いかにハイブリッド・クラウドを活かすか

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キーワードはハイブリッドITです。それを実現するにはITインフラ導入の主導権・決定権をCIOに置くことが大事です。
企業でのIT投資の意思決定において、CIOの役割がより重要なポジションになっていくでしょう。

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今の企業のハイブリッド・クラウドの活用方法は、あなたが考えているよりはるかに高度になってきています。昨年まではハイブリッド・クラウドに関して、何をどうするべきかという混乱を招きながらも、多くの企業にとって最優先課題でした。それらは今年、クラウドモデルを最大限に活かしたPaaSとして、ハイブリッド・クラウドにアプローチし始めています。

企業のハイブリッド・クラウドに対する見解は、「単純にオンプレミスと共にクラウドを利用するという定義よりさらに明快で高度化されたものになってきています。」と、サービスプロバイダー・アバナード(マイクロソフトとアクセンチュアの出資によるジョイントベンチャー)の最高経営責任者・アダム・ワービー氏は述べています。「私がその進化を見るかぎり、人々はハイブリッド・クラウドよりハイブリッドITに次第に焦点をあてており、多くの人々がレガシーや既存のアプリケーションを管理しつつビジネスの改革を試みていることを考えれば、それは妥当と言えます。今はオンプレミスとパブリッククラウド間をシームレスに機能できる異なったワークロードが見受けられます。」

例示として、ワービー氏はSAPワークロードの処理方法を指摘し、Business SuiteやSAP HANA、Azureなどを、FieldglassやSuccessFactors、Office365を含むConcurなどと統合できるとしています。ワービー氏は、SAPはIT全体をサービスとしてクラウドの中に移行しようとしているAvanadeの顧客のRio Tintoにとって要となるワークロードだと主張し、「我々にはそのような柔軟性があることは大切です。私は、パブリッククラウドがいずれ主なワークロードになると感じていますが、プロセッサに近い能力を持つ、データに近い大量のトランザクション処理はまだ重要であるとも思っています。」と述べています。

分散された個人ビジネスのデータは、ハイブリッド・クラウドの重要度が高まるもうひとつの分野であるとワービー氏は考えています。『これはNoSQLの世界で予測分析が可能となります。「昨日は晴れていてアイスクリームを売るべきだった」ではなく、「今日は晴れていてアイスクリームをお店の最前列で売るべき」なのです。』個人顧客の多くは、分析をいまだに古いデータで行っています。
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2016年にリリースされたOffice 365やAzureサービスに連携されたSharePointやSQL Serverのようなクラウド統合のためにデザインされた新世代のオンプレミスアプリケーションは、このようなハイブリッド・クラウド・ソリューションのために作られている、とワービー氏は述べています。「オンプレミスアーキテクチャのクラウド化は難しいことであるので、クラウドを元にしたアーキテクチャは、オンプレミスでも機能するように構築されているのが本来の活かし方です。」

ハイブリッドサービスとプラットフォーム

最高情報責任者にとって「ハイブリッドIT」のアプローチはサービスブローカーになることを意味する、とワービー氏は主張します。「パブリッククラウドにあるか我々のデータセンターにあるかは気にしないが、会社を運営するサービスは何であり、ミッションクリティカルであるかは重要です。それらのサービスから始めることがハイブリッド・クラウドの判断を簡略化する方法であります。「まずは、逆に何がサービスであり、何が使用可能であるか、オンプレミスに対してパブリッククラウドでできるのは何であり、できないのは何かを考えてみれば、データやアーキテクチャの質問が明白になってきます。」
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企業は分散された様々なサービスやプラットフォームで、既存のビジネスアプリケーションでこの複雑化に慣れています。
『我々がどのプラットフォームを使用しているかの質問に対し、回答は全て「はい」であると』ソフトウェア分析会社New Relicの戦略マーケティングシニアディレクター・アブナー・ジャーマノー氏は冗談混じりに言っています。『我々が、 Amazon、Docker、OpenStack、Cloud Foundryを使用していますかと質問すると、「はい」と回答します。そのリストは永遠に続きます。』
ジャーマノー氏は、ビジネスアプリケーションにおいても、ハイブリッドと同様なアプローチが適用できる、と述べています。「人々は第三者サービスのインフラを利用しているのみでなく、フロントエンドでも使用し、ビジネスパートナーにも特定のサービスを依頼しています。バックエンドのサービスは決済処理であったり、算出であったり、人事からのものかもしれません。B2Bアプリケーションに関しても、他事業部門や第三者のサービスに依存しています。」
これは、Avanadeのテクノロジーサービスシニアディレクター・ポール・ヴァイチ氏の見解と同様です。ディベロッパーは、クロスプラットフォームに最大の興味を抱いています。.Net Coreは、Azure PaaSサービスとマッチングしています。
ジャーマノー氏は、多くのクラウド化はソフトウェアの改良で行われています、と言います。「クラウド化に移行すると、短期的な勝利を求められます。時には、インフラは10年前のものであるから、パフォーマンスの向上を求めます。しかし、期待はコスト削減のみに留まらず、新しいアプリケーションも求める声が出てきます。」
ジャーマノー氏曰く、『プライベートクラウドで成功するには、ソフトウェアに関して長けていないといけません。「プライベートクラウドもやりたいし、DevOpsにも興味があります」では駄目なのです。』
ジャーマノー氏は、プライベートクラウドが要求するソフトスキルの高度化のレベルは、多くの企業にとってまだ手に届きません。ジャーマノー氏曰く、『プライベートクラウドで成功するには、ソフトウェアに関して長けていないといけません。「プライベートクラウドもやりたいし、DevOpsにも興味があります。」では駄目なのです。』ジャーマノー氏は、PayPalを最も成功したプライベートクラウドのひとつとして挙げていますが、「PayPalには、ソフトウェアのみを専任にして働いている人が80名もいます。」と付け加えています。
その一方、データセンターのインフラに数億ドルにも上る投資をしていて、早く機能するためには、プライベートクラウドを何らかの方法で取り入れるしか選択肢が残されていない企業も多く存在しています。「Cloud Foundryやその派生商品に動きがあるのはそのためであります。しかし、この場合は多額の投資は免れません。」

マイクロソフト社のAzure Stackの計画

ソフトウェアの高度化で手が届かない多くの企業に対して、マイクロソフト社はサービスの重要性をAzure Stackハイブリッド・クラウドプラットフォームで訴えようとしています。そして、なぜAzure Stackの最初のリリースがDell、HPEやLenovoなどの既存ハードウェアを含むインテグレートされたシステムでしか販売されないかを説明しています。
自分で再開発したいものには期待外れなアプローチとなりましたが、大半の企業はAzure Stackにハイブリッド・クラウドとして機能してほしいのみでなく、Azureとそれに付随するサービスも求めているのがわかりました。また、パブリック版Azureと同様の速さやサーバーからの更新を求めています。それを可能にするには、Azure Stackは統一されたものでなければなりません。
マイクロソフト社は、オンプレミスのアップデートで保守的な傾向があったため、クラウド化で頻繁に行われるアップデートに関して人々の関心が高いことに驚かされました。「我々は、引渡しの準備段階が整うのと同じくらいの頻度で人々がイノベーションを求めてくるとは思いもしませんでした。」とマイクロソフト社クラウドプラットフォーム製品マーケティング部のシニアディレクター・マーク・ジュウェットはCIO.comに伝えています。
市場のほんの一部は融合型の統一されたシステムを求めていたものの(IDCによると、インテグレートシステムは去年に比べると148%も上昇しています)Azure Stackの将来的な顧客は、マイクロソフト社にクラウドのサービスを含む仮想化された統一システムはいらないことを明らかにしました。ジュウェット氏は、彼らは通常パブリック・クラウドに接続できない場所でパブリック・クラウド並のスピードも持ってパブリック・クラウドのサービスが使用できるというイノベーションを求めている、と考えています。
『我々は、繰り返し「Azureでどのくらい迅速にフルパリティに成り得るか。どのくらい迅速に去年発売のAzureと同様の500の機能を備わったものを入手できるのか。Azure Stackに投資した場合、そのイノベーションプランにも投資しているのですから。」という声が聞こえてきました。彼らは、Azureサービスを欲していて、さらにこれが生き物みたいに耐えず変動的であることを期待しています。』と主張しています。
『彼らは、「5つのサービスを提供された後も、そこにとどまらないでほしいと訴えています。そのサービスのひとつに新しい革新的なフィーチャーが加えられたならば、それも欲しいです。」そのメッセージの熱意に驚かされ、アップデートが必須となりました。それに対応するには、ハードウェアとソフトウェアの親和性をスムーズなプロセスにする必要がありました。」とジュウェット氏は述べています。

Azure Stackの顧客はプライベートクラウドよりハイブリッド・クラウドを求めている、とマイクロソフト社のクラウドプラットフォームシステムの構築を手がけたヴィヴェイ・テワーリー氏は考えています。「多くの顧客は、ハイブリッドアプリケーションモデルを利用していて、その一部のアプリケーションがオンプレミスで作動し、もう一部はクラウドのサービスを使用しています。また、SaaSアプリケーションのものもあれば、PaaSサービスのものもあります。アプリケーション全体が、複数の相互関係で成り立っています。」
テワーリー氏は、「我々の意図は、革新的なAzureのサービスを提供し続けることです。」と述べています。「それを実現するためには、堅牢なハードウェアのプラットフォームが不可欠であり、互換性があるファームウェアとドライバーが備わっていなければなりません。クラウドサービスを提供するには、その部分が欠如しては成り立ちません。当社は、顧客に法外な時間や費用などのリソースをインフラ維持のために費やしてほしくはないのです。」
Azure Stackへの関心は、過去のクラウドへの抵抗感という観点から生じたものではありません。かつて物理的にパブリッククラウド接続が不可能とされてきた場所にパブリッククラウド環境を提供するのです。「当社は、Paasベースのアプリを油田発掘施設に設置したいという石油会社と商談しております。そのアプリはどのパブリッククラウドでもいいという訳ではなく、油田発掘施設や船内になければなりません。」とテワーリー氏は説明します。
他の企業にとっては、地理的な理由ではなく、遅延の恐れがあるためパブリッククラウドの導入が難しいのです。「リアルタイムの運営上では、遅延は非常に大きな影響をもたらします。」とジュウェット氏は指摘します。「製造フロアでのダウンタイムは、全てが機能しなくなるため費用が高くつきます。製造フロアはローカルで運営し、データプロセスと分析はパブリッククラウドを利用するという非同期型のシナリオについても話し合っています。」その方法論では、ハイブリッド・クラウドはより大きな市場を捉えられます。

アップデートは標準化を意味する

マイクロソフト社は、Azure Stackに関して対策の処方を提供すると述べています。TPM 2やRDMA NICを含むサーバーは、使用していないスペアが余っているほどビジネスの世界では浸透しておらず、既存のハードウェアの再利用は難しいのです。(既存の自社ハードウェアで、概念実証システムの構築は常に可能であるにしても)
ベンダーの数を制限することにより、ファームウェアとドライバーのコンビネーションをマイクロソフト社がテストする手間が省けます。これは、Azure Stackを初期導入するハードウェアの接続形態の場合のみではなく、頻繁に行われるアップデートの度に役立ちます。Azure Stackの導入により、複雑で時間のかかるプロセスも簡略化されます。
「クラウド型プラットフォームシステムにより、当社は導入に必要な事項とアップデートに必要な事項を学びました。」とジュウェット氏は語っています。そして後者のアップデートの方が問題を引き起こしやすいです。「Azure Stackの技術的なプレビューは、CPSのものと類似しています。他のベンダーシステムでも同様な問題が報告されていて、統合されたシステムの成長をひとつの総括的なカテゴリーとされる理由でもあります。」
テワーリー氏は、「一般的には、初期導入に重きを置きますが、運営上の全サイクルの導入を考えたほうがより大きな提案ができます。」と忠告し、「その事実を踏まえ、Azureを顧客のデータセンターに正しく導入するには、我々がより高品質で高性能なハードウェアとソフトウェアのプラットフォームを確保することが必須になります。」と述べています。
長期的な見解では、Azure Stackは初期の3つのインテグレートシステムよりハードウェアに導入されることでしょう。(ジュウェット氏は、マイクロソフト社はより競争価格を促すために意図的にパートナーを選んだことも付け加えています)「その3つに限られるでしょうか。答えはノーです。それは、始まりに過ぎません。」とジュウェット氏は約束しています。
Windows Serverのエコシステムが制約のあるシステムの集合体であった時代もかつてはありました、とジュウェット氏は認めています。「プラットフォームやエコシステムを元に考えていて、Azure Stackもそのアプローチ方法で考えています。ヴィジェイのチームが開発した検証ツールを元にサポートをさらに強化します。まずは、その3つから始めます。」
パッチやアップデートはセキュリティ面では重要である、とマイクロソフト社のクラウドグループとAzure Stackのリード・アーキテクトのジェフリー・スノーバー氏は断言します。「ショックかもしれませんが、問題は次々と浮上します。人々はシステムをパッチしないが故にハッキングされ、問題解決が困難であるが故にシステムをパッチしません。我々はその役割を果たします。運営を保持できるようにシームレスにアップデートを成し遂げ、彼らのシステムを包み込むように我々がパッチします。当社がその問題解決の方法を見い出せば、人々は喜ぶことでしょう。」

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※本記事は以下の内容を翻訳・引用しています。
http://www.infoworld.com/article/3119674/hybrid-cloud/how-to-make-hybrid-cloud-work.html

この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | いかにハイブリッド・クラウドを活かすか

コトラ(広報チーム)