金融法人営業として培った財務知識、企業分析スキル、そして顧客との信頼関係構築力は、近年注目されるサステナビリティ・ESG(環境・社会・ガバナンス)領域においても非常に価値があります。企業の非財務領域におけるリスク・機会の見える化や、統合報告支援、ESG評価機関との対話支援など、ESGコンサルタントの業務には幅広い対外対応力と構造化力が求められます。本記事では、金融法人営業からESGコンサルタントへの転職ステップと、そのための志望動機・職務経歴書の記載例をご紹介します。
目次
- 1. 金融法人営業とESGコンサルタントの違い
- 2. 活かせるスキルと経験
- 3. 転職を成功させるステップ
- 4. 求められる知識と補完方法
- 5. 職務経歴書の記載例
- 6. 志望動機の記載例
- 7. まとめ
1. 金融法人営業とESGコンサルタントの違い
項目 | 金融法人営業 | ESGコンサルタント |
---|---|---|
目的 | 金融商品・サービスの提案・販売 | 企業の持続可能性と非財務領域の価値向上支援 |
分析対象 | 企業財務、ビジネスモデル | 環境負荷、人的資本、ガバナンス体制、ESGスコア |
成果物 | 融資提案書、与信分析 | マテリアリティ分析、開示支援資料、社内ガイドライン |
2. 活かせるスキルと経験
- 財務諸表をベースとした分析力
- 対外説明・提案資料作成力
- 経営層との信頼構築・ヒアリング力
- ESG関連投資・評価への理解(近年の対話で培った知識)
- ESG情報を構造化し伝えるスキル
3. 転職を成功させるステップ
- サステナビリティ・ESGの主要トピックを理解:TCFD、GRI、ISSB、SASB等の国際基準に慣れる
- 営業時の対話経験をESGとの関連で棚卸し:脱炭素、人的資本、統合報告に関する提案や会話
- 非財務指標を読み解く力を養う:ESGレーティング、統合報告書、CDP回答などの構成理解
- 志望動機では“企業変革を支援したい”想いを明確に:財務と非財務をつなぐコンサルタントへの意欲を表現
4. 求められる知識と補完方法
- ESGの潮流と評価項目(E:温室効果ガス削減、S:人的資本、G:取締役会構成)
- 非財務情報開示基準(TCFD、GRI、ISSB、CDPなど)
- IR、統合報告、マテリアリティマトリクス分析
- ESG投資家が注視するKPI(Scope1〜3など)
- 参考書籍:『ESG経営の教科書』『統合報告実務ガイド』
5. 職務経歴書の記載例
氏名:山本 翔太 生年:1990年生まれ ■職務要約: メガバンクにて法人営業として約8年間勤務。上場企業を中心に資金調達支援、資本政策提案を実施。近年は統合報告、サステナビリティ開示に関する支援提案や、脱炭素・ESG投資への対応支援にも従事。ESGレポートへの意見整理、社内研修コンテンツ作成なども経験し、今後はESGコンサルタントとして本格的に企業変革に関わりたいと考えている。 ■職務経歴: ○○銀行(2016年4月〜現在) ・ESG投資家とのIR同行支援、サステナビリティ評価項目の社内整理 ・企業のTCFD開示支援に向けた初期アセスメント実施 ・人材開示に向けた社内KPI設計支援 ・サステナ関連の社内勉強会企画・実行 ■保有資格: ・証券アナリスト第1次試験合格 ・SDGs検定 ・TOEIC 870点 ■学歴: 慶應義塾大学 商学部 卒(2013年3月)
6. 志望動機の記載例
金融法人営業として企業と対話を重ねる中で、近年急速に高まるESGへの対応の必要性を肌で感じてきました。財務面のみならず、非財務情報の整備や発信によって企業の本質的な価値を高める取り組みに貢献したく、ESGコンサルタントとして企業の変革と社会的価値創出を支援していきたいと考えております。
7. まとめ
金融法人営業のスキルセットは、ESGコンサルタントとしても十分に活かせます。対話力、財務知識、提案力に加えて、サステナビリティ分野への関心と学習意欲があれば、転職後も即戦力として活躍するチャンスが広がります。