政策立案から現場の伴走支援までを一気通貫で社会課題解決に挑む。EY新日本 ガバメントパブリックセクター 「科学技術」・「人材」・「新興国」領域チームの挑戦。

EY新日本有限責任監査法人 インタビュー

政策立案(マクロ)から現場の伴走支援(ミクロ)までを一気通貫で行い、中長期的な視点で社会課題解決に挑む。EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 ガバメントパブリックセクター(GPS)において、「科学技術」「人材」「新興国支援」の3つの柱を強みに、コンサルティングファーム、シンクタンク、官公庁、事業会社など多彩なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが、それぞれの専門性を活かして活躍されているチームがあります。今回は、チームリーダーの中務様に、組織の成長戦略や大切にしているカルチャー、そしてAI時代だからこそ発揮される「コンサルティングの本質的な価値」についてお話しいただきました。

ゲスト紹介

ゲスト

EY新日本有限責任監査法人 プリンシパル 中務貴之様

EY新日本有限責任監査法人
プリンシパル

中務 貴之 様

[ 経歴 ]
大学にて原子力工学を専攻後、金融系の民間シンクタンクに入社。原子力関連の安全解析や科学技術政策のコンサルティングに従事し、文部科学省科学技術・学術政策研究所への出向も経験。2013年にEYのコンサルティング部門へ入社し、官公庁系の政策上流領域のチームを牽引。その後、EY新日本有限責任監査法人へ転籍。現在はGPS(ガバメント)のチームリーダーの1人として、科学技術、人材活躍、新興国支援を柱としたアドバイザリー業務に従事している。

短期的な利益を超えて中長期的な社会課題に向き合う。GPSチームリーダーが語るEY移籍の背景と組織の3本柱

コトラ宮崎:
EY新日本有限責任監査法人 GPS(ガバメントパブリックセクター)において、「科学技術」「人材」「新興国支援」の3領域を柱とするチームを牽引されている中務様にお話を伺います。まずは、これまでのご経歴について教えていただけますでしょうか。大学ではどのようなことを学ばれていたのでしょうか。

中務様:
大学・大学院では工学系で、原子力工学を専攻していました。当時、原子力工学を卒業すると、大手メーカーなどの原子力関連部門に進むか、大学に残って博士課程に進むという道が大半でした。私は当初は博士課程に進もうと考えていたのですが、最終的には就職する道を選びました。

もともと原子力工学を選んだ理由というのは、特定の技術だけでなく、さまざまなテクノロジーや領域を幅広く学ぶことができる学科だったからです。そうして学んだ多様な知識を活かして仕事をしたいと考えており、必ずしも原子力分野のみで仕事をしていけるとは思っておりませんでした。そこで、学んだ多様な技術的知識を広く活かせそうな環境としてシンクタンクを志望し、金融系の民間シンクタンクに入社しました。

コトラ宮崎:
シンクタンクでは、具体的にどのような業務に携わられていたのでしょうか。

中務様:
入社当時は、コンサルティングとは別の「サイエンス事業部」という部門の原子力チームに配属されました。そこで、原子力関連の安全解析業務を、計算機を用いプログラミングなどをしながら担当していました。

3年ほど経った頃、周囲や自身の考え方の変化もあいまって、これまで学んできたものをもっと広く活かしたいという思いも芽生え、入社5年目くらいにコンサルティング部門へ移りました。そこで技術をベースにした民間企業の新規事業戦略などを支援していく中で、科学技術政策などの仕事にも関わるようになっていきました。

コトラ宮崎:
その後、文部科学省へも出向されていますね。どのようなきっかけがあったのでしょうか。

中務様:
民間企業のお客様の支援をする中で、新しいテクノロジーを用いてビジネスにしていくためには、国の規制やルール、政策といったものを深く理解しなければならないと痛感しました。当時の私はそういった政策がどうやって作られるのかを全く知りませんでした。

そんな折、タイミング良く文部科学省の科学技術・学術政策研究所のポストがあり、2年半ほど官公庁の研究員という立場で、内側から政策に携わる経験を積ませていただきました。その後、出向から戻り、3年ほど経ってEYへと転職しました。

コトラ宮崎:
EY(当時のEYアドバイザリー)への転職の決め手は何だったのでしょうか。さまざまな選択肢があったかと思います。

中務様:
シンクタンク時代は、1人のプロフェッショナルとして、コンサルタントとして生きていくというスタイルで仕事をしていました。しかし、国の政策や社会課題といった大きなテーマに絡んでいこうとすると、自分1人でできることには限界があると感じるようになり、別の形でさまざまな方々と仕事したいと考え、環境を変えるのも必要かもしれないとおぼろげに考えていました。

そんな時、当時のEYの方々と会う機会がありました。まだ転職決意もしていなかった私に対して、EYのパートナーは私の思いを汲んでくれたのか、私のやりたいことを一切否定せず、むしろ楽しそうに話を聞いてくれました。

「ビジネス規模が大きくないのではないか」「本当にできるのか」といったことは言わず、「どうすればそれができるか一緒に考えよう」「それをやるために自分はサポートしたい」と言ってくれました。相手を受け入れようとする温かい人柄やカルチャーに強く惹かれ、ここで頑張ってみようと転職を決意しました。

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EY新日本への転籍を決めた「中長期的視点」

コトラ宮崎:
2013年にEYのコンサルティング部門に入社され、官公庁系の政策領域のチームを立ち上げられました。その後、現在のEY新日本有限責任監査法人へ転籍されたと伺っていますが、どのような背景があったのでしょうか。

中務様:
組織改編や事業テーマ見直しなどがあったタイミングではありましたが、まだまだ走り始めたところでもあったこともあり、もっと腰を落ち着けて、中長期的な視点でじっくりとテーマに取り組んで、皆で成長しながら政策課題や社会課題に向き合いたいと考えていました。監査法人では、サステナビリティ(持続可能な社会の実現)というテーマを当時から強く掲げており、私たちの考える持続可能な社会の仕組みづくりに貢献したいという考えと親和性が非常に高かったのです。そうした私たちの思いをしっかりと理解し、支援してくれる組織や上層部と一緒にやりたいと思い、転籍を決めました。

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チームの3つの柱:科学技術・人材・新興国

コトラ宮崎:
現在のEY新日本 GPS(ガバメントパブリックセクター)における、中務様のチームの組織戦略やビジネスの柱について全体像を教えていただけますか。

中務様:
現在、私たちのチームは大きく分けて「科学技術・イノベーション(ST)」「多様な人材活躍(HR)」「新興国支援」という3つの柱で事業を展開しています。 このうち「科学技術」と「人材」については、私がずっと取り組んできたテーマです。技術だけがあっても駄目ですし、人だけがいても駄目です。それをしっかりと融合させることが重要だという思いから、この2つを主軸に置いています。

コトラ宮崎:
もう1つの「新興国支援」という柱には、どのような位置づけがあるのでしょうか。

中務様:
EYの非常に大きな強みは、グローバルネットワークとの関係性や、海外で活躍する人材の豊かさにあります。私自身はこれまで国内の政策を中心に見てきましたが、EYに来て、このグローバルな強みをもっと活かして、我が国だけでなくもっと広く貢献できるかもしれないと感じました。

多様なバックグラウンドを持つ海外のプロフェッショナルたちと協働すれば、新興国の社会課題にもリーチすることができます。また、「科学技術」や「人材」のテーマと「新興国支援」を掛け合わせることで、例えば日本のスタートアップがグローバルに出ていくための支援や、海外から日本へ来てくださった外国人材が自国や将来的に別の国で活躍するためのエコシステムづくりなど、より大きな価値を生み出すことができると考えています。

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政策(上流)と現場(下流)の双方を手掛ける強み

コトラ宮崎:
非常に幅広く展開されているのですね。それぞれの領域で、具体的にどのようなプロジェクトに取り組まれているのか、事例を教えていただけますでしょうか。

中務様:
科学技術(ST)の領域では、政策や施策に絡む調査や提言的な部分と、FS支援や事業実行を伴う部分の両方を手掛けています。前者で言えば、研究領域策定に関する国内外調査や政策提言などのとりまとめ、さらには研究者が正しい方向で研究を行えるようなルールづくりの支援などがあります。

また、最近では、複雑化する社会課題を解決するために、さまざまな分野の研究を融合させることが必要になっています。異なる領域の研究者をどのように融合させていくのかを支援しながら成果をどのように社会に見せていくかまで行っています。

また、スタートアップ支援の文脈では、M&Aや税制といった制度的な業務から、経済産業省のプロジェクト等で日本のスタートアップがアフリカ市場へ進出する際の伴走支援業務まで幅広く行っています。

コトラ宮崎:
人材(HR)や新興国の領域ではいかがでしょうか。

中務様:
人材(HR)の領域では、近年、特に外国人材の受け入れに関する業務が成長しています。入管庁や内閣府といった中央省庁における調査・提言から、業界団体が外国人材を当該業界に適切に受け入れるための戦略立案と実行支援、さらには民間企業における外国人材受け入れ、活躍までの実行支援まで一気通貫で携わっています。調査や政策立案で培った俯瞰的な知見を、民間企業への実行フェーズまで活かせるのが私たちの強みです。新興国支援の領域では、現在はJICA(国際協力機構)の案件がメインになっています。私たちのチームには監査法人ですから公認会計士資格を持つプロフェッショナルがおり、新興国の現場に入って、現地の財務会計の仕組みづくりや内部統制の指導などを行っています。

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多様なバックグラウンドを持つメンバーと自由な働き方

コトラ宮崎:
チーム全体でどれくらいの規模感で、どのようなバックグラウンドの方が活躍されているのでしょうか。

中務様:
チーム全体としては現在30名ほどの規模です。新興国領域は会計士資格や財務会計のバックグラウンドを持つメンバーを中心に数名ほど。科学技術(ST)と人材(HR)の領域はそれぞれ10名強という構成です。来年にはさらに10名近く増やしたいと考えています。

STとHRのメンバーのバックグラウンドは非常に多様です。シンクタンクやコンサルティングファーム出身者だけでなく、事業会社で特定の役割を担当していた者もいます。また、官公庁出身者や、地方自治体出身のメンバーなども在籍しています。

ST領域には大学で研究を行っていたメンバーも多いですが、私たちは研究そのものを行うのではなく、あくまで「研究環境を良くする」「社会実装の仕組みを作る」ことがミッションである点は、面接の際にもしっかりとお伝えしています。

コトラ宮崎:
働き方という面でも、EYさんならではの柔軟な制度を活用されていると伺っています。

EY新日本有限責任監査法人 プリンシパル 中務貴之様

中務様:
はい。私たちは「ダイバーシティ経営」や「多様な人材の活躍」というテーマを掲げてお客様を支援しており、自分たちのチームでこのテーマを実践することを重視しています。そのため、働き方やチーム内でのコミュニケーションの取り方には非常に気をつけています。例えば、地方に住みながらリモートでプロジェクトに参画しているメンバーもいます。どこにいても、メンバー全員がチームの一員として成果を出せる環境づくりを大切にしています。

コトラ宮崎:
海外の拠点との連携についてはいかがでしょうか。

中務様:
新興国支援領域のメンバーなどは、年の半分以上を海外への出張ベースで仕事をしている者もいます。また、EYの強力なグローバルネットワークを活用し、海外のメンバーファームとの連携も頻繁に行っています。例えば、ケニアや南アフリカ、ガーナへのスタートアップ進出支援のプロジェクトでは、EYの当該国のメンバーファームに協力を仰ぎました。伴走支援するスタートアップ企業に対して、現地のプロフェッショナルとのディスカッションの機会設定、さらには現地政府や現地企業とのリレーションを紹介してもらうなど、非常に密に連携しながらプロジェクトを進めています。支援させていただいたスタートアップ企業の皆様にも非常に有意義な機会だったと伺っています。

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大切にしているカルチャー「楽しく一生懸命取り組む」

コトラ宮崎:
素晴らしい環境ですね。中務様がチームを運営される中で、大切にされているカルチャーについて教えてください。

中務様:
EYのメンバーとして「誠実であること」は常に掲げていますが、私個人の思いとしてずっと言い続けているのは、「楽しく一生懸命に取り組む」ということです。 コンサルタントとして、自分が関心を持って取り組まなければ、仕事は薄く表面的なものになってしまいます。自分が「楽しい」「本当にやる意味がある」と思えることにのめり込んで仕事をするからこそ、自分自身の成長につながり、その熱量はお客様にも必ず伝わりますし、ひいては社会のために少しでも役に立つものになると考えています。

コトラ宮崎:
ビジネスとして売上を立てることも重要ですが、そのバランスはどう取られているのでしょうか。

中務様:
もちろんチームとしての売上目標は大事です。ただそれだけでなく、私は新しい案件の話があった際に、「これは楽しいと思う業務内容ですか? 意義あると感じる業務内容ですか?」「本当に私たちがやる意味がある業務でしょうか?」と問いかけるようにしています。ただこなすだけの仕事であれば私たち以外の別の誰かがやることもできます。

自分たちが意味を見出せる仕事に全力で向き合うことを何より大切にしています。

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今後の展望:地区事務所との連携強化と伴走支援の拡大

コトラ宮崎:
今後、チームとしてビジネスをどのように展開・強化していくお考えでしょうか。

中務様:
まず領域ごとに申し上げますと、まず科学技術(ST)領域では、スタートアップ支援において従来の調査や政策提言だけにとどまらず、アクセラレーションや伴走支援といった「実行側」にさらに力を置いていく方針です。大学への支援や関連する国の事業などにも注力していきます。

人材(HR)領域については、これまで企業がダイバーシティや外国人材をどう受け入れて活躍させるかという経営視点に少し寄っていましたが、今後はメンバーの知見も活かし、より広く「人材活躍」全体を扱う方向へテーマを広げていきたいと考えています。

コトラ宮崎:
チーム全体として注力する共通のテーマはありますか。

中務様:
EY新日本全体の方針でもありますが、「地域拠点との連携」を強化しています。私たちがこれまで中央省庁のプロジェクト等で培ってきた知見を、全国の地区事務所のメンバーと連携して、地域の企業や自治体に展開・社会実装していく取り組みです。

例えば、あるスタートアップ企業を支援するプロジェクトでは、高知県などを実証フィールドとして社会実装を進めようとしています。このプロジェクトには、高知県出身メンバーが、プロジェクト期間は現地で活動しながらも必要に応じて東京に戻るという形で参画しています。

このように、テーマと地域を掛け合わせ、地区事務所や現地のメンバーと一緒に地域課題の解決に取り組む事例を、今後さらに全国へ展開していきたいと考えています。

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求める人物像と、AI時代におけるコンサルタントの価値

コトラ宮崎:
今後、どのような人材にチームに加わってほしいとお考えですか。

中務様:
大きく3つあります。1つ目は、社会課題解決に貢献していきたいという強い想いと、そのための知的好奇心を持っていることです。社会課題は常に変化し複雑化していくので、アンテナを張り、自ら情報をインプットした上で、自分の言葉で説明できることが不可欠です。

2つ目は、俯瞰した「マクロな視点」と、現場の個別具体的な「ミクロな視点」の両方を行き来できることです。政策という大きな目線で見なければいけない時と、実際に事業を実行する細かい目線が必要な時の両方があります。

そして3つ目は、チームで仕事をし、大きな成果を出すことに喜びを感じられる方です。私自身、以前は1人でやれば良いと思っていた時期もありましたが、そこに限界があることを学びました。チームで協力し合える方に来ていただきたいですね。

コトラ宮崎:
昨今、AIの台頭によってコンサルティングのあり方も変化していくと言われています。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

中務様:
一般的なフレームワークの整理や、よくあるような回答を出すことは、AIがすべてやってくれるようになるでしょう。そうなった時、コンサルタントの価値は、AIが出した情報をいかに「生々しい事例」と結びつけられるか、そこにどう「現場感」や「感情」を乗せてコミュニケーションできるかという点に集約されていくと思います。単に情報を提示するだけなら、コンサルタントの意味はなくなります。

より現場に寄り添い、人間力を発揮していくことが求められます。だからこそ、私たちは政策づくり(マクロ)だけをやるのではなく、現場での実行支援(ミクロ)にも伴走しているのです。現場感を理解し、それを政策にフィードバックできることこそが、これからの時代における私たちの最大の価値だと確信しています。

コトラ宮崎:
本日は、EYへのご参画の経緯から、社会課題解決に向けた熱い想い、そしてこれからのコンサルタントに求められる価値まで、非常に貴重なお話を伺うことができました。中務様、本当にありがとうございました。

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インタビュアー紹介

インタビュアー

株式会社コトラ パートナー 宮崎達哉

株式会社コトラ
パートナー

宮崎 達哉

【 経歴 】
信州大学工学部卒、ゼネコンでの施工管理者を経験した後、三重県庁にて産業政策の企画・運営業務に従事。県庁在籍中に、経済産業省資源エネルギー庁及びNEDOにてエネルギー政策に係る新規事業立案や規制・制度の合理化に従事。デロイトトーマツグループでの地方創生及び教育分野のコンサルティング業務を経て現職。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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