監査法人からコンサルへ転職するメリット・デメリット徹底解説!

はじめに

本記事の目的と対象読者

本記事では、監査法人での経験を持つ公認会計士や監査経験のあるビジネスパーソンが、コンサルティングファームへ転職する際のメリットとデメリットを徹底的に解説します。特に、20代後半から30代前半のスタッフ・シニア・マネージャー層を対象に、年収、ワークライフバランス、キャリアパス、働き方の違い、スキル・経験の活かし方、社風・カルチャー、面接対策といったテーマに焦点を当てていきます。

監査法人→コンサル転職が注目される理由

近年、監査法人からコンサルティングファームへの転職が注目されています。その背景には、監査業務のキャリアパスに限界を感じる、よりやりがいのある仕事に挑戦したい、高収入を目指したい、キャリア形成の柔軟性を求めたいといった動機があります。監査法人の業務が会計監査や内部統制評価が中心であるのに対し、コンサルティングファームではクライアントの事業成長に直接貢献できるため、多くの公認会計士が新たなキャリアの選択肢としてコンサル業界に目を向けています。特に、ITスキルの需要が高まる中で、監査法人でもITシステム監査やデジタル変革支援といったアドバイザリー業務が増加しており、多様な専門性を持つ人材のニーズが高まっています。

転職のご相談(無料)はこちら>

監査法人とコンサルティングファームの違い

業務内容・役割の根本的な違い

監査法人の主な役割は、企業の財務諸表の適正性を客観的に評価し、信頼性を保証することです。これは「守りのコンサルティング」とも言われ、リスク排除、財務トラブル防止、業務プロセスの効率化に重点を置きます。監査法人のアドバイザリー部門は、法律やガバナンスコードに基づき、その範囲内で深い知識を提供するナレッジビジネスであり、クライアントの要望そのものがサービス内容となるコンサルティングファームと比べて働き方は緩やかになりやすい傾向があります。

一方、コンサルティングファームは企業の「攻め」を支援し、利益拡大、売上向上、事業規模拡大を目的とした戦略立案や提言を行います。M&A、新規事業開発、ITシステム導入支援、DX推進など、幅広い領域でクライアントの経営課題を解決することがミッションです。コンサルティングファームは、企業規模や業務内容に制限なく、多様な課題に取り組むため、より柔軟かつ幅広いコンサルティングを提供します。

キャリアの広がりや求められる人物像の違い

監査法人でのキャリアは、公認会計士資格を軸に監査業務の専門性を深めるのが一般的です。しかし、アドバイザリー部門ではIT、金融、リスク管理など多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しており、公認会計士の資格が必須でない場合も多くあります。キャリアパスは安定しており、長期的な視点での成長が可能です。

コンサルティングファームのキャリアパスは、より多様でスピーディな成長が期待されます。入社直後から戦略策定やプロジェクトマネジメントに携わり、特定の業界やテーマに特化したエキスパートを目指せます。求められる人物像としては、論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーションスキル、英語力、そして心身のタフさが挙げられます。成果主義の傾向が強く、自身の努力が年収やキャリアアップに直結しやすい環境です。

転職のご相談(無料)はこちら>

コンサル業界で活かせる監査法人での経験・スキル

コンサルで評価される知識や経験

監査法人での経験は、コンサルティング業界、特にFAS(Financial Advisory Services)領域で高く評価されます。財務諸表の分析力、会計基準に関する深い知識、内部統制の評価経験などは、財務デューデリジェンス(DD)やバリュエーション、M&A後の統合作業(PMI)、企業・事業再生、フォレンジック(不正調査)といった業務で直接的に活かせます。これらの業務は会計士が最も関与しやすいコンサル領域であり、監査で培った正確性や論理的思考力、問題発見能力はコンサルタントとして大きな強みとなります。

財務・会計/戦略/IT/人事コンサル分野別の活躍機会

  • 財務・会計コンサルタント監査法人出身者にとって最も親和性が高く、これまでの専門知識をFAS領域で生かすことができます。財務DDや財務会計アドバイザリーが主な業務で、財務諸表の分析力や会計基準の知識が不可欠です。
  • 戦略コンサルタント企業の経営層に対し、事業戦略やM&A、新規事業開発などのコンサルティングサービスを提供します。監査法人出身者は、財務分析や会計知識を強みとして、市場規模の大きい事業会社の経営戦略立案や実行支援に携わることが可能です。高いコミュニケーション能力、論理的思考力、プレゼンテーションスキルが特に求められます。
  • 総合コンサルタント戦略から実行まで幅広い領域を網羅し、クライアントの経営課題を包括的に解決します。監査法人出身者は、M&A関連業務や事業再生、組織再編など、財務・会計領域を中心にプロジェクトに参画し、多様な知識・スキルを習得できます。
  • ITコンサルタント近年、監査法人においてもITスキルの需要が急速に高まっており、ITコンサルタントとしての活躍機会が増えています。RPAやAIなどのテクノロジー導入支援や、ITガバナンス、IT戦略企画部門支援などが主な業務です。監査法人で案件の約90%にIT・システムが絡むようになっており、テクノロジーに強みを持つ人材は高く評価されます。
  • その他コンサルタント事業再生コンサルタントやM&Aコンサルタント、近年注目されるサステナビリティコンサルタントなど、監査法人出身者の専門性を生かせる分野は多岐にわたります。ESG(環境・社会・ガバナンス)に関するコンサルティング業務は、企業分析力や報告に関する知見が生かしやすいでしょう。

監査法人出身者が選びやすいポジション

監査法人出身者が選びやすいポジションは、やはり財務・会計系のコンサルタント、特にM&A関連のFAS領域です。監査で培った経験がダイレクトに活かせるため、転職後も比較的スムーズに業務に順応できます。また、ITスキルを兼ね備えている場合は、ITシステム監査やデジタル変革支援を行うアドバイザリー部門も有力な選択肢となります。

転職のご相談(無料)はこちら>

監査法人からコンサルへ転職するメリットとデメリット

メリット:年収アップ・新たなやりがいの発見・キャリアの多様化

  • 年収アップコンサルティングファームは一般的に高収入であり、監査法人から転職することで年収アップが見込めます。特に戦略コンサルやITコンサルでは、成果に応じたインセンティブやボーナスにより、大幅な収入増加が期待できます。監査法人と比較して、同タイトルでも100万円以上高い年収が提示されることもあります。
  • 新たなやりがいの発見監査業務は定型的なルーティンワークが多く、やりがいを感じにくいと感じる方も少なくありません。コンサルティングファームでは、クライアントの多種多様な課題に対し、常に新しい知識やスキルを習得しながら、具体的な解決策を提示することで企業の成長に貢献できます。これにより、大きな達成感ややりがいを感じることができます。
  • キャリアの多様化コンサルティングファームでの経験は、その後のキャリアを大きく広げます。監査・経理経験だけでは限定的だったキャリアの選択肢が、ファイナンス、税務、事業戦略など幅広い知見を得ることで、事業会社の経営企画部門やCFO、PEファンド、さらには独立といった多様なキャリアパスへとつながります。

デメリット:激務・ワークライフバランス・プロジェクト特有の働き方

  • 激務コンサルティングファームは一般的に「激務」として知られています。プロジェクト単位での契約が多く、クライアントの課題解決のために長時間労働を強いられることも珍しくありません。特にプロジェクトの立ち上げ時や終盤は、夜間や休日まで業務が及ぶこともあります。
  • ワークライフバランス激務であることから、ワークライフバランスを保つのが難しいと感じる人もいます。監査法人が決算期などの繁忙期が比較的明確であるのに対し、コンサルティングファームはプロジェクトの進捗によって忙しさが急激に変動するため、プライベートの予定を立てにくいというデメリットがあります。
  • プロジェクト特有の働き方コンサルティングファームの仕事は、多くがプロジェクト単位で組成されます。急な契約開始や短期間での成果が求められることもあり、常に変化に対応する柔軟性が求められます。また、クライアント先への常駐や出張が多いことも、プロジェクト特有の働き方の一つです。

ワークスタイル・社風・カルチャーの実情と注意点

コンサルティングファームは成果主義が強く、個人のパフォーマンスが直接評価に結びつきます。多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが集まり、常に知識やスキルの向上を求める社風です。監査法人がチームプレーを重視する傾向があるのに対し、コンサルティングファームは個人プレーの割合も多く、競争意識が高い環境です。

転職を検討する際は、希望するファームの具体的なワークスタイル、社風、カルチャーを事前に詳しくリサーチすることが重要です。特に「監査法人のような精神的ストレスはないが、肉体的には疲弊する」といった声もあるため、自身の体力やストレス耐性を考慮し、無理なく働ける環境かを見極める必要があります。

転職のご相談(無料)はこちら>

転職成功のポイントと転職活動プロセス

現状分析と自己PRのポイント

転職成功のためには、まず自身の現状を客観的に分析することが不可欠です。監査法人での業務経験、培ったスキル(財務・会計知識、論理的思考力、分析力など)を具体的に棚卸し、どのようなコンサルタント像を目指すのか、転職活動の軸を明確にしましょう。

自己PRでは、監査法人での経験がコンサルティング業界でどのように活かせるかを具体的にアピールすることが重要です。特に、監査で培った課題解決能力や論理的思考力、データ分析能力はコンサルタントに不可欠なスキルであり、具体的なエピソードを交えて伝えることで説得力が増します。また、なぜコンサル業界を選んだのか、その中でなぜ特定のファームや領域に興味があるのかを明確に伝えることが重要です。

面接・選考で重視される点

コンサルティングファームの選考では、論理的思考能力、課題解決能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーションスキル、そして心身のタフさが重視されます。特にケース面接やフェルミ推定といったコンサル特有の選考方法が課されることも多いため、事前の対策が不可欠です。

面接では、志望動機やこれまでの業務経験について深く掘り下げた質問がされます。「なぜコンサルなのか」「なぜこのファームなのか」「監査法人とコンサルの仕事スタイルの違いを理解しているか」といった点を論理的に、かつ具体的に説明できるよう準備しましょう。

転職活動の注意事項

転職エージェントは、非公開求人の紹介、応募書類の添削、面接対策、年収交渉など、転職活動全般にわたる強力なサポートを提供してくれます。しかし、転職エージェントに頼りきりになるのではなく、自分自身でも情報収集を行い、積極的に動くことが大切です。

  • 複数のエージェントを利用する:総合型とコンサル特化型の両方を活用し、より多くの求人情報と専門的なアドバイスを得ることで、選択肢を広げることができます。
  • 自分の意思を明確に伝える:エージェントとの面談では、自身の経歴や希望、キャリアビジョンを正確に伝え、ミスマッチのない求人紹介につなげましょう。
  • 主体的な情報収集:企業のウェブサイト、業界レポート、口コミサイトなどを活用し、ファームの文化やプロジェクト内容を深く理解することが重要です。

キャリアパスをどう描くか

コンサルタントとしてのキャリアパスは多岐にわたります。ファーム内で昇進を目指すだけでなく、事業会社の経営企画部門やCFO、PEファンド、投資銀行、あるいは独立といった選択肢もあります。

転職活動の段階で「いつまでコンサルで働き、その後に何をしたいのか」といった長期的なキャリアプランを具体的に描くことが重要です。コンサルで得られるスキルが、その後のキャリアにどのように活かせるかを戦略的に考えることで、より充実したキャリアデザインが可能になります。

転職のご相談(無料)はこちら>

転職事例・体験談

監査法人→コンサルへの転職成功例と失敗例

  • 成功例新卒で大手監査法人に入社後、会計監査や内部統制アドバイザリーを経験。コンサルティングファームとの共同プロジェクトを通じて経営コンサルに興味を持ち、課題解決型の業務経験や高い知能、コミュニケーション能力が評価され、外資系戦略コンサルティングファームへの転職に成功した事例があります。若手でポテンシャルが高く、戦略コンサルと監査法人の仕事スタイルの違いを理解し、コンサルに必要なベーシックスキルを兼ね備えていたことが成功要因として挙げられます。
  • 失敗例ある公認会計士は、監査法人勤務後、情報収集不足のまま独立系FASに転職し、後に失敗と感じました。原因は、コンサルティングファームの種類や内情を深く理解していなかったことです。「コンサルができるならどこでも良い」という安易な判断が、ミスマッチにつながる可能性があります。

各年代・職位(20代後半~30代前半・スタッフ/シニア/マネージャー)ごとの実体験

  • 20代後半(スタッフ/シニアスタッフ)監査法人で数年の経験を積んだ後、キャリアアップや新たな挑戦を求めてコンサルティングファームへ転職するケースが多く見られます。若手であるため、ポテンシャル採用の余地が大きく、論理的思考力や問題解決能力、英語力などが評価されやすい傾向にあります。年収は600万円台後半から800万円台を目指せる可能性があります。
  • 30代前半(シニアスタッフ/マネージャー)監査法人でマネージャー手前の職位まで経験し、より経営に深く関わる仕事や、幅広い専門性を身につけたいと考える層が多く、コンサルティングファームへ転職します。M&Aや国際会計の実務経験など、「プラスアルファ」の専門性が求められるようになります。年収は700万円から900万円以上が目安となるでしょう。この年代では、即戦力として、これまでの経験をコンサルビジネスでどう活かすかという具体的なビジョンが重視されます。

転職のご相談(無料)はこちら>

まとめ

監査法人からコンサルへ転職する際のポイント総整理

監査法人からコンサルティングファームへの転職は、年収アップ、新たなやりがい、キャリアの多様化といった大きなメリットがある一方で、激務やワークライフバランスの課題、プロジェクト特有の働き方といったデメリットも存在します。

成功の鍵は、自身の現状を正確に分析し、コンサル業界で活かせるスキルや経験を明確にすること。そして、希望するコンサルティングファームの業務内容、社風、カルチャーを深く理解し、自身のキャリアパスと合致しているかを見極めることです。面接対策では、コンサルに求められる論理的思考力、課題解決能力、コミュニケーション能力をアピールできるよう準備しましょう。

今後のキャリアデザインのヒント

コンサルタントとしての経験は、その後のキャリアを大きく広げる貴重な資産となります。ファーム内での昇進はもちろん、事業会社の経営企画、CFO、PEファンド、あるいは独立など、多様な選択肢が生まれます。

長期的な視点でキャリアデザインを描き、「いつまでコンサルで働き、その後に何をしたいのか」を明確にしておくことが重要です。自身の価値観や強みに基づいて、計画的にスキルアップを図り、主体的にキャリアを形成していくことで、理想の働き方を実現できるでしょう。

この記事で触れた業界・職種に強い求人多数
コトラがあなたのキャリアを全力サポートします
20年超の実績×金融・コンサル・ITなど
専門領域に強いハイクラス転職支援

無料で登録してキャリア相談する

(※コトラに登録するメリット)

  • ・非公開専門領域の求人へのアクセス
  • ・業界出身の専門コンサルタントの個別サポート
  • ・10万人が使った20年にわたる優良企業への転職実績
  • ・職務経歴書/面接対策の徹底支援
今すぐあなたに合った
キャリアの選択肢を確認しませんか?
関連求人を探す

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。