【最新】公認会計士のM&A転職ガイド|未経験から目指せる転職先・仕事内容・必要スキルを解説します

公認会計士のM&A転職が注目される理由

M&Aとは企業の買収・統合を進める仕事です

M&Aは、企業の合併や買収を意味します。買い手企業にとっては、事業拡大、新規市場への参入、技術や人材の獲得などを実現するための経営手段です。売り手企業にとっては、後継者不足への対応、事業承継、事業の選択と集中などを目的に活用されます。

M&Aは契約を締結して終わる仕事ではありません。相手先の選定、財務・法務などの調査、企業価値の算定、条件交渉、契約、取引実行、買収後の統合まで、複数の工程を一貫して進めます。そのため、会計・財務だけでなく、事業理解や関係者との調整力も求められます。

M&A市場の拡大で公認会計士の採用ニーズが高まっています

国内のM&A件数は長期的に増加しており、2024年には4,704件と過去最多を更新しました。背景には、中小企業の後継者不足に加え、企業が成長戦略、デジタル化、新規事業への進出を目的としてM&Aを活用する動きがあります。

案件が増えるほど、対象企業の財務状態を分析し、買収価格やリスクを判断できる人材の重要性も高まります。特に、財務デューデリジェンスや企業価値評価では、公認会計士が持つ会計・監査の知識が直接生かされます。

監査経験がM&A業務で評価される理由

監査では、財務諸表の数値を確認するだけでなく、企業の事業内容、内部統制、収益構造、経営計画などを理解しながら、数値の妥当性を検討します。この経験は、買収対象企業の実態や潜在リスクを把握する財務デューデリジェンスと親和性があります。

例えば、売上計上の妥当性、滞留債権、在庫評価、引当金、関連当事者取引、簿外債務の可能性などを検討する力は、M&Aにおける投資判断や価格交渉で重要です。監査経験者は、数字の背景にある事業実態を確認する姿勢を強みとしてアピールできます。

未経験からM&A業界を目指せる公認会計士の条件

M&A実務が未経験でも、公認会計士であればFASや監査法人のアドバイザリー部門を中心に採用される可能性があります。特に、監査経験を通じて会計基準、連結、内部統制、開示、財務分析に触れている場合は、財務デューデリジェンス業務との接続を説明しやすいでしょう。

ただし、公認会計士資格だけで転職が決まるわけではありません。M&Aの流れ、企業価値評価の基本、買収後の統合に関する知識を身につけ、なぜ監査からM&Aへ進みたいのかを具体的に伝える必要があります。短納期の案件に対応する力や、対外的なコミュニケーションへの意欲も重要です。

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M&Aにおける公認会計士の仕事内容

財務デューデリジェンスで会社の財務状況を調べる

財務デューデリジェンスは、買収対象企業の財務状況、収益力、資産・負債、資金繰り、潜在リスクを調べる業務です。監査とは異なり、財務諸表に意見を表明することが目的ではなく、買収の可否、買収価格、契約条件を判断するために実施します。

主な確認事項は、過去の損益推移、正常な収益力、売上の継続性、売掛金の回収可能性、在庫の評価、借入金、未払費用、偶発債務、運転資本などです。発見した論点は、価格調整、表明保証、特別補償、買収後の改善計画などにつなげます。

バリュエーションで企業価値を算定する

バリュエーションとは、買収対象企業や事業の価値を算定する業務です。M&Aでは一律の売買価格が決まっているわけではないため、財務数値、将来計画、業界環境、リスクなどをもとに価値を評価し、交渉の基礎となる情報を作ります。

代表的な手法には、将来のキャッシュフローを現在価値に換算するDCF法、類似する上場会社の指標を参考にする類似会社比較法、資産と負債を評価する時価純資産法があります。会計知識に加え、事業計画の前提や将来性を見極める視点が必要です。

M&Aの実行を支える財務アドバイザリー

財務アドバイザリーは、売り手または買い手の立場で、M&A全体の進行を支援する仕事です。相手先の選定、取引方法の検討、企業価値評価、条件交渉、専門家との連携、契約締結まで、案件全体に関与します。

財務デューデリジェンスや企業価値評価に比べ、交渉や調整の比重が大きい点が特徴です。経営者、金融機関、弁護士、税理士、社内の事業部門など、さまざまな関係者と連携しながら、論点を整理して意思決定を支援します。

買収後の統合支援であるPMI

PMIは、M&A後の統合プロセスを指します。買収後に経営方針、業務プロセス、組織、人事制度、会計ルール、システムなどを整え、買収による相乗効果を実現するための業務です。

会計士は、会計方針の統一、月次決算の早期化、連結報告体制の整備、予算管理、内部統制、会計システムの統合などで力を発揮します。PMIは買収後に始まるものですが、円滑な統合のためにはデューデリジェンスの段階から準備を進めることが重要です。

買収後の会計処理や減損の検討

M&A後には、取得した企業や事業について、連結会計や取得原価の配分、のれんの会計処理などを検討する必要があります。買収後の業績が計画を下回った場合には、のれんや固定資産の減損について検討が必要になることもあります。

公認会計士は、会計基準への理解を生かし、取引時点の会計論点だけでなく、買収後に生じる会計・開示上の影響も整理できます。事業会社のM&A部門や会計アドバイザリーでは、こうした実行後の論点に継続的に関わる機会があります。

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公認会計士がM&Aに携われる主な転職先

FASで専門性の高いM&A支援に携わる

FASは、財務デューデリジェンス、企業価値評価、財務アドバイザリー、PMI支援などを提供する組織です。公認会計士がM&A領域を目指す際の代表的な転職先であり、監査経験を生かして財務デューデリジェンスから経験を積むケースが多く見られます。

大規模な組織では業務領域が細分化されやすく、特定分野の専門性を深めやすい傾向があります。一方、独立系や中小規模の組織では、財務デューデリジェンス、企業価値評価、FA業務などを横断的に経験できる場合があります。

監査法人のアドバイザリー部門で経験を広げる

監査法人のアドバイザリー部門でも、M&A、組織再編、事業承継、PMI、会計制度対応などに関わることができます。監査法人に在籍したまま、監査以外の経験を広げたい会計士にとって選択肢となります。

監査部門との親和性が高く、会計・内部統制・開示の経験を生かしやすい点が特徴です。ただし、組織によってM&A案件の多さや担当範囲は異なるため、入社後に担当できる業務内容を事前に確認する必要があります。

M&A仲介・FAで案件の発掘から成約まで支援する

M&A仲介は、売り手と買い手の間に立ち、相手先探しから成約までを支援する仕事です。FAは売り手または買い手の一方に立ち、クライアントの利益を優先して助言します。

仲介・FAでは、案件の発掘、経営者との面談、企業概要書の作成、候補先の選定、条件調整、交渉支援などを担当します。会計・財務の知識は重要ですが、営業力、交渉力、経営者との関係構築力が成果に大きく影響します。

事業会社の経営企画・財務部門で買収を担う

事業会社では、経営企画部門や財務部門、M&A専門部署で、自社の買収や出資を担当します。外部アドバイザーと連携しながら、買収戦略の立案、候補企業の検討、社内の投資判断、デューデリジェンスの管理、契約交渉、PMIを進めます。

当事者としてM&Aに関われるため、買収後の成果を長期的に追える点が特徴です。一方で、企業によってはM&Aの件数が限られるため、日常的には予算管理、経営計画、資金調達、決算、経営管理などを兼務することもあります。

投資銀行・PEファンド・投資会社で投資判断に関わる

投資銀行では、大型案件を中心にM&Aアドバイザリーや資金調達の支援を行います。PEファンドや投資会社では、投資対象の選定、投資判断、デューデリジェンス、投資後の経営支援、売却までを担います。

これらの領域では、高度な企業価値評価、財務モデリング、投資判断、英語力、案件経験が求められる傾向があります。監査経験のみでの転職は難しい場合も多く、FASや事業会社のM&A部門などで実務経験を積んだ後のキャリアとして検討されることが一般的です。

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転職先別に見る仕事内容・年収・転職難易度

FASは会計士の経験を生かしやすく未経験者にも選ばれやすい

FASは、監査経験を生かしてM&Aに転じる際の有力な選択肢です。特に財務デューデリジェンスは、財務諸表の分析、会計処理の確認、内部統制の理解といった監査経験との共通点が多くあります。

年収は組織、役職、業務内容によって差がありますが、会計士向けの転職情報では、コンサルタント層で700万円から1,100万円程度、マネージャー層で900万円から1,800万円程度の目安が示されています。案件の集中時には業務量が増えやすいため、年収だけでなく働き方を確認することが重要です。

M&A仲介・FAは営業力と成果への意欲が求められる

M&A仲介・FAでは、会計士資格が信頼獲得の強みになる一方、専門知識だけでは成果を出しにくい仕事です。新規開拓、経営者との関係構築、案件の進行管理、利害が異なる当事者間の調整など、営業と交渉の要素が大きくなります。

成果報酬の比率が高い組織では、成約実績によって年収が大きく伸びる可能性があります。転職情報では、仲介業務の年収目安として700万円から1,500万円程度が示される一方、成果によって大きく変動することもあります。安定性よりも成果に応じた報酬を重視する人に向く環境です。

事業会社は長期的な視点でM&Aと事業成長に関われる

事業会社のM&A担当は、外部アドバイザーとは異なり、買収後の統合や事業成長に継続して関われます。買収価格だけでなく、投資後にどのように利益を伸ばすか、どのように組織や制度を統合するかまで考える必要があります。

年収は企業規模やポジションにより幅があります。大手上場企業のマネージャー層では800万円から1,500万円程度、新興企業では500万円から1,200万円程度が目安として紹介されています。M&A専任の募集は多くないため、未経験者には経営企画、財務、経理、PMI関連の経験が求められることがあります。

投資銀行・PEファンドは高い専門性と実務経験が必要です

投資銀行やPEファンドは、高額な投資判断や大型案件に関わる機会がある一方、転職難易度は高い傾向です。企業価値評価、財務モデリング、投資検討、案件執行の経験に加え、英語力や高い資料作成能力が求められます。

年収水準は高く、投資銀行のマネージャー層では1,500万円から2,000万円以上とされることもあります。ただし、業務量や成果への要求水準も高いため、報酬だけで転職先を選ぶのではなく、自身の経験、適性、働き方との相性を慎重に見極める必要があります。

年収だけでなく働き方・評価制度・案件規模を比較する

M&A領域では、同じ職種名でも仕事内容が大きく異なります。例えばFASでも、財務デューデリジェンス中心の組織、企業価値評価中心の組織、FA業務を中心とする組織では、必要なスキルや働き方が異なります。

転職先を選ぶ際は、年収に加えて以下を確認しましょう。

  • 未経験者が担当する業務と育成体制
  • 案件の規模、業種、国内案件と海外案件の比率
  • 個人評価とチーム評価の比重
  • 固定給と成果報酬の割合
  • 繁忙期の業務量と休日対応の有無
  • 将来のキャリアパスと異動の可能性

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M&A業界への転職で求められるスキルと経験

監査で培った会計・財務の知識を強みにする

公認会計士が最初に打ち出すべき強みは、会計・財務の基礎力です。財務諸表を読む力、会計方針の理解、内部統制の評価、収益認識や見積り項目の検討などは、財務デューデリジェンスで役立ちます。

単に「監査経験があります」と伝えるのではなく、担当した業界、売上や在庫の分析、連結決算、内部統制、海外子会社、開示支援など、自身の経験をM&A業務にどう生かせるかまで説明することが重要です。

企業価値評価と財務分析の基礎を身につける

M&Aでは、財務デューデリジェンスだけでなく、企業価値評価の知識も求められます。DCF法、類似会社比較法、時価純資産法といった基本的な評価手法、企業価値と株式価値の違い、ネットデット、運転資本などの基本概念は、転職前に理解しておくとよいでしょう。

また、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を個別に見るのではなく、利益が実際の現金に変わっているか、借入依存がないか、事業計画に無理がないかを総合的に分析する視点が必要です。

M&Aの流れと関連する制度を理解する

M&Aは一般に、戦略立案、候補先の選定、秘密保持契約、基本合意、デューデリジェンス、企業価値評価、条件交渉、最終契約、取引実行、PMIという流れで進みます。

会計士は法務や税務の専門家ではありませんが、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、税務、労務、個人情報保護などがM&Aに影響することを理解しておく必要があります。各領域の専門家と連携し、論点を財務面や投資判断へつなげる力が求められます。

顧客と関係者を動かすコミュニケーション力を磨く

M&A業務では、分析結果を正しく伝えるだけでなく、経営者や関係者が意思決定できる形に整理する必要があります。細かな数値や論点を並べるのではなく、重要度、影響額、対応案を明確に伝えることが重要です。

特にFA、仲介、事業会社のM&A担当では、経営者、事業部門、金融機関、弁護士、税理士などと協働します。相手の立場や利害を理解し、対立しやすい局面でも合意形成を進める調整力が求められます。

英語力・資料作成力・案件を進める力を高める

クロスボーダー案件や外資系企業を扱う場合には、英語で財務資料を読み、海外の関係者とやり取りする力が必要です。必須ではない求人も多いですが、英語力があると担当できる案件の幅が広がります。

また、Excelを使った分析や財務モデルの作成、PowerPointを使った報告資料の作成は、M&A業務の基礎です。短い期間で論点を整理し、関係者を巻き込みながら案件を前へ進めるプロジェクト管理能力も、経験を重ねるほど重要になります。

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公認会計士がM&A転職を成功させるための準備と選考対策

現在の経験から目指しやすい転職先を見極める

監査法人で監査経験を積んできた会計士であれば、まずはFASや監査法人のアドバイザリー部門が候補になりやすいでしょう。財務デューデリジェンスや企業価値評価を通じてM&A実務の基礎を身につけ、その後に事業会社、投資銀行、PEファンドなどを目指すキャリアもあります。

一方、事業会社の経理・財務経験者は、財務部門、経営企画、PMI支援、買収後の会計統合などで強みを発揮しやすい傾向です。営業経験や経営者との折衝経験がある場合は、仲介・FAも選択肢になります。

監査経験をM&A業務でどう生かせるか整理する

職務経歴書や面接では、監査で担当した業務をM&Aで求められる能力に置き換えて伝えます。例えば、以下のように整理するとよいでしょう。

  • 上場企業監査の経験は、複雑な会計論点や開示への理解として示す
  • 内部統制監査の経験は、買収対象企業の管理体制や不正リスクの把握力として示す
  • 連結監査の経験は、グループ経営や買収後の連結体制への理解として示す
  • 主査・インチャージ経験は、進捗管理やチーム運営、関係者調整の経験として示す
  • 特定業界の監査経験は、業界構造や収益モデルの理解として示す

未経験者は学習実績と志望理由で意欲を伝える

未経験からM&Aを目指す場合、実務経験がないこと自体よりも、入社後にどのように成長するかを採用側にイメージさせられるかが重要です。M&Aの基礎書籍、企業価値評価、財務モデリング、会計基準、業界研究などに取り組み、学習内容を自分の言葉で説明できるようにしましょう。

志望理由では、「年収を上げたい」「監査以外を経験したい」だけでは不十分です。企業の成長や事業承継にどう関わりたいのか、会計士としてどのような価値を提供したいのか、中長期的にどのような専門性を築きたいのかを具体化する必要があります。

面接では案件への関心と中長期のキャリアを具体的に示す

面接では、M&Aの基本的な流れ、財務デューデリジェンスと監査の違い、企業価値評価の考え方、志望先の業務領域などを確認される可能性があります。専門用語を暗記するのではなく、目的や業務の違いを簡潔に説明できるように準備しましょう。

また、「なぜM&Aなのか」「なぜその組織なのか」「どの領域を経験したいのか」「数年後にどのような人材になりたいのか」を一貫して伝えることが重要です。志望先の案件規模、得意業界、提供サービス、組織体制を調べたうえで、自身の志向との接点を示します。

年収・業務量・キャリアパスを確認して転職後のミスマッチを防ぐ

M&A領域は高年収のイメージがある一方、案件の締切前には長時間労働や休日対応が発生することがあります。特にデューデリジェンス、FA、仲介では、クライアントや案件の進行状況によって業務量が大きく変動します。

入社後のミスマッチを防ぐため、選考中に担当業務、未経験者の育成方法、評価制度、固定給とインセンティブの割合、繁忙期の働き方、リモートワークの可否、異動の可能性を確認しましょう。年収だけで判断せず、どのような経験を積めるか、将来どのような選択肢が開けるかを踏まえて判断することが、M&A転職を成功させるポイントです。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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