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なぜビジネスにおいてロジカルシンキングが大切か【例題あり】

「ロジカルシンキング」は、今や書店ではノウハウ本が溢れ、巷では研修講座として多くのトレーニング企業が取り扱っており、もはや多くのビジネスパーソンにとって無視できないビジネススキルとなっている。
これだけ、ロジカルシンキングの重要性が叫ばれているのにはきちんと理由がある。今回はビジネスにおけるロジカルシンキングの重要性をお伝えしたい。

ロジカルシンキングとは

巷で言われる「筋道を立てて考える」という表現をかみ砕くと以下の要素に分解できる。

  1. 問われていることにきちんと応えていること

  2. 提示する結論が、きちんと根拠に基づいて導かれていること 

つまりロジカルシンキングとは「物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考法」であるといえる。
特にコンサル業界でよく求められるスキルであり、コンサルタントがもたらすバリューの根源となるスキルである。
詳細はこちらも記事でも解説している。

・関連記事:コンサルタントに転職するために求められるスキル3選

ロジカルシンキングを身につけることによる3つのメリット

なぜ、ビジネスにおいてロジカルシンキングが大切なのか。それは、身につけることで多くのメリットを得ることが出来るからである。
では、ロジカルシンキングをきちんと身に着けることで、ビジネスシーンにおいてどう役立つだろうか。代表的なものとしては以下が挙げられる。

1.問題解決スキルの向上

2.提案力の向上

3.作業効率の向上 

順を追って解説をしたい。

【メリット1】問題解決スキルの向上

ロジカルシンキングを身に着けることで「問題箇所の特定」がより高い精度でできるようになり、物事を順序立てて解決策に導けるようになる。

起きている事象を目の前に、感覚で課題を特定するのではなく様々な切り口で分解していくことで、より本質に近い発生場所のアタリ付けが可能となる。

そして、発生要素を分解し捉えていくことで原因の根源を探ることが可能になるため、根本的な解決につなげることが出来るようになる。

【メリット2】提案力の向上

そもそもロジカルシンキングは、「問われていることにきちんと応え、その応えた結論が根拠に基づいていること」である。この一連の流れは、まさに「提案力」そのものなのだ。

ここでいう「提案」はクライアントに対するものだけでなく、日々の「ちょっとした上司への提案(=自分の想いを通す)」にも活用できる。
例えば、上司が「この顧客は誰に担当させるべきか?」と考えていることを察知するとする。「この顧客は私が担当したい。その理由は・・・」と、熱意(=自分視点)だけを伝えるのではなく、「上司視点(安心感など)」「顧客視点」の観点も踏まえて想いを伝えたほうが効果的な提案に結びつくだろう。

【メリット3】作業効率の向上

きちんと目的・意図を理解し、きちんと道筋を立て、自身の作業について説明できる状態で着手することが出来れば、無駄が減り効率は良くなるのは明らかだ。

与えられた仕事や乗り越えるべき作業を目にしたときに、手あたり次第に手をつけていくと、無駄作業に時間を割き、道筋をつけるのが難しく、上司への説明もままならず、沢山の指摘を受け、手戻り発生の繰り返しになってしまう。

その差が積み重なっていくと、手戻りの繰り返しで時間を割いている人と、次から次にこなしていく人とでは、周囲から得られる信頼感も仕事の拡がりも差がつき、より一層大きな差が生まれていくことになる。

ロジカルシンキングに対する3つの誤解

ロジカルシンキングをきちんと身につけることができると、ビジネスパーソンとしての大きな武器を手に入れられることは確かである。

ただ、ロジカルシンキングに対して正しい理解が必要となるため、ここではロジカルシンキングの「よくある3つの落とし穴」について触れたい。

【誤解1】 前提や問いの置き方までは教えてくれない

色々と材料を集めて順序だてて結論を導いてみたものの、最も大事なことは「応えている問いそのものが、本当に応えるべき問いなのか」ということである。

受け止めた問いに対して、いくらロジカルに正しい応えを提示したとしても、そもそもの問いの置き方が間違っていれば、提示した応えは役に立たない。

【具体例】

全社のコスト削減策の対象に、子会社の「A社」を含めるべきかの問いがあったとする。
ロジカルに導けたとした先にある回答としては「A社を含めるべき」「A社は含めなくてよい」のどちらかになる。

そこで、「なぜA社の話が出てきたのか?何を気にしてA社にフォーカスがあたっているのか?」という問いかけの結果によっては、もしかしたら「A社ではなくB社」を優先度高く議論したほうがよいかもしれないし、「対象社数が増えた場合に、推進体制を増やせるのか?」という問いかけの結果によってはそもそも考える必要性すら無くなってしまうかもしれない。

【誤解2】 論理展開する際の切り口は無数にある

論理をきちんと整理・分解していけると、それっぽく作業を進めているような錯覚に陥入りがちだ。常に意識しなければならないのは、なぜその切り口で整理しようとしたのかという点である。打ち手や提言につながりそうな切り口で考えていくのがよいだろう。

【具体例】

売上UP策を検討するにあたって、「会員」を分類化した。
「血液型(A型、B型、AB型、O型)」×「来店時間」 と 「年齢別(20代、30代・・)」×「来店時間」のどちらで分析したほうが、打ち手につながるイメージが持てるだろうか。
例えば、前者は「夕刻にAB型が多い」ことがわかり、後者は「早朝に60代が多い」ことがわかった場合、どちらが打ち手につなげられるだろうか。

実際のビジネスシーンではこれらを自分で考えなくてはならない。

【誤解3】 常識や教養、価値観の異なる相手とは難航する

常識や教養、価値観は人それぞれによって異なることを忘れてはならない。

ロジカルシンキングという手法が世の中に存在していることを知っている人もいれば、当然知らない人もいる。それゆえに、自身がきちんと論理だてて物事を整理できたつもりでも、受け手にとってそのロジックの良さが伝わらないことがあることを理解しておくことは重要だ。

ただビジネスシーンにおいては、そのような人と出会ったときこそ、より深く考える癖や、よりシンプルさを研ぎますことの大切さを感じ、成長に繋がることが多い。

ロジカルシンキングを身につけるために知っておきたいこと

・代表的な概念

コンサル業界特有の概念に「MECE」というものがある。

「MECE」とは、Mutually(お互いに) Exclusive(重複せず) Collectively(全体に) Exhaustive(漏れがない)の頭文字を取った言葉で、要するに「漏れなく・ダブりなく」という意味である。

物事を考えるとき、正確な答えを導き出すために必要な要素を網羅しながらも、それらが重複しないようにする考え方も同時に必要となる。
こうした際に「MECE」を意識することで、総合的な視点から必要な事実を分類して、問題や課題に対する正しいアプローチを導き出すことができるようになる。

・代表的な論理展開の手法

ロジカルシンキングでよく用いられる論理展開手法として、一般的に「帰納法」「演繹法」と呼ばれている手法がある。

帰納法・・・複数の具体的事実から分かる傾向をまとめて、一般的な命題・法則を導き出す思考法
演繹法・・・「三段論法」とも呼ばれる論理展開の手法で、一般的法則や決められた方針(前提)に事実を当てはめ、最終的な結論を導き出す思考法

【帰納法の例】

「A社はタイに進出した」「A社はタイ語のコーポレートサイトを立ち上げた」「A社はタイにエースを送り込んだ」 ⇒「A社はタイビジネスに本気だ」
帰納法で導き出される結論はあくまで抽出できた事実・情報から判断できる傾向をまとめたものに過ぎず、普遍的な事実ではないことに注意が必要です。

【演繹法の例】
有名な例として以下がある。

「人間はいつか死ぬ」(法則)

「ソクラテスは人間である」(当てはめる事実)

「ゆえにソクラテスは死ぬ」(結論)

演繹法は、「すでに法則や方針が存在し、且つその法則・方針が正しいこと」を前提にした論理展開である。
よって、前提として置く「法則・方針」自体が間違ったものであれば、導き出す結論も間違ってしまうことになるので注意が必要となる。

(悪い例)

「我が社の有望なAさん・Bさんは、部下をつけた時期から急激な成長を遂げた」 (前提)

「有望株として、成長させたい対象者にCくんがノミネートされた」(当てはめる事実)

「Cくんにも部下をつけるべきだ」(結論)

非常に違和感を感じる文章になってしまっている。

・代表的なフレームワーク

一般的に、ある物事や主張を、ヌケモレ・ダブりなく考えるうでの枠組みを「フレームワーク」という。フレームワークを活用することで、全体像をきちんとMECEで考えたことを担保しやすくなる。

今回は代表なフレームワークとして

・ピラミッドストラクチャー

・ロジックツリー

上記2つを紹介したい。

 

・ピラミッドストラクチャー 

ピラミッドストラクチャーとは、聞かれていることに対する主張(結論)とその理由をわかりやすく論理立てて考え、その主張・結論の正しさを証明するために、理由・根拠を並べていくフレームワークである。下記図のようにピラミッド状に図式化することから、このような名前がついている。

ピラミッドストラクチャーの考え方

【具体例】

「我が社の主力事業はどのような状態にあるのか?」
という問いがあった場合、どのような説明が出来ると説得力を持つ主張になるのか。

「マーケットの観点」「競合の観点」「自社の観点」で整理した結果を結合して最終的な「主張」として提示出来るとよいだろう。
ここでは、「3C」というフレームワークを意識した論理構造で紹介した。

【メリット】

ピラミッドストラクチャーは「結論・主張」を頂点として、それを支える「根拠・理由」が下の階層に配置されていくため、自身が紡ぎ出した主張は説得力が強くなる。

 

・ロジックツリー 

事象をツリー状で構成要素で分類し、問題の原因や解決策を導いていく際に活用されるフレームワーク。ビラミッドストラクチャーの場合の上下関係は「主張」と「根拠・理由」の関係性であったが、ロジックツリーの場合の左右の関係は「ある概念」と「その構成要素」の関係性になる。

 

【具体例】

「居酒屋A店の売上が減少しているのはなぜか?」
という問いがあった場合、下記図のようなロジックツリーが考えられ、原因を特定していく、というような使い方をする。

ロジックツリーの考え方

【メリット】

ロジックツリーを使って整理するメリットとしては、

・要素分解していくことで、根本原因の特定をしやすくなる

・根本原因に対して対処策を考えやすくなる。

・対処の優先順位をつけやすくなる。

というようなことが挙げられる。

トレーニング問題

あなたは「新プロダクトA」の企画担当者である。
「新プロダクトA」の提供価値や機能概要について大枠のイメージを持っているが、本格的な検討に踏み込むべきかを考えるにあたって様々な情報を集めた結果、下記のようなことを把握できた。

A)海外X社の類似プロダクトはUI・UXが洗練されており、ユーザー数が驚異的な数値まで駆け上がっている。

B)既存の別プロダクト事業は業界上位。中高年~高齢者、若年層まで幅広くユーザー接点を保有。

C)国内においては2年後に新法律が施行されるため、当該領域のプロダクトの取り扱いが可能になる見立て。

D)本領域のプロダクトでは、「UI/UXのデザイン力」及び「高度な技術力」の有無が生命線。

E)定量調査の結果、中年層~高齢者でかなり高いニーズがあることを確認。

F)新プロダクトのドメインは、既存プロダクトと親和性が高いと解釈しており、うまい仕立ての設計が重要。

G)我が社は昨今、制度改革を実現。有能な人材には高い報酬を与えられる制度や、リモートワーク推奨制度を構築。

H)類似プロダクトを扱っている海外Y社の売上成長率は右肩上がりである。

I)昨年、規模は小さいが近年注目を集め始めていたUI/UXのデザイン会社を子会社化。

J)我が社の技術力は、業界でもかなり高いことで有名。国内・海外の優秀なエンジニアが多数在籍。

 

これらの内容をピラミッドストラクチャーで構造化し、「新プロダクトA」について具体的に企画検討に着手すべきかを上層部に対して簡潔に報告してみよう。

下記のような図を用いると、アウトプットイメージを整理しやすいだろう。

解答のフレームワーク

・問題のポイント

この問題により組む上で大切なことは3つポイントが挙げられる。

1.「問い」に対しての「結論」をイメージする。

2.「結論」に対して、その主張を支えるための観点を考える。

3.上記の観点を支える要素を当てはめてみる。

一つずつ解説をしていきたい。

・「問い」に対しての「結論」をイメージする

まずは投げ掛けられた「問い」に対して、どう応えるか(YESなのかNOなのか)の「結論」を先にイメージしてみる。

ここでは、下記の結論を仮置した

【結論】

市場魅力度および競合優位性の双方の観点を踏まえると、新プロダクトAが成功する

見込みは高いため、他社に先駆けて積極的に企画検討を進めるべきである。

・「結論」に対して、その主張を支えるための観点を考える。

次に、「結論」のYES・NOに対して、その主張を支えるための観点を考えてみる。
今回の場合は「市場魅力度」と「競合優位性」としてみた。

今回は、「3C(Customer/Competitor/Company)」という市場環境分析時に主に用いられる有名なフレームワークを意識して構成している

ビジネスの場において、自身の主張を支えるためのロジックは大事になる。有名なフレームワークで定義されている観点を覚えておくと良いだろう。(例)3C、PEST、PDCA、4P、QCD 等

・上記の観点を支える要素を当てはめてみる。

上記の観点、「市場魅力度」と「競合優位性」を支える要素を当てはめてみる。

要素を当てはめていく中で、更に「要素を括ってメッセージを導き出す」事が出来るかを考えて整理してみる。例えば今回の場合、1つの主張(例えば「競合優位性」)を支える直接の要素が6つもぶら下がっていると、確からしさがわかりづらくなってしまいますので、その間で意味のある塊に括って整理しています。

1つの主張をわかりやすく支える要素としては、4個までが無難と思われる。

それ以上ある場合は、「要素括ってわかりやすい構造にできないか?」を考えてみよう。

・解答例

問に対する解答例

 

まとめ

ロジカルシンキングは、特定の業界に限らず、すべての社会人にとって役立つスキルであることは間違いない。

現場で使えるようなレベルになるまでには、実践で築き上げていくのみだが、様々な書籍等もあるので、興味を持ったならばまずは基本のお作法を深掘ってみるのもいいだろう。

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