取締役の互選ってなぜ必要?メリットとデメリットを徹底解説

1. 取締役の互選とは?その基本を徹底解説

1-1. 取締役の互選の定義と目的

取締役の互選とは、取締役が互いに話し合いを行い、代表取締役を選定する手続きのことです。この方法は、取締役会非設置会社において代表取締役を決定する際に用いられる制度の一つで、取締役が複数いる場合に活用されます。互選の目的は、外部の株主総会を開催せずに、会社内部の取締役間で迅速かつ効率的に代表者を選ぶことにあります。また、互選の結果は互選書として記録され、これにより選定過程の法的証拠として活用されます。

1-2. 取締役会非設置会社における互選の役割

取締役会非設置会社とは、法律上取締役会を設置しない会社の形態を指し、一般的に中小企業などで採用されています。このような会社では、代表取締役を選定する方法として、取締役の互選が重要な役割を果たします。取締役が複数人いる場合、互選を行わずに放置すると、全取締役が会社を代表する立場となり、経営上の効率性が損なわれる可能性があります。そこで、互選により明確に代表者を決定することで、会社運営における指揮命令系統の一貫性を確保できます。

1-3. 互選と他の代表取締役選定方法との違い

代表取締役を選定する方法として、取締役の互選以外に株主総会での決議や定款への記載があります。これらの方法との大きな違いは、互選が取締役だけで完結する点にあります。株主総会による決議では、株主を交えた正式な手続きが必要となるため、開催に手間や時間がかかります。一方で、定款に代表取締役を記載する方法は、事前に定款を作成または変更しなければならず柔軟性に欠けます。それに比べ、取締役の互選は迅速かつ効率的に代表取締役を選定できるのが特徴です。ただし、定款に互選規定が記載されていない場合は、予め定款変更の手続きが必要となる点に留意する必要があります。

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2. 取締役の互選が必要とされる理由

2-1. 定款による互選規定の重要性

取締役の互選を行うためには、定款でその手続きを明確に定めておくことが重要です。法律上、取締役会非設置会社で代表取締役を選定する方法にはいくつかありますが、その中でも互選の方式を採用する場合、定款に「代表取締役は取締役の互選により選定する」という旨の規定が必要です。この規定を定款で明示することで、取締役の間でスムーズに代表取締役を選ぶことができ、株主総会を開催する手間を省くことが可能になります。また、このような定款規定は手続きの簡便化だけでなく、会社としての運営ルールの透明性を高める効果もあります。

2-2. 株主総会による選任との比較

取締役の互選は、代表取締役を選任する方法として、株主総会による選任よりも手続きが簡略化されています。株主総会を開催する場合、議題決定や通知、議事録の作成など、準備と実施に時間がかかる一方、互選では取締役間での話し合いと合意のみで決定が可能です。このため、時間と労力の効率化が図れます。ただし、株主総会が全株主の意思を反映する場であるのに対し、互選は取締役のみの判断で決定されるため、会社のガバナンスや意思決定構造に影響が及ぶ可能性も懸念されます。

2-3. 経営の透明性と効率性への影響

取締役の互選による代表取締役の選定は、経営の透明性と効率性に直接的な影響を与えます。互選では取締役内の話し合いで迅速に意思決定が行えるため、経営判断のスピードが向上します。一方で、取締役間での個別の交渉や駆け引きが生じる可能性もあるため、全体の透明性を確保するためには互選の過程を明確に記録しておくことが重要です。特に、互選書を正確に作成しておくことは、代表取締役を選定した事実を証明するため、法律的にも必要不可欠です。このように、互選は効率性を高める一方で、透明性をどのように担保するかが大切な課題となります。

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3. 取締役の互選のメリットとデメリット

3-1. メリット:迅速な意思決定プロセス

取締役の互選を採用することにより、代表取締役を株主総会で選任する手続きを省略できるため、迅速な意思決定が可能となります。特に取締役会非設置会社においては、株主総会の招集や開催に多大な労力がかかるため、互選は手続きの簡素化という大きなメリットを提供します。例えば、取締役が互いに選び合う形式であるため、短時間で合意形成が進み、その結果、会社の運営におけるスピード感が向上します。

3-2. メリット:取締役間の公平性と合意形成

取締役の互選は、取締役全員が平等な立場で代表取締役の選定に携わる点が特徴です。これにより、特定の取締役の影響力に偏らない公平な意思決定が可能となります。また、この方法は取締役全員の意見を尊重し、合意形成のプロセスを重視するため、選定後の信頼関係を構築しやすい点も魅力です。特に互選書を用いることにより、選定の過程を明示的に記録できるため、透明性の確保も図られます。

3-3. デメリット:意見対立の場合のリスク

一方で、取締役間に意見の相違がある場合、互選による代表取締役の選定に手間取る可能性があります。特に取締役が多い場合や、関係が複雑な場合には、合意に達するための議論が長引き、意思決定のスピードが低下する恐れがあります。このような状況では、最終的に選定された代表取締役に十分な支持が得られない可能性もあり、経営の安定性に影響を与えることも考えられます。

3-4. デメリット:手続きの複雑さ

取締役の互選を行う際には、互選書の作成や議事録の作成など、細かな手続きが必要となります。これらの書類は法務局への提出や登記手続きにおいて重要な証拠となるため、不備がないように準備する必要があります。そのため、専門的な知識が求められる場合が多く、実務的な負担がかかる点がデメリットとして挙げられます。また、会社法や定款に定める必要がある事項を守らなければならないため、手順を誤ると法律的なリスクが生じる可能性があります。

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4. 取締役の互選手続きと法律的要件

4-1. 互選書の記入方法と重要ポイント

取締役の互選書は、取締役間で代表取締役を互選する際に必要となる重要な書類です。この書類には、どの取締役を代表取締役として選定したかを明記し、その事実を証明する役割があります。記入する際には、まず選定した代表取締役の氏名、選定日、その他必要な情報を正確に記載し、取締役全員の署名または記名押印を行うことが求められます。また、書類の誤記や未記入により手続きが無効になるリスクもあるため、確認作業をしっかり行うことが重要です。

4-2. 互選の際に必要な書類や申請手順

取締役の互選後、代表取締役の選定を法務局に申請するためには、いくつかの必要書類を準備する必要があります。主な書類として、互選書、定款、就任承諾書、取締役会議事録、印鑑証明書、そして必要に応じて委任状が含まれます。また、登記申請書には、代表取締役の選定日や住所、氏名などの詳細情報を記載します。法務局への登記申請は通常、代表取締役選任日から2週間以内に行う必要があり、登録免許税として資本金が1億円以下の場合は1万円がかかります。この手続きの期限を守らないと罰則の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

4-3. 会社法における互選の法的根拠

取締役の互選の法的根拠は、会社法第349条第3項にあります。この規定では、株式会社が取締役会を設置していない場合、代表取締役の選定方法として定款に定める方法、株主総会の決議、または取締役間の互選による方法が認められています。特に、取締役が複数いる場合に互選を採用することで、株主総会を経ずに効率的かつ迅速に代表取締役を選定できるという強みがあります。この法律的根拠を踏まえ、互選が適切に行われることで、会社運営の透明性と統制が確保されるのです。

4-4. 取締役全員の同意が求められるケース

取締役の互選を行う場合、代表取締役の選定について取締役全員の同意が求められるケースがあります。これは、選定の公平性や透明性を保つためです。全員の同意を得ることができない場合、多数決による選定が行われますが、場合によっては意見対立が生じる可能性もあります。そのため、互選の際には事前に十分な協議を行い、取締役間で合意形成を進めておくことが推奨されます。また、同意が得られた場合、その内容を互選書や議事録に明確に記録し、必要に応じて証拠として利用できるように保管することも重要です。

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5. 取締役の互選を行う際の注意点と対策

5-1. 定款に互選規定がない場合の対応

取締役の互選を行うためには、定款に「代表取締役は取締役の互選により定める」との規定を明記しておく必要があります。しかし、定款にこの規定がない場合には、まず株主総会を開催して定款変更を行う必要があります。定款変更は特別決議として行われ、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となります。適切な議事録の作成や株主リストの管理も忘れずに行いましょう。

5-2. 適切な議事録作成のポイント

取締役の互選を行った際には、その手続きを正確に記録した議事録を作成することが重要です。議事録には、選定の日時、場所、出席取締役の名前、決定事項(誰を代表取締役に選定したか)を明確に記載します。また、議事録の作成者や出席者の署名を加えることで、文書の信頼性や法的効力を担保することができます。さらに、議事録が登記申請の添付書類として必要になるため、内容の正確性に十分注意しましょう。

5-3. 取締役候補者の選出基準と透明性

互選をスムーズに進めるためには、取締役候補者の選出基準を事前に明確にしておくことが大切です。選出基準が曖昧な場合、取締役間で意見の対立を招き、選定が難航する可能性があります。例えば、経営経験や業界知識、リーダーシップ能力など具体的な基準を設定すると、候補者に対する理解が深まりスムーズな合意形成が期待できます。また、選出の過程を透明性のある形で進めることで、互選の正当性を確保し、会社内外の信頼を高めることにつながります。

5-4. 互選を円滑に進めるための合意形成

取締役の互選を行う際に最も重要となるのが、取締役間での合意形成です。とくに、取締役が複数名いる場合、全員が納得できるプロセスを構築することが肝心です。事前に候補者について意見を交換し、会社の方向性や意思決定プロセスを共有する場を設けることが効果的です。また、意見が分かれる場合には、取締役全員が自らの役割を再確認し、多数決を採用するなどの柔軟な対応も重要です。最終的に作成された互選書には全取締役の意思が反映されていることが求められるため、この段階での調整を怠らないようにしましょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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