コトラ（広報チーム） 
建築設計事務所ランキングの概要
ランキングの評価基準
建築設計事務所のランキングは、公平性や透明性を重視した複数の評価基準に基づいて作成されています。主に「売上高」や「プロジェクト数」のデータを基本とし、実績や収益性、さらにはプロジェクトの規模や質などが評価対象となります。また、大規模な公共施設から住宅設計、商業施設設計まで、多岐にわたる用途への対応力も重要な基準となっています。
ランキングでは、リーダーシップの発揮やクライアントからの信頼度、マーケットのトレンドを捉える戦略性も評価要素として注目されています。これらの指標は、設計業界全体の動向を反映するために定期的に見直されることが特徴です。
売上高・プロジェクト数に基づく評価
設計会社の業績を測る主要な指標として、「売上高」と「プロジェクト数」が挙げられます。特に売上高は企業の経営規模を示す重要な指標であり、組織の資金力やプロジェクトに取り組む能力を反映しています。たとえば、2021年度のランキングでトップに立つ日建設計は、約4,800億円という圧倒的な売上高を記録しました。この数字は、設計業界全体におけるリーダー的存在を示しています。
一方、プロジェクト数に基づく評価では、多様な分野にわたる実績が重視されます。商業施設や住宅、公共インフラなど、取り扱うプロジェクトの幅広さや規模の大きさは、その企業の信頼性や総合力を物語るものです。このような指標の活用により、各企業が持つ独自の強みを明確化しています。
近年の業界動向とポイント
近年、建築設計業界においては技術革新や社会的課題への対応が進んでいます。その一例として、持続可能な建築やエコデザインへの取り組みが注目されています。また、BIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）の活用やAI技術の導入など、設計プロセスの効率化を実現するテクノロジーも進化しています。
さらに、東京五輪や震災復興に伴う特需が過去の業績を押し上げた一方で、ポストコロナ時代には、郊外型住宅や小規模オフィスといった新たな需要が市場変化を牽引しています。特に、組織系設計事務所の規模拡大と、アトリエ系事務所の個性重視という二極化が顕著な業界トレンドとなっています。
ランキング上位事務所の共通点
ランキング上位の建築設計事務所には、いくつかの共通点が見られます。その1つが、豊富な資源と経験を活かした多様な分野への対応力です。上位に位置する日建設計やNTTファシリティーズなどの会社は、商業施設から官公庁施設まで、幅広いプロジェクトを手掛けています。
また、上位事務所の特徴として、技術革新への迅速な適応が挙げられます。例えば、最先端の設計ソフトウェアやデジタルツールを駆使することで、プロジェクトのスピードや精度を向上させています。さらに、グローバル市場への積極的な進出や海外プロジェクトの取り組みも重要な成功要因です。これらの事務所が設計業界でリーダーシップを発揮できるのは、単に規模が大きいだけでなく、高い専門性とイノベーション精神を持っているためです。
2024年注目の建築設計事務所トップ10
1位 日建設計の強みとは
2024年版建築設計事務所ランキングで堂々の1位を獲得したのは、業界屈指の存在感を誇る「日建設計」です。同社は、長い歴史とともに培われた信頼性、世界的なプロジェクト経験、そして総売上高47,977百万円という圧倒的な実績を持っています。近年、自然と調和した持続可能な設計の推進や、最先端テクノロジーの活用などにも積極的に取り組んでおり、業界全体をリードする存在として注目されています。
また、日建設計は巨大プロジェクトのマネジメント能力に定評があり、国内外で多数の公共施設や商業施設の設計を手掛けています。こうした業務遂行力の高さが、ランキング上位の常連である理由の一つといえるでしょう。
上位企業に共通する魅力
ランキング上位の設計会社に共通する特徴として、まず挙げられるのは「プロジェクト規模の大きさ」と「安定した売上高」です。たとえば、NTTファシリティーズや三菱地所設計といった上位企業は、官公庁施設から商業・住宅施設まで、多岐にわたる建築物の設計を手掛けています。こうした多様性に対応できる実力が、業界での地位を確立する要因となっています。
さらに、上位企業では、専門分野を持つスペシャリストが多数在籍している点も特徴的です。一級建築士をはじめとして、設計に特化した資格を持つプロフェッショナルが揃っており、技術的な信頼性が非常に高いです。このような人的資本の充実が、高い評価に繋がっています。
成長が注目される中堅企業
トップクラスの設計事務所と比較すると、中堅規模の企業はプロジェクトの規模こそ小さいものの、独自性と高い専門性を持った設計力で注目されています。たとえば、売上高が10億円規模の久米設計や山下設計は、特定用途やデザインジャンルに強みを持った設計会社として評価を集めています。
また、中堅企業の場合、大手とは異なり直接的な顧客対応を行うケースが多く、個別のプロジェクトに柔軟に対応できる点も魅力の一つとなっています。近年、エコロジーや持続可能性を重視するプロジェクトが増える中、それに適応したトレンドを取り入れた設計スタイルが好評で、今後の成長が期待されます。
用途別・業務別建築設計事務所の注目ランキング
商業施設設計に特化した事務所
商業施設設計に特化した建築設計事務所は、特にショッピングモールや複合商業施設のプロジェクトで高い評価を得ています。これらの事務所は、単なる建物の設計だけにとどまらず、施設利用者の動線や効率的なスペース活用、テナントの魅力度を左右するデザインまで多岐にわたる要素を組み合わせます。大規模プロジェクトが多いため、計画性やチーム力が評価基準として大きな役割を果たします。ランキング上位には、日建設計や三菱地所設計といった会社が名を連ねており、豊富な実績や革新的な設計力が強みとなっています。
ひと際注目を集める住宅設計事務所
住宅設計事務所は、一人ひとりのライフスタイルに寄り添った柔軟なデザイン力が求められます。特に近年では、コロナ禍以降のリモートワーク普及の影響もあり、ホームオフィスを含む機能的かつ心地良い空間設計が注目されています。また、環境に配慮したエコハウスやZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）へのニーズも高まっています。日本設計や伊藤建築デザインのように、顧客目線での提案力を持つ設計会社はランキングでも上位に位置しています。個人住宅を手掛ける実績が豊富で、ディテールまでこだわる丁寧な設計を行うことが選ばれる理由となっています。
官公庁施設の実績で差をつける企業
官公庁施設設計の分野では、公共性の高い建築物を手掛ける責任と高い技術力が求められます。災害時における安全性や耐久性などが特に注目される中で、豊富な経験を持つ設計事務所が多くのプロジェクトに選ばれています。例えば、NTTファシリティーズや山下設計といった大手企業は、公的施設やインフラ設計において高い評価を得ています。また、近年では環境負荷の低減を意識した設計やスマートシティ化への対応も、これらの企業が競争力を維持する重要な要素です。信頼の実績と技術革新の両面を兼ね備えた会社がランキングをリードしています。
2024年に注目したい新たなトレンドと企業戦略
持続可能な設計とエコへの取り組み
昨今の建築業界では「サステナブルデザイン」への注目が年々高まっています。ランキング上位の設計会社では、環境負荷を削減するための技術や再生可能エネルギーの積極的な採用が進められています。例えば、太陽光パネルやエネルギー効率の高い建材の活用、さらには空調や電力消費を最適化した設計が注目されています。2024年には、このような持続可能な設計がさらに進化し、環境規制の厳格化に対応した企業がランキング上位を占めると予想されます。
最先端テクノロジーの導入事例
建築設計事務所ランキングにおいて、先端技術の導入が重要な評価基準の一つになっています。最近ではBIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）やAIを活用した設計プロセスの効率化がトレンドとなっています。たとえば、AIを導入することで複雑な設計のシミュレーションや精度の高いコスト管理が可能となっています。また、ARやVRといったテクノロジーを利用した実際の建物イメージの可視化は、クライアントとのコミュニケーションを円滑にすると同時に、設計精度を向上させる役割を果たしています。
新興設計事務所の参入と市場への影響
ランキング上位を維持するベテラン設計会社がある一方、新興設計事務所の台頭も見逃せません。これらの新規参入者は、柔軟性と革新性を武器に市場にインパクトを与えています。特に、コンパクトな組織構成ながらも、AIやデジタルツールを駆使して効率化を図る企業が増加しています。また、これらの新興企業が提供するデザイン性の高い独自性のある設計プランが、従来の建築市場に新風を吹き込む存在となっています。
グローバルマーケットへの展開
日本の設計事務所による海外進出が、2024年の業界トレンドの一つとして注目されています。アジア、欧州、中東市場を中心に、日本の建築や設計技術の信頼性が高評価を受ける中、大手のみならず中規模以下の設計会社も積極的に進出を試みています。特に、環境に優しく高機能な建築設計が評価される動きが世界的に広がっており、こうしたニーズを捉えた戦略展開が業界ランキングにも影響を与える基盤となるでしょう。