役員って何?初心者でもわかる役職の基本と種類

役員の基本概念

役員とは何か?その定義と役割

役員とは、会社の経営方針を立て、意思決定を担う立場にある人を指します。具体的には、取締役や監査役、会計参与などの役職が該当します。役員は、雇用契約に基づく一般社員とは異なり、株主などからの委任を受けて職務を遂行します。経営における重要な判断や責任を負う点が役員の役割として挙げられます。

たとえば、取締役は会社の業務執行を決定し、代表取締役の場合はその決定を実行に移します。また、監査役は経営判断の妥当性や会計報告の正確性を監査する役割を持っています。このように、役員は企業が健全に運営されるための中心的な存在といえるでしょう。

法律における「役員」の定義

法律の観点から見ると、役員は主に株式会社における「取締役」「会計参与」「監査役」を指します。会社法第329条ではこれらを役員として定めており、法人税法においても役員の範囲が規定されています。法人税法上の役員には、会社内部の経営に直接関与する人物も含まれ、具体的には顧問や相談役、組合の代表者なども該当する場合があります。

また、取締役の任期は原則として2年ですが、定款によって最長10年まで延長することが可能です。このような法律上の定義や制約に基づき、役員は経営の範囲内で責任を果たす必要があります。

役員と従業員の違い

役員と従業員の違いは、主にその責任範囲と契約形態にあります。従業員は会社との間で雇用契約を結び、業務を遂行する立場です。一方、役員は労働契約の対象ではなく、株主や取締役会から委任を受けて会社の運営を行います。このため、役員は勤務時間や雇用形態に制約を受けません。

さらに、報酬の種類にも違いがあります。従業員は給与を受け取るのに対し、役員は報酬という形でその職務に対する対価を得ます。また、役員の解任や選任は株主総会での決議が必要となるため、その権限の範囲や責任の重大さは従業員とは大きく異なります。

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役員の種類とその特徴

会社法が定める役員の種類

会社法において、役員は「取締役」「会計参与」「監査役」の3種類が明確に定義されています。これらの役員は、それぞれ異なる役割や責任を担い、会社の経営を支える重要な立場です。

まず、取締役は会社の業務執行の意思決定を行います。株主総会で選任され、その任期は原則2年ですが、定款の定めにより最長10年まで延長が可能です。また、多くの場合、取締役の中から代表取締役が選ばれます。

次に、会計参与は、税理士または公認会計士が就任する役職で、計算書類の作成にあたり専門的な役割を果たします。正確な財務情報を提供することで、会社の経営判断を支援する重要な役職です。

最後に、監査役は取締役や会計参与の業務を監査する役割を担います。例えば、資本金5億円以上の企業や公開会社では、法的に監査役の設置が義務付けられています。監査役の重要な特徴は、その独立性です。経営陣から距離を保ちながら、業務の適正性を監督します。

法定外の役員(執行役員やアドバイザーなど)

会社法が定める役員以外にも、企業の中では法定外の役員として「執行役員」や「アドバイザー」といった役職が存在します。これらの役職は法律上の役員には該当しませんが、実質的に経営に関与している場合、役員と類似した位置づけとして認識されることがあります。

執行役員とは、取締役の業務執行の補佐を担う役職で、主に特定の部門や業務運営に責任を持つことが一般的です。一方で、執行役員は株主総会で選任されるわけではなく、取締役会の決定によって選ばれます。そのため、法的な役員とは異なり、委任契約よりも労働契約に基づくケースが多いと言えます。

アドバイザーは、特定の分野において専門的な知識や経験を活かし、経営方針や戦略の策定について助言を行う役職です。役員としての直接的な意思決定には関与しないものの、経営において貴重なアドバイスを提供します。相談役や顧問もこのカテゴリに含まれることがあります。

常勤役員と非常勤役員の違い

役員はその勤務形態によって、「常勤役員」と「非常勤役員」に分けられます。常勤役員とは、日常的に会社の業務に携わる役員を指し、具体的には取締役や執行役などの役職が該当します。常勤役員は、経営方針の立案や業務執行において中核的な役割を果たします。

一方で、非常勤役員は、会社の経営に関与するものの、特定の業務に専従するわけではありません。監査役などはその良い例です。非常勤役員は、主に監視や助言を通じて会社の健全な運営を支える役割を担います。

常勤と非常勤の役員の違いは、業務への関与度だけではなく、その報酬形態にも影響します。常勤役員は月額報酬が多い一方、非常勤役員は業務ごとの報酬が中心となるケースも多いです。このように、勤務形態と役割分担に応じて、それぞれの立場に応じた役員が配置されることが、会社運営の効率化につながります。

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具体的な役職ごとの役割

取締役の役割と責任

取締役は会社の業務執行における意思決定を担う重要な役職です。具体的には、会社の経営方針の策定や事業計画の決定などを行い、会社全体の業務を監督する役割を持っています。株主総会で選任されることが一般的で、任期は原則として2年ですが、会社の定款や規模に応じて最長10年まで延長することも可能です。

また、多くの会社では取締役の中から代表取締役が選ばれ、会社の対外的な代表者としての責務を果たします。このように取締役は、経営全体の指針を示し、適切な意思決定を行うことで、会社の発展を支える中核的な存在と言えます。

会計参与の目的と重要性

会計参与は、会社の財務情報の信頼性を高めるために設置される役職です。その主な役割は、取締役と共に計算書類を作成することにあります。会計参与として任命されるのは、税理士または公認会計士といった会計の専門家で、専門的な知見を活かして会社の財務状況を適切に把握・管理することを目的としています。

特に、資本金が大きい会社や複雑な財務構造を持つ会社においては、会計参与の役割は極めて重要です。正確な財務情報は、経営判断の基礎となるため、会計参与が関与することで経営者や株主に対して信頼性の高い情報を提供することが可能となります。

監査役の独立性と職務

監査役は、取締役や会計参与の業務を監査し、会社の適正な運営を確保するために設置される役職です。監査役の主な職務には、業務監査と会計監査の2つがあり、これらを通じて会社の内部統制を強化します。監査役の独立性が高いことがその特徴で、経営陣からの影響を受けず、公正な立場で業務を遂行することが求められます。

法律的な義務として、資本金が5億円以上の会社や公開会社は監査役を設置しなければならないとされています。このように、監査役は経営陣に対するチェック機能を果たす重要なポジションであり、会社の透明性と健全性を維持するうえで不可欠な存在と言えます。

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役員の選任と解任のプロセス

役員の選出方法(株主総会など)

役員の選任は、会社経営における重要なプロセスのひとつです。株式会社の場合、役員は通常、株主総会での決議に基づき選出されます。株主総会は株主が意思を表明する場であり、経営方針に直接影響を与える役員選任が議題となることが一般的です。役員の選任手続きでは、候補者の過去の経歴や実績、会社のビジョンに沿った適性が慎重に評価されます。

また、会社法によれば、取締役や監査役を選ぶ場合、会社設立時または新たな任期が開始する際に株主の過半数が賛成する決議が必要です。ただし、定款で別の基準を設けている場合にはそれが適用されることもあります。役員選出のプロセスを透明性高く進めることは、会社の信頼性を高める上で重要です。

役員の任期と更新

役員の任期は、会社法によって定められており、一般的には取締役の任期は2年、監査役の任期は4年とされています。ただし、株主総会の特別決議を通じて、任期を最長10年まで延長することが可能です。一方、非公開会社の場合では、役員の任期を制限なく定めることも可能であり、経営の柔軟性を高める選択肢となり得ます。

任期の満了を迎えた場合は、再任を希望する場合でも、再度株主総会で選任手続きを経る必要があります。このプロセスにより、役員は常に株主から信任を得た形で職務を遂行することが求められます。役員の任期管理は、会社の安定した経営を維持するための重要なポイントです。

解任時における注意点

役員の解任は、会社にとっても非常に慎重を要する手続きの一つです。役員の解任は、株主総会の決議で行われ、特別決議が必要とされる場合が多いです。この特別決議には、議決権を持つ株主の2/3以上の賛成が求められます。

しかし、役員を解任する場合には、それに伴う法的トラブルにも注意しなければなりません。不当解任が行われた場合、解任された役員から損害賠償請求を受けるリスクがあります。解任に正当な理由がある場合でも、その理由を事前に記録として残し、適切なプロセスを踏むことが重要です。解任時の注意点を踏まえ、会社の信頼性を損なわない手続きが求められます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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