コトラ（広報チーム） 
ヤマハが進めるダイバーシティ&インクルージョン（D&I）の全体像
D&Iが企業成長に与える影響
ダイバーシティ&インクルージョン（D&I）は、異なる視点や背景を持つ人材が互いに尊重し合い、その力を最大限に発揮できる環境を構築することを目的としています。ヤマハ発動機では、このD&Iを経営戦略の根幹に位置づけています。多様性を受け入れることで、イノベーションが促進され、これにより製品やサービスの競争力が向上するという明確なメリットがあります。世界中に展開するヤマハ発動機は、従業員数約5万人という規模において、多様性を活用し企業成長を実現しています。
特に注力されるジェンダー平等の推進
ヤマハ発動機がD&I戦略で特に優先しているテーマの一つがジェンダー平等の推進です。同社では女性管理職や女性役員の割合を増加させることが重要な目標として掲げられており、2025年現在、役員全体に占める女性役員の比率が26.7%に達しています。さらに、女性活躍を推進するために柔軟な勤務制度や育児支援制度を整備し、性別にかかわらずキャリア形成の機会を広げる取り組みが進められています。このような取り組みは、ジェンダーバランスの取れた経営を実現し、新たな価値を提供する基盤を作り出します。
ヤマハにおける具体的な取り組み事例
ヤマハ発動機では、D&Iを実現するためにさまざまな取り組みが行われています。その一例が、2022年に始動した「せいぞう小町」の活動です。この活動では、製造現場で働く20～40代の女性が中心となり、生産職場の環境改善に向けた課題抽出や解決策の検討を行っています。また、国際女性デーには社員を対象としたイベントやディスカッションを開催し、多様性の重要性についての意識向上を図っています。このような取り組みを通じ、ジェンダー平等の推進だけでなく、全社員が働きやすい環境の実現を目指しています。
企業文化の醸成と価値観の共有
D&Iを効果的に進めるためには、企業文化の変革が不可欠です。ヤマハ発動機では、企業全体で価値観を共有し、多様性を受け入れ尊重し合う風土づくりに力を入れています。その一環として、経営幹部や管理職などリーダーシップ層を対象にした研修プログラムを実施するほか、社内コミュニケーションを活性化させる仕組みを整備しています。これにより、全社員が一体となりD&Iを推進する強力な基盤が形成されています。このような企業文化の醸成は、ヤマハ発動機が持続可能な企業として成長するための大きな原動力となっています。
女性管理職増加の背景にある戦略と目標
中期経営計画と具体的な女性管理職比率の目標
ヤマハ発動機では、人材の多様性を積極的に活用することで企業成長を目指す中期経営計画を掲げています。その中でも、女性管理職比率の向上は重要な施策の一つとして位置付けられています。現在、女性役員の比率は26.7%を達成しており、今後もさらなる向上を目指しています。このような目標設定は、女性が働きやすく活躍しやすい職場環境を整備することと直結しており、組織全体の競争力を高めるための取り組みといえるでしょう。
女性活躍推進のための人材開発委員会
ヤマハ発動機では、女性活躍推進の一環として「人材開発委員会」という特化した取り組みを行っています。この委員会では、女性リーダーの発掘と育成を目的としたプログラムや社内教育の企画・運用が進められています。また、社員同士が経験を共有する場や、女性管理職を増やすための具体的な方針を策定する場としても機能しています。こうした組織的な支援体制が企業全体でのジェンダー平等の推進に寄与しています。
新たな育成制度とキャリア形成の機会提供
女性管理職を生み出すためには、適切な育成制度が欠かせません。ヤマハ発動機は、社員が自身のキャリアをより主体的に形成できるよう、新たな育成制度を展開しています。このプログラムでは、管理職候補としてのスキル向上やリーダーシップ開発に重点を置き、女性が自信を持ってキャリアアップに挑戦できる仕組みを提供しています。また、職場でのロールモデルを活用し、若手社員にとっての将来像を具体的に示す取り組みも行われています。
女性リーダーの創出を支える評価制度
ヤマハ発動機では、男女にかかわらず公平な評価を行うための制度を整備しています。この評価制度は、スキルや貢献度を重視した透明性の高い仕組みであり、性別に関係なく能力を正当に評価することを目的としています。具体的には、成果だけでなくプロセスにも焦点をあてた評価基準が導入されています。この仕組みによって、女性社員が自らの能力を発揮しやすい環境が整い、女性管理職の増加に繋がっています。
女性管理職増加がもたらす効果と課題
多様な視点の経営への反映
ヤマハ発動機における女性管理職の増加は、経営において多様な視点が生まれる大きな要因となっています。これにより、従来の意思決定プロセスでは見落とされがちだったニーズや課題が把握され、包括的で柔軟な意思決定が可能になっています。例えば、多文化共生を含むダイバーシティ&インクルージョン（D&I）の取り組みを推進する上で、女性管理職が中心となることで、より多様な顧客層や市場ニーズに応じた戦略が立案されています。ヤマハ発動機のように、役員に占める女性比率を26.7%まで引き上げた成果は、企業に新たな活力をもたらしているのです。
社員全体の働きがい向上
女性管理職の増加により、社員全体の働きがいも向上しています。特に、女性役員や女性リーダーの登場は、従業員に対して公平なキャリア形成の可能性を示しており、職場環境全般のモチベーションを促進しています。ヤマハ発動機では、実際に「せいぞう小町」のような女性主体の活動が生産職場の環境改善に寄与し、成果を上げています。これにより、男女を問わず、社員全体が自らの職場に誇りを持ち、より積極的に組織貢献を目指す空気が醸成されています。
ジェンダーバイアスの克服に向けた課題
女性管理職が増加する一方で、ジェンダーバイアスの克服という課題も依然として存在します。特に、日本では未だ根強い「管理職＝男性」のイメージが多くの企業に残っています。ヤマハ発動機ではこの価値観の変革に努めており、女性が活躍しやすい職場環境を整えるため、積極的な育成制度の導入や評価制度の見直しが進められています。しかし、ジェンダーバランスの改善には時間を要する部分もあり、全社員が共通認識を持てる環境づくりが引き続き重要な課題として挙げられます。
社内外におけるロールモデルづくり
女性管理職の存在は、社内外でのロールモデルづくりという観点からも重要です。ヤマハ発動機の女性役員や女性管理職の活躍は、特に若手社員やこれからキャリアを積みたいと考える女性にとって大きな励みとなっています。また、同社が国際女性デーの活動を通じてジェンダー平等を訴え、多数の社員がプレゼンテーションやディスカッションに参加することで、ロールモデルの影響力が社内外に広がっています。このような取り組みは、他社にも刺激を与え、業界全体でジェンダー平等への関心を高めるきっかけとなっています。
ヤマハの取り組みが社会へ与える影響
業界全体への波及効果
ヤマハ発動機が進めるダイバーシティ&インクルージョン（D&I）の取り組みは、業界全体にも大きな影響を与えています。特に、女性役員の積極的な登用により、他企業においてもジェンダー平等を進める動きが加速しています。例えば、2025年3月現在、ヤマハ発動機には4名の女性役員が在籍しており、その比率は26.7%と業界内でも先進的な水準です。このような実績は、他の企業が女性管理職の割合を増やす指針として注目しており、業界全体でのダイバーシティ推進のロールモデルとなっています。
地元社会におけるジェンダー平等への貢献
ヤマハの取り組みは、地元社会におけるジェンダー平等の実現にも貢献しています。同社は「せいぞう小町」のような活動を通じて、職場環境の改善と女性の活躍を支援しています。また、国際女性デーの実施など地域社会との連携イベントも行い、ジェンダー平等の重要性を広く発信しています。2023年には「Accelerate Action」をテーマに2,500束のミモザを配布し、社員と地域住民の間で平等への意識を共有しました。このような活動が地元社会全体にポジティブな影響を与えています。
持続可能な社会実現に向けた企業の責任
ヤマハ発動機は、持続可能な社会の実現に向けて大きな責任を果たそうとしています。ジェンダー平等を含むD&Iの推進は、SDGs（持続可能な開発目標）にも深く貢献する取り組みです。同社は経営戦略本部を新設し、サステナビリティ視点を経営方針に取り入れるなど、環境・社会への配慮を重視した事業展開を進めています。ジェンダーバランスに配慮した役員構成や、女性のキャリア形成を支援する人材開発委員会の設立など、この先を見据えた具体的な行動がその責任感の現れです。結果として、より持続可能で平等な社会を築くためのリーダーシップを担っています。
今後の展望とさらなる課題
社会の変化に応じた新たな取り組み
ヤマハ発動機は、時代の変化に応じて柔軟に対応し、持続可能な社会へ貢献する企業として進化を続けています。特に、ダイバーシティ&インクルージョン（D&I）の取り組みをさらに深化させ、女性役員の数を増やすなど、ジェンダー平等の推進を鍵とした経営戦略を打ち出しています。たとえば、グローバルな視点を持つ外国人役員や女性役員の登用が増えており、これにより異なる文化や価値観を企業経営に取り込む努力が進められています。
また、社内組織においては「経営戦略本部」の新設や「人事総務本部」の再編など、組織体制そのものを変革することで、新たな価値を生む基盤づくりを強化しています。これらの取り組みは、時代を先取りした事業運営を実現し、ダイナミックに社会変化をリードする企業文化の醸成を目指しています。
目標達成に向けた長期的なビジョン
ヤマハ発動機の長期的なビジョンは、ダイバーシティ経営を通じて経済的価値だけでなく、社会的価値も創出することにあります。中期経営計画の中では、女性管理職比率の向上が具体的な目標に掲げられており、これを達成するための戦略的な施策が設計されています。たとえば、「女性活躍推進のための人材開発委員会」による育成プログラムや、企業全体でロールモデルとなる女性リーダーの創出を支える評価制度の見直しが進められています。
さらに、ヤマハが持つグローバルネットワークを活用することで、世界各国におけるジェンダーバイアスへの挑戦や、現地コミュニティとの連携による社会貢献活動も強化されています。このように、持続可能な社会実現に向けたビジョンが企業活動全体に反映されています。
多様性を活かしたグローバルな展開
ヤマハ発動機のグローバル展開は、多様性を活かす経営方針の象徴です。女性役員が26.7%を占める現在、ヤマハでは国内外の市場で均一な価値観よりも多様な視点を重視した事業活動を展開しています。例えば、国際女性デーを活用した「Accelerate Action」と題する活動が、ジェンダー平等への意識向上に寄与しています。このような取り組みは、社員一人ひとりが共感できる文化を生み出し、ブランド価値の向上にもつながっています。
また、グローバルRC・法務・知財本部の新設など、デジタル技術やイノベーションを駆使した事業変革が進行しています。これにより、時間や場所を超えた多様な人材との協働が可能となり、世界規模での価値創造を実現しています。今後は、さらに多くの女性リーダーが輩出され、ヤマハ発動機が多様性を強みにしながらグローバル市場で競争力を高めていくことが期待されます。