MBA取得は高年収の人だけのもの?社会人大学院、20代の実態とキャリアへの活かし方

MBA取得は高年収の人だけのもの?社会人大学院、20代の実態とキャリアへの活かし方
MBA取得は高年収の人だけのもの?社会人大学院、20代の実態とキャリアへの活かし方

職場の上司が「実は以前、社会人大学院に通っていた」、最近目覚ましくキャリアアップした学生時代の先輩が「MBAを取ったらしい」——そんな話を聞いた経験はないでしょうか。転職やキャリアアップを考えるとき、学び直しという選択肢がふと頭をよぎりつつも、真っ先に浮かぶのは「学費、大丈夫なんだろうか」「自分くらいの年収でも現実的だろうか」という不安かもしれません。

社会人大学院やMBAスクールと聞くと、「一部の高年収業界の人や、ある程度キャリアを積んだ幹部候補生が自腹で通うもの」というイメージが根強くあります。特に20代のうちは、「まだキャリアの初期段階で、そこまでの投資をする余裕はない」「そもそも自分のような立場では対象外なのでは」と、選択肢に入れる前から諦めてしまっている人もいることでしょう。

本当にそうなのでしょうか。国内最大級のMBAスクールである、グロービス経営大学院が在校生・卒業生に行った学費負担に関する調査データ(回答者数708名)から、その実態を検証しつつ、学び直しがキャリアや転職にどうつながるのかも合わせて考えてみたいと思います。

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1.なぜ今、社会人の学び直しが注目されているのか

終身雇用を前提としたキャリア観が薄れ、一つの会社に居続けることよりも、自分自身がどれだけの専門性や経営知識を積み上げてきたかが、転職市場での評価を左右する時代になりつつあります。実際、近年は「リスキリング」という言葉が広く使われるようになり、政府や企業が社会人の学び直しを後押しする動きも活発化しています。

特に、マネジメント候補や事業の意思決定に関わるポジションへのキャリアアップを目指す場合、日々の実務経験の積み重ねに加え、経営戦略・ファイナンス・マーケティングといった「実践的な意思決定の型」を網羅的に磨いた経験が、キャリアにおける確固たる評価材料となり得ます。MBAでの学びが注目される背景には、単なる現場の感性にとどまらず、「多様な局面で確実な成果を導く再現性のある判断軸」を備えた人材への需要の高まりがあります。

とはいえ、こうした学びへの投資には当然コストがかかります。まずは、実際にどの程度の学費がかかるものなのかを見ていきましょう。

そもそも学費はいくらかかるのか

国内でMBAを取れる経営大学院の学費(修了するまでの総額)は、プログラムによって幅があるものの、一般的に100万円台から400万円程度が相場とされています。国立大学院であればより抑えられるケースもありますが、私立のMBAスクールでは数百万円単位になることも珍しくありません。決して気軽に出せる金額ではないだけに、「自分が高年収でなければ、現実的ではない」と考えてしまうのも無理はないでしょう。

実際に通っている人の年収は、幅広い

上記調査に回答した708名を年収帯(200万円刻み)別に見ると、単独の区分としては「1,000万円以上」が301名(42.5%)と最多となりました。ここだけを見ると、高年収層が中心のように見えます。

しかし、400万円台〜1,000万円未満と複数区分を合計すると55.8%に達し、こちらの方が「1,000万円以上」よりも多い人数です。決して高年収層だけの世界ではなく、幅広い年収帯の人が実際に通っていることが、この内訳から読み取れます。このため、今の年収を理由に選択肢から外してしまうのは、少し早計かもしれません。

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2.学費は自分の年収だけで賄うものではない

年収の分布が幅広いことに加えて、もう一つ見逃せないのが「学費は全額自己負担」というわけでもない、という点です。

上記調査によると、回答者全体の約15%が勤務先からの助成を受けています。しかも年代別に見ると、20代の利用率は34.2%と全年代の中で最も高く、全体平均の2倍以上にのぼります。30代前半でも18.5%と、全体平均を上回っています。会社が学費の一部、あるいは大部分を負担してくれるケースは、決して珍しいものではないこと、そしてその中でも比較的若いうちは、勤務先からの助成を受けている人の割合が高いということが見て取れます。

会社の支援がなくても、国の制度という選択肢がある

自己負担以外の支援とは、直接会社から支払われるものばかりではありません。国の制度として「専門実践教育訓練給付金」があり、対象講座として指定されているプログラムであれば、一定の雇用保険加入期間などの要件を満たすことで、学費の一部が給付されます。これは特定のスクールに限った制度ではなく、対象講座として認定を受けたさまざまな社会人大学院・スクールが対象になっているものです。たとえばグロービス経営大学院の場合は、この制度の指定対象になっており、MBA履修期間である2年間の合計で最大128万円の支給が受けられます。

会社の助成などとは別に、こうした公的な制度を組み合わせられる可能性がある点も、学費のイメージを大きく変える要素と言えます。今の年収や会社の制度の有無だけで判断するのではなく、こうした選択肢も含めて総合的に考えてみる価値があるでしょう。

支援制度の有無も、会社選び・転職先選びの一材料

会社が学費の一部を負担する背景には、単なる福利厚生というだけでなく、事業運営上の合理的な理由もありそうです。経営やマネジメントの基礎を体系的に学んだ社員が増えることは、将来の管理職候補やプロジェクトリーダーを育てる投資として機能します。上述の、20代〜30代前半では勤務先からの助成を受ける傾向が高いという事実も、企業側にとって若手のうちからこうした学びを後押ししたい、という思惑の表れと考えられます。

こうした背景を踏まえると、「学費支援を受けられるのは、会社にとって特別な期待をかけられた一部の人だけ」というよりは、若手への投資という枠組みの中で、比較的間口の広い制度として運用されているケースが多いのかもしれません。転職活動の軸として給与や職種だけでなく、こうした学びの機会への補助制度が整っているかどうかも、成長できる環境かどうかを見極める一つの視点になります。求人情報や面接の場で、研修制度や資格取得支援の有無を確認してみるのもよいでしょう。

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3.学び直しはキャリアや転職にどうつながるのか

では、実際にこうした学びは転職やキャリアアップにどう活きてくるのでしょうか。

体系的な経営知識を身につけることは、転職市場において「実務経験はまだ発展途上でも、経営全般を俯瞰して学ぶ姿勢を持っている人材」としてのアピール材料になり得ます。特に将来的に管理職やリーダーポジションを目指す場合、会計・戦略・組織マネジメントといった知識は、面接での議論の解像度を上げる一助になるかもしれません。同じ実務経験年数であっても、意思決定の背景にある理論や他社事例を踏まえて語れるかどうかは、選考の場での印象を左右することもあるでしょう。(実際にグロービス経営大学院で学ばれて、キャリアアップを果たした方々の声は、こちらからご覧いただけます。)

もちろん、学位そのものが転職の成否を保証するわけではありません。実務での成果や、学んだ知識を実際の仕事にどう活かしてきたかを言語化できるかどうかのほうが、多くの場合、選考ではより重視されます。とはいえ、20代・30代のうちに「網羅的で実践的な意思決定の型」を作っておくことは、その後のキャリアの選択肢を広げるための、一つの投資と捉えることができそうです。

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4.まとめ

「高年収でなければ現実的ではない」という思い込みだけで選択肢から外してしまうのは、もったいないかもしれません。今回の調査から見えてきたのは、実際に通っている人の年収帯は幅広く、しかも学費の一部を会社や国の制度でカバーできる可能性があること、そして20代から30代前半という若い世代であれば、会社から支援を受ける割合も比較的高いという実態です。

学び直しは、それ自体が転職の切り札になるわけではありませんが、キャリアの選択肢を広げ、面接や実務の場での説得力を高める土台になり得るものです。気になった方は、まずは説明会や体験クラスなど、コストをかけずに実態を確かめられる機会を活用してみるのも一つの手です。あわせて、転職活動の際には、学びを後押ししてくれる制度が整った企業かどうかにも目を向けてみると、より長期的なキャリア形成につながります。学費についての不安は、実際に制度を調べてみることで、思っていたよりも簡単に解決できる可能性があります。

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この記事を書いた人

グロービス経営大学院

社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーを育成するとともに、グロービスの各活動を通じて蓄積した知見に基づいた、実践的な経営ノウハウの研究・開発・発信を行っている。
https://mba.globis.ac.jp/
・日本語(東京、大阪、名古屋、福岡、オンライン)
・英語(東京、オンライン)