
2025年5月29日、NTTドコモは住信SBIネット銀行の連結子会社化を発表し、大きな話題となっています。
さらに6月2日には三菱UFJフィナンシャル・グループによる新総合金融サービス「エムット」のリリース、3日には三井住友フィナンシャルグループとSBIホールディングスによる新会社設立の報道があり、金融業界は大きな変革期を迎えています。
今後も各社の提携がさらに複雑化し、より大きなサービスを生み出すと予想される中、現在のリテールサービスにおける関係が一覧で分かるよう整理しました。
複雑化する銀行関係図

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)
MUFGは銀行として三菱UFJ銀行、証券として三菱UFJeスマート証券、カード事業として三菱UFJニコスを所管しています。
エムットのリリース
先日、個人向け総合金融サービス「エムット」のリリースが発表されました。これに伴い三菱UFJ銀行のスマートフォンアプリが一新され、金融サービスが一元管理できるようになるとのことです。 ロボットアドバイザー最大手で、完全子会社化されたウェルスナビとの連携が、エムットの資産運用サービスの最大の強みとなっていくことが見込まれます。
また2026年には新デジタルバンクの設立も発表されています。
KDDIとの協業関係
2024年11月には、15年以上続くKDDIとの協業関係を見直す発表もありました。 auカブコム証券を完全子会社化し「三菱UFJ eスマート証券」とする一方で、共同出資していたauじぶん銀行はKDDIに売却しています。
今後の動きを「協業2.0」と位置づけ、生成AI領域の開発・活用に協業リソースを注いでいく方針です。
三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)
三井住友銀行は総合金融サービスとしてOliveを所管しています。その他、三井住友カードによるカード事業のみならず、決済端末提供等を行うSMBC GMO PAYMENTも連結子会社として結びつきがあり、デジタルリテールビジネスに大きな強みを持っています。
Oliveの展開
OliveとPayPayの提携は、利便性の向上だけでなく、VポイントとPayPayポイントの連携による顧客基盤・経済圏の拡大につながりました。さらにはソフトバンクとの繋がりを持つことで、AIを活用したサービスが充実していくと発表されています。
SBIとの新会社設立について
すでに資本提携の関係にあり、OliveとSBI証券口座の連携等 結びつきが強い2社ですが、資産運用サービスの強化を目的とした合弁会社の設立が大きなニュースとなっています。資産運用サービスはMUFGとウェルスナビの提携が注目されていましたが、ネット証券として最大規模を誇るSBI証券との協業により各社の競争はますます激化していくと予想されます。
※現段階ではプレスリリースはなく、正式な情報が入り次第更新します。
みずほフィナンシャルグループ
みずほFGは、銀行としてみずほ銀行、証券としてみずほ証券、カード事業としてUCカードを所管しています。 また楽天やPayPayに出資しており、口座開設仲介等の連携を行っています。
楽天との提携について
2024年11月、みずほFGと楽天カードは資本提携を発表し「みずほ楽天カード」のリリースが大きな話題となりました。 独自の経済圏を持つ楽天と組むことで、顧客基盤が飛躍的に拡大し、デジタルリテール戦略を大きく推進させたと言えます。
SBIホールディングス
SBIグループには、住信SBIネット銀行とSBI証券、銀行が発行するクレジットカードがあります。また同様にポイント(スマプロポイント)事業も行っており、現金やJALマイルに変換できるほか、SBI証券での口座開設や商品取引で、Vポイントをはじめとする様々なポイントを貯めることができます。
今回のドコモによる住信SBIネット銀行買収に伴い、SBIホールディングス及びSBI証券とNTTは業務提携を結ぶこととなりました。
住信SBIネット銀行について
BaaS事業を行っており、身近な事業会社へ銀行機能を提供しています。 ドコモによる買収でSBIホールディングスの手から離れ、三井住友信託銀行とドコモ2社による出資となります。
NTT・NTTドコモ
NTTドコモによる住信SBIネット銀行の買収が発表されたことにより、KDDI(auじぶん銀行)、ソフトバンク(PayPay銀行)と、大手キャリア3社による銀行事業への参入が完了しました。 ドコモは新設予定の銀行を含め、マネックスと今後参入するSBIによる証券事業、カード・ポイント事業を所管しています。
dスマートバンク
三菱UFJ銀行と共同開発したdスマートバンクでは、アプリを通して三菱UFJ銀行の口座を開設することができます。この口座からd払いにチャージするとポイントが貯まる仕組みです。 なお、三菱UFJ銀行は口座開設でPontaポイントが貯まる「メインバンクプラス」も展開しています。
KDDI(au)
auをキャリアブランドとして持つKDDIは、auフィナンシャルホールディングスを子会社として所有し、auじぶん銀行、au PAYカード等の事業を持っています。証券会社はMUFGに買収されましたが、口座開設によるPontaポイント獲得等のサービスを提供しており、未だに結びつきがある状態です。
ソフトバンク
ソフトバンクは2025年4月、PayPay銀行とPayPay証券を子会社化しました。これによりソフトバンクグループの金融事業はPayPay傘下に集約されることとなり、銀行、証券、カード事業を行っています。
楽天
独自の顧客基盤に強みを持つ楽天は銀行、証券、カード事業を持っており、みずほとの提携によりますます経済圏が広がりました。 若年層の口座保有率が高く、今後預金残高や運用残高の増加が見込まれるほか、2024年5月にはBaaSとしてJR東日本のJRE BANKを所有しており、その利便性から、より銀行としての存在感が増していくと予想されます。
激動している金融業界のデジタルリテール戦略について、今後も情報を発信してまいります。
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