コトラ（広報チーム） 
ながさきサステナエナジーの設立背景と概要
地域に根ざした新電力会社の誕生
株式会社ながさきサステナエナジーは、令和2年（2020年）2月10日に設立された地域密着型の新電力会社です。長崎市を中心とした自治体新電力として、地域のエネルギー課題に向き合いながら再生可能エネルギーの推進を行っています。運営主体には地方自治体や地元企業、金融機関が出資しており、それぞれが持つ知見やリソースを活用することで地域の持続可能な発展に貢献しています。
脱炭素なまちづくりへの取り組み
ながさきサステナエナジーの設立目的は、長崎市の脱炭素なまちづくりの実現にあります。同社ではメガソーラーや清掃工場発電施設から供給される全量ゼロカーボン電力を活用し、地域の温室効果ガス排出削減に努めています。また、公共施設や学校を含む地域の重要なインフラに電力を安定供給する仕組みを構築しており、長崎市地球温暖化対策実行計画の一環として温室効果ガスを削減するための具体的な取り組みを進めています。
自治体と地元企業の協働で何を目指すのか
ながさきサステナエナジーは、長崎市をはじめとする自治体や地元企業との連携を重視しています。特に、長崎市が35%の出資比率を持ちながら、民間企業である協和機電ホールディングスや不動技研工業などの地元企業とも出資を分け合う形で協働体制を構築しています。この協力体制により、地域内での資金循環や雇用創出が期待されるだけでなく、新たな脱炭素化事業の実現を目指しています。まさに自治体と地元企業が一体となり、地域全体のサステナブルな発展を推進しています。
企業理念と設立の経緯
ながさきサステナエナジーの企業理念には、「再生可能エネルギーの地産地消」や「CO2削減」、さらには「地域内資金循環の促進」といった目標が掲げられています。設立の背景には、エネルギー供給の脱炭素化と地域経済の活性化という長崎市の強い意志がありました。これに基づき、自治体と地元企業、それに金融機関が連携し、新たな地域エネルギーモデルの実現を目指したのです。同社は公式に電力小売事業登録を受けた2020年10月1日以降、迅速に事業をスタートさせ、次世代のエネルギー活用法を地域に提供し続けています。
地域エネルギー活用と地産地消の意義
オフサイト太陽光発電などの取り組み
「ながさきサステナエナジー」では、再生可能エネルギーの活用を推進するために、オフサイト太陽光発電の導入に注力しています。オフサイト太陽光発電とは、施設から離れた場所で発電した電力を利用する仕組みであり、限られた土地やスペースが多い都市部にも適用することが可能です。この技術を導入することで、長崎市内の公共施設や事業所へ供給するクリーンな電力源を確保し、地域の脱炭素化を目指しています。
自治体と住民との協働によるエネルギー循環
自治体と住民が協力してエネルギーを地域内で循環させる取り組みは、「ながさきサステナエナジー」の大きな特色です。例えば、公開セミナーや地域ワークショップを通じて、再生可能エネルギー活用の重要性を住民に共有し、共感を得る努力を続けています。これにより、エネルギー利用の効率化だけでなく、地域一丸となった持続可能な循環づくりが期待されています。この協働したエネルギー循環により、地域の経済的恩恵も地元にもたらされています。
メガソーラーとごみ発電の活用事例
「ながさきサステナエナジー」は、メガソーラー発電やごみ焼却施設での発電を積極的に活用しています。これらの方法は、クリーンエネルギーとしてCO2排出量を大幅に削減しつつ、地域内で生成された電力を効率的に供給します。例えば、清掃工場でのごみ発電では、廃棄物を無駄にせず価値あるエネルギーとして再利用することに成功しています。これらの取り組みによって、ゼロカーボン電力を実現しながら地域課題を解決するモデルケースとなっています。
電力地産地消が創り出す地域のメリット
電力の地産地消は、地域社会に大きなメリットをもたらします。「ながさきサステナエナジー」では、再生可能エネルギーを地域内で発電し、そのエネルギーを地域内で消費する仕組みを構築することで、地域内の資金循環を促進しています。この取り組みにより、地域経済への貢献、雇用創出、さらには気候変動への対策が可能となっています。さらに、住民主体のエネルギー活用により、安心・安全な持続可能な未来が育まれています。
ながさきサステナエナジーのビジョンとロードマップ
ゼロカーボンシティを目指して
株式会社ながさきサステナエナジーは、長崎市が掲げるゼロカーボンシティの実現に向けた重要なパートナーです。ゼロカーボンシティとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す都市のことです。同社は再生可能エネルギーを活用した電力供給を通じて、地域の脱炭素化に寄与しています。長崎市が出資する地域新電力会社として、自治体と一体となった計画の推進力を発揮し、クリーンエネルギーの地産地消を根幹に据えた地域づくりを目指しています。
長期的な環境目標と実現可能性
ながさきサステナエナジーの環境目標は、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー供給を促進し、地域全体のCO2排出削減を大規模に実現することです。この目標の実現には、地域住民や企業、自治体との綿密な協力が不可欠です。また、同社はメガソーラーや清掃工場での発電といった地域資源を最大限に活用する仕組みを構築しています。環境目標の達成に向けた現実的なロードマップを描いたうえで、着実な進捗を重ねることで、地域全体の持続可能な発展に結びつけています。
公共施設への電力供給と未来計画
ながさきサステナエナジーでは、小中学校をはじめとする公共施設への電力供給を通じて、地域全体での再生可能エネルギー活用を拡大しています。2024年12月時点で、92校の小中学校と69件の公共施設に供給を行っている実績があり、これらの取り組みは自治体の脱炭素政策と深く連動しています。また、都市のエコロジカルな未来を見据えた計画が進行中で、電力供給の拡大だけでなく、街全体のエネルギー効率の向上を目指した新しい施策が期待されています。
再エネ賦課金との調和と持続可能性
再生可能エネルギーの普及とともに問題となるのが、再エネ賦課金を含むコストの増大です。ながさきサステナエナジーでは、再エネ賦課金が家庭や企業へ過剰な負担とならないよう、持続可能性を重視したビジネスモデルを構築しています。これにより経済的側面と環境保護のバランスを図りながら、ゼロカーボン電力の提供を可能にしています。今後も地域の特性や住民のニーズに対応した柔軟な料金体系を模索し、長期的な信頼性の確保に努める方針です。
地域住民とのつながりとこれからの課題
地域の支援を受けた成果と学び
株式会社ながさきサステナエナジーは、長崎市をはじめとする地域住民や自治体の支援を受けながら、脱炭素化の推進と地域社会への貢献を目指して活動を続けています。これまで、小中学校や公共施設への電力供給を通じて、ゼロカーボン電力の普及に成功してきました。その成果として、2024年12月時点で92校の小中学校と69件の公共施設への電力供給が実現しています。この取り組みを通じて、地域エネルギー事業において住民や自治体との連携がいかに重要であるかを学びました。また、地域内資金循環や雇用創出など、経済面での波及効果も得ることができ、地域課題解決への貢献が具現化しています。
住民への教育と啓発活動
ながさきサステナエナジーは、地域住民が持続可能なエネルギーについて理解し、関心を持つことを目的に教育や啓発活動を推進しています。学校や市民団体と連携したイベントを開催し、再生可能エネルギーや地産地消の重要性を説明する場を設けています。特に、小中学校への電力供給に関連する活動では、未来を担う子どもたちにゼロカーボンの価値や脱炭素社会への転換の必要性を伝えています。これらの取り組みを通じて、地域住民の理解と参加が深まり、持続可能な社会の実現に向けた共通認識を醸成しています。
他地域へのモデルケースとしての可能性
ながさきサステナエナジーの活動は、他地域へのモデルケースとしても注目されています。長崎市を拠点とした「自治体新電力」という形態や、地元企業との連携による運営体制は、新たなエネルギー事業の成功例とされています。特に、地産地消型エネルギーに基づく地域課題の解決モデルが、他の自治体にとっても参考になるでしょう。このような事例を通じて、ながさきサステナエナジーは全国規模での脱炭素社会の実現に寄与するポテンシャルを十分に備えています。
課題解決へ向けた具体的な取り組み
ながさきサステナエナジーは、地域住民とのつながりを基盤に、さらなる課題解決に向けた取り組みを進めています。その一つとして、再エネ賦課金や電力料金といったコスト負担への対応を検討し、持続可能な運営方法を模索しています。また、清掃工場のごみ発電やメガソーラー設備の活用を進め、地域全体でゼロカーボンの達成を目指しています。さらに、「ながさきエコライフ基金」への寄付活動をはじめとして、地域社会への還元にも積極的です。これらの試みを通じて、地域住民と共に将来に向けたサステナブルなエネルギー社会の構築に向けて歩み続けています。