コトラ（広報チーム） 
FASとは何か？基礎知識を徹底解説
FASの意味と役割：Financial Advisory Serviceとは
FASとは、英語の「Financial Advisory Service」の略で、直訳すると「財務アドバイザリーサービス」を意味します。この分野は、企業の財務や経営に関わる専門的なアドバイスを提供する業務全般を指します。特にM&A（企業の合併・買収）、事業再生、また企業価値評価など、財務の専門知識や分析を必要とするプロジェクトにおいて重要な役割を果たします。
BIG4（PwC、デロイト、KPMG、EY）の監査法人系ファームや、独立系FASファームがこの分野の主要なプレイヤーとして知られています。FASは企業の経営課題を専門的な視点でサポートし、取引の成功やクライアントの成長を支援する業務として、近年注目を集めています。
主要な業務内容：M&A、事業再生、財務アドバイザリー
FASの主要な業務は多岐にわたりますが、特に以下の3つが中心的な柱となっています。
1つ目は、M&A（企業の合併・買収）支援です。これには、財務デューデリジェンスや企業価値の評価、取引の設計・構築支援が含まれます。特に中堅企業では、自社の成長戦略としてM&Aが積極的に活用されるケースが増加しています。
2つ目は、事業再生です。経営が困難な企業に対し、財務分析や事業再生計画の立案を行い、必要に応じて金融機関との交渉まで支援します。このプロセスでは、財務アドバイザリー業務の専門性が求められます。
3つ目は、フォレンジックと呼ばれる、不正調査や訴訟支援の分野です。不透明な資金の流れやデータ不正の調査から、デジタル証拠収集、さらには訴訟に関連した財務的な分析まで幅広い内容を扱います。
これらの業務によって、FASはクライアントの経営課題を解決し、より良い財務判断をサポートする重要な役割を果たしています。
他の金融業界との違い：コンサルや銀行との比較
FASは、コンサルティングや銀行など他の金融関連業界と似た部分もありますが、その業務内容や立場に違いがあります。例えば、銀行が主に融資や金融商品を提供するのに対し、FASはクライアント企業に財務や戦略面でのアドバイザリーを提供します。そのため、FASの業務は資金の直接提供ではなく、高度な専門知識を活かした分析と提案に基づいています。
一方で、コンサルティングファームと比較すると、FASはより財務や会計といった専門領域に特化している点が特徴です。たとえば、戦略系コンサルティングファームが市場分析や戦略立案を得意とするのに対して、FASは企業価値評価や財務デューデリジェンスなどの実務的かつ技術的なタスクに強みがあります。また、FASは公認会計士などの資格保持者が多いことから、高度なプロフェッショナル集団として知られています。
金融業界全体の中で、FASは企業経営に密接に関わる分野であり、特に実務経験や専門知識が求められる点で異業界への転職を希望する人々にとって魅力的な選択肢となっています。中堅企業や国内独立系ファームが増加している現状を踏まえると、今後さらに注目を浴びる領域と言えるでしょう。
FAS業界のプレイヤーと企業一覧
BIG4系FASファームの特徴と代表企業
FAS業界において中心的な役割を果たすのが、通称「BIG4」と呼ばれる大手監査法人系のファームです。BIG4には、PwC（プライスウォーターハウスクーパース）、デロイト（Deloitte）、KPMG（ケーピーエムジー）、EY（アーンスト・アンド・ヤング）の4社が含まれます。これらの企業は、M&A業務や事業再生支援、財務デューデリジェンスなどを中心に、幅広い財務アドバイザリーサービスを提供しています。
BIG4系ファームの大きな特徴は、グローバル規模でのネットワークを活かしたサービス展開と、多様な業務領域を持つ点です。例えば、PwCは多国籍企業向けのM&A支援に強みを持ち、デロイトは企業再生やフォレンジック分野でも高い評価を得ています。KPMGとEYも、それぞれ企業価値評価や財務アドバイザリーにおいて独自の専門性を展開しています。特に中堅企業から上場企業まで、幅広い顧客層に対応する点がBIG4の魅力です。
独立系FASファームの特性と具体的な活動
BIG4とは異なり、独立系FASファームは特定の組織や監査法人に属さず、独立した立場でアドバイザリー業務を行っています。このため、より柔軟でクライアントのニーズにカスタマイズされたサービスを提供できる点が特長です。
独立系ファームでは、中堅企業やスタートアップを中心に手厚い支援を行うケースが多く、一般的にBIG4よりもクライアントとの距離が近いことが魅力の一つです。たとえば、事業承継や相続の専門知識を活かして、きめ細やかなサポートを行うファームもあります。また、大手金融機関や証券会社出身者が設立したファームも多く、業界経験を活かした実践的なアドバイスが期待できます。
さらに、独立系ファームでは、規模がコンパクトである分、個人の裁量が大きく、若手でも責任ある仕事を担当できる機会が多いという点も特徴的です。
国内主要FASファーム一覧とその強み
国内で活躍している主要なFASファームとしては、BIG4系ファームに加え、例えばGCAやストラテジックパートナーズなどの独立系ファームが挙げられます。これらのファームは、各社独自の強みを持っており、クライアントのニーズに合わせた専門的なサービスを行っています。
例えば、GCAはグローバルなネットワークを活かしたM&A業務において定評があり、国内外の市場で豊富な実績を誇ります。一方、ストラテジックパートナーズは、中堅企業を中心とした事業再生やM&A支援に特化しており、経営者との密なコミュニケーションを通じたコンサルティングが魅力です。
これらのファームは、それぞれ特定領域に深い知識を持つ専門家を有しており、高い専門性を活かして顧客の課題解決に取り組んでいます。特にFAS業界では、中堅企業や未上場企業のM&A支援が増える中、こうした専門性はますます重要な要素となっています。
FAS業界の魅力と求められるスキル
キャリアパスの広がり：専門性と経営視点の習得
FAS業界では、専門性の高いスキルと幅広い経営視点が習得できる環境が整っています。例えば、M&Aや事業再生といったプロジェクトに携わることで、財務デューデリジェンスや企業価値評価のスキルを磨きながら、経営そのものに対する深い知識や分析力も身につきます。こうした経験は、FAS内でのキャリアアップにとどまらず、事業会社の経営企画部門や新規事業立案、さらにはスタートアップでの活躍といった多様なキャリアパスを切り開く土台となります。特に中堅FASファームは、大手ほど分業化されていないことから、幅広い領域を経験できることが魅力です。
必要とされるスキルと資格：財務・会計の専門知識
FAS業界においては、財務・会計に関する高い専門知識が欠かせません。具体的には、公認会計士資格や税理士資格が求められるケースが多く、さらに国際的な業務を視野に入れる場合は、英語力も重要なポイントとなります（TOEIC800点以上が目安とされます）。また、財務デューデリジェンスやM&A支援業務を通じて、クライアントに効果的な提案を行えるアドバイザリー能力が求められるため、常に知見を広げ続ける積極性が求められます。中堅のFASファームでは、これらの知識やスキルに加え、実務経験を通じた即戦力が期待されることもあります。
高収入かつ多様なキャリア選択の可能性
FAS業界は、一般的に高い報酬水準で知られています。特にBIG4系FASファームでは、優秀な人材が高収入を得ており、その収入がキャリア選択の大きな動機となることも少なくありません。また、FAS業界で培ったスキルや知識は、多様なキャリア選択を可能にします。例えば、金融業界やコンサルティング業界への転職、企業経営への進出、さらには独立・起業といった道も見えやすくなります。中堅FASでは、よりフレキシブルな働き方を選べるケースも多く、仕事とプライベートのバランスを保ちながらキャリアを築くライフスタイルが実現可能です。
FAS業界に挑戦するには？転職・未経験者向け情報
新卒・中途採用のポイントと違い
FAS業界は、主に新卒採用と中途採用のどちらからでも挑戦することが可能です。ただし、それぞれ採用プロセスや求められるスキルには違いがあります。新卒採用では資格や経験が不足している段階であっても、ポテンシャルや学業成績、論理的思考力が重視される傾向があります。特に、財務や会計の基礎知識を持ちながら、課題解決能力などをアピールすると有利です。
一方、中途採用においては、経験と実績が必須要件であることが多く見受けられます。M&Aや事業再生に関する実務経験、または監査法人やコンサルティングファームでのキャリアが高く評価される傾向にあります。ただし、中堅FASファームでは異業種からの参入でも比較的門戸が広がっており、未経験者向けポジションを設ける場合もあります。この点では、新卒採用よりも中途採用では求められるスキルの高さと選考の厳しさに違いがあると言えます。
未経験者でも目指せる道：中堅FASの門戸とチャンス
未経験者がFAS業界を目指す場合、大手ではなく中堅FASファームから挑戦するのが現実的な道と言えます。中堅FASは専門性が求められる環境ながらも、大手と比べて育成に力を入れている企業も多く存在します。そのため、業界未経験者でも一定の素養とコミットメントを示すことで採用される可能性が広がります。
特に重視されるポイントは、財務や会計の基礎知識、アナリティカルな思考力、そして厳しいスケジュールや高度なプロジェクトに取り組む覚悟です。未経験者が選考を突破するためには、簿記やFPなどの資格取得に加え、FAS業界への転職を見据えた自己分析と業界研究が欠かせません。転職エージェントやヘッドハンターを活用して市場動向を理解し、自分に合わせた戦略を立てることが成功への近道となります。
転職成功の秘訣：自己分析と業界研究
FAS業界での転職を成功させるためには、何よりもまず自己分析を丁寧に行うことが重要です。自分の強みやこれまでのキャリアで培ったスキルがこの業界にどう活かせるのかを明確にし、強みをアピールできるストーリーを作ることが大切です。また、財務や会計に関する基礎知識が不足している場合には、関連資格の取得を目指すことで、業界に対する熱意を示せます。
さらに、業界に関する知識を深めることも成功のカギです。例えば、FASの業務内容や市場での役割、競合企業の分析を行い、FASに特化した会社や中堅FASファームの特徴を理解することがポイントです。リメディ株式会社などの転職相談を活用し、実際の採用市場や企業文化、採用プロセスに詳しいアドバイスを受けると、より効果的な戦略を立てることができるでしょう。
FAS業界への転職はチャレンジングですが、中堅ファームを入口とした多様な進路やスキル習得も可能です。正確な情報収集と入念な準備を行うことが成功の最大の秘訣です。
