年金資産運用コンサルタントの仕事・役割とは

年金資産運用コンサルタントの仕事・役割とは
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はじめに 確定給付企業年金(DB)の資産運用を巡るガバナンス規制の動向

2018年以降DBの資産運用を巡るガバナンス規制は、以下の2点が改正され、DBを運営する会社に対応が求められております。

・2018年4月 DB法令等の施行
1. 「運用の基本方針」及び「政策的資産構成割合」の策定
2. 「確定給付企業年金に係る資産運用関係者の役割及び 責任に関するガイドライン」の見直し

・2020年4月 スチュワードシップコードの改訂
1. 企業年金等のアセットオーナーによるスチュワードシップ活動の後押し

年金資産運用コンサルタントの仕事内容

年金資産運用コンサルタントの仕事は、DBを運営する会社が法令等に定められた資産運用プロセスをサポートすることです。
具体的には、下記プロセス(PDS)ごとにサポートをします。

1.運用基本方針策定          運用開始時、以後必要に応じて
2.運用戦略(資産配分比率)策定    財政再計算時(3〜5年毎)
3.運用機関・運用商品選定       開始時、以後定期的に
4.運用状況のモニタリング       四半期毎

近年は、低金利、運用商品の高度化から、特に2〜4のタスクについては、専門家の助言無しでは、ガバナンスを維持できない状態となっております。

年金資産運用コンサルタントの役割

従来からDBを運営する会社は、年金資産運用コンサルタントの助言を受け年金資産運用を行って来ましたが、近年の年金ガバナンス規制の強化により、年金資産運用コンサルタントのアドバイスの重要性が増してきております。

また、内外債券利回りの低下による運用難及び運用商品の高度化も年金資産運用コンサルタントのアドバイスが不可欠になってきております。

年金資産運用コンサルタントのキャリア

資産運用の経験者、信託銀行・生保で年金の財政に関わる業務の経験者をコンサルタントとして採用する傾向にあります。

年金資産運用コンサルは、組織人事コンサルの中でもより専門的な知識が必要となるため、その道のスペシャリストとしてキャリアを形成される方が多いです。

年金資産運用コンサルタントに必要なスキル・資格

年金資産運用は、中長期の分散投資を基本としますので、短期の期間損益を重視したり、過大なリターンを狙う持つトレーダー、ファンドマネージャーとは異なるスキルセット、マインドセットが必要になります。

最終的な意思決定は顧客であるDBを運営する企業の責任者が行うので、顧客とのコミュニケーション能力が要求されます。
また、運用基本方針の策定及び運用戦略の際には、年金制度、年金の負債(年金財政、退職給付債務)に関する情報も必要となるので、年金制度、年金負債の専門家であるアクチュアリー、年金数理人と協業できるチームワーク力も求められます。

アクチュアリーの知識が、銀行・生保などの金融機関でのご経験や、社会労務士、確定搬出年金アドバイザー、証券アナリストなどの資格も選考の対象となります。必要な知識体系としては、年金ALM、運用商品の評価が不可欠です。

年金資産運用コンサルタントのやりがい

年金資産運用コンサルタントのやりがいは、専門的知識・経験を活かし、DBの持続性向上に貢献することにあります。昨年から、一部評価機関より、DBのリスク・リターン効率(シャープレシオ)が公表され、自分の担当先DBへの貢献度を定量的に認識できるようになり、よりやり甲斐を感じられるようになっております。

国内企業のコンサルタントであれば800〜1200万円程度、外資系のコンサルタントであれば1000〜2000万円程度と、高収入が期待できることもやりがいの一つです。

また、DBの責任者は、CFO、財務責任者、人事責任者の方々で構成されており、経営中枢の課題に関与することもやりがいとなります。

コーポレートガバナンス同様に日本のDBガバナンスは端緒についたばかりと言えますので、今後のDBガバナンス向上により、年金資産運用コンサルタントに対する要請は強まっていくとも考えられます。

年金資産運用を行っている企業

外資系では、組織人事コンサルティングファームの一部門として年金資産運用コンサル部門が設置されていることが多いです。マーサージャパンタワーズワトソンなどが代表的な企業です。

国内企業では、独立系の年金コンサル企業や、証券会社の関連企業が年金コンサルティングを行っている場合が多いです。

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 年金資産運用コンサルタントの仕事・役割とは

村上慶

東北大学法学部卒。東海銀行(現三菱UFJ銀行)及び子会社にて有価証券運用、債券投信のファンドマネージャーを担当。地方銀行及びトヨタファイナンシャルサービスにて市場リスク管理に従事。年金コンサルティング会社で資産運用アドバイザーを担当。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、CFA協会認定証券アナリスト、FRM。
[ 担当業界 ]
投信投資顧問、金融フロント、マーケットビジネス、リスクマネジメント