保険保全業務とは?仕事内容と求められるスキル、未経験からの目指し方

保険保全業務とは?

保全業務の役割

保険会社では、保険商品の提案や契約の募集、契約の引受、契約後の管理、保険金・給付金の支払いなど、保険契約の各段階に応じてさまざまな業務を行っています。

保全業務は、このうち契約が成立した後に、契約内容を適切に維持・管理するための業務です。契約者から住所や名義の変更、契約内容の変更などの申し出を受け、必要な手続きを進めます。生命保険では、契約期間中の名義変更や住所変更、保障額の増減、特約の追加、解約などが保全業務に含まれます。

保険は契約した時点ですべての手続きが終わるわけではありません。契約期間中には、契約者の生活環境や保険の対象となる状況が変わり、契約内容の変更が必要になることがあります。損害保険でも、引っ越しや自動車の買い替えなどによって契約条件が変わる場合があります。

また、契約者からの問い合わせに対応したり、必要な書類を案内したりすることも保全業務の一つです。契約内容や手続きの状況を正確に確認しながら対応することで、契約者が現在の状況に合った保険契約を維持できるよう支えます。

保険保全業務が重要な理由

保全業務は、顧客、保険会社、保険会社の事業の3つの面から重要な役割を持っています。

まず顧客にとっては、ライフステージや生活環境の変化に合わせて、保険契約を見直すための重要な機会になります。結婚や転居、家族構成の変化などがあった場合に必要な手続きを行うことで、現在の状況に合った保障や補償を維持しやすくなります。また、手続き漏れや契約内容の確認不足による不利益を防ぐことにもつながります。

保険会社にとっては、契約情報を正確に管理し、契約内容の変更や各種手続きを適切に処理することが重要です。手続き漏れや処理ミスを防ぐことで、契約者への適切な案内やサービスの提供につながります。

さらに、保全業務は保険会社の事業にも関わります。契約者の状況やニーズの変化を把握し、契約内容の見直しなどにつなげることで、契約の継続や新たな契約につながる場合があります。保全業務は、契約後の顧客との関係を維持し、保険会社の事業を支える役割も担っています。

保険保全業務に求められるスキル

正確に手続きを進める力

保険保全業務では、契約内容の変更や各種手続きを正確に処理する力が求められます。住所や氏名、保険料の支払方法などの情報に誤りがあると、契約者への案内や契約管理に影響する可能性があるためです。

また、保全業務では複数の手続きを並行して進めることもあります。依頼内容や必要書類を確認し、処理状況を管理しながら、一つひとつの手続きを確実に完了させることが大切です。入力内容を確認する習慣や、決められた手順に沿って作業する力が、正確な業務につながります。

保険商品・契約に関する知識

保険保全業務では、保険商品や契約内容、各種手続きに関する知識が求められます。契約内容の変更や解約など、手続きによって必要な書類や処理方法が異なるためです。

また、保全業務では、契約内容や契約状況を確認したうえで、必要な手続きを進めます。そのため、担当する保険商品の保障・補償内容や契約の仕組みを理解しておくことが大切です。

保険に関する知識は、入社後の研修や実務を通じて身につけていける場合もあります。未経験から保全業務を目指す場合も、まずは担当する保険商品の基本的な仕組みや手続きについて学ぶことから始めるとよいでしょう。

コミュニケーション力

保険保全業務では、顧客から契約内容の変更や各種手続きについて相談を受けることがあります。相談内容によって必要な手続きや対応が異なるため、相手の話を聞き、状況を整理したうえで必要な対応につなげる力が求められます。

たとえば、引っ越しや結婚、家族構成の変化など、顧客から伝えられた内容が契約変更のきっかけになることがあります。単に申し出を受け付けるのではなく、何が変わったのか、どのような手続きを希望しているのかを確認することで、必要な手続きを案内しやすくなります。

また、保全業務では、顧客からの申し出を社内の担当部署や代理店などにつなぐこともあります。相手に応じて必要な情報を確認し、円滑に引き継ぐことも、保全業務を進めるうえで重要です。

保険保全業務に資格は必要?

必須の資格はない

保険保全業務に従事するために、必ず取得しなければならない資格があるわけではありません。保全業務では、契約内容の変更や各種手続きなどを行うため、担当する業務に応じた保険の知識や事務処理のスキルが求められます。

ただし、保険商品を顧客に提案したり、契約の締結を勧めたりする「保険募集」を行う場合には、保険募集人として必要な登録や資格試験への合格などが必要です。そのため、保全業務を担当する人が保険募集も行う場合は、保険募集人資格を取得する必要があります。

保険募集人の制度は、生命保険と損害保険で分かれています。生命保険では、生命保険協会が実施する一般課程試験が生命保険募集人の登録に必要とされています。損害保険では、日本損害保険協会が実施する損害保険募集人一般試験(損保一般試験)があり、保険募集に必要な知識を確認する試験として位置づけられています。

保全業務の範囲は、保険会社や代理店、担当する部署などによって異なります。求人を確認する際は、保全業務だけを担当するのか、保険募集も行うのかを確認するとよいでしょう。

保全業務に活かせる資格

業務に必要な知識を身につけるのに役立つ資格もあります。代表的な資格の一つが、ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)です。保険だけでなく、年金や税金、金融資産など、個人の生活に関わる幅広い知識を学べるため、顧客のライフプランと保険との関係を理解するのに役立ちます。

また、生命保険募集人・損害保険募集人に関する試験の学習を通じて、生命保険や損害保険の商品・制度について学ぶことも有効です。

資格取得を目指す場合は、担当する保険の種類や業務内容を踏まえ、実際の仕事に必要な知識を補えるものを選ぶとよいでしょう。

未経験から保険保全業務を目指すには

未経験者を募集する求人もある

保険保全業務には、保険業界での経験がない人を対象とした求人もあります。これまでの事務経験や顧客対応の経験を活かして、転職を目指せるケースもあります。たとえば、事務職で書類の確認やデータ入力、複数の手続きを進めた経験は、保全業務の事務処理に活かせます。また、顧客対応の経験があれば、問い合わせや依頼の内容を聞き取り、必要な対応につなげる力を活かせるでしょう。

ただし、「保全業務」と書かれていても、担当する業務の範囲は求人によって異なります。契約内容の変更や各種手続きなどの保全業務に加えて、保険商品の提案や募集、営業などを担当する求人もあります。未経験から目指す場合は、求人票で具体的な仕事内容や応募条件を確認し、自分が希望する業務と合っているかを見極めることが大切です。

これまでの経験を保全業務につなげて伝える

未経験から保険保全業務を目指す場合は、これまでの仕事で身につけたスキルを、保全業務でどのように活かせるかを応募書類や面接で伝えることが大切です。

たとえば、事務職で書類の確認やデータ入力を担当していた場合は、正確に事務処理を進める力をアピールできます。営業や接客などの経験があれば、顧客の話を聞いて要望を把握し、必要な対応につなげた経験を保全業務と結びつけられます。社内外の関係者と調整した経験も、保険会社の担当部署や代理店などと連携する業務に活かせます。

職務経歴書では、これまで担当した業務を記載するだけでなく、そこで培ったスキルが保全業務のどのような場面で活かせるのかを具体的に示すとよいでしょう。志望動機や面接でも、保全業務を目指す理由とこれまでの経験をつなげて説明することで、未経験でも自分の強みを伝えやすくなります。

保険の知識を身につける

未経験から保険保全業務を目指す場合は、保険の基本的な仕組みを理解しておくと、仕事内容をイメージしやすくなります。

まずは、生命保険と損害保険の違いや、保険料、保障・補償、契約者、被保険者、受取人など、保険契約に関する基本的な用語を押さえておきましょう。こうした知識があれば、求人の仕事内容を理解したり、入社後に業務を覚えたりする際にも役立ちます。

保険の知識を身につける方法には、保険会社や業界団体が公開している資料を読んだり、資格試験を活用したりする方法もあります。まずは自分が目指す業務に関係する分野から、基本的な知識を学ぶとよいでしょう。

保険保全業務のキャリアパス

保全業務の経験を専門性につなげる

保険保全業務では、契約内容の変更や解約など、契約後に発生するさまざまな手続きを担当します。経験を積むことで、担当する保険商品の知識や契約管理に関する理解を深め、より複雑な手続きにも対応できるようになります。

また、担当する商品の種類や業務範囲を広げたり、個別の事情を踏まえて対応する案件を担当したりすることで、保全業務に関する知識や対応力を高めることもできます。経験を重ねて業務への理解を深めれば、後輩の指導や業務フローの改善など、チームを支える役割を担う機会もあります。

このように、日々の手続きをこなすだけでなく、担当できる業務の範囲や対応できる案件を広げていくことが、保全業務における専門性の向上につながります。

関連職種へキャリアを広げる

保険保全業務で身につけた保険の知識や契約管理、顧客対応などの経験は、関連する職種でも活かせます。

たとえば、保険会社や代理店の保険事務・契約管理などでは、保全業務で培った契約内容の確認や事務処理の経験を活かせます。顧客からの問い合わせ対応や手続きの案内を担当した経験があれば、コールセンターやカスタマーサービスなど、顧客対応を担う仕事にもつながります。

また、保全業務の経験を重ねるなかで、業務フローの見直しや後輩の指導などを担当すれば、業務改善やチームの管理など、より広い業務を担う方向にキャリアを広げることもできます。

このように、保全業務で身につけた知識や経験を土台に、契約管理、顧客対応、業務改善など、自分が身につけたいスキルに応じてキャリアの幅を広げていくことができます。

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この記事を書いた人

上田哲夫

滋賀大学経済学部卒、第一勧業銀行(現みずほ銀行)にて本店営業第三部やグローバル企業第二部、企業調査部等で大企業営業や企業再生・M&A等投資銀行業務、支店や審査部門にてマネジメント業務に従事。 その後、ソニー銀行にて法人融資やタイアップ営業(住宅ローン・カード)及びマネジメント業務に従事。

[ 担当業界 ]
大手銀行、ネット銀行、投資銀行、経営・財務等マネジメント人材