富士通の注力する「3S」とは何か──Fujitsu Uvanceの中核を担うSAP / Salesforce / ServiceNow戦略と人材育成

富士通が社会課題解決を掲げる事業ブランド「Fujitsu Uvance」の一環として注力しているのが「3S」です。これは、SAPSalesforceServiceNowという3つのグローバル標準プラットフォームを指し、富士通のBusiness Applications領域における成長の要と位置付けられています。なぜ富士通はこの3Sに集中投資し、人材育成を強化しているのでしょうか。本稿では、その戦略的背景と人材育成の取り組み、そしてそこに広がるキャリアの可能性について、公式の情報をまとめました。

3Sとは何か:Fujitsu Uvance戦略における中核プラットフォーム

「3S」は、富士通がBusiness Applications領域で重点的に拡大を図るSAPSalesforceServiceNowの頭文字を取った呼称です。これらは、いずれもグローバル規模でのベストプラクティスを備え、クラウド提供も可能なため、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる基盤として高い価値を持っています。富士通はこれらの3Sを事業戦略の核心に据え、オファリング開発とデリバリ体制の構築を進めています。

それぞれのプラットフォームの詳細は以下の通りです。

  • SAP: ドイツに本社を置くSAP SEが提供する、企業全体のビジネスプロセスを統合・管理するための幅広いソフトウェアソリューション群の総称。特に、ERP(Enterprise Resource Planning)の分野で世界的に知られ、生産性向上、コスト削減、顧客満足度向上を目的とした多様なソフトウェアを提供している。
  • Salesforce: アメリカに本社を置くSalesforce, Inc.が提供する、クラウドベースの顧客関係管理CRMソリューションおよび関連サービスの総称。顧客を中心としたビジネスプロセスの自動化と効率化を支援し、営業、サービス、マーケティングなど多岐にわたる機能を提供することで、顧客満足度向上と売上拡大に貢献している。
  • ServiceNow: アメリカに本社を置くServiceNow, Inc.が提供する、企業全体の業務プロセスを標準化・自動化するクラウドサービスの総称。ITサービス管理(ITSM)を中核としつつ、IT部門だけでなく、従業員、顧客向けの様々なデジタルワークフローを提供し、業務効率の向上と優れたユーザーエクスペリエンスを提供している。

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富士通が3Sに注力する戦略的背景と強み

富士通が3Sに注力する背景には、「Fujitsu Uvance」という社会課題解決を目的とした新事業ブランドの推進があります。富士通自身が社会課題を定義・解決する企業へと変革を進める中で、急速に変化する市場環境に対応するITサービス提供の要となるのがBusiness Applications領域であり、3Sはその重点領域として位置付けられています。

この戦略には単なる技術提供以上の意味があり、富士通が持つ独自の強みが活かされています。

自社におけるSAP導入の実践知

富士通は、全社ERP統合の「One ERPプロジェクト」として大規模なSAP導入を自社で行い、その実践知を豊富に蓄積しています。自社変革の経験をナレッジとしてクライアントへの提案に活かすことで、説得力と信頼性の高いサービスを提供しています。

ヒューマンキャピタルへの投資と組織横断的なナレッジ共有

3Sを含む人材への積極的な投資に加え、SAP BASIS技術者の集約・強化など、組織を横断したナレッジ共有体制を構築しています。これにより、高度な技術者が協働できる環境が整い、組織全体の技術力が底上げされています。

グローバル体制の拡張と変革志向の文化

富士通はグローバルでの体制拡張を進めるとともに、キャリアの多様性を許容する変革志向の文化を醸成しています。

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3Sを支える人材育成とキャリアの可能性

富士通は、3Sビジネスの拡大を支える要として、人材への投資と育成を重視しています。社員のキャリア成長と会社の変革を両立させる「3S Careers」という枠組みで、グローバル体制の強化と連動した人材戦略を進めています。

採用とキャリアシフトの支援 

3S領域の拡大に伴い、国内外で積極的な人材獲得を行っています。採用においては、SAP経験者だけでなく、ERP導入経験者や業務システム設計のバックグラウンドを持つ人材、さらには「自らを変革したい」という意欲を持つ人材にも広く門戸を開いています。社員が新たなスキルを習得し、キャリアを主体的に転換できるよう、リスキリングの設計を積極的に支援する姿勢を強調しています。

3Sリスキルプログラムと人材育成

人材の自律的成長とキャリアオーナーシップを支える「Career & Growth Well-being」の一環として、富士通は3S(特にSAP)領域のリスキリングに重点を置いています。数百人規模を対象としたこのプログラムは、座学とOJTを組み合わせた約半年の構成で、国内リソースの早期戦力化を目指します。この取り組みは単発の研修ではなく、ジョブ型人材マネジメントの基盤の上に構築されています。社員が自身のキャリアを主体的に設計できるよう、「FUJITSU Career Ownership Program(FCOP)」、社内ポスティング、メンタリング、キャリア対話支援といった制度と密接に連動しており、3Sに関わる人材は、単にスキルを獲得するだけでなく、富士通の変革を担う存在として育成される構造になっています。

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おわりに

富士通にとって「3S」は、単なる技術選定に留まらず、社会課題解決を掲げる企業変革と、それを支える人材の成長とキャリア形成をつなぐ重要なハブです。SAP、Salesforce、ServiceNowのいずれか、あるいは複数の領域に携わることで、グローバルなスケールでの変革プロジェクトに参加し、キャリアの可能性を広げる機会が提供されているのです。

このようなDXを推進するプラットフォームの専門知識は、IT業界全体で非常に高い需要があり、これらの知識をお持ちの方、あるいは今後身につけたいとお考えの方には、幅広いキャリアの機会が広がっています。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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