UBSウェルス・マネジメント 企業インタビュー

イントロダクション

世界最大級の金融グループのUBS(正式名称:UBS AG)。150年余の歴史を持つ同グループは、スイスのチューリッヒに本店を置き、世界の主要な金融センターを含む50カ国余で提供している質の高い金融サービスを提供していることに定評がある。

主要格付け機関から高い格付けを受けており、主要部門である投資銀行・証券業務、富裕層向けウェルス・マネジメントおよび資産運用業務では、いずれも世界有数の地位 を占めている。

日本においてはUBS証券株式会社、UBS銀行東京支店、UBSグローバル・アセット・マネジメント株式会社の三法人を通じて、法人・機関投資家および個人富裕層の顧客向けに様々な金融商品とサービスを提供しているが、最近はそのウェルス・マネジメント業務に注目が集まっている。団塊世代からの世代交代が進んでいく中、1600兆円を越えると言われる個人金融資産の動向が動き出すと言われており、「スイス・プライベートバンク」の正統な系譜にあるUBSウェルス・マネジメントも日本市場に熱い視線を注いでいる。

今回、そのUBSウェルス・マネジメントの三人のキーパーソンに日本におけるウェルス・マネジメント事業についての話を伺った。 一人は日本におけるUBSウェルス・マネジメントの指針を決めるUBS銀行ウェルス・マネジメント本部事業開発・営業推進部長。一人は実際に現場を指揮する営業本部部長。さらに最前線で富裕層ビジネスに取り組む若手クライアント・アドバイザーの三人だ。 自らのキャリアにウェルス・マネジメントという選択肢を入れてみたい人は必読の特集だ。

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Vol.1 スイス・プライベートバンクの雄、UBSウェルス・マネジメントの日本戦略

1.ウェルス・マネジメントとは何か?

金融界に身をおくものでも、自らのキャリア設計にウェルス・マネジメントを視野に入れるものは、今までそう多くはなかっただろう。しかし世界的に大きく成長するこの分野に日本国内でも注目が集まってきている。特にウェルス・マネジメントをコアビジネスとするスイスのUBSグループは、その世界戦略において日本市場での事業を強化しており、日本国内でもウェルス・マネジメント分野の人材登用を積極化していく方針だ。

では、ウェルス・マネジメントとは具体的にどういうビジネスなのだろうか?ウェルス・マネジメントという言葉に馴染みが薄いという人でも、プライベート・バンキングという言葉は聞いたことがあるだろう。スイスで発祥したプライベート・バンキングは、富裕層を対象に当初は決済・貸付機能を中心に行われていた。しかし、1990年代以降、金融商品の多様化にともない富裕層のニーズも複雑化していった。決済・貸付といういわゆる銀行業務に留まらず、デリバティブを使った資産運用やグローバル市場へのアクセスというようなサポートも求められるようになっていった。そうした一連の機能を有機的に結びつけようとする機運が高まる中、業務内容がバンキングという言葉の中には収まりきらないということから「ウェルス・マネジメント」という概念が広がりを見せていったのだ。

ウェルス・マネジメントという広義のプライベート・バンキングの世界ランキングにおいて、預かり資産総額世界ランキング第1位(Scorpio Partnership調べ:https://prottapp.com/p/281d9e)が、今年で日本に進出して10年を越えたUBS銀行のウェルス・マネジメント部門だ。

スイス・プライベートバンクの伝統を受け継ぐUBS銀行は150年余りの歴史を誇っており、成長分野である超富裕層向けの資産管理において世界をリードしている。そのUBS銀行がウェルス・マネジメントの世界戦略において、日本市場に熱い眼差しを向けているという。

その狙いは何か?また、UBSの戦略実現に向けてどのような人材が求められているのか、UBS銀行ウェルス・マネジメント本部事業開発・営業推進部長のK氏に話を聞いた。

2.動き出す個人金融資産

— 今、なぜUBS銀行ではウェルス・マネジメント事業に力を入れているのですか?

K氏:「UBSグループは日本に進出して今年で50年になります。ウェルス・マネジメントに関していうと、昨年10周年を迎え、今年で11年目に入りました。お陰さまでこの10年で預かり資産も順調に増えています。次の10年を考えた時、日本のウェルス・マネジメント市場は大きく動き出すと言われています。日本では、1600兆円以上とも言われる個人金融資産の多くが高齢者に集中しています。これから社会の高齢化がますます進み、富が次の世代に大きく動き出すと予想されます。そうした環境下で、我々UBSウェルス・マネジメントとしては、グローバルな金融機関としての強みを発揮し、我々のノウハウを日本の富裕層の皆様にご提供していきたいと考えております。UBS東京支店の業容拡大に合わせてより質の高い人材をできるだけ多く採用したいとと考えています。

— 具体的にUBSウェルス・マネジメントがターゲットとするのはどういったお客様なのでしょうか?

K氏:「我々は富裕層と超富裕層いう2つのセグメントにわけて考えています。前者はUBSへの預かり資産が2億円以上の方、後者は50億円以上の方です。とは言っても、お客様のお持ちの資産のすべてをお預け頂けることは少ないでしょうから、実際には富裕層の方ですと5億円以上の金融資産をお持ちの方になると思います。色々な統計があるのですが、金融資産が5億円以上の富裕層は5万世帯以上いるのではないかと考えています。」

日本には元々欧米のような超大富豪が少ない上に、資産運用についても保守的な考えを持つ人が多く、プライベート・バンキングやウェルス・マネジメントには不向きのマーケットだという言説もあった。しかし、先述のとおりウェルス・マネジメントは単なる資産運用ではなく、より幅広く富裕層のニーズや悩みに対応していくビジネスだ。それを考えると、今後は富裕層の相続や事業承継の問題が深刻化していくことが避けられない環境の中、向こう10年、日本のウェルス・マネジメントビジネスに大きなチャンスがあるのは間違いないだろう。

3.外資撤退するも広がるビジネスチャンス

しかしながら、イギリスのHSBCグループやアメリカのCitiグループなどの外資系企業が次々と日本の富裕層ビジネスから撤退している。金融に関する規制が海外とは異なる中での苦戦も報じられているが、そのような中でUBSウェルス・マネジメントはどこにビジネスチャンスを見出しているのだろうか?

K氏:「富裕層の中でのプライベート・バンキングに対する認識はこの10年間で変わってきています。途中リーマン・ショックなどもあり停滞した時期もありましたが、私たちのビジネスも順調に伸び続けているからこそ、UBSもグローバルで強力にバックアップしてくれています。他の外資系企業の撤退については個々の事情があるのでしょうが、ひとつ言えるのは彼らにとってのウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングは数ある事業の一つに過ぎなかったということです。

それに対しUBSではウェルス・マネジメントを銀行のコアビジネス(中核事業)として位置づけているので、コミットメントの強さが違います。最近では、撤退した外資系金融機関の事業を日本の金融機関が受け継ぎ、銀行業務ではカバーし切れないことをグループ全体でサポートし、シナジー効果により事業を大きくする試みも見られます。事業として顕在化していない、お客様自身も気づいていないニーズはまだまだあるので、ウェルス・マネジメント業界は成長の余地が十分にあると言えると思います。

UBSウェルス・マネジメントとしては、今後日本の金融機関との差別化要因をより明確に打ち出し、UBSだからこそ提供できる様々なサービスを通じてニーズを満たし、お客様にご満足頂くことで、ウェルス・マネジメント業界をさらに一層成長させるべく、業界のリーダーとして尽力したいと考えています。

4.邦銀にないコアビジネスとしてのウェルス・マネジメント

では日本の金融機関に提供できないUBSウェルス・マネジメントならではのバリューとは一体どういったものなのだろうか?

K氏:「私たちはお客様にどういった体験をお約束できるかという『クライアント・プロミス』を強く意識してビジネスを行っています。UBSウェルス・マネジメントのクライアント・アドバイザー(CA)は、単に商品を売り込む営業マンでもなければ、お客様からの注文を受けるだけの御用聞きでもありません。お客様が抱えているお悩みや顕在化していないニーズまでをも汲み取って、解決策を提案する。お客様の立場、ライフステージ、更にはその時々の市場環境、予測される将来の状況を考慮した上で、最適な提案をし、実行する。結果を検証し、さらに改善を続ける、そのサイクルを繰り返すことで、お客様との信頼関係をより確かなものにしていく、これこそが『クライアント・プロミス』です。

「人はお金のことや家族の問題は本当に信頼した相手にしか相談しません。単に金融機関の目線で接していては相互の信頼関係を築き上げてゆくことはできません。我々としては金融業界における医師やカウンセラーのように健康と心の悩み以外はすべてご相談頂けるような存在を目指しています。」

K氏さんによれば、欧州のクライアント・アドバイザーは実際にそのような存在であることが多いという。もちろん日本においてはファイヤーウォール規制があるので、すべての問題に対してUBSウェルス・マネジメントが直接対応するわけではないが、必要に応じて専門家を紹介したり、様々な相談にも乗りながら信頼を獲得し、一人のクライアント・アドバイザーが一つの家族を、世代を越えて代々担当するということもある。

K氏:「会社やビジネスの問題から家族の問題に至るまで様々な悩みに対して色々な人脈、情報、サービスを使ってお応えするようにしています。お客様が価値を置くことについては、可能な限りお応えしようという企業文化があります。実際、 ヨーロッパでのビジネス展開で悩んでいらした日本のお客様に対し、UBSウェルス・マネジメントの副会長が来日した際に、ヨーロッパのネットワークを通じ、お客様の会社との橋渡し役を買ってでたこともあります。UBSにはグループ全体でお客様のニーズにお応えするカルチャーがあります。」

5.クライアント・アドバイザーのコアバリューとは?

スイス・プライベートバンクの伝統を受け継ぐUBSウェルス・マネジメントがこれから日本での体制強化を図っていくということだが、そのビジネスを支えるのにどのような人材が求められているのだろうか。

K氏:「もちろんすでにウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングの業務に携わっており、経験をお持ちの方は即戦力として採用しているのですが、必ずしも同業界の経験者である必要はありません。優秀な営業担当やコンサルタントは、業界によって備えている専門知識は異なってくると思いますが、営業担当としてのコアの部分には共通するものが有るのではないかと考えています。」

「営業担当の資質をピラミッドに喩えてみると、ベースにあるのは社会人としての基本的なスキルであり、頂点にあるのは金融や商品などの専門知識です。一方でコアとなる資質は皆同じなのではないかと思います。それはお客様の抱えている問題やニーズを理解するコミュニケーション能力であり、そうしたお客様の情報を整理する力であり、そしてそれを解決する力です。その部分が確立されていれば、金融の専門知識は後からでも身につけることはできます。」

インタビュー中、K氏は繰り返しこの「営業担当のコアスキル」の部分の大切さを強調した。クライアント・アドバイザーの資質を尋ねると「地頭のよさ」や「人間力」というワードがでることもあったが、それらはすべてこのコアバリューを培うためといえよう。

K氏は「必ずしもウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングの経験者である必要はない。」と繰り返す。ウェルス・マネジメントがターゲットとする超富裕層は多くの場合は社会の成功者だ。彼らの信頼を勝ち得る真のアドバイザーに求められるのは少しばかりの経験や小手先の金融知識ではないということだろう。

ましてや未だ規模の面で十分に成熟していない日本のウェルス・マネジメント業界の中だけから優秀な人材を探すというのは合理的でないというのは説得力がある。都銀、地銀、信託銀行、証券、保険、不動産など、ウェルス・マネジメントに関係しているどの業界からでも転職のチャンスはあるのではないかという印象を受ける。

6.求められるのは”振り付け”のできる人材

とはいえ金融業界にいたなら誰でも優秀なクライアント・アドバイザーになれるわけでもあるまい。では具体的にどのような人物がクライアント・アドバイザーに向いているのだろうか?

K氏:「一言でいうと人と協同するのが上手い人です。何か案件があったときにすべてを自分で抱え込んでしまうのではなく、上手く周囲の人の協力を得られる人です。といっても協力を要請するだけで終わりというのではだめです。ちゃんとゴールに達する画を描いた上で、必要に応じて人の助けは借りるが、あくまで自分が司令塔であること、言うならば”振り付け”のできる人です。」

「いいCAは上司も含めて上手く振り付けして周りに動いてもらうことができます。きちんと振り付けをしながら仕切って、無事に”演目”を終了させてお客様から『ありがとう』といってもらえるのが理想です。そしてその一連のプロセスこそが、我々UBSウェルス・マネジメントのクライアント・プロミスだといえます。」

7.スイス公認の研修プログラム

営業マンとしてのコアがしっかりできており、周囲を上手く巻き込みながら仕切れるタイプなら知識は後からカバーできるとK氏は言う。しかし、異業種から転職してくるとすれば、専門知識の不足への不安は大きいだろう。また外資系はすぐに結果を残せないとレイオフされてしまうのではないかと心配する方も多いだろう。UBSウェルス・マネジメントでは、未経験者にどのような研修をし、どのような育成プログラムを有しているのだろうか?

K氏:「しっかりとした研修プログラムを用意しています。11科目の研修を1年半かけて行います。研修の中には株、債券、デリバティブ、ローンといった金融商品に関わるものから、営業スキル、新規開拓マネジメント、営業顧客管理まで、クライアント・アドバイザーとして必要なスキルに至るまで広範囲にカバーされています。」

「このプログラムはスイス公認のプログラムで、研修項目も細かく決められています。11課目の研修が終了すると、ロールプレイによる口頭での最終試験があります。その試験では、お客様の属性やこうした悩みがあるのではないかというヒントが与えられ、UBSや自分自身について説明しながら、お客様の悩みや問題点を聞き出し次回のアポの約束を取り付けるところまで行います。このテストに合格するとスイス公認のCertified Wealth Management Advisor (CWMA)として認定されます。日本でこの資格を取ることができるのはUBSウェルス・マネジメントのCAだけです。」

8.結果を求めるまで3年半

K氏:「20代のポテンシャル採用の方はジュニアCA、30代を中心とする転職者の方はキャリアCAとして、シニアCAの下について一から学ぶことになります。その後ジュニアCAは2年後、キャリアCAは1年後に独り立ちすることが期待されています。

独り立ちしてから1年半以内にある程度の目標を達成することは要求されますが、その間先ほどお話した研修を1年半かけて行いますし、ジュニアでしたら3年半の間、キャリアでも2年半の間に自分なりの成果を出せばいいので、決して短期で結果を求められるというわけではありません。」

9.全員がCAを向いているバックアップチーム

先に日系金融機関と比較したときのUBSウェルス・マネジメントの強みについて話を聞いたが、クライアント・アドバイザーとしてUBSウェルス・マネジメントをフィールドに選ぶことにどのようなメリットがあるのだろうか?

K氏:「邦銀でもウェルス・マネジメントやプライベート・バンキング業務にやりがいを感じていらっしゃる方もいますが、ジョブ・ローテーションにより異動や転勤が生じ、業務から離れざるを得ないことがよくあると聞きます 。しかし、UBSウェルス・マネジメントではそのようなことはほとんどなく、長期に渡ってお客様にコミットして頂けます。こうした継続性はCAのみならず、お客様にとっても非常に大切です。実際ウェルス・マネジメントの業務にやりがいを感じていながら異動しなければいけないということから、邦銀から転職されてくる方もいらっしゃいます。」

「またUBSではウェルス・マネジメントをコアビジネスに据えています。コアビジネスとは、企業がその事業にどれだけコミットしているかの現れでもあります。お客様からみれば、今後の市場環境の変化に左右されることなくウェルス・マネジメント事業にコミットし続けてくれるという安心感もあるでしょうし、CAからするとプラットフォームの充実や、CAが主役になれるということになります。最近他行から転職してきたCAにヒアリングをしたところ、一番強く感じていたのはサポート・ファンクションがとても充実しており、CAの仕事をサポートしようという周りの意識が高いということでした。CAを向いているということは、お客様の方を向いているということでもあり、髙い付加価値の実現に貢献できていると思います」

ウェルス・マネジメントはUBSのコアビジネスであり、ウェルス・マネジメントを通じてグローバルに貢献したい気持ちがUBSウェルス・マネジメントには強いということをK氏は繰り返す。そのためにクライアント・アドバイザーは富裕層にとって医師、心理カウンセラーなどと並んでなくてはならない存在にならなければならないと強調する。

それでは実際のクライアント・アドバイザーはどのような人物で、どういう業務を担っているのかを、現在第一線で活躍をする2人のクライアント・アドバイザーから話を聞いてみたい。

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Vol.2 一段上のウェルス・マネジメントを目指して。求められる人材像とは?

38歳の時、異業種からウェルス・マネジメントの世界に飛び込んだK氏は、今ではUBSウェルス・マネジメントのクラスタヘッドでもあり、クライアント・アドバイザー (CA)として活躍している。

異業種から転職するということのハンデとメリットについて実体験に基いて聞くとともに、クラスタヘッドとしてどのような人材を求めているかについても尋ねてみた。

1.38歳で飛び込んだウェルス・マネジメントの世界

— UBSウェルス・マネジメントに至るまでのご経歴を聞かせてください。

K氏:「新卒で信託銀行に入行しました。そこで10年近く勤めた後に、5年ほど不動産仲介業に従事しました。その後UBS銀行に入行し、ウェルス・マネジメントのクライアント・アドバイザーとなりました。」

— 異業種からの転職ですが、クライアントの開拓はどのようにしましたか?

K氏:「お客様はゼロからの開拓でした。信託銀行時代は企業金融を担当していたので、38歳にして初めて新規顧客の開拓に取り組むことになりました。入行当初はかなり大変でしたが、ウェルス・マネジメントのお客様になる方の多くは成功者であり、商品開発・営業推進部の力を借りながらそういった新しいお客様を獲得できた時の達成感は、何にも代えがたい貴重な経験となっています。」

— そうした厳しい環境の中、どのように新規開拓をしたのですか?

K氏:「もちろんDMも書きましたし、現在親しくさせて頂いているお客様の中には飛び込みで営業したケースもあります。もっとも飛び込み営業は確率が低いので、同僚にはあまり勧められませんが。」

2.信頼の獲得が最大の喜び

— 始められてから何年くらいで自分のスタイルを確立できたと感じるようになりましたか?

K氏:「入行直後は先ず新規の顧客開拓に集中し、出来るだけ数多くのお客様にコンタクトしました。特に、客観的に自分の強みを分析し、自信を持ってお客様に応対できるようになること、そしてUBS ウェルス・マネジメントの強みをきちんとお話することに時間を費やしました。多くのお客様との取引がはじまり、それぞれのお客様に我々とのお取引を喜んで頂き信頼を得られるようになったのは、3年程経った頃だと思います。」

— お客様の運用方針はどのように決めるのですか?

K氏:「お客様にもよりますが、ポートフォリオ全体についてご相談頂くケースと、特定の商品を購入なさりたいケースとに分かれると思います。ポートフォリオについてご相談いただいた場合は、お客様にリスクをきちんとお話し、UBSハウスビュー(投資見解)をベースに目標利回りをご相談しながら決めていきます。」

— 仕事をしていてどのような時が一番嬉しいですか?

K氏:「お客様から信頼頂き、資産運用のみならず私的なことまで色々とご相談を受けた時が嬉しいです。仕事をしていく中で、預かり資産の大きいお客様を開拓できたり、大きな資金が入ることもありますが、仕事自体はコツコツと積み上げていくしかないものですので、私の場合はお客様から信頼されたと実感できることが大きな喜びです。」

3.充実した新規開拓サポート体制

— それではクラスタヘッドとしてのお話を伺いたいのですが、新しく入行した方への教育はどのようにされているのですか?

K氏:「 クライアント アドバイザー(CA)として未経験でお客様を持たない状態で入行される方は、初めのうちはシニアCAがフォローします。また株式や債券、仕組債、デリバティブなどの金融商品についての研修も充実しており、座学に加え口頭のテストをクリアするとスイス公認のCertified Wealth Management Advisor (CWMA)の資格を取得することができます。」

「既存のお客様を持たないCAに対する営業推進部の新規開拓支援も充実しています。たとえばDMを使ってゼロからアプローチするにしても、どのような見込み客を抽出して、どういったアプローチをしていくのがよいかをアドバイスしたり、 優秀な営業マンに共通する戦術を論理化し、ロールプレイを通じて営業の考え方を培い、営業マンとしてのコアの部分を強化するような研修も用意しています。そういう意味では、私が入行した8年前よりは未経験者にとっては大変取り組みやすい環境ができ上がってきています。」

— 営業推進部とは別に、クラスタ独自の取り組みはありますか?

K氏:「新規開拓のテーマを独自に設定したり、小規模の勉強会を企画することもあります。」

— その他UBSウェルス・マネジメントならではの強みはありますか?

K氏:「UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様に特化した調査・投資戦略部門を抱えています。アジアや欧米の各拠点に配置されたアナリストやストラテジストによる調査・分析など、投資戦略に有益な情報が揃っており、日本を含め世界の市場に関する情報がタイムリーに手に入ります。 たとえば、東欧の市況や特定のエリアの不動産レポートのようなものも揃うので、金融投資の判断材料だけではなく、お客様の本業にも役立つかも知れません。」

4. 転職者ならではのアプローチ

— Kさん自身、他業種からUBS銀行に入行されていますが、業界未経験者が転職しても活躍できると思いますか?

K氏:「先程もお話した通り、現在は未経験で入行したジュニアCAの育成体制も充実してきています。むしろ、過去の経験活かしつつ、更に我々が提供するプログラムを存分に活用・習得いただき、今までに無い目線や方法で新規の顧客開拓に取り組んで頂きたいと考えています。よって、ウェルス・マネジメント業務の未経験者の方が必ずしも経験者と比べて不利だということはありません。」

「たとえば金融業界の経験者ですと金融商品に対する知識が十分あるだけに、それに頼りすぎてしまうことがあります。その結果、金融商品のことにとどまらない、より大きなポートフォリオのコンサルティングの機会を逃してしまうこともあります。しかし例えば不動産業界出身の方でしたら、直接的な不動産仲介業務はできませんが、不動産の話題が出た時はそれまでの経験が役立つでしょう。日本では、総資産に占める不動産の割合が高い投資家も多いので、それは強みとなります。」

— どのような形で強みが発揮されるか、もう少し具体的に聞かせてもらえますか?

K氏:「たとえば不動産の話をするにしても、REITや利回りの話をするのもいいのですが、実際に不動産をお持ちの方にとって一番の関心事は道路付けと境界の話です。お隣との筆界承諾書がもらえないというのが一番の悩みだったりするのです。最近は不動産絡みのニーズが増加しているので、そういう知識があると信頼は増します。」

「また相続評価を考えると資産を不動産で持っていた方がいい場合も多いので、ポートフォリオを組む際に、金融商品に加えて不動産も加味したポートフォリオを考えられるのは利点だと思います。また不動産を手持ち資金で購入される方はほとんどいらっしゃいませんから、不動産業界出身の方はレバレッジを効かせることに抵抗が少ないという強みもあります。」

5.金融資産にとどまらない大きなポートフォリオのコンサルティング

— 不動産業界以外のからの転職者はいかがですか?

K氏:「もちろん不動産業界以外の方でも、金融業界にいらした方で営業マンとしての基本ができている方でしたら大丈夫だと思います。やはり、証券会社出身の方は運用に関する提案が上手な方が多いです。」

「プライベート・バンクとしては珍しく、UBS銀行では不動産担保ローンを取り扱っています。不動産担保ローンを入り口に与信から口座を開いてくださるお客様もいらっしゃるので、その意味では銀行出身者も知識を生かせると思います。」

「ウェルス・マネジメントでは、金融商品にとどまらない周辺部の資産も含めてポートフォリオを組むことが求められているので、これまで培った経験を生かすことができると思います。」

— しかし周辺部も含めた知識を全部習得するのは大変なのでは?

K氏:「必ずしもすべて自分で解決する必要はありません。たとえば事業承継でお困りの方がいらっしゃれば、社内に専門の担当者がいるので彼らと連携してUBSのサービスをご案内すると話がスムーズに進みます。実際そういったコンサル的な話から資産のポートフォリオ運用に繋がるケースが多く見られます。大切なのはお客様との雑談に対応できる力です。様々な話題を共有できるだけで、お客様との関係が全く違ってきますし、雑談から潜在的なニーズを汲み取ることもできます。私自身これまでやってこられたのはその力のお陰だと思っています。」

— それでは未経験者でも課題を聞き出すことができればいいと?

K氏:「課題を聞き出すことができれば、社内の担当部署や外部の専門家と協働して解決に向けて取り組むことができますし、必要なリソースは十分に整っています。」

6.意外と大切な「パッと見」

— キャリアやスキルとは別に、クライアント・アドバイザー向きの性格というものはありますか?

K氏:「色々なタイプの方がCAとして成功しているので、何とも言えないのが正直なところです。どのような方でも、営業の基本を身に着けていてお客様との信頼関係を築ける方であれば、その方なりのスタイルを確立できるのではないでしょうか。」

— クライアント・アドバイザーとして成功する人には一定の傾向はありますか?

K氏:「複合的な要因が考えられるので、一言で表すのはとても難しいですね。ただお客様からの信頼を得るには、商品知識や業務知識以上に人間性によるところが大きいのではないかと思います。一方で、第一印象が与える影響も相応にあります。『この人なら信頼してもいいだろう』と思っていただけるような人柄がやはり重要なのではないかという気がします。」

— それではどのような人にチャレンジして欲しいと思いますか?

K氏:「お客様と接するのが好きで、コンプライアンスを遵守しつつ、金融以外の部分も含めた知識を吸収してアウトプットできる方であれば、どのような方でも活躍できるチャンスがあると思っています。興味とやる気のある方に是非きていただきたいと思います。」

— どうもありがとうございました。

K氏のソフトな語り口は聞き手を心地よくさせる。しかしその柔和な人当たりとは裏腹に内に秘めた思いの強さが感じ取れる。クラスタヘッドとして周辺部の資産も含めた包括的なポートフォリオのコンサルティングをすることのできるチームを作り上げ、日本のウェルス・マネジメント事業を一段上の理想形に近づけようとしているのではないかと感じさせられた。そのために単に金融商品の知識に長けているだけでない、一段上を一緒に狙える人材を求めているのだろう。

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Vol.3 セカンドキャリアとしてのウェルス・マネジメントビジネスへの挑戦

T氏、30歳。
現在UBS銀行大阪出張所でクライアント・アドバイザー(CA)、アソシエイト・ディレクターとして活躍する彼がUBSウェルス・マネジメントでCAとしてのキャリアを歩み始めたのは2年半前。

それまではUBS証券で投資銀行業務を担当していた。なぜウェルス・マネジメントのCAにキャリアチェンジをしたのか?またその業務とやりがいなどについて話を聞いてみた。

1.転職に等しいキャリアチェンジ

— UBS証券入社のきっかけを教えてください。

T氏:「大学では工学部で土木系の勉強をしており、卒業後は地元の岡山に戻って高校の教師になろうと思っていたのですが、たまたま同級生から外資系金融のインターンシップに参加しないかと誘われ、外資系金融機関という存在を初めて意識しました。実際に働いてみると、優秀なビジネスマンが多くカルチャーショックを受けました。その後、大学を卒業してすぐに教師になるよりも、社会人経験があった方がより良い教師になれるのではないかと考えるようになりました。進学相談ひとつをとっても就職まで見据えたアドバイスもできますし。そこで秋にUBS証券のインターンに応募し、その流れで2009年4月に入社しました。」

— 入社当初はどのような業務を担当していたのですか?

T氏:「最初は投資銀行本部のテクノロジーセクターで、営業チームをサポートするジュニアスタッフとして、日本を代表する電機メーカーや半導体メーカーのカバレッジを担当していました。3年目からM&Aのアドバイザリー、レバレッジファイナンスのオリジネーションチームで働いていました。」

— ウェルス・マネジメント本部へはどういった経緯で異動したのですか?

T氏:「自分のキャリアを考えた時に、教師という選択肢とは別に起業にも興味を抱くようになりました。もともとみんなで一丸となって働いて、一日の終りに『お疲れさま!』といって酒を酌み交わすような働き方にも憧れていましたし、地元の岡山にはやりたいことができるような企業が限られていると思っていたので、起業して若い人と一緒にやっていくのもいいのではないかと思うようになっていきました。」

「当時の私の業務は、シニアバンカーが担当する案件をサポートするものだったので、いわば社内のクライアントを相手にしている状態でした。起業するなら自ら仕事を取ってくる必要があるし、一流の方を相手に仕事ができるようにならなければだめだと思い、金融業界に限らず広くキャリアを再考していました。そのような折、たまたま運良くウェルス・マネジメントのジュニアCAを社内で募集していました。ジュニアCAは2年間シニアCAの下で学んだ後、CAとして独立することが期待されています。UBSの社風も好きでしたし、西日本での人脈を形成するチャンスでもあったので、『これだ!』と思い手を挙げました。ウェルス・マネジメント本部には2013年の4月に異動しました。私としては他社への転職に近いキャリアチェンジでした。」

2.一緒にいて心地よいと思われるような存在を目指す

— ジュニア・クライアント・アドバイザー時代の業務を教えてください。

T氏:「私がついたシニアCAは『お客様と話してリレーションを作ることがわれわれのビジネスで一番大事な要素。一緒にいると心地よいと思ってもらえるような存在になれ』と言って、お客さまのところへ出かけても 趣味の話や海外旅行の話をしたり、時には私の経歴について話したりして、運用の話以外でも会話が弾んでいました。投資銀行時代と違って、PCに向かいっぱなしという業務はほとんどありませんでした。」

— 関係ができた後は、プロとして運用の話もしなければいけないと思うのですが、商品やマーケットの知識の勉強はどうしたのですか?

T氏:「金融商品等について学ぶには社内の研修制度が充実しています。私は理系出身で元々金融志望というわけでもなかったので、株も債券も学生時代はまったくわからなかったのですが、研修で学んだことに加え更に専門的な意見が必要な場合は商品部のスタッフが帯同してくれましたので、万全なサポート体制のもとお客様に対応することができました。」

「座学の研修は一年以上に及び、大阪や東京で行ったり、テレビ会議で行ったりと様々な形で行われました。どの時期に入行してもすべての課目を受けられるようプログラムされており、座学に加えお客様をプロファイリングする40分間のロールプレイなどコミュニケーションのプログラムも用意されています。一連のプログラムが終わるとCertified Client Advisorというスイス公認の資格を取得できます。」

3.富裕層の新規開拓は基本動作プラスひと工夫

— 新規開拓はどのような方法で行うのでしょうか?

T氏:「当初は私も営業経験がまったくなかったので、DMを送ったり、直接電話をかけたりしてコンタクト先を増やしていきました。また、投資銀行業務の経験から、上場企業に対しては他の人とは違う切り口から提案できることがあるのではないかと思い、上場企業のオーナー社長にコンタクトを取り続けました。経営に携わっている方でしたら、公になっている情報を使ってコンタクトを取ることは可能ですから。」

「そうしているうちに、次第に経済同友会やロータリークラブを通じて他の方を紹介してもらえるようになっていきました。」

4.得意分野を作り、信頼を獲得

— コンタクトリストの富裕層にどのようなアプローチをしていったのですか?

T氏:「私が一番興味を持って取り組んでいるのは次世代承継です。事業や財産をどう承継すべきなのかというご相談に対して情報を提供したり、海外展開を考えているけれども社内に適任者がいないとお困りの方にアイデアをご紹介して関心を持っていただけるように努めています。」

「前職の投資銀行業務での知識が役立つこともありますし、個人的にも次世代への承継にとても関心があるので力を入れて勉強しています。」

5.お客様ポートフォリオのマネジメントが鍵

— 現在、新規開拓とリレーションのメンテナンスはどれくらいの比重で行っているのですか?

T氏:「実はそれが直近の課題でもあります。今年の前半は新規開拓に力を入れ、新規のお客様が増えました。口座を開設して頂き実際に運用が始まると、最初の数ヶ月はとてもきめ細かな対応が必要になるため、その他に割く時間が限られてしまいます。年の前半で一気に多くの口座を開設していただいたので対応に追われ、今は新規開拓に思ったほど時間を取れていない状況です。ただ、新規開拓も続けないと来年以降自分が苦労することになると思うので、その他の仕事とのバランスをもっと工夫しなくてはと考えています。

— その他に業務上で改善を心がけている点はありますか?

T氏:「UBSウェルス・マネジメントでは、預かり資産2億円以上の富裕層と50億円以上の超富裕層の2つの顧客セグメントを設けていますが、CAとしてウェルス・マネジメントのビジネスに携わるからには、多様なニーズを抱えている超富裕層のお客様を応対できなくてはという気持ちがあります。今後は、超富裕層のお客様を更に増やしていくことが目標です。」

6.他者との差別化を図り、自分自身を売り込む

— 超富裕層のお客様には、多くの金融機関がアプローチすると思いますが、競争の激しい中どのようにして彼らの信頼を獲得するのですか?

T氏:「UBSウェルス・マネジメントのブランドに興味を持ってくださる方はいらっしゃいますし、スイスの銀行は信頼できるとお取引してくださる方もいらっしゃいます。ただ超富裕層のお客様方はそうしたブランドにはご興味無いのではと感じています。最終的には私自身を知っていただき、信頼関係を築いてお取引いただけるように努めることが大切だと思っています。邦銀にも優秀な方はいらっしゃいますが、エース級の配置は東京など都心部に集中しているために、地元岡山では『そんな話聞いたことない』と言われることがあります。そうしたことを積み上げて差別化を図り『このCAと付き合っている方が他の金融機関の担当者といるより楽しいし、役に立つ』と思ってもらえるようになるしかないと思っています。」

— 実際に運用が開始するときはどのように設計していくのですか?

T氏:「まずお客様にライフプランをお尋ねし、どんな目標やニーズがあるのか伺います。すると、毎週末は美味しいものを食べたいよねとか、半年に一回は家族で旅行に行きたいね、これくらいでマンションを買いたいよね、といったお話をして下さるので、そういったご要望にあわせ、UBSのハウスビュー(投資見解)をベースに投資戦略をご提案します。」

— クライアント・アドバイザーとしての一番楽しいときはどんな時ですか?

T氏:「お客様の成功談などを伺っている時です。お客様にはビジネスで成功なさった年長の方がたくさんいらっしゃいます。様々な経験を積み重ねた方のお話はとても貴重ですし、勉強になります。」

7.やれることは全てやって自己実現を!

— 最後に新しくクライアント・アドバイザーとしてUBSウェルス・マネジメントにチャレンジしたい人に何かメッセージはありますか?

T氏:「UBSで働くことをゴールとして考えるのではなく、将来的なビジョンを持って自己実現の一環としてUBSを選ぶ方と一緒に働けたら嬉しいです。UBSウェルス・マネジメントのリソースを使ってお客様の目標達成をサポートし、会社にも貢献した上でなりたい自分を目指していく。そういう考えを持っている人であれば厳しい局面も乗り越えて貫徹できるのではないでしょうか。」

「実際にUBSウェルス・マネジメントで得られるものは多いと思います。同僚はプロフェッショナルとしての自覚が高く、お取引いただくお客様はいわゆるビジネスの成功者であったり、様々な経験を経て地位を築いた方々です。そうした方々と日常的に仕事を通じて関わることができるというのは、恵まれていると思います。」

「仕事に関してはやれることは全てやるということです。これといった正解があるビジネスではないので、お客様のニーズを推察し、仮説を立てて取り組み、やれることを全てやって引き出しを増やしていくしかありません。」

— どうもありがとうございました。

すべての質問に対してT氏の回答は明瞭だった。それはT氏に明確なビジョンがあるからだろう。そしてその発言の端々から、自分がクライアントにとって最適と思うことを全力で取り組んでいくのだという強い意思が感じられた。クライアント・アドバイザーとしては経験が豊富な方には属していないにも関わらず多くの富裕層からの信頼を獲得しているのは、T氏が彼らとのリレーションを心から楽しみ、全人格を賭して彼らの役に立つ仕事をしようと心から思っているからだと強く感じさせられた。

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この記事を書いた人

羽鳥健太

青山学院大学法学部卒業後、コトラに入社。現在業界調査ならびにマーケティングを担当。