
内部監査とは?
内部監査の役割
内部監査は、企業の業務や仕組みが適切に機能しているかを客観的に評価し、課題の改善につなげる役割を担います。具体的には、リスク管理や内部統制、ガバナンスの状況を確認し、問題点や改善すべき点を経営陣などに報告します。必要に応じて改善策を提案し、組織が目標を達成するための仕組みづくりを支援することも内部監査の役割です。
内部監査では、監査対象となる部門から一定の独立性を保ちながら、業務の状況を客観的に評価することが求められます。リスクや課題を明らかにし、業務や管理体制の改善につなげることが重要です。
内部監査の主な業務内容
内部監査の業務は、監査計画の策定→調査・評価→監査結果の報告→改善状況の確認という流れで進めます。
まず、監査対象となる部門や業務のリスクを把握し、監査計画を立てます。その後、関係者へのヒアリングや資料の確認などを通じて、業務が適切に行われているか、内部統制が有効に機能しているかを評価します。
監査の結果、問題点や改善すべき事項が見つかった場合は、監査報告書などにまとめて経営陣や関係部門に報告します。その後、改善策の実施状況を確認し、必要に応じて追加の対応を促します。企業によっては、内部統制報告制度(J-SOX)に基づく評価や、情報システム、コンプライアンスなど特定のテーマを対象とした監査を担当することもあります。
内部監査を担う企業・組織
内部監査は、企業などの組織内に設置された内部監査部門が担うケースが一般的です。企業の内部監査担当者は、自社やグループ会社の業務を対象に、リスク管理や内部統制が適切に機能しているかを確認します。上場企業や大規模な企業では、専任の内部監査部門を設けているケースもあります。
一方、内部監査の業務を外部に委託する企業もあります。監査法人やコンサルティング会社などが、内部監査の実施や監査体制の構築を支援するケースです。そのため、内部監査に関わるキャリアには、企業の内部監査部門で働くほか、外部の専門機関から企業の内部監査を支援する道もあります。
内部監査の経験を積んだ後は、内部統制やリスク管理、コンプライアンスなど、関連する管理部門へキャリアを広げる道もあります。また、監査法人やコンサルティング会社などに転職し、複数の企業の内部監査や内部統制を支援する働き方も考えられます。
未経験から内部監査に転職できる?
内部監査未経験者を対象とする求人もある
内部監査の実務経験がなくても応募できる求人はあります。企業によっては、内部監査の経験そのものではなく、経理・財務、法務、コンプライアンス、ITなど、内部監査に活かせる業務経験を応募条件や歓迎条件に設定しています。また、内部監査部門での業務を補助するポジションから経験を積める求人もあります。
ただし、「未経験可」と記載されていても、求められる経験やスキルは求人によって異なります。内部監査の経験がないことだけで判断せず、これまでの業務経験のうち、内部監査に活かせる知識やスキルを整理したうえで求人を探すことが大切です。
求人によって異なる「未経験」の定義
「未経験可」とする求人でも、どこまでを未経験とするかは企業によって異なります。内部監査の実務経験がなければ応募できる求人もあれば、内部監査の補助業務や関連する実務経験を前提としている求人もあります。
また、入社後に研修やOJTを通じて内部監査の知識を身につけることを想定した求人もあります。求人を探す際は「未経験可」という表示だけで判断せず、仕事内容や応募条件、入社後の教育体制まで確認すると、自分に合った求人を見つけやすくなります。
内部監査への転職で活かせる経験・スキル
経理・財務
経理・財務の経験は、内部監査への転職で活かしやすい経験の一つです。内部監査では、会計処理や財務報告に関する業務を確認する機会があるため、仕訳や決算、財務諸表などの知識が役立ちます。
また、経理・財務では、社内のルールや会計基準に沿って業務を進めることが求められます。こうした経験は、業務プロセスや内部統制が適切に機能しているかを確認する内部監査の業務にもつながります。特に、決算業務や内部統制、J-SOXに関わった経験があれば、より直接的に活かせるでしょう。
法務・コンプライアンス
法務やコンプライアンスの経験も、内部監査に活かせます。内部監査では、企業の規程や法令に沿って業務が行われているかを確認するため、法令や社内ルールに関する知識が役立ちます。
特に、コンプライアンス体制の整備やリスクの把握、社内規程の運用などに携わった経験があれば、監査対象となる業務の問題点を見つけ、改善につなげる際に活かせます。法務・コンプライアンスで培った、事実関係を整理して課題を把握する力も内部監査に応用できるでしょう。
IT・システム
企業では、情報システムの運用やセキュリティ、アクセス権限などが適切に管理されているかを確認する「IT監査」が行われることがあります。システムの仕組みや運用を理解していれば、こうした監査業務に取り組みやすくなります。
特に、システム開発や運用、情報セキュリティ、IT統制などに携わった経験があれば、システムに潜むリスクを把握し、改善点を検討する際に活かせます。ITの専門知識を生かして、IT監査やシステム監査を担当する内部監査人を目指すことも可能です。
金融
銀行、証券会社、保険会社などの金融機関で働いた経験も、内部監査に活かせます。金融機関では、法令や社内規程に沿った業務運営やリスク管理が重視されるため、こうした環境で培った知識や経験は内部監査と親和性があります。
特に、コンプライアンス、リスク管理、業務管理、融資審査などに携わった経験があれば、監査対象となる業務やリスクを理解する際に役立ちます。また、金融機関の内部監査部門への転職を目指す場合は、これまでの業務経験を監査対象となる業務と結び付けてアピールするとよいでしょう。
営業・事務
営業や事務の経験も、業務内容によっては内部監査に活かせます。営業では、顧客対応や社内調整を通じて、関係者から必要な情報を聞き取る力や、業務上の課題を把握する力を培えます。事務では、書類やデータの確認、業務手順に沿った処理、関係部署との調整などの経験が役立ちます。
これまでの経験に加えて、内部監査や内部統制、会計などの知識を身につけることで、営業や事務で培ったスキルを内部監査の業務により活かしやすくなります。転職を目指す際は、自分の経験と内部監査の業務との接点を整理しておくとよいでしょう。
未経験から内部監査を目指すために身につけたい知識
内部監査の基礎
未経験から内部監査を目指す場合は、まず内部監査の目的や役割、基本的な業務の流れを理解しておきましょう。日本内部監査協会の基礎講座や入門書などを活用し、監査計画の策定から調査・評価、結果の報告、改善状況の確認まで、内部監査の基本的な進め方を学ぶとよいでしょう。
あわせて、リスク管理、ガバナンス、内部統制といった関連する概念についても学んでおくと、内部監査への理解を深められます。転職活動では、仕事内容を理解したうえで志望理由やこれまでの経験との接点を説明できることが重要です。
内部統制・J-SOX
内部統制についても、内部監査を目指す前に基本的な考え方を理解しておくとよいでしょう。内部統制とは、企業が業務を適正に進め、リスクを適切に管理し、報告の信頼性を確保するために整備・運用する仕組みです。内部監査では、こうした内部統制が適切に整備され、実際の業務で有効に機能しているかを評価することがあります。
上場会社など金融商品取引法上の内部統制報告制度の対象となる企業では、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を内部統制報告書として提出します。いわゆるJ-SOXと呼ばれる制度です。内部監査部門がこの評価に関わる企業もあるため、J-SOXの基本的な仕組みや内部統制の評価方法を学んでおくと、内部監査の求人内容を理解する際にも役立ちます。
会計・財務
内部監査では、財務・会計に関する業務を監査することがあるため、会計や財務の基礎知識も身につけておくと役立ちます。特に、仕訳や財務諸表、決算などの基本を理解していれば、財務報告の内容や会計処理が適切かどうかを確認する際に活かせます。
経理・財務の経験がない場合は、簿記などの学習を通じて会計の基礎を身につける方法があります。まずは財務諸表の構造や基本的な会計処理を理解し、内部監査で会計・財務の知識がどのように使われるのかを把握しておくとよいでしょう。
CIAなどの資格
内部監査に関する知識を体系的に身につける方法として、資格取得を目指すのも一つです。代表的な資格に、内部監査の専門資格であるCIA(公認内部監査人)があります。CIAでは、内部監査の基本やリスク管理、ガバナンス、内部統制など、内部監査業務に関わる幅広い知識を学びます。
未経験から内部監査への転職を目指す場合、資格取得そのものが応募条件になるとは限りません。ただし、資格の学習を通じて内部監査の知識を身につければ、業務への理解を深めたり、転職活動で学習意欲や専門性を示したりする材料になります。
未経験から内部監査への転職を目指すには
未経験から内部監査への転職を目指すなら、まずは自分のこれまでの経験と、内部監査の求人で求められる経験を照らし合わせてみましょう。経理・財務や法務、IT、金融などの経験がある場合は、その知識やスキルを活かせる求人を探しやすくなります。営業や事務などの経験も、業務改善や社内調整、書類の確認といった具体的な経験を整理することで、内部監査との接点を見つけられます。
そのうえで、求人情報を確認しながら、自分に不足している知識を補っていくとよいでしょう。内部監査の基礎や内部統制、会計・財務などを学び、必要に応じてCIAなどの資格取得を目指す方法もあります。実際の求人を見ることで、企業がどのような経験や知識を求めているのかを具体的に把握できます。気になる求人が見つかったら、応募条件と自分の経験を照らし合わせ、活かせる経験や不足している知識を整理してみましょう。
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この記事を書いた人
渡邉 裕介
[ 経歴 ]
大学卒業後、損害保険会社のコーポレート部門、営業部門、グループ会社出向を経験。コトラ転職後はリスクマネジメント、ESG領域を中心に担当。
[ 担当業界 ]
リスクマネジメント、コンプライアンス、ESG/サステナビリティ、金融ミドルバック











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