コトラ（広報チーム） 
ユニリーバが目指すジェンダーバランスの実現
ジェンダーバランス目標を掲げた背景
ユニリーバは、持続的成長を目指す企業として、社会全体のジェンダー平等を実現することが不可欠であると考えています。日本は、ジェンダー・ギャップ指数で依然として低い順位にあり、女性の社会的地位向上が大きな課題とされています。こうした背景を踏まえ、ユニリーバは女性管理職および女性役員の割合を増やすため、包括的な改革に取り組んできました。
さらに、ジェンダーバランス目標の達成は企業成果にも直結します。多様な視点が意思決定に取り入れられることで、革新的なアイデアの創出や市場競争力の向上に繋がると考えています。こうした信念のもと、ユニリーバは男女平等の職場環境の構築を重要な成長戦略と位置づけています。
女性管理職50％達成を可能にしたサステナブル・リビング・プラン
ユニリーバは、2010年に「サステナブル・リビング・プラン」を策定し、ジェンダーバランスの実現をその中核に据えています。このプランでは、女性が安全に働ける環境を整備し、キャリアップのための教育やトレーニングを提供してきました。その結果、2023年には、ユニリーバ全体で女性管理職比率51％という目標を達成しました。
この成功の背後には、インドでの職業訓練プログラム「プロジェクト・シャクティ」など、地域ごとのニーズに合わせた取り組みがありました。また、採用や昇進の基準を能力ベースに統一することで、性別によるバイアスを取り除く仕組みを導入しました。これらの施策は、ジェンダー平等の推進にとどまらず、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の実現に寄与しています。
役員全員のコミットメントと推進の鍵
ユニリーバのジェンダーバランスへの取り組みを成功させた最大の要因の一つは、役員全員が強いコミットメントを示したことです。特に、過去の人事本部長である島田由香氏は、柔軟な働き方を推進する「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」制度を導入し、働きやすい環境の構築に尽力しました。こうしたリーダー陣の主体性が、従業員全体への徹底した意識浸透に繋がりました。
さらに、性別や顔写真を排除した新しい採用プロセスを導入することで、公平性を重視した採用文化を築き上げました。これにより、多様なバックグラウンドを持つ人材が管理職や役員として活躍する機会が広がり、組織の活力向上にも寄与しました。ユニリーバのリーダーシップの一貫した努力が、ジェンダー平等な職場の成功に大きく貢献しているのです。
女性管理職達成のためのユニリーバの具体的施策
性別や顔写真の記載を廃止した採用改革
ユニリーバでは、採用における性別バイアスを排除するための改革を進めています。2022年3月から履歴書に性別や顔写真の記載を求めない方針を採用し、姓名の記入も名字のみを求める形に変更しました。この改革は、人の能力やスキルを公平に評価し、多様性を確保するために導入されたものです。特に、女性が昇進や採用の過程で不利にならない仕組みを構築することが重要と考えられており、このアプローチによって女性役員を含む管理職の比率向上に寄与しています。
柔軟な働き方を促進するWAA（Work from Anywhere and Anytime）
ユニリーバでは、柔軟な働き方の実現を目指し、「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」制度を導入しています。この制度は2016年に開始され、働く場所や時間を個人が自由に選択できる仕組みです。発案者である島田由香さんは、この制度を「人々を我慢から解放し、最大限の力を発揮できる環境を作る」という信念のもとで推進しました。特に女性社員にとって、育児や家事との両立が可能になるこの制度は、管理職へのキャリアアップを目指す際の大きな助けとなっています。
進化を支えたトレーニングやスキルアッププログラム
ユニリーバは、社員の成長をサポートするために、様々なトレーニングやスキルアッププログラムを提供しています。これらのプログラムは、ジェンダーバランスを目指す企業文化を根付かせる土台となっています。たとえば、女性自身のリーダーシップ能力を引き出すための研修や、役員候補をプールから育てる育成プログラムが実施されています。このような取り組みは、女性管理職比率の向上にとどまらず、全社員のスキル向上と生産性の向上にも貢献しています。
ジェンダーバランス推進がもたらす企業文化と効果
多様なロールモデルの育成と社員への影響
ユニリーバでは、多様なロールモデルの育成が企業文化の強化に大きく貢献しています。特に女性役員を含む多彩な人材がリーダーシップを発揮することで、後輩社員に対し「自分もそのようなポジションを目指せる」という希望を与えています。これは、ジェンダーバランスの達成が単なる数値目標にとどまらず、社員一人ひとりのキャリア形成に良い影響を与えることを示す代表的な例です。このような環境は、働きがいを感じられる職場づくりにもつながっています。
生産性向上と従業員満足度の向上
ユニリーバが実現した柔軟な働き方やジェンダーバランス推進の取り組みは、生産性向上にも直結しています。特に「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」の導入により、社員が自分に最適な働き方を選択できるようになりました。この制度により、社員は自由度の高い環境で自分の能力を十分に発揮できるため、作業効率の向上が実現しています。また、従業員満足度の向上も確認されており、「我慢から解放された働き方」を実現したユニリーバの取り組みは、多くの企業が参考にするべきモデルといえるでしょう。
企業イメージ向上と採用への影響
ジェンダーバランスを推進すると同時に「WAA」や採用プロセスの改革を行った結果、ユニリーバの企業イメージは大きく向上しました。女性役員比率が世界で51％を達成したという実績は、性別や背景に関わらず活躍できる企業であることを証明しています。このような好イメージは若い世代を含む多様な人材からの応募を増やし、採用力の向上につながっています。また、性別バイアスを排除した採用プロセスにより、公平で透明性の高い選考を行うことができ、多様性を尊重する企業文化がいっそう強化されています。
ジェンダーバランス達成から見据えるユニリーバの未来
次なる目標とビジョン：一億総ワクワク社会の実現
ユニリーバは、女性役員を含むジェンダーバランスの達成を足がかりとして、次なる目標として「一億総ワクワク社会」の実現を掲げています。このビジョンは、全ての個人が働きがいや生きがいを感じられる社会を目指すもので、日本でのジェンダー・ギャップを解消するための具体的なアクションから構想されました。「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」の導入や、性別バイアスを排除した採用プロセスの改革といったこれまでの経験を活かし、性別に関係なく全員が能力を最大限に活かせる環境の提供を追求しています。これにより、働く人々が誰もが自分らしく輝ける未来をプロデュースすることを目指しています。
ユニリーバが目指すグローバルなインパクト
ユニリーバでは、既にジェンダーバランス達成により全世界で女性の安全な労働環境の整備や職業訓練の提供といった具体的な行動を進めてきました。例えば、インドの「プロジェクト・シャクティ」では、農村部の女性に職業訓練と経済的自立の機会を与えることで、地域社会の発展にも貢献しています。こうした取り組みは、ユニリーバ自身のビジネス成長にもつながり、同時に地域全体を巻き込んだポジティブな変化を生み出しています。今後もユニリーバは、女性役員比率の高さを維持するとともに、性別を問わない機会の提供によって、グローバル規模でより多くの社会課題を解決し、持続可能な未来を築くことを目指します。
他企業への影響と業界全体の変革
ユニリーバのジェンダーバランス達成への取り組みは、他企業や業界全体にも多大な影響を与えています。特に、日本のように女性役員比率の向上が課題とされている国では、彼らの具体的な施策はロールモデルとして注目されています。日本のTOPIX100企業や「30％クラブ・ジャパン」の活動とも連携する形で、多くのビジネスリーダーにインスピレーションを与えています。また、性別にかかわらず能力や成果を重視する採用プロセスや働き方改革のノウハウを他社へと共有することで、業界全体を包括的に変革する可能性を秘めています。ユニリーバが生み出した風穴は、将来的に全産業の女性役員比率の向上や、生産性の高い多様性のある職場文化の普及へとつながるでしょう。