政府の予算策定プロセス

政府の予算策定プロセス
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2 1 - 政府の予算策定プロセス

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政府の予算の策定においては、民間企業が有する情報やアイデアが多分に採用されているところですが、今回の記事では、「政府の予算策定プロセス」について、国家予算、その策定プロセスについて説明します。

国家予算とは

政府の予算策定プロセスについて解説する前に、そもそもの前提である「国家予算」について解説していきます。

国家予算の概要

国家予算とは、国家の歳入と歳出のおおよその見積額のことをいいます。国家予算は1会計年度毎に策定されることが多く、日本の場合4月~翌年3月までの予算が立てられます。

一般会計と特別会計

国の予算には「一般会計」と「特別会計」の二種類があります。

一般会計:国が基本的な活動を行う際に必要な歳入・歳出(公共事業等)


特別会計:特定の歳入・歳出を一般会計と区別したもの

一般会計で全ての歳入・歳出を管理してしまうと、特定の事業と一般事業とが混同し不明瞭になってしまいます。特別な管理が必要な歳入・歳出については、別途、特別会計として管理されます。
因みに、特別会計については法律で明確に定められており(特別会計に関する法律)、使途並びに設置法などが限定されています。過去設置された主な特別会計に、「東日本大震災復興特別会計」「特許特別会計」などがあります。

本予算と補正予算

他にも「本予算」「補正予算」という区分もあります。

本予算:次年度が始まる前に予め作成しておく予算

補正予算:本予算策定後に何らかの事情によって当初の予算通りに執行できなくなった際に、追加で編成される予算

(例)新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費(令和二年度)

なお補正予算を編成する条件は法律(財政法29条)に規定されており、下記に限り補正予算の編成が認められるとしています。

・予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合
・予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合

※他にも本記事と直接の関係はありませんが、本予算が年度末までに成立しなかった場合に暫定的に編成される予算(暫定予算)や、会計年度中の不測の事態に備えて計上することができる費用(予備費)等があります。

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政府の予算策定プロセス

予算策定プロセス 1 - 政府の予算策定プロセス

ここからは、具体的にどういった流れで政府の当年度の予算が策定されていくかについて解説していきます。

【概算要求】各府省庁が財務省に概算要求書を提出する(~8月)

全体の予算案を作成する前に、まずは「(各府省庁が)次年度にどれくらい予算が必要か」を明らかにする必要があります。

(1)各省庁は次年度の予算額を算出する

各府省庁が次年度の予算を算出する際、毎年6月頃に内閣から発表される「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる「骨太方針」)」を基に、国の予算の全体像や各府省庁に求められている役割を確認します。
その後、予め設定された「概算要求基準」内で、次年度どういった政策をどのくらいの予算で実現していくか吟味していきます。

(2)財務省に各個予算の要求を行う

こうして完成した次年度の予算計画を「概算要求書」という見積書に記載し、毎年8月末までに財政のまとめ役である財務省に提出します(財政法17条)。

【予算編成】財務省原案の作成(9~12月)

財務省は、各府省庁からあがってきた「概算要求書」を基に、「財務省原案」を作成していきます。財務省原案とは、今後議論の原案となる財務省作成の予算案のことです。

「財務省原案」を作成する際、各府省庁から提出された見積もりについて、当該予算が適切なものであるかどうか適宜査定を行っていきます。
適切でないものや調整が必要な予算案については、各府省庁とやり取りを進め、修正する作業が行われます。
その際どうしても必要な予算がある場合、各府省庁はその予算がなぜ必要なのか理由を明示する必要があります。

「財務省原案」の作成が完了した後には、政府に提出し、閣議に提出するための調整を行っていきます。

【閣議決定】閣議で最終調整を行う(12月下旬)

財務大臣が予算案を閣議に提出するフェーズです。
閣議で最終調整を行い無事承認されると、国会提出の手筈が整います。

【国会審議】予算案を国会に提出(1月~)

国会に提出された予算案について、国民の代表である国会議員が審議を行います。
国会審議においては、(1)予算委員会、(2)公聴会、(3)両院本会議という三段階のフェーズがあります。

(1)予算委員会:予算案についての説明・質疑応答→多数決による採決

(2)公聴会:国民の代表たる専門家から予算案についての意見を聞く

(3)両院本会議:予算成立前の最終プロセス。所属する全議員による採決が行われる

衆議院本会議にて賛成多数であれば、衆議院を通過し参議院での採決に移行します。
尚、衆議院本会議において二月中に可決した際は、参議院で議決が行われる以前に年度内の成立が確定します。

参議院で採決が行われた際、仮に衆議院と異なる結論が出た場合は、衆議院は両院協議会を開催できます。
本議会における協議が成立しなければ、衆議院の優越により衆議院の結果が優先されます。

【予算成立】(1月~年度末)

※年度末までに未成立の場合「暫定予算」が編成されます。

国会の本会議を通過すれば、予算案が成立します。
以後は成立した予算案を基に、各府省庁に予算が配分されます。
予算が各府省庁に配分されると、各府省庁は公共事業政策中心に予算を執行していくことになります。

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本記事では、政府の予算策定プロセスについて説明しました。

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 政府の予算策定プロセス

宮崎達哉

信州大学工学部卒、ゼネコンでの施工管理者を経験した後、三重県庁にて産業政策の企画・運営業務に従事。県庁在籍中に、経済産業省資源エネルギー庁及びNEDOにてエネルギー政策に係る新規事業立案や規制・制度の合理化に従事。デロイトトーマツグループでの地方創生及び教育分野のコンサルティング業務を経て現職。
【担当業界 】ESG/サステナビリティ領域、シンクタンク、コンサルティングファーム、監査法人、パブリックセクター、教育、経営層、管理系人材、技術者