国内洋上風力発電事業者の選定結果速報(第2ラウンド)〜具体化するビジネスと求人ニーズ〜

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2023年12月13日  洋上風力第2ラウンドで公募していた「秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖」、「新潟県村上市、胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」の計3海域の選定事業者が公表されました。

第2ラウンド結果と選定のポイント

秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖には、3つの事業体から公募占用計画の提出があった中から、選定事業者は、JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力の4社で構成する「男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム」になりました。

第2ラウンドで対象海域が最も広い、新潟県村上市、胎内市沖には、4つの事業体が公募占用計画を提出しました。選定事業者は、三井物産、RWE Offshore Wind Japan 村上胎内、大阪瓦斯の3社で構成する「村上胎内洋上風力コンソーシアム」です。

長崎県西海市江島沖には、2つの事業体が公募占用計画を提出しました。選定事業者は、住友商事、東京電力リニューアブルパワーの2社で構成する「みらいえのしまコンソーシアム」です。

選定のポイントは、総合商社を中心とした大規模な企業連合が選定事業者に選ばれたことです。また、3つの海域ともに、運転開始予定時期が最も早い事業体が選定されました。

2021年の初回公募では、固定買取制度(FIT)により入札価格が売電価格となっておりましたが、今回の入札では売電時に国が補助金を上乗せするフィードインプレミアム(Feed-in Premium)と呼ばれる新たな制度を適用したことも相まって、入札価格が下限値で争われることとなり、選定のポイントとして運転開始予定時期にフォーカスが当たりました。

なお、同じく第2ラウンドで公募していた「秋田県八峰町、能代市沖」については、選定事業者の公表が見送られました。これについて経産省は「最も評価の高かった事業者について、港湾の利用重複に伴い公募占用計画を再提出いただく予定。再提出された公募占用計画について、第三者委員会における評価などを経て、2024年3月に選定結果を公表する予定」と説明しています。

【第2ラウンド結果】

区域選定事業者発電能力
秋田:男鹿市・潟上市・秋田市沖株式会社JERA・電源開発株式会社・伊藤忠商事株式会社・東北電力株式会社31.5万kW
新潟:村上市・胎内市沖三井物産株式会社・RWE Renewables Japan 合同会社・大阪ガス株式会社68.4万kW 
長崎:西海市江島沖住友商事株式会社・東京電力リニューアブルパワー株式会社42.0万kW

なお、第1ラウンドについては、2021年12月に選定がなされており、すべての区域で三菱商事を中心とした企業連合が事業者として選定され、事業開始に向けて始動しています。

【第1ラウンド結果】

区域選定事業者発電能力
秋田:能代市・三種町・男鹿市沖三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック48.0万kw
秋田:由利本荘市沖三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社ウェンティ・ジャパン、株式会社シーテック82.0万kw
千葉:銚子沖三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック39.0万kw

なぜ洋上風力の開発に注目や期待が高まっているのか

四方を海に囲まれた日本は陸地の面積が小さく、陸上の空地には既にメガソーラーが設置されていることもあり、陸地での風力発電所建設候補地が枯渇しています。一方で海上には活用可能な区域が多く点在していることから、日本でも大量導入の可能性があることが挙げられます。

政府が公表している洋上風力政策においても、①大量導入、②安価な電力、③大きな経済波及効果が期待されることから、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札と位置づけています。

①大量導入

欧州を中心に世界で導入が拡大。四方を海に囲まれた日本でも、北海周辺とは地形や風況が異なるものの、今後導入拡大が期待されている。

②安価な電力

先行する欧州では、遠浅の北海を中心に、落札額が10円/kWhを切る事例や市場価格(補助金ゼロ)の事例が生じる等、風車の大型化等を通じて、コスト低減が進展。

③大きな経済波及効果

洋上風力発電設備は、部品数が多く(数万点)、また、事業規模は数千億円にいたる場合もあり、関連産業への波及効果が大きい。地域活性化にも寄与。

洋上風力発電導入促進のための制度整備の状況

政府では、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担抑制を両立する観点から、2019年に洋上風力発電事業を実施可能な促進区域を指定し、公募を行って事業者を選定、長期占用を可能とする制度として海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)を創設しました。

これにより、国内での洋上風力開発に関する環境整備が進み、様々な企業に洋上風力ビジネスへの参画を促しています。

洋上風力発電ビジネスにかかる求人ニーズ

国内外における洋上風力発電を中心とした再エネに関するビジネスが進展する中で、事業者に選定されているような総合商社、エネルギー事業者、エンジニアリング会社などにおいて求人が顕在化しています。

プロジェクトファイナンスや資金調達も非常に重要となっており、メガバンク(信託銀行)やノンバンク・リース会社、投資銀行(証券会社)からも求人ニーズが生じている状況です。

また、事業者や金融機関のビジネスに対して専門的な助言等をするFASやシンクタンク、コンサルティング会社においても、人材ニーズが高まっています。

コトラでは、洋上風力等の再生可能エネルギーに関するビジネスに関するキャリア支援を専門にしているコンサルタントが複数在籍しており、豊富な転職支援の実績を有しています。

ご関心をお持ちの方は是非お気軽にご相談ください。

具体的な求人案件

①総合商社

②投資銀行

③リース会社

④銀行(メガバンク・信託銀行 等)

⑤コンサル・FAS

⑥エネルギー・エンジニアリング会社

エネルギー・エンジニアリング会社の案件一覧

再生可能エネルギー領域を専門とするコンサルタント

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コンサルタント 清原 駿
[ 経歴 ]
早稲田大学創造理工学部環境資源工学卒業後、アストモスエネルギー(LPガス専門商社)に入社。主にエネルギー課題解決のためのソリューション営業に従事。その後、スペシャリスト人材紹介会社を経験し、現職。
[ 担当業界 ]
エネルギー、不動産金融

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コンサルタント 村松 航也
[ 経歴 ]
広島大学教育学部卒。現在はESG領域、パブリックセクター、コンサルティングファーム、金融機関を担当。
[ 担当業界 ]
ESG領域、パブリックセクター、コンサルティングファーム、金融機関

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