インターネットバンキング被害急増中!?不正送金の驚くべき手口と今すぐできる対策

インターネットバンキングの不正送金被害が急増する背景

驚くべき被害件数と金額の増加

近年、インターネットバンキングにおける不正送金被害が急激に増加しています。特に、2023年の被害件数は5,578件に上り、被害総額は約87.3億円と過去最多を記録しました。この件数は前年と比較して約5倍、被害額に至っては約5.7倍の増加となり、事態は深刻さを増しています。2010年代から不正送金事犯自体は警戒されていましたが、ここ数年は急激な増加傾向が顕著です。

犯罪手口の進化と巧妙化

不正送金の手口は年々進化し、巧妙化しています。典型例として挙げられるのはフィッシング詐欺です。攻撃者は銀行を装ったSMSやメールを送り、ユーザーを偽のサイトに誘導してログイン情報を盗み取ります。さらに、今ではウイルスやスパイウェアを用いて被害者のデバイスそのものを感染させ、直接的な情報盗難を行うケースも見られます。こうした技術の進化により、被害者が不正行為に気づくのが困難となっています。

暗号資産を利用した逃避手法

不正送金の資金は、足がつきにくい暗号資産へと変換されるケースが増えています。従来は第三者名義の銀行口座を通じて送金された資金は比較的追跡が可能でしたが、暗号資産を利用した場合、その匿名性が高いため追跡が困難になります。この流れにより、犯罪者は資金洗浄の方法として暗号資産を活用することが一般化してきています。結果として、不正送金事犯の摘発がより一層難しくなっています。

金融機関やユーザーへの影響

このような不正送金の急増は、金融機関とユーザー双方に大きな影響を及ぼしています。金融機関は被害の補償を求められることが多く、多額の補填コストが発生しているほか、信頼性の低下も懸念されています。一方で、被害に遭った多くのユーザーは預貯金の喪失といった直接的な経済的損失を受けるだけでなく、精神的なストレスを負っています。また、企業や事業主においては、補償が一定額に制限されることから被害はさらに深刻です。このような状況により、社会的な対策の必要性が一層高まっています。

転職のご相談(無料)はこちら>

最も多い不正送金の手口とその解析

フィッシング詐欺:偽メールやSMSの落とし穴

近年、フィッシング詐欺を通じた不正送金事犯が急増しています。特に、銀行名を装った偽のメールやSMSを使用してフィッシングサイトへ誘導し、ユーザーのIDやパスワードを盗み取る手口が多発しています。こうしたメールやSMSは公式の通知に似せた文面で、緊急性を装ってユーザーを騙そうとします。一見して信憑性があるため、多くの人が騙されてしまう状況です。一度フィッシングサイトに入力してしまうと、情報が悪用され、結果としてインターネットバンキングを通じた不正送金につながるケースが多く報告されています。

スパイウェアを用いた情報盗難

スパイウェアによる不正送金も、深刻な被害を引き起こしています。スパイウェアはユーザーのデバイスに感染し、IDやパスワード、さらには振込先情報などを窃取します。感染は、メールの添付ファイルやリンク、あるいは不正なアプリのダウンロードを通じて広がります。一部のスパイウェアは、インターネットバンキング画面を偽装する機能を持ち、ユーザーが正規の操作をしているように見せかけながら、不正送金を実行します。このような手口は非常に巧妙で、ユーザーが被害に気づきにくいことが問題視されています。

不正アクセスとアカウント乗っ取り

不正アクセスによるアカウントの乗っ取りは、インターネットバンキング被害の中でも典型的な手口の一つです。攻撃者は、弱いパスワードや過去に流出したアカウント情報を利用して、金融機関のシステムにアクセスします。一度アカウントに侵入すると、登録されている情報を操作し、不正送金を行うことが可能となります。また、利用者が使い回ししているパスワードを狙った攻撃も増えており、ユーザー自身のセキュリティ対策の甘さが被害拡大の一因となっています。

偽の送金アプリケーションの脅威

偽の送金アプリケーションを用いた不正送金事犯も近年増加しています。これらのアプリケーションは、見た目は正規の金融機関のアプリと非常に似ており、ユーザーを騙してインストールを促します。インストール後、ユーザーが入力した情報を外部に送信し、不正送金へと利用します。このようなアプリは、正規のアプリストアに紛れ込んでいる場合もあり、利用者が公式アプリケーションと区別をつけるのが困難な場合があります。そのため、必ず金融機関の公式サイトを通じてアプリをダウンロードすることが推奨されています。

転職のご相談(無料)はこちら>

ユーザーが取るべき具体的な防止策

2要素認証利用の重要性

不正送金の被害を防ぐために、2要素認証の利用は非常に重要です。インターネットバンキングにおいて2要素認証を採用すると、IDとパスワードだけではログインができず、さらにワンタイムパスワードや登録したデバイスでの承認が必要となります。このような追加の認証ステップを導入することで、万が一ログイン情報が漏洩しても、不正事犯のリスクを大幅に軽減することが可能です。多くの金融機関がこの仕組みを推奨しているため、必ず有効化するよう心がけましょう。

不審なメールやリンクを判別する方法

フィッシング詐欺は、不正送金事犯で多く用いられる手口の1つです。偽のメールやSMSには、フィッシングサイトへ誘導するリンクが含まれている場合があります。これを見分けるためには、まず送信元アドレスを確認し、公式なドメインと一致しない場合は開かないようにしましょう。また、「緊急」「即時対応が必要」といった言葉で不安を煽る文面にも注意が必要です。公式ウェブサイトに直接アクセスし、内容を確認することが、安全対策の基本です。

定期的なパスワード変更を習慣に

アカウント乗っ取りを防ぐためには、定期的なパスワードの変更が有効です。長期間同じパスワードを使い続けていると、情報漏洩のリスクが高まります。パスワードは、英数字や記号を組み合わせた複雑なものを設定し、他のサービスと使い回さないよう注意しましょう。また、定期的にパスワードを変更することで、不正アクセスの被害を予防することが可能となります。

公式なスマートフォンアプリの使用

インターネットバンキングを利用する際は、必ず金融機関が提供する公式なスマートフォンアプリを使用することが重要です。非公式アプリや偽の送金アプリケーションをインストールすると、不正送金の被害に遭う危険性があります。公式アプリにはセキュリティ対策が施されており、不審な取引に対する通知機能や送金先確認のプロセスが含まれています。信頼できるプラットフォームからダウンロードし、常に最新バージョンに更新する習慣をつけましょう。

転職のご相談(無料)はこちら>

社会全体で取り組むべき対策と展望

金融機関のモニタリングと迅速な対応

インターネットバンキングの不正送金事犯が増加している中で、金融機関には高度なモニタリング体制の構築と迅速な対応が求められています。不審な取引や異常な送金パターンをリアルタイムで検知する技術の導入が急務です。また、被害報告があった際には、即座に凍結措置を実施する仕組みを整備することで、被害を最小限に抑えることが可能です。

警察機関と民間企業の連携強化

不正送金事犯には国際的な犯罪組織が関与しているケースも多いため、警察機関と金融機関、IT企業の連携強化が鍵となります。これにより、不正アクセスやフィッシング詐欺の発生源を特定し、速やかに摘発することが期待されます。加えて、情報共有や共同調査を行うプラットフォームを設けることで、より効率的な対策が可能となります。

教育と啓発活動の拡大

利用者自身の意識向上も、不正送金被害を防ぐために重要な要素です。特にフィッシング詐欺の手口が巧妙化している中で、利用者が自ら不審なメールやSMSを見抜く力を養うことが欠かせません。金融機関や政府は、啓発キャンペーンやセミナーを通じて、具体的な対策方法や注意点を広く周知することが必要です。

被害者救済制度の充実

不正送金事犯の被害に遭った場合、ユーザーには心理的・経済的影響が大きいため、被害者救済制度の充実が求められます。現在、多くの金融機関では被害額の補償制度を提供していますが、その適用範囲や迅速性のさらなる向上が必要です。また、被害を未然に防ぐ機能の導入に加え、問題発生後における相談窓口の充実や手続きの簡略化もユーザーにとって重要な要素となります。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。