【最新】情シスが評価されない理由と成果を見える化する方法

情シスが評価されにくい背景

トラブルを起こさない仕事ほど成果が見えにくい理由

情報システム部門、いわゆる情シスの重要な役割は、社内のシステムや通信環境を安定して使える状態に保つことです。しかし、障害や情報漏えいなどの問題が起こらない状態は、周囲から見ると「何も起きていない」ように見えます。

実際には、日々の監視、更新作業、権限管理、設定確認、データの保護など、多くの予防的な対応が行われています。こうした仕事は、問題が起きた後の復旧対応と比べて分かりにくく、成果として認識されにくい傾向があります。

日常対応や問い合わせ対応が評価につながりにくい理由

パソコンの不具合、アカウントの発行、ソフトウェアの設定、利用方法に関する質問など、情シスには日常的な依頼が集まります。これらは社員が業務を進めるために欠かせない対応ですが、一件ごとの規模が小さく、対応後にはすぐ忘れられがちです。

また、依頼件数が多いほど情シスは忙しくなりますが、件数だけでは会社への貢献が伝わりません。問い合わせを迅速に解決したこと、同じ質問を減らす仕組みをつくったこと、利用者が本来の仕事に集中できる環境を整えたことまで整理して初めて、業務の価値が伝わります。

他部署が情シスの役割を十分に理解していない問題

他部署にとって情シスは、困ったときに連絡する窓口として認識されやすい部署です。そのため、システムの選定支援、情報管理のルールづくり、業務の自動化、セキュリティ対策といった幅広い役割が理解されないことがあります。

役割への理解が不足すると、情シスは単なる作業代行や機器の管理担当として扱われやすくなります。本来は、業務の進め方を改善し、会社全体の安全性や生産性を支える立場であることを、継続して共有する必要があります。

売上に直結しない業務として扱われやすい構造

営業や企画、製造などは、売上や契約数、生産量といった結果と結び付きやすい部門です。一方、情シスの成果は、業務停止の回避、作業時間の削減、情報漏えいの防止など、損失を防ぐ形で表れることが多くあります。

売上に直接結び付かないからといって、価値が低いわけではありません。システムが停止すれば営業活動や受発注、社内連絡が滞り、会社全体の業務に影響します。情シスは売上を支える土台を整える部門であり、その価値を事業への影響という観点で説明することが重要です。

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評価されない情シスに共通する課題

業務内容と対応件数を記録できていない

日々の依頼に追われる環境では、何にどれだけ時間を使ったのかを記録する余裕がなくなります。しかし、記録がなければ、情シスが抱えている業務量や、繰り返し発生している問題を客観的に示せません。

まずは、問い合わせや依頼について、受付日、依頼内容、対応時間、対応結果、再発の有無を簡潔に残すことが有効です。細かすぎる記録を最初から求めるのではなく、継続できる項目に絞ることが大切です。

改善前後の変化を数値で示せていない

業務を改善しても、改善前の状態が残っていなければ、どの程度良くなったのかを説明できません。「手間が減った」「問い合わせが少なくなった」という感覚だけでは、評価する側が成果を判断しにくくなります。

たとえば、定型作業にかかる時間、月ごとの問い合わせ件数、申請から完了までの日数、障害の発生回数などを改善前後で比べます。数値がすべてではありませんが、変化を共有するための共通言語になります。

目標が曖昧で優先順位をつけられていない

情シスには、緊急の問い合わせから中長期のシステム改善まで、性質の異なる仕事が集まります。目標が曖昧なままでは、目の前の依頼を処理するだけになり、重要な改善が後回しになります。

目標は、「社内の業務を便利にする」といった抽象的な表現だけで終わらせず、対象業務と達成基準を明確にします。たとえば、問い合わせの初回回答を早める、手入力作業を減らす、アカウント管理の漏れを防ぐなど、行動につながる形にすることが必要です。

緊急対応に追われて改善活動の時間を確保できない

システム障害や利用者からの急な依頼は、業務を止められないため優先度が高くなります。その結果、根本原因を解消する改善や、手順の見直しに時間を使えない状態に陥ります。

この状況を個人の努力だけで解決することは困難です。問い合わせの受付方法を整える、よくある依頼を自己解決できるようにする、対応時間をあらかじめ予定に確保するなど、緊急対応を減らす仕組みが求められます。

上司や経営層への報告が作業報告だけになっている

「問い合わせに何件対応した」「機器を入れ替えた」「アカウントを発行した」といった報告は、実施内容を伝えるうえで必要です。ただし、作業内容だけでは、会社にどのような効果をもたらしたのかが伝わりません。

報告では、実施したことに加えて、解決した課題、得られた効果、残っているリスク、次に必要な判断を示すことが重要です。作業の報告から、経営や現場の課題を解決するための報告へ変える必要があります。

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情シスの成果を見える化するための考え方

作業量ではなく事業への効果で整理する

対応件数や作業時間は、業務負荷を伝えるための指標です。一方で、評価につなげるためには、その作業によって現場や会社がどのように変わったかを整理する必要があります。

たとえば、申請の手順を見直した場合は、作業件数ではなく、申請者の待ち時間が短くなったこと、確認漏れが減ったこと、担当者の入力作業が減ったことを示します。情シスの仕事を、事業を支える効果として説明する視点が重要です。

安定運用と障害予防の価値を伝える

安定運用の成果は、問題が起きなかったことだけでは伝わりにくいものです。そのため、実施した予防策と、予防しなければ起こり得た影響を整理します。

たとえば、更新作業の実施状況、バックアップの確認状況、障害時の連絡手順の整備、管理対象の棚卸しなどを記録します。重要なシステムが利用できない場合に、どの業務が止まるのかもあわせて示すことで、安定運用の価値を具体化できます。

時間削減と費用削減を成果として示す

情シスによる改善は、社員の作業時間や外部サービスの利用費用を減らすことにつながる場合があります。こうした効果は、比較的理解されやすい成果です。

時間削減を示す際は、1回あたりの削減時間だけでなく、対象人数や実施頻度も確認します。費用削減については、単に支出を減らすのではなく、必要な機能や安全性を維持したうえで、無駄な契約や重複利用を見直せたかを示すことが大切です。

情報漏えい対策と安全性向上を成果として示す

情報漏えいは、取引先や顧客からの信頼を損ない、業務や事業の継続にも影響する重大な問題です。情シスが行う権限管理、端末管理、利用ルールの整備、更新対応などは、安全性を高める重要な取り組みです。

ただし、「対策を実施した」だけでは成果が分かりにくい場合があります。管理対象の把握率、不要な権限の見直し件数、ルール周知の実施状況、対応手順の整備状況など、取り組みの進捗を確認できる形で示します。

利用者の負担軽減と満足度向上を成果として示す

情シスが提供する仕組みは、社内の利用者が使いやすくなければ定着しません。申請が分かりにくい、同じ入力を何度も求められる、問い合わせ先が不明確といった負担は、現場の生産性を下げます。

利用者の負担を確認するには、問い合わせ内容、対応後の反応、簡単なアンケートなどを活用できます。満足度だけでなく、「どの業務で困っているのか」「何を改善すると負担が減るのか」を把握し、改善につなげることが重要です。

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評価につながる目標と指標の設定方法

情シスの業務を安定運用と改善活動に分ける

情シスの業務は、大きく安定運用と改善活動に分けて考えると整理しやすくなります。安定運用には、問い合わせ対応、アカウント管理、機器やシステムの維持、障害対応などが含まれます。改善活動には、手作業の削減、業務手順の見直し、利用環境の改善、情報管理の強化などが含まれます。

両方を同じ基準で評価すると、日常対応に多くの時間を使う担当者が不利になったり、改善だけを重視して運用の質が見落とされたりします。業務の性質に応じて、目標と指標を分けることが必要です。

対応時間や解決までの時間を指標にする

問い合わせへの初回回答までの時間や、依頼を受けてから解決するまでの時間は、支援品質を測る指標になります。ただし、難易度の高い案件と簡単な依頼を同じように扱うと、実態が見えにくくなります。

依頼の種類ごとに分けて記録し、緊急度や対応範囲も考慮します。単に時間を短くすることだけを目標にするのではなく、正確な対応と利用者への分かりやすい案内を両立させることが重要です。

障害件数と再発件数の減少を指標にする

障害件数や同じ原因による再発件数は、運用の安定性を把握するための指標です。障害が起きた場合は、発生日時、影響を受けた範囲、原因、復旧までの時間、再発防止策を残します。

障害件数を減らすことだけを追うと、報告しにくい雰囲気が生まれるおそれがあります。重要なのは、問題を早期に把握し、再発を防ぐ仕組みをつくることです。報告のしやすさと改善の実行を評価する運用が望まれます。

手作業の削減時間と自動化率を指標にする

繰り返し作業を減らすことは、情シス自身だけでなく、利用部門の時間創出にもつながります。対象となる作業について、実施頻度、1回あたりの所要時間、担当人数を把握し、改善後の差を確認します。

自動化率を指標にする場合は、単に自動化した業務の割合を見るのではなく、優先度の高い作業や、ミスが起きやすい作業を対象にできているかを確認します。自動化が新たな管理負担を増やしていないかも見直す必要があります。

利用者への支援品質を測る方法

利用者への支援品質は、問い合わせ件数だけでは判断できません。解決したか、説明が分かりやすかったか、同じ問題が繰り返されていないかといった観点で確認します。

測定方法としては、対応完了後に短いアンケートを依頼する、定期的に利用部門へ困りごとを聞く、問い合わせの内容を分類して多い課題を確認する方法があります。回答率や満足度の数値だけに偏らず、改善につながる意見を拾うことが大切です。

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個人でも実践できる成果の伝え方

月次報告で伝えるべき項目を決める

月次報告は、日々の仕事を成果として整理する機会です。毎月同じ観点で報告することで、業務量の変化や改善の効果を追いやすくなります。

報告項目は、問い合わせや依頼の状況、重要な障害と対応状況、実施した改善、削減できた時間や費用、残っている課題、次月に進める内容などに絞ります。情報を詰め込みすぎず、判断に必要な内容を簡潔に示すことが重要です。

改善前後を比較できる形で記録する

改善に着手する前に、現状を記録します。作業時間、依頼件数、手順の数、入力項目、待ち時間、関係者の負担など、改善したい内容に合う項目を選びます。

改善後は、同じ条件で数値や状況を確認します。すべてを厳密に測定できない場合でも、対象範囲、確認期間、変化の内容を明記することで、成果の根拠を説明しやすくなります。

問い合わせ対応を課題の傾向としてまとめる

問い合わせは単なる対応件数ではなく、社内にある困りごとの記録です。同じ内容の問い合わせが多い場合は、利用者の理解不足だけでなく、手順や画面、案内方法に問題がある可能性があります。

問い合わせを種類別に分け、件数の多いもの、対応に時間がかかるもの、繰り返し発生するものを把握します。そのうえで、案内の改善、申請手順の見直し、よくある質問の整備などにつなげると、日常対応が改善実績になります。

上司に優先順位と必要な支援を提案する

すべての依頼に同時に対応することはできません。優先順位を自分だけで抱え込まず、上司と共有し、判断を得ることが重要です。

提案する際は、取り組むべき課題、放置した場合の影響、必要な時間や予算、他部署の協力が必要な事項を整理します。「忙しいためできない」と伝えるのではなく、「この改善を進めるためには、何を後回しにするか」という選択肢を示すことで、話し合いが進みやすくなります。

評価面談で成果と次の目標を結び付ける

評価面談では、実施した作業を並べるだけでなく、目標に対して何を達成したのかを伝えます。安定運用、業務改善、安全性向上、利用者支援などの観点で整理すると、成果を説明しやすくなります。

あわせて、達成できなかった目標についても、原因と次の対応を説明します。次期の目標は、これまでの実績や未解決の課題とつなげて設定することで、継続性のある成長計画になります。

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会社が整えるべき情シスの評価制度

業務内容に合った評価基準を設ける

情シスの評価を、売上や受注件数だけで測ることは適切ではありません。安定運用、障害対応、改善活動、安全性の向上、利用部門への支援など、情シスの役割に合った評価基準を設ける必要があります。

評価基準は、担当者が自分でコントロールできる行動と、会社への効果の両方を含めることが望まれます。外部要因だけで成果が左右される指標に偏らないよう注意が必要です。

短期的な成果と継続的な改善を両方評価する

緊急障害への対応や重要案件の完了など、短期間で見えやすい成果は評価されやすい傾向があります。しかし、運用ルールの整備、管理台帳の更新、問い合わせの削減といった継続的な改善も、会社にとって重要です。

短期の対応力だけを評価すると、予防や基盤整備が後回しになります。日常業務の品質を保ちながら、将来の負担やリスクを減らす取り組みも評価対象に含めることが必要です。

他部署からの評価を取り入れる

情シスの支援品質は、実際にサービスを利用する他部署の意見からも把握できます。利用者の声を評価に取り入れることで、対応の分かりやすさ、連携のしやすさ、業務への貢献度を確認できます。

ただし、満足度だけで評価すると、必要なルールや安全対策が軽視されるおそれがあります。他部署からの評価は、情シスの専門的な判断や、会社として守るべき基準とあわせて扱うことが重要です。

改善活動に使える時間と予算を確保する

改善を求めながら、日常対応だけで稼働が埋まっている状態では、成果を継続的に生み出すことは困難です。会社は、情シスが改善活動に使える時間を計画的に確保する必要があります。

また、必要な機器、ツール、教育、外部支援に対する予算も検討します。予算を削減することだけを目的にせず、業務停止や情報漏えいのリスク、手作業による負担と比較して判断することが求められます。

経営課題と情シスの目標を連動させる

情シスの目標が経営課題と結び付くと、優先順位が明確になり、成果も説明しやすくなります。たとえば、事業拡大が課題であれば、利用者の増加に対応できる環境整備や、手続きの効率化が重要になります。

経営層は、事業計画や現場の課題を情シスと共有し、情シスは技術面や運用面から実現方法とリスクを示します。この連携により、情シスは依頼を受けるだけの部署ではなく、事業を支えるパートナーとして機能します。

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情シスが継続的に評価される組織になるために

評価される業務を増やすより価値を伝える

評価を得るために、新しい業務を増やし続ける必要はありません。すでに行っている日常対応や予防的な取り組みにも、会社や利用者を支える価値があります。

重要なのは、実施した作業を、時間削減、安全性向上、業務停止の回避、利用者の負担軽減といった効果に置き換えて伝えることです。価値を言語化する習慣が、適切な理解と評価につながります。

小さな改善を継続して実績に変える

大規模なシステム導入だけが成果ではありません。問い合わせの案内を分かりやすくする、申請手順を減らす、管理情報を整理するなど、小さな改善も積み重なると大きな効果になります。

小さな改善は、実施前後の変化を記録しやすく、利用者にも効果が伝わりやすい取り組みです。完了した改善を定期的に共有することで、情シスが継続的に価値を生み出していることを示せます。

現場の困りごとを事業課題として捉える

現場から寄せられる「手間がかかる」「使いにくい」「待ち時間が長い」といった声は、単なる個別の要望ではありません。業務時間の損失、入力ミス、顧客対応の遅れ、情報管理上の不安といった事業課題につながる可能性があります。

情シスは、個別対応を行うだけでなく、困りごとの背景を確認し、共通する課題を見つけることが重要です。現場の課題を会社全体の改善テーマとして整理することで、情シスの提案力が高まります。

個人任せにせず組織で評価の仕組みをつくる

成果の見える化や上司への報告を、担当者個人の努力だけに任せると、忙しい時期や担当変更によって取り組みが途切れます。業務記録の方法、報告の形式、目標設定の基準を組織として整えることが必要です。

情シスが適切に評価されるためには、担当者が成果を整理することと、会社がその成果を評価できる制度を持つことの両方が欠かせません。安定運用と改善活動の価値を共有し、継続して振り返る仕組みをつくることが、情シスが事業に貢献し続けるための基盤になります。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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