「ランサムウェア」から会社を守る!いますぐ実践できる5つの対策

ランサムウェアの脅威とその概要

ランサムウェアとは何か

ランサムウェアは、「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた言葉で、感染したコンピュータやネットワークに対してアクセス制限をかけ、解除するために金銭を要求するマルウェアです。これには、パソコンの操作を完全にロックしてしまうタイプや、データを暗号化して読み取れなくしてしまうタイプなどがあります。特に企業では重要なデータを人質に取られるケースが多く、業務の停止など深刻な被害をもたらすことがあります。

近年、ランサムウェアの手口は進化を遂げており、「二重脅迫(ダブルエクストーション)」という手法が問題視されています。この手法では、データを暗号化するだけでなく、盗んだデータを公開すると脅してさらなる金銭を請求するケースが増えています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、こうしたランサムウェア攻撃の影響を軽減するさまざまな対策手法を公開しています。

ランサムウェアが増加している理由

ランサムウェアの増加は、サイバー攻撃の経済的な動機が大きな要因とされています。攻撃者はランサムウェアを使って企業や個人から直接的に金銭を得ることができるため、高い収益性が注目されています。特に、仮想通貨(ビットコインなど)の普及により、追跡されるリスクを軽減しながら匿名性を保ったまま金銭をやりとりできる環境が整ったことも増加の一因です。

また、ランサムウェアはサイバー犯罪者だけでなく、他の攻撃者が利用しやすい「サービス」としても提供されることが増えています。この「ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)」の流行により、プログラミングの知識がなくてもランサムウェアを利用できる環境が広がり、これが被害の拡大を促しています。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威」でも過去4年連続でランサムウェアがトップの脅威とされており、その影響力の高さがうかがえます。特に企業の重要なデータやインフラが狙われるケースが増え、深刻な問題となっています。

ランサムウェアの感染経路

ランサムウェアの感染経路はさまざまですが、特に注意が必要なのは以下の3つです。

まず1つ目は、不特定多数を狙った「フィッシングメール」です。メール中の添付ファイルやリンクをクリックすると、無意識のうちにランサムウェアがダウンロード・実行されるケースが多発しています。メールは急ぎの対応を求めるような内容で偽装されることが多く、注意が必要です。

2つ目は、企業ネットワークに使われる「VPN機器」や「リモートデスクトップ(RDP)」の脆弱性を狙った攻撃です。特に、脆弱性が未修正の状態で外部ネットワークに接続している場合、攻撃者による侵入経路となり得ます。IPAの報告によれば、2022年上半期には68%がこれらの経路から感染しています。

3つ目は、インターネット上で提供される「不正なソフトウェア」や「海賊版ソフト」です。正規のソフトウェアに見せかけて改ざんされたプログラムをインストールしてしまい、その結果としてランサムウェアに感染するケースも見受けられます。

このような多様な感染経路を防ぐためには、日ごろから適切な対策を実施することが重要です。具体的には、疑わしいメールやリンクへのアクセスを避けることや、セキュリティソフトを最新の状態に保つことが推奨されます。さらに、IPAのランサムウェア対策ページでは、感染経路を防ぐための具体的な対策が公開されていますので、一読することをおすすめします。

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ランサムウェア対策の基本

バックアップの重要性と適切な方法

ランサムウェア対策においてバックアップの確保は最も基本的かつ重要なポイントです。ランサムウェアに感染するとデータが暗号化され使用不能になるため、バックアップが唯一の復旧手段となることがあります。そのため、定期的に重要データを複製し、複数の場所に保存することが推奨されます。特に、外部ストレージやクラウドサービスなど、ネットワークから切り離された環境に保存すれば、感染のリスクを大幅に軽減できます。また、復元のテストを行うことで、バックアップの有効性を確認することも忘れないでください。IPAが発信している情報では、このバックアップの基本ルールを明確に示していますので、参考にしてください。

セキュリティソフトの導入と更新

セキュリティソフトの導入と定期的な更新は、ランサムウェアの感染を防ぐための基本的な対策です。セキュリティソフトは、既知のランサムウェアを検知し、感染を防止する役割を果たします。しかし、ランサムウェアは日々新たな手口が開発されるため、ソフトウェアを常に最新の状態に保つことが不可欠です。また、ネット環境や業務形態に合った適切なセキュリティ製品を選択することも重要です。IPAも安心して使用できる推奨ソフトウェアの情報を発信していますので、情報を確認しつつ対応を検討しましょう。

適切なパスワード管理と認証強化

ランサムウェアはしばしば弱いパスワードや認証の不備を突いて侵入します。これを防ぐためには、強力なパスワードと多要素認証を導入することが効果的です。パスワードは英数字と記号を組み合わせ、定期的に変更することが求められます。さらに、二段階認証やワンタイムパスワード(OTP)などの多要素認証を併用すれば、セキュリティをより一層強化できます。また、従業員全体でパスワード管理ルールを定め、統一する仕組みを作ることも推奨されています。IPAでは適切な認証強化のガイドラインを提供しており、その実践が推奨されています。

ソフトウェアやOSのアップデート徹底

ランサムウェアの感染経路として、古いソフトウェアやOSに存在する脆弱性が狙われるケースが多く見られます。そのため、使用しているソフトウェアやOSを常に最新のバージョンに保つことが重要です。特に、業務用のシステムやアプリケーションは、脆弱性情報が公開された場合に迅速なパッチ適用が求められます。また、定期的に全システムを見直し、サポート期限が切れているソフトウェアがないかを確認することも必要です。IPAのサイトでは脆弱性情報やアップデートの通知も提供されていますので、日々チェックし対策を講じることが効果的です。

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組織で取り組むセキュリティガイドライン

従業員教育の推進

ランサムウェア対策において従業員の教育は欠かせない取り組みの一つです。メールや添付ファイルに対する注意喚起はもちろん、定期的なセキュリティトレーニングを実施し、従業員が新手の攻撃手法や感染リスクに敏感であることを目指すべきです。たとえば、IPAが推奨する教材やセミナーを活用することで、専門的で最新の情報を学ぶことができます。さらに、疑わしいファイルやリンクを見つけた際の報告手順を明確にし、インシデント発生時の対応力を組織全体で高めることが重要です。

アクセス管理と権限設定の見直し

ランサムウェアの被害を最小限に抑えるためには、アクセス管理と権限設定の適切な見直しが必要です。特に、不要な特権アカウントの削除や、従業員ごとのアクセス範囲の限定を徹底することで、攻撃者が組織内部に与える影響を減らすことができます。また、VPNやリモートデスクトップなどの外部アクセス用ツールは特に狙われやすいため、強固な認証方法やログ監視の導入を検討しましょう。IPAが提供する情報を元に、最新の設定ガイドラインを適用することも推奨されます。

インシデント対応計画の策定と訓練

ランサムウェアへの対策は、感染防止だけでなく感染後の対応にも備える必要があります。そのためには、インシデント対応計画を策定し、組織全体で共有することが重要です。この計画には、感染拡大の抑制、データの復旧方法、法的機関や外部専門家への連絡手順を含めるべきです。また、計画を机上演習や模擬訓練で定期的に試行し、実際の感染時に迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが求められます。IPAが提供予定のシナリオ形式教材などを活用することで、実践的な学びを深められるでしょう。

外部専門家との連携強化

ランサムウェアは高度化・巧妙化しているため、内部の取り組みだけでは対処が難しい場合があります。このため、外部専門家との連携を強化することが重要です。セキュリティコンサルタントやインシデント対応専門企業を活用することで、脆弱性の特定や最新のセキュリティ情報を得ることができます。特に、IPAなどの公的機関が提供する情報や相談窓口を活用することで、客観的な視点でのアドバイスが期待できます。こうした取り組みは、感染の未然防止だけでなく、万が一の事態における迅速な復旧にも大きく役立つでしょう。

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ランサムウェア感染時の対応と復旧方法

感染後の初動対応手順

ランサムウェアに感染した場合、迅速な初動対応が被害を最小限に抑える鍵となります。最初に行うべきは、感染した端末をネットワークから切り離すことです。これにより、他のネットワーク接続デバイスへの感染拡大を防止できます。また、感染が疑われる端末を電源オフにせず、状態をそのまま保つことで、後の調査と復旧作業に必要な情報を失わないようにしましょう。同時に、社内のIT部門や外部のセキュリティ専門家に速やかに連絡し、感染範囲の特定と被害状況の確認を進めてもらいます。これにより、適切な対応計画の策定が可能となります。

被害の最小化とデータ復旧のための対策

感染後は、被害を最小限に抑えながら、可能な範囲でデータ復旧を進める必要があります。まず、定期的に実施していたデータバックアップがあればそれを利用して、感染したデータを復旧することができます。IPAでも推奨されているように、バックアップデータはネットワークから分離され、安全な場所に保管しておくことが重要です。また、事前に導入しているセキュリティソフトウェアがランサムウェアの特定や駆除に対応している場合は、その機能を活用することも有効です。一方で、身代金の支払いは、さらなる脅迫を招く可能性があるため推奨されていません。慎重に対処し、状況に応じて専門家や法的機関に相談しましょう。

法的機関や専門窓口への相談

ランサムウェア感染時には、速やかに法的機関や専門窓口へ相談することも有効です。IPAのような組織は、ランサムウェア感染時の対応や予防策について実践的なアドバイスを提供しています。また、警察のサイバー犯罪対策部署や情報セキュリティ関連の公的機関に報告することで、捜査や事例共有を通じた広範囲な被害防止にも協力できます。このような専門窓口を活用することで、組織内での対応が行き詰まった場合でも適切な解決方法が得られる可能性が高まります。

感染事例の分析と今後の対策への活用

ランサムウェアの感染事例を詳細に分析することは、今後の感染予防および事態管理につながります。感染時にどのような経路で攻撃されたのか、どの部分に脆弱性があったのかを社内で確認し、記録を残すことが重要です。この分析結果は、セキュリティガイドラインの見直しや、新たな対策の導入時に役立ちます。さらに、IPAが発信する「情報セキュリティ10大脅威」や関連資料を活用することで、自社のセキュリティ環境をより強化できるでしょう。過去の失敗を繰り返さないためにも、感染事例の教訓を活かして継続的な改善に努めることが求められます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。