ケース面接対策に役立つ書籍Part2

戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策

マーク・コゼンティーノ (著), 辻谷 一美 (翻訳), 外資系企業研究会 (翻訳)
出版社: ダイヤモンド社 (2008/9/20)

著者はハーバード大学の就職指導課で20年間学生たちの指導を務めた、ケースインタビュー対策の第一人者である。
原書に掲載されたケースやその回答例は米国を舞台とした内容だが、本書では訳者によって極力日本での実情に合うように変更されているため、日本での面接対策にそのまま利用することができる。戦略コンサルティングファームにおける採用試験の概要が把握できる上、最も重要な「ビジネス・ケース問題」について、36の例題と回答例を通して重点的に訓練することができる。

本書によると、戦略コンサルティングファームにおける面接試験は以下の4種類の質問や問題で構成される。

(1)企業の通常の採用試験に見られる、受験生の志望動機や人となりについての質問
(2)なぞなぞや論理パズルのようなブレイン・ティーザー問題
(3)マーケット・サイジング問題、ファクター問題
(4)ビジネス・ケース問題

(1)~(3)についても、どんな質問があるのかの一通りの紹介と、どのように答えればよいのかについての有用なアドバイスがあるが、十分な準備をするには他書を当たった方が良い。
例えば、(2)の対策としてキラン・スリニヴァス (著)「外資系企業がほしがる脳ミソ」、(3)の対策として細谷 功 (著)「地頭力を鍛える」は定評がある。
(4)「ビジネス・ケース問題」対策が本書の真骨頂である。本書が提案する、『アイビー・ケース・システム』を身につければ、ほぼどのようなビジネス・ケースを出題されたとしても十分な受け答えをすることが可能となる。

『アイビー・ケース・システム』は「最初の4つのステップ」と「12のケース・シナリオ」という2つの部分から構成され、「12のケース・シナリオ」はビジネス・ケース問題で問われる質問を類型化したものである。
受験者は「最初の4つのステップ」を踏むことによって出題されたケースがどのシナリオに分類されるかを把握し、それぞれのケースごとに踏むべき手順で質問と思考を進めていけば一応の答えに辿り着ける、という仕組みである。

本書の7割程の紙面を占めるバラエティ豊かな36のケース問答により、読者は『アイビー・ケース・システム』が完全に身につくまで訓練することができる。

▽ ダイヤモンド社
「戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策」
マーク・コゼンティーノ (著), 辻谷 一美 (翻訳), 外資系企業研究会 (翻訳)

外資系企業がほしがる脳ミソ―採用試験の定番! 問題解決力を試す60問

キラン・スリニヴァス (著), 辻谷 一美 (翻訳), 外資系企業研究会 (翻訳)
出版社: ダイヤモンド社 (2007/9/14)

著者はスタンフォード大学出身でウォール街の投資銀行でトレーダーとして働いた経験を持つ、論理クイズマニア。著者自身や著者の友人が投資銀行や戦略コンサルティングファームの採用面接で実際に出題された問題をはじめ、マイクロソフト等のハイテク企業、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタルで出題された問題を多数収載している。

戦略コンサルティングファームの面接試験ではマーケット・サイジング問題、ビジネス・ケース問題などが多く問われるが、本書で扱われる論理クイズやラテラルシンキングパズルの類の問題(ブレイン・ティーザー問題と呼ばれる)も頻繁に問われる。
本書はその対策として最適である。ブレイン・ティーザー問題の有名どころは一通り収載されているので、この本に登場する問題の考え方を身につけておけば、どんなクイズが出題されても考え方の目処は立つだろう。
但し、例えば53番の問題には本書に掲載されていない類題がいくつか(ジョン・ケイドー(著)「ビジネス頭を創る100の難問」収載の『1列に並んだ100人のプログラマー』など)あり、もっと数をこなしたい人は上記「ビジネス頭を創る100の難問」やウィリアム パウンドストーン (著)「ビル・ゲイツの面接試験」で補うと良い。

解答編に、問題によっては「この問題はどこそこの企業(戦略コンサルティングファーム、投資銀行、ヘッジファンドなど)の採用面接で出題された」という言及と、その時の受験生(著者自身)と面接官とのやり取りの記述があり、問題に挑戦したい気持ちを駆り立てられる。

▽ ダイヤモンド社
「外資系企業がほしがる脳ミソ―採用試験の定番! 問題解決力を試す60問」
キラン・スリニヴァス (著), 辻谷 一美 (翻訳), 外資系企業研究会 (翻訳)

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

細谷 功 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2007/12/7)

著者は東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング、そしてクニエの前身)に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定着化、プロジェクト管理、ERP等のシステム導入およびM&A後の企業統合等を手がけている。

本書で言う『地頭力』とは、短期間で成長する若手コンサルタントが共通して持ち、問題解決のための本質的な能力である「結論から」「全体から」「単純に」考えるという三つの思考力のことである。更に、これを鍛えるための強力なツールがフェルミ推定である。

フェルミ推定は、戦略コンサルティングファームの面接試験で問われる問題のうちの1つであるマーケット・サイジング問題に回答するのに用いられる考え方である。
本書の第2章、第3章を読むことで、フェルミ推定がどのようなものか、どうしたらこの思考力を鍛えることができるのかが分かる。本書では多くの例題に対する回答例が展開されているわけではないので、回答例を参考にしながら多くの問題に取り組みたい場合にはマーク・コゼンティーノ(著)「戦略コンサルティング・ファームの面接試験」の第2章やジョン・ケイドー(著)「ビジネス頭を創る100の難問」のLESSON 5 で練習すると良い。

第5章から第7章では、問題解決に必要な「結論から」「全体から」「単純に」考えるという三つの思考力について個別に詳しく説明しており、それぞれ『仮説思考力』、『フレームワーク思考力』、『抽象化思考力』と名付けている。本書ではフェルミ推定の練習を重ねることでこれらの思考力を鍛えることができるとしているが、逆にこれらの思考力をフェルミ推定の運用力を向上させるためのものとして捉えても良いだろう。

▽ 東洋経済新報社
「地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定」
細谷 功 (著)

過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題

大石 哲之 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2009/6/26)

実際に出題された外資系戦略コンサルティングファームの面接試験と、それに対して現役の外資系戦略コンサルタントが答えた模範解答を収録。
問題はフェルミ推定系問題(マーケットサイジング問題)から10題とビジネスケース系問題から10題の計20題。模範解答は著者と戦略コンサルタントが実際にディスカッションを行って作成されている。
MECEやロジックツリー、バリューチェーンといった用語そのものの説明はないが、それらを応用してどのように数字を推定するか、どのように課題を解決に導くかが分かる。
著者はアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社後、戦略グループのコンサルタントとして全社戦略の立案、マーケティング、営業革新などのプロジェクトに携わる。その後株式会社ジョブウェブを起業しコンサルタントとして独立。All About「コンサルティング業界で働く」のガイドを務める。

フェルミ推定系問題では、さまざまな切り口や要素分解の仕方があることを学ぶ。要素分解をしたのち論理的に推定できない数字は自分の体験に基づいて推定する、結論として出た数字に対して現実的かどうかを検証する、といったことも重要なポイントであることがわかる。Q7の東京都内のタクシーの台数を推定する問題では3つのアプローチを示しており、多角的な視点を持つためのヒントを得ることができる。

ビジネスケース系問題の解答では、問題をどのように構造化して細かい要素に分けるか、要素ごとにどのように考察していけば良いのかが具体例を通して理解できる。
『空港の利用者数を伸ばす』、『コインロッカーの売り上げを伸ばす』、『定食屋の収益予測』など、経営上の課題に対するコンサルタントの発想を学ぶことができる。Q15では、解答例作成にあたって現役コンサルタントと著者が行った議論が会話形式で収録されており、経営コンサルタントが課題に対してどのように思考を進めていくのかを体験することができる。

▽ 東洋経済新報社
「過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題」
大石 哲之 (著)

観想力 空気はなぜ透明か

三谷 宏治 (著)
出版社: 東洋経済新報社 (2006/10/20)

第1章では、常識の破壊をテーマとする。根本的な問題解決、新しい価値の創出のためには徹底的にシンプルに考えることで正しい視点や真の問いに辿り着くことが重要であり、その際には論理的な思考だけでは十分でなく、考える対象に関する知識も必要であると主張する。
『東京はなぜマンハッタンに比べて低層なのか』に対する答えなど、分析された結果を聞くだけでも興味深い問題が設定されている。また、数字に関する思い込みを壊すという観点から、事故の目撃証言や異常気象の問題を例に、ヒトの統計や数字への直感があてにならないことを示す。

第2章、第3章は、豊富な事例をもとに、『正しい視点とは何か』『高い視座に立つとはどういうことか』を示している。経済誌で扱われる企業の動向について、記事が訴える視点以外の視点を持つ訓練をすることができる。第4章は意思決定のツールとしてコンサルタントが常用する『2×2マトリックス』とその応用について、ゲーム会社スクウェアを例に解説する。

▽ 東洋経済新報社
「観想力 空気はなぜ透明か
三谷 宏治 (著)