TCFD開示は、環境部門だけで完結する業務ではありません。気候変動によるリスクと機会を、事業戦略、財務計画、リスク管理、温室効果ガス排出量などと結び付けて説明するため、経営企画、財務、IR、事業部、調達、生産など複数部署の連携が必要です。
また、TCFD提言は2023年10月に解散しましたが、その考え方はISSBのIFRS S2や、日本のSSBJ基準に引き継がれています。TCFD開示を単年度のレポート作成業務として扱うのではなく、継続的にデータを集め、経営判断に反映し、説明責任を果たすための体制づくりとして進めることが重要です。
TCFD開示で主管部署と役割分担が重要になる理由
TCFD開示が求める経営・事業・財務情報の横断的な収集
TCFDでは、気候関連のリスクと機会が事業、戦略、財務計画に与える影響を開示します。そのため、必要な情報は環境方針やCO2排出量だけではありません。例えば、炭素価格の上昇によるコスト、豪雨や洪水による拠点停止、原材料の調達リスク、低炭素製品の需要拡大、設備投資計画なども対象になります。
こうした情報は、一つの部署に集約されているとは限りません。事業部は顧客需要や市場変化を把握し、調達部門は原材料や取引先への影響を把握します。生産部門は拠点のエネルギー使用量や設備の脆弱性を把握し、財務部門は損益、資産、投資、資金調達への影響を整理します。
主管部署には、各部門が持つ情報を集めるだけでなく、気候関連の視点で整理し、開示内容として一貫した説明にまとめる役割が求められます。
開示作業を担当者任せにした場合に起こりやすい課題
担当者個人に業務が集中すると、情報の収集や判断が属人化しやすくなります。特に、初年度は「どこまでを開示対象とするか」「誰が数値の正確性を確認するか」「財務影響をどのように考えるか」といった判断が多く発生します。
担当者任せの状態では、次のような課題が起こりやすくなります。
- 各部署への依頼が後手に回り、決算や有価証券報告書の作成時期に情報が集まらない
- 環境部門が把握する排出量と、財務部門が把握する拠点・連結範囲が一致しない
- 事業部が認識しているリスクや機会が、開示文書に反映されない
- 取締役会や経営会議での議論・承認の記録が残らない
- 開示後に投資家や監査・保証の担当者から質問を受けても、根拠を説明できない
開示の品質を安定させるには、個人の努力ではなく、役割、期限、確認手順を組織として決める必要があります。
TCFDからISSB・SSBJ基準を見据えた体制整備の必要性
TCFDは、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標という4つの柱で構成されています。この構造は、ISSBのIFRS S1・S2やSSBJ基準にも引き継がれています。
SSBJは2025年3月にサステナビリティ開示基準を公表しました。金融庁の段階的な適用方針では、2027年3月期から時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業、2028年3月期から時価総額1兆円以上の企業へと適用対象が広がる予定です。対象企業には、より詳細な気候関連情報、Scope1・2・3排出量、財務とのつながりなどの開示が求められます。
TCFD対応の段階から、財務報告と整合する対象範囲、データ管理の方法、責任者による承認手順を整えておくことで、ISSB・SSBJ基準への移行負担を抑えられます。
TCFD開示の全体像と社内で決めるべき事項
ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の4項目
TCFD開示では、気候変動に関する情報を4つの項目に分けて整理します。
- ガバナンス:取締役会による監督体制と、経営層が担う役割
- 戦略:気候関連のリスクと機会が事業、戦略、財務計画に与える影響
- リスク管理:気候関連リスクを特定、評価、管理し、全社のリスク管理に組み込む方法
- 指標と目標:温室効果ガス排出量、削減目標、進捗、評価に使う指標
4項目は独立した作業ではありません。例えば、排出量削減目標は指標と目標に該当しますが、目標達成に必要な設備投資は戦略に関係し、進捗を取締役会が確認する仕組みはガバナンスに関係します。全体を一つの経営管理の流れとして設計することが重要です。
開示対象となる事業・拠点・期間の設定
開示準備の初期段階では、対象範囲を明確にします。対象範囲があいまいなまま作業を始めると、部署ごとに前提が異なり、数値や説明の整合性が取れなくなります。
基本的には、連結財務諸表の対象範囲と整合させる考え方が重要です。一方で、海外子会社や持分法適用会社、賃借拠点、委託先などについては、情報収集の難易度が異なります。初年度は重要性の高い事業、主要拠点、排出量の大きい活動から優先して対象に含め、翌年度以降に範囲を拡大する方法もあります。
時間軸についても、短期、中期、長期を自社の中期経営計画や設備投資計画と結び付けて定義します。例えば、短期を1年以内、中期を中期経営計画の期間、長期を2030年や2050年までとする考え方があります。
開示媒体と他の開示書類とのつながり
TCFDに基づく情報は、有価証券報告書、統合報告書、サステナビリティレポート、ウェブサイトなどで開示されます。媒体ごとに内容が異なると、投資家や取引先から見たときに説明の一貫性を欠くおそれがあります。
法定開示である有価証券報告書では、正確性と財務情報との整合性が特に重要です。統合報告書では、気候変動対応を企業価値や成長戦略と結び付けて説明します。ウェブサイトでは、詳細なデータや更新情報を掲載する役割を持たせることができます。
主管部署は、媒体別の担当者と連携し、どの情報をどこで開示するかを整理した開示マップを作成するとよいでしょう。
年間スケジュールと意思決定の節目
TCFD開示は、開示直前に始めると間に合いません。決算日から逆算し、リスク評価、シナリオ分析、排出量集計、経営会議での審議、文章作成、レビューを計画します。
年間スケジュールでは、特に次の節目を明確にします。
- 対象範囲、推進体制、重要課題を決める時期
- 各部署からリスク・機会やデータを収集する時期
- シナリオ分析や財務影響の検討を行う時期
- 経営会議・取締役会で方針や目標を審議する時期
- 開示文書のレビューと承認を行う時期
- 開示後に課題を振り返り、翌年度計画を決める時期
決算、予算編成、中期経営計画の見直しと連動させることで、開示のためだけの作業になりにくくなります。
主管部署の決め方と推進体制の基本設計
サステナビリティ部門が主管する場合の役割
サステナビリティ部門が主管する場合は、TCFDやISSB、SSBJなどの基準動向を把握し、全社の気候関連方針や開示方針を整理する役割を担います。温室効果ガス排出量、削減目標、環境施策、外部評価への対応をすでに担っている場合は、開示推進の中心になりやすい体制です。
ただし、サステナビリティ部門だけで戦略や財務影響を決めることは難しいため、経営企画、財務、IRとの共同推進が必要です。主管部署は、すべての情報を自ら作成する部署ではなく、関係部署の成果をつなぎ、経営判断に必要な形に整える部署と考えるとよいでしょう。
経営企画・IR・財務部門が主管する場合の役割
経営企画部門が主管する場合は、気候関連リスクと機会を中期経営計画、投資計画、事業ポートフォリオの見直しと結び付けやすい点が強みです。複数事業を横断して優先順位を付ける役割も担えます。
IR部門が主管する場合は、投資家が求める情報を踏まえて、開示の構成や説明の分かりやすさを高めやすくなります。財務部門が主管する場合は、連結範囲、財務影響、会計上の前提、開示統制との整合を取りやすくなります。
いずれの場合も、気候変動の専門知識や排出量データを持つ環境・サステナビリティ部門との連携は不可欠です。主管部署を一つに定めても、実務は共同で進める前提を置く必要があります。
主管部署に求められる調整・進行・品質管理の機能
主管部署に必要なのは、専門知識だけではありません。主に次の3つの機能が求められます。
- 調整機能:関係部署を特定し、依頼内容、担当者、期限を明確にする
- 進行機能:全体スケジュールを管理し、遅れや課題を早期に把握する
- 品質管理機能:数値、前提、用語、対象範囲、根拠資料の整合性を確認する
特に、文章の作成者と数値の作成者が異なる場合は注意が必要です。主管部署は、記載内容がデータや社内決定と一致しているかを確認し、根拠のない表現や過度な表現を防ぐ役割を持ちます。
経営会議・取締役会と連携する責任者の置き方
TCFD開示では、取締役会が気候関連のリスクと機会をどのように監督しているか、経営層がどのような役割を担うかを説明します。そのため、実務担当者だけでなく、経営層の責任者を明確にすることが必要です。
責任者は、気候関連の方針、重要なリスク・機会、削減目標、投資方針などを経営会議や取締役会に報告し、必要な意思決定を得る役割を担います。担当役員の役割、報告頻度、承認範囲を社内規程や会議体の運営ルールに整理しておくと、開示の根拠が明確になります。
気候変動に関する会議体・委員会の設計
新たな委員会を必ず設置しなければならないわけではありません。既存のサステナビリティ委員会、リスク管理委員会、経営会議を活用する方法もあります。重要なのは、気候関連の議題が定期的に扱われ、決定事項が取締役会の監督につながることです。
会議体を設計する際は、次の点を決めます。
- 議長と参加部門
- 会議の開催頻度
- 扱う議題と意思決定の範囲
- 取締役会・経営会議への報告方法
- 議事録や決定事項の保管方法
実務部会ではデータ収集やリスク評価を進め、委員会では重要課題や方針を審議し、取締役会では監督と承認を行うという階層をつくると、役割を整理しやすくなります。
関係部署ごとの役割分担と連携の進め方
経営企画・IR・財務部門が担う経営および財務への影響整理
経営企画部門は、気候関連のリスクと機会を中期経営計画、事業戦略、投資計画に結び付けます。重要な事業や地域を特定し、将来の市場変化、規制強化、顧客ニーズの変化などが事業に与える影響を整理します。
財務部門は、リスクや機会が売上、原価、設備投資、資産価値、資金調達にどう影響するかを検討します。IR部門は、投資家にとって分かりやすい説明になっているか、他の開示資料との整合が取れているかを確認します。
3部門は、気候関連の課題を環境情報にとどめず、企業価値や財務への影響として説明するための中心的な役割を担います。
環境・サステナビリティ部門が担う排出量と方針の管理
環境・サステナビリティ部門は、温室効果ガス排出量の算定、削減目標、再生可能エネルギー導入、省エネルギー施策などを管理します。Scope1は燃料使用などによる直接排出、Scope2は購入電力などによる間接排出、Scope3は原材料調達や物流、製品使用などを含むバリューチェーン全体の間接排出です。
排出量については、算定対象、算定方法、使用した排出係数、データの出所、推計部分を明確にし、毎年更新できる状態を整えます。また、目標の達成状況だけでなく、未達の場合の要因や今後の対応も説明できるようにします。
リスク管理・法務・内部監査部門が担う管理プロセスの確認
リスク管理部門は、気候関連リスクを全社リスク管理の仕組みに組み込む役割を担います。気候リスクを特別なテーマとして別管理するのではなく、発生可能性、影響度、対応状況、責任者などを他の経営リスクと同じ考え方で評価します。
法務部門は、開示内容が誤解を招かないか、契約や規制上の影響を見落としていないかを確認します。内部監査部門は、データ収集や承認手順が定められた通りに運用されているかを確認する役割を持ちます。
SSBJ基準への対応や第三者保証を見据える場合は、早い段階からこれらの部門を巻き込むことが有効です。
事業部・調達・生産部門が担うリスクと機会の把握
事業部は、顧客、競合、市場、製品・サービスに関する情報を持っています。低炭素製品への需要変化、顧客からの排出量開示要請、規制対応の必要性などを把握し、リスクと機会を検討します。
調達部門は、原材料価格、供給安定性、取引先の排出量、調達先地域の気候災害などを確認します。生産部門や拠点管理部門は、洪水、猛暑、渇水などによる操業停止リスク、設備更新、省エネルギー余地などを把握します。
これらの部門には、単に質問票への回答を求めるのではなく、なぜ情報が必要なのか、経営や事業にどう使われるのかを説明することが重要です。
広報・IR部門が担う開示文書の編集と投資家対応
広報・IR部門は、開示内容を外部に伝わる文章へ整える役割を担います。専門用語を並べるだけではなく、企業として何を重要課題と考え、どのような根拠で対応しているのかを分かりやすく示します。
また、投資家や金融機関からの質問を収集し、翌年度の開示改善に生かす役割も重要です。質問内容は、投資家が不足を感じている情報や、説明が分かりにくい部分を知る手掛かりになります。
TCFD開示の項目別に見る担当部署と実務
ガバナンスで整理する取締役会と経営層の役割
ガバナンスでは、取締役会が気候関連のリスクと機会をどのように監督しているか、経営層がどのように評価・管理しているかを整理します。
実務では、総務、法務、経営企画、サステナビリティ部門が連携し、会議体、報告頻度、決裁権限、担当役員、議事録を確認します。開示では、実際に運用されている仕組みを記載することが重要です。実態のない委員会や、形だけの報告体制を作ることは避けるべきです。
戦略で進める気候リスク・機会とシナリオ分析
戦略では、短期・中期・長期の時間軸で、気候関連のリスクと機会を特定します。物理的リスクには、洪水、台風、猛暑、渇水などがあります。移行リスクには、炭素価格、規制強化、技術変化、市場変化、評判の変化などがあります。機会には、省エネルギー、再生可能エネルギー、低炭素製品、新市場の拡大などがあります。
シナリオ分析では、複数の将来像を置き、それぞれで自社事業がどのような影響を受けるかを検討します。例えば、脱炭素政策が進む1.5℃や2℃未満の世界と、気温上昇により自然災害が深刻化する世界では、重要となるリスクや機会が異なります。
経営企画、事業部、財務、調達、生産、サステナビリティ部門が参加し、前提条件、影響の大きさ、対応策を検討します。環境省のシナリオ分析実践ガイドでは、分析対象の設定、リスク重要度の評価、シナリオの設定、事業インパクト評価、対応策の検討、開示という流れが示されています。
リスク管理で確認する全社リスク管理とのつながり
リスク管理では、気候関連リスクをどのように識別、評価、管理しているかを示します。重要なのは、気候リスクが全社的なリスク管理の仕組みに統合されていることです。
リスク管理部門は、既存のリスク評価表やリスク台帳に、気候関連リスクを追加できるかを確認します。評価基準は、発生可能性、財務影響、事業継続への影響、評判への影響など、既存の基準を活用できます。
気候関連リスクの中には長期的に顕在化するものもあるため、短期の損失額だけで判断しないことが必要です。長期の設備投資、事業継続、サプライチェーンへの影響も踏まえて重要性を評価します。
指標と目標で集める温室効果ガス排出量と進捗データ
指標と目標では、温室効果ガス排出量、削減目標、進捗、必要に応じて内部炭素価格や低炭素製品の売上などを整理します。
排出量の算定では、データの出所を明確にすることが重要です。電気・ガスの使用量、燃料購入量、物流データ、購買データ、出張データなどについて、誰が、いつ、どこから取得するかを決めます。集計後には、前年との差異や異常値を確認し、変動理由を説明できるようにします。
Scope3は取引先やバリューチェーンの情報が必要になるため、すべてのカテゴリを同時に精緻化することは容易ではありません。まずは重要性の高いカテゴリを選定し、算定範囲と方法を段階的に改善していく方針が現実的です。
開示内容の根拠資料と承認記録の残し方
開示内容には、必ず根拠資料を紐付けます。例えば、排出量であれば請求書、検針票、集計表、算定式、排出係数の資料を保管します。リスク評価であれば、ワークショップの記録、評価表、会議資料、部門ヒアリングの記録を残します。
承認記録については、誰がどの内容を確認し、いつ承認したかを分かるようにします。取締役会や委員会の議事録、経営会議の決定事項、レビュー履歴などを整理して保管することが重要です。
こうした記録は、翌年度の更新作業を効率化するだけでなく、将来的に第三者保証を受ける際の基礎にもなります。
開示準備を円滑に進める実行計画と外部支援の判断
初年度に優先して着手する作業と進め方
初年度は、すべてを完璧に整えるよりも、継続的に改善できる土台を作ることを優先します。まずは、現状の開示、排出量算定、会議体、リスク管理、目標設定の状況を確認し、基準との違いを整理します。
優先度が高い作業は次の通りです。
- 主管部署、責任者、関係部署を決める
- 既存のガバナンスとリスク管理の仕組みを確認する
- 事業に関係する気候リスクと機会を洗い出す
- Scope1・2排出量の算定範囲と方法を確認する
- 開示媒体、作成スケジュール、承認手順を決める
- 翌年度以降に改善する項目と期限を整理する
初年度の開示では、現時点で対応できている内容と、今後改善する内容を区別して示すことが重要です。根拠が不十分な定量情報を急いで掲載するよりも、前提や限界を明確にしながら段階的に充実させる方が、信頼性の高い開示につながります。
部署間の認識合わせに使う役割分担表と管理表
部署間の連携には、役割分担表を作成すると効果的です。役割分担表には、作業項目ごとに主担当、協力部署、確認者、最終承認者、期限、成果物を記載します。
例えば、排出量算定はサステナビリティ部門が主担当、拠点管理部門と経理部門が協力、財務部門が確認するといった形で整理します。シナリオ分析は経営企画部門が主担当、事業部・調達・財務・生産部門が協力し、経営会議が方向性を確認する体制が考えられます。
管理表には、依頼日、回答期限、進捗、未解決の論点、必要な意思決定を記録します。会議ごとに更新することで、遅延や認識のずれを早期に発見できます。
データ収集・シナリオ分析・文章作成の工数見積もり
TCFD開示の工数は、文章作成よりも、前提整理、データ収集、部門間の調整、レビューにかかることが多いです。特に初年度は、排出量データの所在確認や、リスク・機会の議論に時間がかかります。
工数を見積もる際は、次の作業を分けて考えます。
- 現状分析と開示ギャップの確認
- 部門ヒアリングとリスク・機会の洗い出し
- シナリオ分析と財務影響の検討
- 排出量データの収集、算定、検証
- 開示文書の作成と関係部署レビュー
- 経営会議・取締役会での審議と承認
- 開示後の投資家対応と改善計画の作成
決算直前に作業を集中させないためにも、データ収集とシナリオ分析は早めに始めることが重要です。
外部支援を活用しやすい業務と社内に残すべき業務
外部支援は、専門性や一時的な作業負荷が大きい領域で活用しやすい方法です。例えば、基準との差分分析、シナリオ分析の設計、排出量算定方法の検討、開示文書のレビュー、研修の実施などでは外部の知見が役立つ場合があります。
一方で、自社の重要課題の判断、リスク・機会の優先順位、経営戦略への反映、取締役会への報告、最終的な開示責任は社内に残すべきです。外部支援を受ける場合でも、社内の担当者が判断根拠を理解し、翌年度以降に更新できる状態を目指します。
外部委託の範囲を決める際は、成果物だけでなく、ノウハウ移転、担当者教育、データ管理の方法まで確認するとよいでしょう。
開示後の見直しと翌年度へ引き継ぐ改善事項
TCFD開示は、公開して終わりではありません。開示後には、関係部署への負荷、データの不足、レビューで指摘された点、投資家からの質問を振り返ります。
翌年度に向けては、例えば次のような改善事項を整理します。
- 排出量データの収集を自動化・標準化する
- Scope3の算定対象を広げる
- シナリオ分析の対象事業や地域を拡大する
- 財務影響の定量化を進める
- 気候関連リスクを全社リスク管理に正式に組み込む
- 取締役会への報告内容と頻度を改善する
- 開示の根拠資料と承認記録を整備する
TCFDを起点に、気候変動を経営、事業、財務、リスク管理につなげる仕組みを毎年改善していくことが、ISSB・SSBJ基準への対応力と企業価値の向上につながります。















