この記事でわかること
- MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)、SMFG(三井住友フィナンシャルグループ)、みずほFG(みずほフィナンシャルグループ)、3大メガバンクの女性従業員比率と管理職登用の実態
- 数字だけじゃない、グループ全体での女性活躍推進のロードマップ
- 「昇進スピード」「両立支援」「トップ層への道筋」…キャリア設計に欠かせない視点を比較!
なぜ今、「女性比率」に注目するのか?
いま、転職やキャリア形成を考える上で「女性がどのように活躍できる環境か?」は重要な判断材料のひとつです。特に大手金融グループでは、人的資本開示の義務化を受けて、女性の従業員比率や管理職比率の数値公開が進んでおり、他社との比較も可能になってきました。
そこで本稿では、以下の観点にこだわって、2024年度(2025年3月期)の最新情報を横断的に整理しました。
- 統合報告書・一般事業主行動計画・公式サイトなど、企業自身が開示している一次情報のみを使用
- 銀行・証券・信託それぞれの主要会社単体データと、グループ全体の合算値を分けて可視化
- 数字だけでなく、昇進施策・両立支援制度・女性向け研修やネットワークの具体的な取り組みも網羅
キャリアアップを見据える女性にとって、「どこで、どのような成長支援を受けられるか」を見極めるための、実践的な情報源となることを目指しています。今回は、3グループ全体の数値から俯瞰し、その後に銀行・証券・信託ごとのデータ、そして推進施策の違いを深掘りします。
グループ別「女性比率・数値目標」
グループ名 | 女性従業員比率 | 女性管理職比率(課長以上) | 女性役員比率・人数 | 女性管理職比率 数値目標 |
MUFG(8社合算) | 55% | 22% | 6 % (女性役員21名) | 27 %(2027年) →30 %(2031年) |
SMFG(8社合算) | 55 % | 20 % | 23% (女性役員36名) | 25 %(2025年) →30 %(2030年) |
みずほFG(7社合算) | 56 % | 20 % | 14% ※2025年6月時点 | 部長10 %・課長20 %(2024年) →30 %(2030年代) |
まずは、MUFG、SMFG、みずほFGという3大メガバンクグループの女性活躍に関する数値データを見ていきましょう。
女性従業員比率は3グループとも50%超え
2024年度時点で、いずれのグループも女性従業員比率は55〜56%台となっており、銀行業界において女性が多数派であることがわかります。
- MUFG:55%(主要8社合算)
- SMFG:55%(同上)
- みずほFG:56%(主要7社合算)
この数字は一般職や地域職に限らず、専門職・総合職など多様なキャリア層を含む全体像を示しており、メガバンク全体で女性人材の採用と登用が進んでいることを示しています。
女性管理職比率は20%前後で横並び
一方で、管理職比率(課長職以上)に関しては各社ほぼ同水準にとどまっています。
- MUFG:22%
- SMFG:20%
- みずほFG:20%
女性従業員比率に対して管理職比率はまだ男女間でギャップがあり、いかに女性をリーダー職に登用するかが今後の課題です。
女性役員比率と人数は各グループでばらつきあり
役員クラスまで登用が進んでいるかについては、やや差が見られます。
- MUFG:役員比率6%(21名)
- SMFG:役員比率23%(36名)
- みずほFG:役員比率14% ※2025年6月時点
SMBCは女性役員数・比率ともに最も高く、グループ全体での意思決定層への女性登用が進んでいることがわかります。他2行についても、今後の動向をチェックしていきます。
女性管理職比率の目標値はいずれも「30%」を明言
3グループとも、今後の数値目標を明示しており、30%の達成を掲げています。
- MUFG:2027年に27%、2031年に30%
- SMFG:2025年に25%、2030年に30%
- みずほFG:2024年に部長10%・課長20%、2030年代に30%へ
このように、各社とも長期的な数値目標を掲げ、段階的な登用を進める方針となっています。特に、みずほは課長・部長といったポストごとに細かく目標を設定している点が特徴的です。
メガバンク3社の女性活躍推進は、全体として「採用は進んでいるが、管理職・役員クラスへの登用は道半ば」というのが現状です。
ただし、それぞれが異なるペースと手法で目標30%に向けたロードマップを描いており、女性のキャリア形成にとっては“選択肢が広がる時代”が到来しているとも言えます。
女性推進の主な施策
メガバンク各社は、数値目標だけでなく、キャリア支援の姿勢や文化そのものに個性があります。ここでは、女性が長く働き、ステップアップを目指すうえでの重要な3つの観点、「昇進速度」「制度の実効性」「社外発信力・ブランド性」を比較します。
キャリア観 | MUFG | SMFG | みずほFG |
昇進速度 | KPI と報酬連動で数字ドリブン。管理職比率27→30 %へ急上昇フェーズ。 | 役員比率23 % でトップポストが狙いやすい可能性。 | 安心して両立しつつ段階昇進。制度利用実績とネットワーク支援が厚い。 |
制度の実効性 | 管理職研修・メンター制度がトップダウン設計。 | 男性育休・有休取得率など働き方改革も高水準。 | 産育休復帰 94 %・時短 3,200 名超と利用度を公開。 |
社外連携/ブランド | 2030 年 30 % へ経団連表明。 | 30 % Club Japan で旗振り役。 | 外部指数で高評価(GEI)、M-WINの実施 |
昇進スピードの違い:「急成長」「トップ狙い」「着実型」
- MUFG(上昇フェーズ)
MUFGは「女性管理職比率30%(2031年)」の実現に向け、2027年までに27%を先行達成する中間目標を掲げています。KPI(数値目標)と人事評価が連動する構造になっており、昇進が数字で管理されているデータドリブンな環境が特徴です。キャリア加速を求める人にとっては魅力的なフェーズにあると言えるでしょう。 - SMFG(トップポストが狙いやすい)
SMFGでは、役員に占める女性比率が23%(2024年度時点)と、業界内で高水準です。上位職を目指す女性にとっては、今後も昇進のチャンスを狙えるのではないでしょうか。 - みずほFG(段階的な着実昇進)
みずほは、部長・課長の女性比率の目標を明示しつつ、制度を活用した着実なステップアップを支援する文化が根付いています。キャリアのスピード感よりも、「両立しながら、長く働き続ける」ことに安心感がある設計です。
制度の実効性:「数字管理型」「働き方変革型」「利用実績重視型」
- MUFG:制度導入だけでなく、管理職研修・メンター制度もトップダウンで設計
WILL/WISHといった育成プログラムやメンタリング制度を全社レベルで展開。キャリア形成を戦略的に支援する体制が整っています。 - SMFG:男性育休取得や年休取得率など、働き方改革も併走
女性支援に限らず、男性社員への施策も推進。「全員が働きやすい職場づくり」という観点から、組織全体の文化醸成に注力している点が特徴です。 - みずほFG:制度の利用実績を定量的に公開
産休・育休からの復帰率94%、時短勤務者は3,200名超と、具体的な数値での開示がなされており、制度が「実際に使われている」信頼感があります。
社外発信・ブランド力:「業界リーダー」「旗振り役」「外部評価」
- MUFG:経団連にも女性管理職30%目標を表明
グループ全体で30%の登用に向けた姿勢を、社外に積極的に開示・約束している姿勢が際立ちます。 - SMFG:30% Club Japanのメンバー企業として女性登用を牽引
国内の30% Club Japanでの活動を通じ、企業横断のダイバーシティ推進をリードする存在となっています。
30% Club Japanとは?
英国発祥の国際的なイニシアチブ「30% Club」の日本支部で、企業の取締役会における女性比率を30%以上にすることを目指す取り組みです。上場企業の経営層(CEOや役員など)が中心となって、自社の女性登用を促進するだけでなく、社会全体の変革をけん引する役割を担っています。
- みずほ:外部評価も高く、GEI(ブルームバーグ男女平等指数)に認定。M-WIN(みずほ女性社員によるネットワーク)も実施中
自社の取り組みだけでなく、客観的な第三者評価でも高評価を獲得していることが強みです。
各行によって、キャリア観や支援体制には明確な違いがあります。自分のライフプランや価値観に合った金融機関を選ぶことが、納得のいくキャリア選択につながるでしょう。
おわりに
メガバンク3グループ(MUFG・SMFG・みずほFG)の女性活躍推進に関する取り組みを見てきましたが、いずれのグループも“採用面では女性が多数派”でありながら、“管理職・役員層への登用はまだ道半ば”という現実が浮かび上がりました。
しかしながら、各社とも2030年を一区切りとする数値目標を明確に掲げており、制度設計やキャリア支援施策の強化にも本腰を入れているのが共通点です。一方で、昇進のスピード感や制度の実効性、社外発信のスタンスなどには個性があり、「どの企業文化が自分に合うのか?」という視点で選ぶ時代が到来しています。
また、証券・信託といった子会社レベルでも女性比率の開示が進んできています。今後はグループ横断での情報公開やバランスのとれた登用戦略が、より一層重要になってくるでしょう。
自身の価値観やライフステージ、目指したいキャリアに応じて、“数字の裏側”にある企業文化や支援姿勢を読み解くことが、これからのキャリア選択には欠かせません。
本稿が、未来を見据えた選択に役立つ実践的な視点となれば幸いです。
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