株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構) 企業インタビュー

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加藤 有治 氏 / 専務取締役COO兼CIO

株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)。クールジャパンと言えば、日本のソフトパワーを象徴する言葉としてすっかり定着しているが、その力を支える基盤となっているのが投資を通じて海外需要の開拓を進めるクールジャパン機構だ。設立から5年経ち、第2フェイズに入ったクールジャパン機構が、今さらなる発展を遂げるために大きく動き出している。日本のソフトパワーをグローバルスケールでシナジーさせていくというダイナミックな政策的ミッションを持ったクールジャパン機構が、現在どのような戦略を取り、そのためにどのような人財を必要としているかについて、投資チームのトップ、COO兼CIOである加藤有治専務に話を聞いた。

■ 加藤 有治 氏 プロフィール
加藤 有治 氏。株式会社海外需要開拓支援機構、専務取締役COO兼CIO。京都大学理学部卒業後、同大学経済学部を卒業し、郵政省(現総務省)入省。モルガン・スタンレー証券投資銀行部、GEヘルスケア事業開発アジア統括責任者を経て、ペルミラ・アドバイザーズ日本法人の代表取締役社長に就任し、グローバルの投資の最前線で指揮を執る。2018年6月より現職。

海外進出アングルのあるB2C事業への投資

― 株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)とは、どういう組織なのでしょう?

加藤氏:
一言でいうと、世界が求める日本の商品・サービスを外の目で再認識し、日本の新しいグローバルな成長を支援する投資を行う会社です。つまり、投資会社です。特にB2C、消費財関連の事業で海外進出アングルのある事業への投資を行う会社です。

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もう少し詳しく申し上げると、B2Cには4つの分野があります。メディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、それからインバウンドの4つです。この4分野の中で海外アングルのあるものに関連する投資を行うことがクールジャパン機構のミッションです。

クールジャパン機構の投資戦略5つの方針

― そうした投資を行っていく上での、大きな方針を聞かせて頂けますか?

加藤氏:
まず何よりも大事なのは政策目的と収益性のバランスです。民間ファンドでしたら、収益性を最大化させたり、リスク・リターンを最適化させたりするのが仕事となりますが、我々は官民ファンドなので、収益性だけでなく、政策目的がとても大切になってくるということが根底にあります。

それを踏まえた上で、投資の戦略としては、5つの方針があります。それが下記の5つです。

1.キャッシュフロー投資重視
2.現地パートナー重視
3.グローバルシナジー追求
4.投資手法の多様化
5.ポートフォリオ最適化

それぞれについて説明しますと、まずキャッシュフロー投資重視というのは、プロジェクト型でゼロから立ち上げるというものではなく、すでにキャッシュフローを生んでいるものに投資しようというものです。このためにはトラックレコードがとても大切になってきます。言い換えればグリーンフィールドの投資ではなく、M&Aにシフトしていこうということです。

2つ目の現地パートナー重視というのは、現地のお客さまや競合を含めたマーケットのことがよくわかっているパートナーを取り入れて共同で投資を行いましょうということです。もちろん日本人のパートナーと組んで海外でがんばっていくというのもやっていきますが、それだけではなく、現地パートナーをより積極的に取り入れていきます。

次に3つ目のグローバルシナジーについてです。これは日本のいい商品を海外に持っていこうということにとどまらず、海外の人が日本に進出して、それを逆輸入してもらったり、海外の旅行者が日本に来て消費が促進されたりするということでもいいと考えています。

方向はどちら向きでもよく、人材が日本人だけでなくてもいいと思っていますし、極端なことを言えばブランド自身もかならずしも日本のブランドでなくても、資本が日本の資本だけでなくてもいいと柔軟に構えています。

これだけグローバル化が進んでいる世の中になっている中、オール日本ですべて日本、資本も人材もサービスもブランドも日本で、お客さまだけが海外というのはできたらいいですが、非現実的です。どこかに海外リソースを入れることはむしろ自然なやり方です。ですから官民ファンドといっても、オール日本にはこだわらないでやっていこうというのがグローバルシナジー追求の意味するところです。

4つ目が投資手法の多様化です。今まではマイノリティーの投資で、民間の投資家や事業会社が前に出ている後ろでクールジャパン機構がサポート役として付くという手法を中心に行ってきましたが、これからはそれに加え、クールジャパン機構が50%以上のマジョリティーを取ってやっていく投資手法も加えていこうと思っています。場合によってはクールジャパン機構が主導権を取って会社を運営した上で、後から民間の事業者に入ってもらう方法もあれば、最初から入ってもらうこともあるでしょう。その辺りは是々非々で、柔軟に対応していきたいと思っています。

5つ目はポートフォリオの最適化です。2018年12月現在、クールジャパン機構の投資は累計31件、金額にして約664億円程度の実績があります。これだけ投資が積み上がってくると、ポートフォリオ的な考え方が大切になってきます。つまり単にモニタリングをするだけでなく、ポートフォリオ全体としてどのような投資をバランスよくしていくかという考えも取り入れていきます。また役割を果たした案件に関しては出口戦略、エグジットも考えていこうというものです。

以上、5つの方針を申し上げましたが、根底にあるのは政策目的の追求と収益性の追求のバランスで、その上で投資、バリュークリエーション、そしてエグジットと進めていきます。

グローバルスタンダードの投資のベストプラクティス

― クールジャパン機構設立当初からの投資方針から変化があったように感じられますが、今年(2018年)の新役員体制での投資の特徴を教えてもらえますか?

加藤氏:
一つの大きな特徴は、バイアウトをより積極的に行っていくということです。当然、その実行を可能にするようにマネジメントレベルには、プライベートエクイティ系の人材も入ってきています。

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― 投資部門の責任者である加藤さんご自身はどのような経歴を経てきたのでしょうか?

加藤氏:
私自身はもともと郵政省、現在の総務省にいたのですが、その後長らく外資系企業で働いてきました。投資銀行のセルサイドを経験し、その後事業会社でM&Aを担当していました。それから外資系のファンドの日本代表も務めてきました。そういう意味で、世界レベルの民間の投資業のベストプラクティスを知っています。その知見をクールジャパン機構に持ち込むことが私の仕事でもあり、入社して頂いた方にはそうしたグローバルスタンダードの投資も学んで頂けると思います。

メディア・コンテンツにとどまらない広範なB2Cへの投資

― 加藤さんの加入によりクールジャパン機構もグローバルスタンダードのプレイヤーになってきていると思うのですが、同時に官民ファンドとして意識しなくてはいけない政策目的についてお聞かせください。

加藤氏:
政策目的は、海外需要開拓支援機構法という法律に明確に記されています。それは日本の生活文化の特色ある魅力的な商品やサービスの海外における需要を開拓できるように支援していくための投資を行うというものです。

ポイントは海外における需要を開拓するということです。どうしてもクールジャパンという名前が前に出てしまいがちですが、弊社の正式名称は海外需要開拓支援機構で、クールジャパンというのはあくまでも象徴的なコードネームのようなものです。必ずしもクールなものを見つけて、それを海外に売っていくことだけを行う会社ではありません。それはあくまでも需要開拓の一つの狭い分野にすぎません。

是非ご理解頂きたいのは、弊社がメディア・コンテンツに対する投資だけを行っている会社ではないということです。食やファッションやサービス、インバウンドなど非常に広範なB2Cビジネスで海外アングルのあるものを扱うというのが、政策目的に基づいた弊社の大きな特徴です。

B2Cビジネスですので、比較的皆さんに親しみのある分野での投資が多いというのも大きな特徴です。

外部経済も意識したリスク耐性の高い投資

― 政策性を追求することによって投資の性質が変わってくることはありますか?

藤氏:
先程も申し上げたとおり、大切なのは政策目的の追求と収益の追求のバランスです。たとえばコンテンツビジネスはリスクの大きいものが多く、単にリスク・リターンの最適化という観点からは投資しづらいものであっても、戦略的に重要であると判断したなら、リスクが高くても投資することがあります。

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逆に、安定はしているけれども収益性の高くない案件でも、波及効果が大きかったり、外部経済に対するインパクトが大きかったりするものでしたら、プラットフォームへの投資として投資しようと判断することもあります。つまりハイリスクのものや外部経済性の高いものに対する耐性が高く、民間がなかなか手を出しにくい分野にも投資していくこともあります。

クールジャパン機構が求める人財の5つの資質

― クールジャパン機構ではミッションを実現していくために、どのような人材を求めているのですか?

加藤氏:
大きく5つの資質が求められます。

まず一番大事なのは、チームプレイヤーであることです。これがもっとも大事な要件です。チームプレイヤーでない方はできません。

2つ目は、「海外」「B2C」「投資」、この3つの分野のいずれかに強い興味があるということです。もちろん3つともに興味があるに越したことはありませんが、いずれにも興味がないと応募して頂いても楽しく仕事ができないと思います。

3つ目が、将来的に投資や経営、海外に関わっていくようなキャリアを形成していきたい人です。そうするとクールジャパン機構でがんばることが、そのまま目指すキャリアパスにつながっていくと思います。

4つ目が、学び続ける意思を持っていることです。投資の仕事は、色々なプロジェクトに携わっていくので、ルーティーンを繰り返す仕事ではありません。常に新しいことを自分で見つけて学びながら進んでいく人に向いています。逆に自分はもう全部わかっているという人はこの組織にはいりません。自分がどんどん新しいことを身に付けて学んでいく、変化を楽しめる方が合っています。

そして5つ目が、パブリックマインドを持っている人です。人は単に収益性、自分のP/Lだけで考えがちですが、それを越えて社会やみんなの役に立つということに喜びを感じる、パブリックマインドを持っている人でないとこの組織には向いていません。

クールジャパン機構が求めるジュニア像

― 今回は具体的にはどのようなポジションの方を募集されているのですか?

加藤氏:
現在求めているのは投資戦略グループ、投資担当のジュニアメンバーを募集しています。

― 投資戦略というと高度な専門性が要求されますが、ジュニアにはどの程度の専門性が求められるのでしょうか?

加藤氏:
ビジネスの基本を抑えていてもらえれば、投資経験はなくても大丈夫です。入社してからどんどん学んでいってもらいたいです。先程も申し上げたとおり、学ぶ意思と姿勢があることの方が大切です。

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― 海外事業が多いとのことですが、具体的な英語に対する要求水準はあるのですか?

加藤氏:
具体的には設けていませんが、英語ができた方がかなり優位にはなります。英語ができないといけないということはありませんが、海外の仕事ですのでできないと苦労することになると思います。ただ社内にも英語ができない人はいますし、特にジュニアの場合には読み書きが大学生レベルでできれば、業務を通じてどんどん上手くなっていくと思います。

― 現在はどのような業種、業界から入って来る人が多いのでしょうか?

加藤氏:
現状としては、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)、戦略コンサル、IB、投資会社、商社、銀行、会計士、この7つの業種から来られている方が多く、フィットもいいと思います。しかしもちろんそれ以外の方にも門戸は開いています。「海外」「B2C」「投資」に強い関心のある方でしたら、それらの業種以外からの方でも大歓迎です。

圧倒的魅力は海外での投資事業

― クールジャパン機構でキャリアを積むことの魅力を教えて頂けますか?

加藤氏:
クールジャパン機構ならではの特長が3つあります。

まず一番大きな特長としては、海外での仕事ができるということです。これは他の投資会社にはほとんどない魅力です。通常の投資会社の投資はほとんど国内のものです。なぜなら海外に投資するときは、通常その国の事情に精通している現地の投資会社を利用します。たとえば中国で投資したければ中国の投資会社、アメリカでしたければアメリカの投資会社といった形です。ところがクールジャパン機構には、日本にいる我々に「この資金を世界に投資してください」というミッションが課せられているのです。こんなことができる投資会社は他にないので、とても面白いです。

2番目の特長としては、投資の裾野が広いということがあります。現在、一般的に投資会社は投資領域が専門化されてきています。その中でクールジャパン機構では、メディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドという4つの分野をカバーしているので、非常に広範囲での経験を積むことができます。またこれらの分野はB2Cで、一般の方にも親しみのある分野ですので、そのことにやりがいを感じる方もいらっしゃると思います。

3番目の特長が、仕事がしやすいということです。官民ファンドの性質上、ある意味公共性の高い投資を行います。そのため、多くの方がクールジャパン機構に対して好意的に話を聞いてくださいます。つまり色々なところへのアクセスビリティーが高く、仕事を進めやすいです。

またこれらクールジャパン機構ならではの特長に加え、投資会社の特長として案件探しから投資実行、モニタリング、バリュークリエーション、エグジットと一気通貫で行えるというダイナミックさもあります。

1番目の特長とも重複しますが、日本にいながら海外の案件に関してこのような仕事ができる会社は数えるほどしかありません。

海外関連事業への最適なキャリアパス

― クールジャパン機構でキャリアを積むことによって、どのようなキャリアパスが描けるようになると思いますか?

加藤氏:
私が一番近いと思っているのは、事業会社の海外事業開発担当、プライベートエクイティなどの投資会社、海外がらみのクロスボーダー系の経営コンサル、FASなどに進みたいと思っている方には最適のキャリア形成の場になると思います。

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― クールジャパン機構の会社のカルチャーを表すとしたら、どのように表しますか?

加藤氏:
様々なバックグラウンドを持っている人が集まっているので、非常にダイバーシティに富んでいます。ですから非常に柔軟な思考のできるマルチカルチャーの会社です。それゆえに色々な考え方を学べる場でもあります。

― クールジャパン機構にチャレンジしてみたいと思ったら、どうすればいいですか?

加藤氏:
まず書類を出していただき、書類選考に通った方を面接していきます。今回募集をしているのは投資部門なのですが、できるだけ多くのメンバーに会って頂き相性を見て頂きたいと思っています。また、エクセルのスキルなども見ていくケースもあります。

「海外」「B2C」「投資」に強い関心ある人、求む!

― 最後に、クールジャパン機構に興味のある方にメッセージをお願いいたします。

加藤氏:
クールジャパン機構というと、どうしてもメディア・コンテンツのイメージを強くもっていらっしゃる方が多いですが、実際は様々なチャンスのある職場です。

日本の特色あるB2Cの商品やサービスを広く、海外で投資を展開していけるという会社は他にありません。また様々なバックグラウンドを持つ人から多くのことを学べる場でもあります。

海外、B2C、投資といったことに関心があり、学ぶ意欲の高い方は是非一緒に働きましょう。

— どうもありがとうございました(了)

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