
「お客さまと一緒に人生を楽しむ」――そんな理想から生まれたのがヴァスト・キュルチュールのプライベートバンキングです。2019年に設立された同社は、資産運用や事業承継といった金融領域にとどまらず、教育やライフスタイルにまで目を向けながら、お客さまに徹底的に寄り添う姿勢を大切にしてきました。本記事では、設立の背景や高島屋グループとの連携、IFA業界における独自の強み、そして求める人物像や転職希望者へのメッセージについて、代表の山本耕太郎氏に語っていただきました。
人生を共に楽しむプライベートバンクを目指して設立
コトラ関口:
まずはじめに、ヴァスト・キュルチュール設立の経緯についてお聞かせいただけますでしょうか。
山本様:
スイスのウェルスマネジメントファームのUBS時代に知り合った共同代表の安東と、「理想のプライベートバンクをつくりたい」という思いから、2019年に独立、弊社を創業しました。
コトラ関口:
理想のプライベートバンクとは、どのようなものでしょうか。
山本様:
お客様の金融面の課題・悩みの解決サポートのみならず、お客さまと一緒にスポーツ観戦をしたり、旅行へ行ったりと、人生を共に楽しめるようなプライベートバンクです。
投資商品を販売して得られる利益は一時的なものに過ぎません。それよりも、一緒に社会貢献活動に参加したり、食事をしたり、時には悲しい出来事を支えて共に乗り越える。そうした持続的な関係が理想です。
言い換えれば、私たちが目指すのは、多くのお客さまの人生に寄り添うことができるプライベートバンクです。どんなことでも相談していただける関係を築き、さまざまな悩みや日常生活の不便さをサポートしていきたいと考えています。
コトラ関口:
業界内の立ち位置としては、IFA(Independent Financial Advisor)業界の中でプライベートバンキングのサービスを提供されているという理解でよろしいでしょうか。
山本様:
そうですね。金融業界の中にIFA業界があり、その中で私たちはプライベートバンキングサービスを提供しています。IFAという形態だからこそ、複数の金融機関の商品を中立的に扱い、お客さまに一番合ったものを選択できるという点が強みです。
そしてIFA業界全体で富裕層向けサービスを提供している企業が1割程度ある中で、私たちはお客さまの人生全体に寄り添うことを重視しています。「プライベートバンク」を掲げるIFAもありますが、多くのIFAは財産承継など資産周りのコンサルティングにフォーカスしている印象です。
例えば、私たちが取り組む海外留学サポートは手間もかかり、直接の利益にはつながりにくいですが、お客さまに必要とされるからこそ行っています。
コトラ関口:
昨年髙島屋グループに加われたことで、提供サービスにも影響はあったのでしょうか。
山本様:
髙島屋との連携で、弊社は購買体験のサポートも可能になり、サービスの幅が一層広がりました。連携開始してまだ間もないですが、大阪と東京を合わせて、プラス20ファミリーほどのお客さまが新たに加わっています。そして今連携が本格化しており相当数のお客さまへお会いできる素地が整ってきました。
髙島屋グループ、弊社、そして信頼関係のある専門家が三位一体となることで、幅広い領域をサポートし、今まで以上にお客さまに寄り添えるようになりました。
信頼が、紹介につながり利益に。徹底的な教育で数千万プレイヤーにも。
コトラ関口:
一般的にIFA事業は金融商品の販売や預かり資産残高から収益を得るイメージですが、御社の場合はいかがでしょうか。
山本様:
イメージ通り、金融商品販売の手数料を証券会社から受け取っています。多くは取引ごとに担当者が販売手数料を決定します。
コトラ武澤:
会社の収益とお客さまの幸せをどのように両立されているのか、お聞かせいただけますでしょうか?
山本様:
当社は商品の約95%が債券です。債券投資いただくことがゴールではありませんが、お客さまの人生プランを伺うと、キャッシュフローを安定させること・リスクを抑えた運用を実施することが課題解決に直結する場合が多いため、結果的に債券を選ばれるケースが多いです。
無理な取引を推奨せずとも成り立っているのは、満足いただいたお客さまや、お客さまをご紹介いただくパートナー企業さまから、新しい紹介を次々といただけるからです。
例えば、10億円の運用を3%の手数料率でお取引いただくと、3000万円の収益が発生し、現状だとそのうちの50%がバンカーの報酬になります。紹介者の方がいれば、その紹介者に対して紹介料を支払う必要があるので、ざっくり計算すると、3000万円のうち25%が紹介者、25%がバンカー、20-25%が会社が受け取るようなイメージです。
コトラ武澤:
バンカーの報酬というお話がありましたが、1人あたりの年間の取引金額や年収水準について伺えますか。
山本様:
取引金額の平均は出していませんが、昨年の実績では1年以上在籍したメンバーの平均年収が2,500万円〜2,600万円でした。今年は3,000万円を超える可能性がある勢いです。
ちなみに未経験や若手採用枠のメンバーには、一人ひとりの成長をサポートするための教育期間が1年間あります。2年目以降に飛躍するための知見を、バディ制度や研修制度を通して学びます。そのため、最初の1年は成果や日々の活動内容を踏まえて総合的に判断して賞与を出しています。
ノウハウ共有やバディ制度による組織力が強み
コトラ関口:
御社独自の強みについてもお聞かせください。
山本様:
お客さまに対して小回りが利き、きちんと対応できることは言うまでもないですが、それを実行するバンカーの成長を実現する組織的な「型」があるのが圧倒的な強みだと考えています。
コトラ関口:
「型」というのは、どのようなものなのでしょうか。
山本様:
型は当社の営業の力の源泉なので多くは開示できないのですが、例えば、富裕層のお客様で信頼してお金を任せるというのはとてもハードルが高く、新規でお客さまを獲得するのがとても難しいという課題があります。この課題に対して、いわゆる紹介営業を徹底するために、会社紹介のプレゼンテーション資料やスクリプトという「型」を完備しています。
一方で、その「型」によって成長するには「教え合う文化」が組織に根付いていることが必須です。上記の例でいうと、資料が整っているというだけでなく、会社紹介から商談に持って行くためのロールプレイングを週2回全体で実施。さらに個別でも実施しノウハウを教え合う文化があります。
これまでメンバー同士が教え合いながら成長してきた背景があり、その文化が新しく入った人たちにも自然と受け継がれています。その結果、大きなパワーとなって、組織力向上につながっています。
コトラ関口:
IFAというと、協業というよりもメンバーがそれぞれ一匹狼のように働いているイメージがありますが、御社はノウハウを共有し合って仕事をされているのですね。
山本様:
そうですね。業界では業務委託が多く、形式的には独立して「お客さまから多くの手数料をいただければ良い」といった考え方で動く人が多いと感じています。それに比べ、当社では大手企業のようにきちんとしたバディ制度を整えており、一緒にお客さまを担当、同行し、互いに教え合っています。
バディ制度で特定のメンバーと一緒にお客さまのもとへ伺うこともあれば、都合が合わなければ別のメンバーと同行することもあります。また、メンバーの誰に声をかけても快く応じてくれる風土で、ロープレや研修もお願いすれば、しっかり対応してもらえます。
コトラ関口:
私もIFA事業会社さまとお付き合いがありますが、チーム制で動かれているところはかなり珍しいなと感じます。
山本様:
以前在籍していたIFA事業会社では、業務内容も顧客層もバラバラで、知識を共有するのが難しく、各自が個別に業務を進めていました。
一方、弊社のお客さまは富裕層や資産家の方ですので、ニーズや課題がお客さまの数だけ存在するほど多様です。そのため、過去の事例から示唆を得て、ご提案内容を構想することが多く、メンバー同士で助け合うことがお客さまへの最良のご提案につながります。
こうした「お客さまへの柔軟な対応力」と「社内の学び合う文化」という両輪を活かし、積み上げてきた価値をお客さまに届けられることが、当社ならではの強みだと思います。
営業職、金融業界の未経験者も積極的に採用
コトラ関口:
現在、東京の現場メンバーは何名ほどいらっしゃるのでしょうか?
山本様:
東京のバンカーは9名です。大阪のバンカーは12名で、ミドルバックオフィスメンバーも含めると全体では33〜34名ほどになります。
コトラ関口:
メンバーの方々のバックグラウンドについてもお聞かせください。岡田様のように未経験で入社された方もいらっしゃるのでしょうか。
(※メンバーインタビュー記事への導線を設置予定です)
山本様:
そうですね。これまでは金融営業経験者を採用してきたのですが、組織的な「型」ができあがってからは、業界や営業経験の有無にこだわらず採用をしています。最近の入社メンバーは金融未経験者が増えてきており、不動産営業や繊維商社の出身者などがいます。また、営業未経験ながら金融出身のメンバーもいます。
コトラ関口:
逆に金融業界出身者は、人生に対して守りがちな人が多いという面もあると思います。M&A業界におけるインサイドセールスのように、お客さまとのアポイント獲得プロセスを企業がシステム化し、不安要素を軽減する仕組みは存在しますでしょうか。

山本様:
はい。現在は架電専任のメンバーがいて、アポイントを取得してもらっています。そのアポイントにはバディや代表が同席し、フォローできるようにしています。髙島屋からのお客さまの流入もあり、組織的に新規のお客さまや紹介者との接点を得られる仕組みが整っています。
加えて、名刺交換会や異業種交流会などを通じて自ら人脈を広げるメンバーもおり、会社の仕組みと個人の努力を組み合わせることで、サポートと成長が両立できる体制になっています。
求める人物像は、しっかりしたOSのある、素直で愚直に成長できる人
コトラ関口:
入社後に活躍するためには、どのようなスキルやセンスが必要だとお考えでしょうか。
山本様:
最も大事なのは、人として土台となる部分。パソコンでいうOSの部分だと考えています。例えば、挨拶をする、時間を守る、御礼を言う、素直に聞くなど、ひとりの大人として、ビジネスでの約束ごとを守り続けられるかという、基礎的な姿勢です。
スキルのインプットは後からいくらでも可能ですが、このビジネスパーソンとしての基礎的な部分は簡単には変えられないので。また、細かなところに気づき、自然に手を差し伸べられるといった、教えてできるようなことではないことを自然とできる方が良いです。
その上で、素直に学び続ける姿勢や、愚直に実行し続けることが大事だと思います。実際、社員を見ていると、OSがしっかりしている人が活躍していますね。
コトラ関口:
今後はどのような方にジョインしていただきたいですか。
山本様:
入社後に成長していただきたいので、素直に取り組み、迷わずやり切れる方が理想です。経験者は過去の経験則から途中で立ち止まってしまうこともありますが、未経験者は拠り所がない分、やり続けることで思わぬ宝を発見できる場合があります。だからこそ、素直に学び、やり続けられる方が望ましいと考えています。
加えて、先ほどお話しした「OS」を持っている方です。付け加えると、やる気やモチベーションを自ら高められる方が良いです。年収や預かり資産残高といった目標を掲げ、達成していくことで自然とやる気が高まり、「お客さまを喜ばせたい」という気持ちも更に高まります。その力を存分に発揮できる場が、弊社だと思います。
転職希望者様へのメッセージ
コトラ関口:
では最後に、転職希望者の方に向けてメッセージをお願いします。
山本様:
弊社では、富裕層のお客さまから高いレベルのサービスが求められるため、必然的に自己成長が促されます。お客さまに喜ばれ、頼りにされ、一生お付き合いいただける関係を築くことができます。
周りから見ると「お客さまと遊んでいる」ように見える瞬間もあるかもしれませんが、実際にはお客さまも私たちも、そして社会全体も豊かにできるプライベートバンクをつくっています。この考えに共感していただける方がいれば、ぜひ仲間になっていただきたいです。
コトラ関口:
基本的に金融機関では、一生涯にわたって同じお客さまを担当し続けることや、深い信頼関係を築いていくことはなかなか難しいものです。その点、御社のように「お客さまと一緒に人生を楽しむ」という価値観を大切にし、きちんと仕事で信頼を築いたうえで人生を共に楽しむ姿勢こそ、まさにプライベートバンクの醍醐味だと強く感じました。

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・IFA業界での経験者
・富裕層向けに営業提案 3年以上
・証券会社での営業経験(3年ほど目安)
・資産運用のご経験
・ウェルスマネジメントのご経験・ウェルスマネジメント業務、プライベートバンキング経験者・自走できる方(顧客開拓等は基本的にご自身で行います)
・顧客の満足度を考えた中長期投資に共感いただける方。
コトラでは、業界動向やキャリアに関するご相談を無料で承る「キャリア相談会」を開催しております。
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登壇者紹介
ゲスト

ヴァスト・キュルチュール株式会社
代表取締役 Co-CEO
山本 耕太郎 様
日系銀行、外資系投資銀行を経て、UBS銀行にて富裕層のお客様への提案業務に従事し、社会課題の解決を目指す共創プロジェクトを主導。2019年12月にヴァスト・キュルチュール株式会社を創業し代表に就任。
インタビュアー

株式会社コトラ
エグゼクティブコンサルタント
関口 大輔
大手証券会社で富裕層向け、中小法人向け営業に従事。プレーヤーとして資産運用、ソリューション営業を長期に経験したほか、部長職としてマネジメントを経験し、現職。

株式会社コトラ
エグゼクティブコンサルタント
武澤 諒介
法政大学経済学部卒業後、横浜銀行に入社。
個人向け資産運用提案業務と法人向けソリューション提案業務に従事。
事業法人に対して融資を中心にM&A提案やビジネスマッチング提案など幅広く業務に従事。金融領域でスキルアップを目指すキャンディデートのキャリアを支援。








