業務内容から将来性まで徹底解説!「保険業界」

業務内容から将来性まで徹底解説!「保険業界」
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少子高齢化や、グローバル化、インターネットの普及によりニーズの変化が著しい「保険業界」について解説します!

保険業とは

保険業とは、不測の事故に備えたい保険加入者から保険料を収受し、所定の保険事故が発生したときに、保険金を所定の者に支払う事業のことを指します。

保険業界の種類

保険業界は主に、「生命保険会社」「損害保険会社」、「保険代理店」の3種類に分けられます。それぞれの会社によって、取り扱う商品や業務内容など、特徴がありますので紹介していきます!

生命保険会社

生命保険会社の業務は、大きく2つに分けられます。1つ目は、契約者から保険料を収受し、契約内容に応じて保険金を支払う「保険業務」です。2つ目は、顧客から集めた保険料を運用することで資産を増やし、保険金や配当などの財源にする「資産運用業務(金融業務)」です。

生命保険会社は、「第一分野」と呼ばれる、終身保険や養老保険、個人年金保険などを取り扱います。保険・金融に関する専門的な知識に加えて、顧客のライフプランを把握し、それに合わせた保険商品を提案するための洞察力が求められます。

損害保険会社

損害保険会社の業務は、主に、保険商品の販売、事故や災害の損害査定、被害者への保険金の支払い手続きなどです。

損害保険会社では、「第二分野」と呼ばれる、自動車保険や火災保険などの事故や突発的事象による損害を補償する保険商品を取り扱います。

なお、保険商品には「第三分野」と呼ばれる、医療保険やがん保険など、生命保険会社、損害保険会社共に取り扱うことができる商品もあります。

保険代理店

保険代理店の業務は、保険会社との間で締結した代理店委託契約に基づき、保険会社に代わって、顧客との契約業務を代行することです。

近年では、複数の保険会社と代理店契約を結び、商店街やショッピングモールで、各種保険の相談を受けたり契約を交わしたりする来店型保険代理店も普及しています。
また、不動産業者、ハウスメーカー、カーディーラー、自動車修理工場などと提携している場合もあります。

保険代理店は、顧客と保険会社の橋渡し役として、各種保険サービスを提供するという重要な役割を担っています。

保険業界の仕事内容

保険業界の職種は、「商品開発」「営業」「保全」「資産運用」の4つの職種に分類することができます。
この項目では、4つのそれぞれの業務内容について詳しくみていきましょう!

商品開発職の業務内容

保険会社では、常に新しい保険商品の開発・企画を行っています。

生命保険であれば「終身保険」「医療保険」「がん保険」「介護保険」「就労不能保険」などの保険商品があり、損害保険であれば「自賠責保険」「自動車保険」「火災保険」「地震保険」「傷害保険」などの保険商品があります。

保険業界の取り扱う保険商品は無形商材であり、万が一に備える安心や安全といった目に見えないサービスであるという特性があります。
そのため、商品開発においては、市場のトレンドやニーズ、社会情勢の調査を行い、その調査結果に基づき、その他の様々な要素も考慮して、商品の開発や企画を進めていくことが重要です。

商品開発の業務内容は多岐に渡り、ターゲット層の調査や、ニーズやトレンドを把握する「マーケティング」、マーケティングの調査結果に基づき商品を企画する「新商品の企画、立案」、既存商品のマイナーチェンジによる改良を行う「既存商品の改良」などがあります。

さらに新商品の開発だけではなく、既存商品の改良においては、市場の調査だけではなく、営業職と連携しながら、保険契約者の声や満足度など分析し、新商品の開発に役立てることも求められます。

無形商材であるがゆえの難しさがありますが、しっかりとした調査・分析を行い、時代に即した商品や、顧客が抱える課題や要求に対して応えられるようなサービスの開発を行うことが非常に重要になります。

営業

保険業界の営業は、法人や個人向けに、保険商品の販売を行います。

保険業界は保険の商品を販売することで収益を得ています。そのため、保険業界にとって最も基礎的な業務となる保険商品の販売は、新入社員が担当することも多い職種です。

営業活動においては、自社の利益も考慮しながら、顧客のニーズをしっかりと把握して、それぞれのニーズに合った提案を行うことが重要です。

企業向けの法人営業では、生命保険の場合は、総務部門の福利厚生担当者から役員レベルまでが顧客となります。

生命保険の法人営業は、商談が成立に至るまで根気強く連絡を取ったり、客先を訪問する精神力や、信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキルや提案力が求められます。

一方、一般の消費者が顧客となる個人営業でも、電話や飛び込み営業によりアポイントを獲得する、アウトバウンドセールスが一般的です。これに対して、保険代理店の営業では、基本的に来店した顧客に対して保険を提案するインバウンドセールスを行います。

いずれにしても、顧客のライフプランや抱えている不安・要望などを把握する能力や、適切な保険商品を選び、提案する能力が必要になります。

しかし、商品の提案の際には顧客ニーズだけでなく、自社の売上も考慮することが求められます。そのため、時には営業成績を優先した提案になってしまう場合もあります。

保険会社の営業担当者は、契約者の利益を第一に考えた上で自社の売上にも貢献するべく、両方の実現のためにバランスの取れた営業活動を行うことが重要です。

保全

保険会社での保全業務は、主に保険商品の新契約や継続に関して多岐に亘ります。
一例として、契約後のお客様からの問い合わせに応じたり、プランの変更、解約などを担当します。そして、保険適用となった場合には、相談窓口の役割も担います。

保険商品では、保険の適用範囲は商品の種類やプランごとに決められており、保険に加入していても、すべてのケースで保険金がおりるわけではありません。
また保険金の上限額などの定めに則って、実際の支払額を決定するのも保全業務です。

保全担当者の仕事は、実際に顧客の対応を通じて、自社商品の品質向上に努めることになります。そのため自社商品の知識だけでなく、誠意を持って顧客に対応できる能力も求められます。

資産運用

契約者から集めた保険料を、株式や債券、不動産への投資や、企業や団体への貸し付けを行うなど、様々な形で運用することで利益を得る業務です。
資産運用の対象は、個人だけでなく法人の場合もあります。

生命保険契約は、何十年もの長期にわたる契約が多いため、保険金や給付金、配当金を安定的に支払うことを目的として資産運用を行います。

契約者から預かった保険料を原資としており、顧客からの保険金・給付金請求には迅速に応じる必要があります。このため、「安全性・収益性・流動性」を基本原則とした投資、資産運用を行うことが重要です。

つまり、生命保険会社では収益性の高い資産への投資よりも、安全性が高く顧客の保険料を原資とした資金を担保できることが重視されます。

生命保険会社はこの基本原則に則り、公社債を中心として厳格なリスク管理の上で外国証券等のリスク性資産に投資を行うこともあります。

また、安定的な収益の向上のために、投資対象や投資国、投資期間などを分散する「分散投資」によってリスクを減らし、バランスよく資産運用を行います。

このように保険業界の業務は、商品開発や営業、資産運用など多岐に渡り、多様な働き方ができる業種となっています。

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保険業界のトレンド

少子高齢化

近年、少子高齢化による経済リスクの高まりが、保険業界に大きな追い風となっています。

出生率の低下や平均寿命の伸長などにより、さらなる高齢化が予測される中、生活費の確保や医療費の支出などが懸念されています。これらのリスクを軽減するために、保険を活用しようという人たちの増加が見込まれるため、保険業界の需要は高まりつつあります。

ネット保険の普及

近年、インターネットの普及に伴い、インターネット上で気軽に見積もり、他社との比較、加入などができるネット保険に加入する人が増加中です。
ネット保険は、大手生命保険、損害保険会社のものから、新規参入のネット保険会社の商品まで様々なものがあります。

ネット保険の最大の魅力は、時間や場所の制約を受けずにスマホやパソコン1つで加入できる手軽さにあります。
また、販売員による直接販売と比べて大幅に手数料や人件費をカットできるため、低価格での保険商品の提供が可能となりました。

30歳代標準男性の場合、直接販売型保険と比較して、ネット保険の定期保険の月々の支払額が、1,000円近く安いというデータもあり、(参考:価格.com – ネット生保は本当に安いの?)ネット保険業界の価格競争は年々激しくなっています。

このようなネット保険の需要の高まりの中で、各社ともネット保険の販売に力を入れており、ネット保険の業界シェアは急拡大中です。

保険業界の将来性

グローバル化

グローバル化により、保険業界でも国内に留まらず、海外に進出する企業も増加中です。

例えば、日本生命保険によるインドの保険会社への出資、第一生命保険によるベトナムの保険会社の買収、明治安田生命保険によるドイツやポーランドの保険会社との共同事業の展開など、大手保険会社も次々と海外進出を展開しています。

これらの保険会社の海外進出の背景には、少子高齢化による国内の人口減少などがあります。新規保険加入数は減少は避けられず、国内需要は行き止まりの傾向にあります。

一方で、新興国では保険需要が高まっており、現地企業を買収したり、業務提携などを行うことで、新たな販路を見出し、海外での事業展開による利益拡大を目指す企業は増加中です。

商品サービスの多様化

少子高齢化により、保険の新規加入数は減少しているものの、個々のリスクへの備えのため、今後、介護保険、医療保険、年金保険などのニーズは高まっていくものと予測されます。

これらの需要に応えるために、近年、介護補償関連の商品の開発や、介護施設の運営、契約者向けの介護ケアサービスの提供、介護関連情報の提供などに注力する保険会社が増えています。

少子高齢化によるニーズの変化により、保険業界に求められる役割も変化しており、保険会社が開発、提供する商品やサービス、また保険を通じた働き方は多様化していくことが予想されています。

まとめ

保険業界は、「競争の激しさ」や「厳しいノルマ」などのイメージを持たれがちですが、業務内容は多岐に渡り、時代に即して刻々と変化しています。

顧客が安心して生活を送ったり、万が一の場面において事態を迅速かつスムーズに収拾するために、保険業界の仕事は必要不可欠です。

顧客から感謝されることも多く、やりがいも大きい保険業界で活躍していただける方を是非お待ちしています!

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 業務内容から将来性まで徹底解説!「保険業界」

平間一生

[ 経歴 ]
明治大学を卒業後、広告代理店に入社し金融機関/不動産会社を担当。その後大手生命保険会社に転職し、FP として各種金融知識のアドバイスならびに生損保、投資運用商品提案業務に従事。メガバンクでは、富裕層向け運用提案から法人向け融資業務まで法人/個人業務全般を担当。退職後、融資コンサルタント(個人事業主)として活動し、現職。

[ 担当業界 ]
金融機関、広告代理店、ベンチャー