コトラ（広報チーム） 
経理職が激務とされる理由とは？
決算期や締め日の業務負担
経理職が激務とされる大きな理由の一つに、決算期や月次の締め日の業務負担が挙げられます。特に四半期ごとの決算を求められる上場企業では、厳しいスケジュールの中で多くの作業をこなす必要があります。決算書の作成や財務報告書の精度を求められるため、通常の業務に加えて残業が続くケースも珍しくありません。また、締め日が近づくと取引先との照合作業や経費処理が集中するため、作業量が一時的に急増することも、激務と感じる要因の一つです。
上場企業と非上場企業の違い
上場企業と非上場企業では経理業務における負担の違いが存在します。上場企業では四半期ごとの財務報告が法律で義務付けられており、監査法人との対応も含めて高度な専門知識が求められます。一方、非上場企業では財務諸表の作成や税務申告が中心となり、業務内容が比較的シンプルな場合もあります。しかし、非上場企業では経理担当が少人数であることが多く、一人に求められる業務範囲が広がりがちなため、激務と感じることがあります。
人手不足による影響
経理部門は、他の部署に比べて人員が少なく抑えられる傾向があります。この慢性的な人手不足が、経理職を激務たらしめる要因の一つです。一人が複数の業務を兼任しなければならないこともあり、業務過多に陥りやすい状況です。また、退職者が出ると新しい人員確保までの間、残ったメンバーにさらに負担がかかることもあります。このような環境では、長時間労働や過度の責任負担が日常化してしまう場合があります。
業務の多様化とスキル要求の増加
近年の経理業務は単純な帳簿管理だけではなく、経営戦略に貢献するデータ分析やファイナンスに関する提案力が求められるようになっています。また、法改正への対応やITツールの導入を進める中で、新しいスキルを身につける必要が出てきています。こうした業務の多様化やスキルの高度化は、経理職の負担を増加させ、激務と感じる大きな要因となっています。
社内競争やプレッシャー
経理職には正確性や迅速性が求められるため、プレッシャーがかかりやすい職種といえます。特に上場企業などでは、財務報告のミスが企業の信用を大きく損なうリスクがあるため、全ての報告書や計算について高い精度が必要とされます。また業務の多さに加えて、社内や他部署からの要求が増えるという環境では、経理部内での競争意識や精神的な負担も高くなりがちです。このような状況が、経理を激務と感じさせる原因になっています。
「激務」と感じる場面の実態
年間スケジュールで見える忙しさ
経理業務の忙しさを語るうえで、その年間スケジュールを振り返ることは重要です。特に決算業務がある時期は経理の繁忙期として知られています。上場企業の場合、四半期ごとに決算報告が必要なため、年4回にわたり集中して業務が増加します。また、株主総会に必要な資料の準備や税務申告の時期とも重なるため、特定の時期に業務が偏りがちです。一方、非上場企業の場合でも、年度末決算が中心になるため、同様にスケジュール管理が重要になります。このような年間スケジュールの中で、一定の周期で激務に直面するのは経理の実態の一つと言えます。
IPO準備や監査対応の具体例
IPO（新規株式公開）準備や監査法人対応は、経理にとって特に負担となる業務の例です。IPO準備では、上場基準をクリアするための財務資料作成や内部統制制度の整備が求められるため、既存の業務をこなす傍らで膨大な新しいタスクが発生します。また、監査対応では監査法人からの要求に迅速に対応する必要があるため、通常の締め切り業務とは別に不定期で新しい業務が追加されます。これらのタスクは専門知識を要するため、高いスキルが要求されると同時に、激務につながる要因となります。
商社や大手企業経理の労働環境
商社や大手企業の経理業務は、一般的に作業量が多くなる傾向があります。商社では多国籍にわたる取引が行われるため、外貨建ての書類作成や為替差損益の管理が求められます。一方、大手企業では事業規模が大きい分、管理すべき財務データも膨大であり、さらに四半期ごとの報告義務が加わります。ただし、これらの企業では経理部門が分業制を取ることが多く、重要な役割を担う反面、スケジュール管理とチームワークが労働環境の改善に役立つこともあります。
繁忙期と通常期の差
経理職は繁忙期と通常期の業務量の差が非常に大きい傾向があります。繁忙期には締め日が集中することで業務量が急増し、残業が続くことも珍しくありません。一方、通常期では締め日が少なく、比較的業務が落ち着くことから、スキルアップのための研修や資格取得の時間を確保できる場合もあります。しかし、このギャップに適応することが難しく、ストレスを感じる要因になることもあります。
経理現場でのよくある課題
経理現場で頻繁に見られる課題の一つは、業務の属人化です。特定の担当者だけがノウハウを持つことによって、負担が集中し、効率的なチームワークが難しくなるケースも見られます。また、人手不足が慢性化している職場では、細かいタスクまで一人の担当者に押し付けられることがあり、これが「激務」と感じる大きな要因となります。さらに、ITスキルや管理会計スキルの向上が求められる現代の経理職において、変化への対応が遅れると業務効率化が進まず、結果的に多忙が常態化してしまうことも課題です。
経理職は本当にブラックなのか？
経理業務が「ホワイト」である一面
経理職は激務であるというイメージが先行しがちですが、実際には「ホワイト」とされる働き方も存在しています。一例として、大企業や上場企業では業務が細分化されており、1人の担当者が全てを抱えることは少ないです。また、業務プロセスが整備されていることが多く、効率的に作業を進められる環境が整っています。特に決算期の業務がタイトであっても、チーム体制やシステムの活用により負担が軽減されるケースが増えています。
会社や業界ごとの負担の違い
経理職の負担は、働く企業やその業界によって大きく異なります。上場企業では四半期決算の提出や監査対応が加わるため多忙な時期がありますが、総じて給与や福利厚生が充実しており、環境自体は整備されています。一方、非上場企業では年次決算が主な業務となるため、急な締め切りや報告書作成のプレッシャーは比較的少ないです。しかし、中小企業やベンチャーでは経理だけでなく、総務や人事を兼務する場合があるため、業務量に偏りが生じることもあります。
経理職の働き方改革の進展
近年では働き方改革の影響から、経理職の労働環境も改善が進んでいます。たとえば、残業削減に向けた業務プロセスの見直しや、経理システムの自動化導入が進められています。また、クラウド会計ソフトの活用により、作業時間が削減されることで繁忙期の負担軽減も期待されています。特に上場企業や大手では、管理職主導での改善施策が多く、経理担当者の業務負担を軽減する取り組みも進んでいます。
激務を避けるための転職先の選び方
経理職が激務になりやすい背景には、企業ごとの体制や業務フローに問題があるケースがあります。そのため、適した転職先を選ぶことが重要です。たとえば、業務分担が明確で、システムが整備されている企業を選ぶことで、無理のない業務環境を実現できます。また、上場企業や労務管理に強い業界、さらに働き方改革が定着している企業に目を向けるのも有効です。一つの基準として、社員の定着率や残業時間の公開データを確認することが推奨されます。
テクノロジーの進化が与える影響
経理の業務負担軽減には、テクノロジーの進化が大きな役割を果たしています。たとえば、人工知能（AI）やRPA（業務自動化ツール）を導入することで、手動作業やデータ入力の時間が劇的に削減されています。さらに、クラウド会計ソフトによる自動仕訳やレポート作成の機能は、多くの企業で標準化しつつあります。このような技術の進化により、経理職の負担が大幅に減少し、効率的かつ精度の高い業務が可能になりつつあります。
経理の未来 ～可能性とキャリアパス～
経理スキルの汎用性と価値
経理スキルは、単なる数字の管理にとどまらず、さまざまな企業や業界で活躍できる汎用性の高いスキルです。例えば、決算業務や税務申告の知識は、どの規模の組織でも必要とされます。また、簿記や財務会計の基礎を習得することで、転職やキャリアチェンジもしやすい職種です。特に、経理には正確性と思考力が求められるため、未経験の分野でもスムーズに適応できる下地になるでしょう。
DX（デジタルトランスフォーメーション）がもたらす変化
近年、経理にもDX（デジタルトランスフォーメーション）の波が押し寄せています。AIやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を導入することで、これまで手作業で行っていたデータ入力や帳票処理が効率化されつつあります。これにより、経理担当者は単純作業から解放され、より高度な分析や戦略的な業務に集中できるようになります。しかし、その一方で、新しいツールやシステムへの順応力が求められる場面も増えています。これらを早期に取り入れることで、激務になりがちな経理業務の効率化が期待されています。
資格や専門分野の深堀の重要性
経理職としてキャリアを伸ばすためには、資格取得や専門分野の深堀が欠かせません。例えば、日商簿記検定2級・1級や税理士資格は、経理としての基礎能力を証明する評価基準となります。また、上場企業での財務報告やIPO準備に携わる場合、国際会計基準（IFRS）や内部統制の知識も重要です。これらの資格や知識を身につけることで、専門性が高まり、多忙な業務の中でも効率的かつ戦略的に対応できる力が養われます。
経理職が担う経営戦略への貢献
従来の経理業務は「記録」のイメージが強い職種でしたが、現在では経営戦略への貢献度が注目されています。具体的には財務データを分析し、経営層に提供することで、将来の投資判断や市場動向への対応を助けます。特に、データドリブンの時代では、正確かつ迅速な情報の整備が経営資源の最適配分につながります。経理は単なる「激務」ではなく、企業の成長を支える戦略的ポジションへと進化しているのです。
より柔軟で多様な働き方の可能性
働き方改革やリモートワークの普及により、経理職でも柔軟な働き方が可能となっています。クラウド会計ソフトやオンラインツールを活用することで、場所に縛られない業務遂行ができるようになり、業務負担の軽減やワークライフバランスの向上が期待されています。この柔軟性は、子育てや介護をしながら働きたいというニーズにも応えることができます。また、副業やプロジェクト型の業務形態など、経理スキルを活かせる新しいキャリアの選択肢も広がっています。