この記事で得られる情報
本稿では、NTTデータ、NEC、富士通、日立製作所といった大手SIer4社の女性従業員比率・女性管理職比率・女性役員比率の公開情報をまとめ、比較します。さらに、各社の女性活躍推進に関する目標数値や育成施策・キャリア支援制度も解説します。
なぜ今、IT業界における女性活躍比率が注目されているのか?
「人的資本経営」が企業に求められる今、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)、特に女性の活躍推進は単なるCSRではなく、企業の持続的成長と経営戦略に直結するテーマです。特にIT業界の中核を担う大手SIerは、技術力と組織力を兼ね備えたモデルケースであり、今後の職場選びにおいても重要な比較軸となります。
各社グループ全体での女性比率
ここでは、各グループの女性従業員比率、女性管理職比率、女性役員比率を比較します。なお、データはすべて2023年度のもので揃えています。
企業名 | 女性従業員比率 | 女性管理職比率 | 女性役員比率 |
---|---|---|---|
NTTデータ | 32.4%(7,487名) | 10.8%(327名) | 15.5%(9名) |
NEC | 24.9%(26,264名) | 10.3%(2,805名) | 比率記載なし(取締役2名) |
富士通 | 25.2%(7,375名) | 15.8% ※幹部社員 (人数記載無し) | 22.2%(取締役2名) |
日立製作所 | 22.5%(人数非公開) | 14.1%(8,639名) | 11.4%(9名) |
※NECの役員比率は公開されていませんが、人数は記載があります。
NTTデータ
NTTデータは、他社と比較して、女性従業員比率の水準が高いです。
女性従業員比率は32.4%(7,487名)と4社中最も高く、全体の約3人に1人が女性という構成です。女性管理職比率も10.8%(327名)と一定の登用実績があり、着実に管理職への進出が進んでいます。同様に、女性役員比率も15.5%(9名)と高く、経営層への女性登用が進んでいると言えるでしょう。
NEC
NECも、比較的女性比率の水準が高いと言えます。
女性従業員比率は24.9%(26,264名)と全体の約1/4を占めており、女性管理職比率は10.3%(2,805名)と、NTTデータと同程度の水準で、登用が進みつつあります。ホームページには女性役員数についての細かい記載があり、参考として取締役に2名の女性が在籍しています。
富士通
富士通は、女性管理職と役員比率の高さが際立つ企業です。
女性従業員比率は25.2%(7,375名)で中程度の水準ですが、女性管理職比率は15.8%と、4社中最も高くなっています(※幹部社員に限定)女性役員比率は22.2%で、取締役2名が女性です。このように、管理職における女性比率が最も高い点が特徴です。
実質的なリーダー登用が進んでいることがうかがえます。
日立製作所
日立製作所は、女性管理職の「人数」が非常に多い一方で、比率は他社と同程度です。
女性従業員比率は22.5%と4社の中では最も低いものの、女性管理職比率は14.1%(8,639名)と人数ベースでは最も多く、大規模な人材基盤があることがわかります。これは、日立製作所が製造業での強みを持つことから、今もなお男性従業員数が多いことが理由だと言えるでしょう。また、女性役員比率は11.4%(9名)です。
グループの規模が大きいため、今後は比率だけでなく、質的な登用や役員へのさらなる登用が注目されます。
2. 各社の女性活躍推進の取り組み
続いて、各社の女性活躍推進の取り組みを解説します。なお、NTTデータ、NEC、富士通はプラチナくるみん、えるぼし(3段階目)を取得しており、女性のライフステージに合わせた支援制度を設けていると言えます。なお、日立製作所については、くるみん、えるぼし(2段階目)を取得しており、グループ会社の日立ハイテクでは両制度の認定を受けています。
えるぼしとは?
女性活躍推進に積極的な企業を厚生労働省が認定する制度で、3段階の認定レベルがあります。採用や管理職比率、働き方など5項目の基準に基づき評価され、認定企業は対外的な信頼性が高まり、採用広報にも活用できます。なお、星の数と認定基準については以下のとおりです。
・1つ星:5つの評価項目のうち、1つまたは2つの基準を満たしている場合
・2つ星:5つの評価項目のうち、3つ以上の基準を満たしている場合
・3つ星:5つの評価項目全てを満たしている場合。
くるみんとは?
子育て支援に積極的な企業を厚生労働省が認定する制度です。次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てしやすい職場環境づくりに取り組む企業が対象です。認定を受けると「くるみんマーク」を使用でき、企業の子育て支援の姿勢を広くアピールできます。くるみんとプラチナくるみんの違いは、認定基準の違いがあります。男性の育休等取得率を例に挙げると、くるみんの認定基準は10%以上に対してプラチナくるみんは30%以上と、より高い基準となっています。
以下は、各社の女性推進の取り組み表です。
企業名 | 数値目標 |
---|---|
NTTデータ | 2025年度末までに、 ・女性従業員比率30%超 ・女性管理職比率15% ・女性幹部20名以上 ・男性育休取得率100% |
NEC | 2025年度末までに、 ・女性従業員比率30% ・女性管理職比率20% ・役員の多様性比率20%(女性・外国人) |
富士通 | 4カ年通算で、 ・新任幹部社員登用の女性比率10%以上 ・男性の育児休暇、育児休業取得日数平均90日間以上 |
日立製作所 | ・2025年度末までに女性管理職比率25% ・2030年度末までに女性役員比率30% |
NTTデータ
NTTデータは、女性活躍に関する定量目標の明確さと、制度・文化両面の充実ぶりが際立っています。上記のKPIを掲げているほか、キャリア形成セミナーの実施や「NTTデータWomen’s Initiative」「Self As We」などの女性主導の自律的な取り組みも活発です。グローバル会議で女性活躍をテーマに据えるなど、発信力にも強みがあります。
NTTデータWomen’s Initiativeとは?
NTTデータが女性活躍推進のために始めた取り組みです。部長クラスの女性社員が中心となり、プライベートやキャリアに関する相談、人脈形成支援などを行っています。これにより、女性が結婚や出産などのライフイベントに左右されずに活躍できる環境を目指します。
「Self As We」とは?
NTTグループの女性役員が発起人となり立ち上げた有志の取り組みで、Diversity & Inclusion(D&I)と分散型ネットワーク社会の実現を柱としています。「個」が「つながり」の中で支え合うという理念のもと、D&Iの推進、働きやすい環境づくり、地域貢献などを通じて、Well-beingの最大化とサステナブルな社会の実現を目指しています。
NEC
NECでは、NTTデータ同様、2025年度末までに女性従業員比率30%、女性管理職比率20%、役員の多様性20%を掲げています。ここでいう多様性とは、女性・外国人を指します。ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略の中心に位置づけ、多様な人材の活躍を推進しており、特に女性役員の登用に力を入れています。さらに、柔軟な働き方の整備やグローバルな人材活用にも注力し、多様性を力に変える組織づくりを進めているなど、様々な女性推進の取り組みをしています。これらの取り組みは、他企業にとっても参考となる先進事例です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
富士通
富士通は、新任管理職に多数の女性を昇格させる目標や、男性社員の育児休職取得率向上など、女性の活躍推進や育児に関する施策に取り組んでいます。また、2024年3月時点で女性役員比率は21.4%に達しており、女性リーダー育成プログラムを通じて選抜、メンターシップ、キャリアフォーラムを実施するなど、様々な事例があります。詳しくは以下を御覧ください。
日立製作所
日立製作所も、DEIを経営指標に反映させ、役員報酬や人事評価にも反映する仕組みを整えています。特に、グループ各社での目標値や取り組みを詳細に開示しており、ミクロな視点で比較が可能となっています。例として、以下のようなものがあります。
日立エナジー
日立エナジーでは、「ダイバーシティ360」という全社的アプローチを通じて、2025年までに女性従業員比率を19→25%、女性管理職を25%に引き上げ、若手女性のキャリア採用者比率を40%にする数値目標を掲げています。2022年以降、CEO直轄の協議会を設け、KPI連動型のリーダー報酬制度とメンター制度による中間管理職育成も推進しています
日立ハイテク
日立ハイテクは、2024年度までに女性管理職比率6.6%を目指すことを公表しました。管理職候補育成やメンター制度、座談会などを通じてキャリア形成を支援したり、男性の育児休業取得促進や、LGBTQ+への理解促進、外国籍社員の活躍支援など、あらゆる背景を持つ社員が力を発揮できる環境整備に取り組んでいることを表明しています。これらの取り組みにより、えるぼし、プラチナくるみん認定を取得しています。
まとめ:女性活躍推進は「組織文化×制度設計×数値目標」の三位一体が鍵
NTTデータ、NEC、富士通、日立製作所の4社はいずれも、女性活躍を企業の持続的成長と戦略に結びつける視点から、明確な数値目標を掲げ、制度や文化の両面からアプローチしていることがわかります。
いずれの企業も、「制度を作るだけ」ではなく、それを機能させ、文化として根づかせる努力を継続していることが共通点であり、今後はより一層、女性が活躍できる環境が整えられると想定できます。
女性登用が進む中、「女性が活躍できる環境があるかどうか」だけでなく、自分らしくキャリアを築ける組織風土や支援体制があるかという視点で企業を見極めることも、より重要になっていると言えるでしょう。
主な案件紹介
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