを形成するうえで、「学び続ける姿勢」は非常に重要です。千葉銀行の女性役員たちは、常に自己成長を心がけ、新たな知識やスキル習得に励んでいます。特に金融業界では変化が激しく、新しい制度や技術に対応する必要があります。そのため、社内外の研修に積極的に参加したり、業務を通じて実践的な知識を身に着けることが求められます。こうした学び続ける姿勢が、女性役員としての信頼性と実績を築く基盤となっています。
ネットワーキングと他者からの学び
成功を収めるうえで、ネットワーキングの力は無視できません。千葉銀行では社内だけでなく、業界全体や地域社会とのつながりを活用し、他者から学ぶ姿勢が奨励されています。淡路睦氏も、異なる視点を持つ人々と意見を交わすことで、自身の視野を広げてきました。ネットワーキングは新たなアイデアを得るだけでなく、自分のポジションを客観的に見直す貴重なチャンスをもたらします。他者との関わりを大切にすることで、次世代のキャリア形成にも大きな影響を与えるでしょう。
柔軟性を持った意思決定のシステム
迅速かつ的確な判断を行うためには、柔軟性を持った意思決定が求められます。千葉銀行では、伝統的な意識にとらわれず、状況に応じて最適な解決方法を模索する姿勢が重視されています。特に女性役員がキャリアの中で直面する課題では、固定観念に縛られることなく、新しい視点で対応策を考え出す力が必要です。この柔軟な意思決定が、組織全体の成長を促すと同時に、女性のさらなる活躍を後押ししています。