市場リスクの基本
市場リスクの意味
市場リスクとは、株価、金利、為替などの市場環境が変化することで、保有する金融商品の価値が変動するリスクです。投資した資産の価値が上がる場合もあれば、購入時より下がる場合もあります。
市場リスクは、投資を行う際に避けにくい基本的なリスクです。特に、株式、投資信託、債券、外国通貨で運用する商品などは、市場の動きによる影響を受けます。
投資で資産価値が変動する仕組み
金融商品の価格は、将来の利益への期待や経済の状況、投資家の売買によって日々変動します。たとえば、企業の業績が伸びると期待されれば株式を買いたい人が増え、株価が上がることがあります。反対に、景気の悪化や業績不振が見込まれると、売り注文が増えて価格が下がる場合があります。
また、海外の資産に投資する場合は、その資産自体の価格だけでなく、円と外国通貨の交換比率も資産価値に影響します。このように、複数の要因が重なることで、投資した資産の評価額は変動します。
市場リスクと元本保証のない商品の関係
元本保証のない商品では、購入した金額を下回る可能性があります。株式や投資信託、債券などは、保有中に価格が変動するため、売却する時期によっては損失が生じます。
預金のように条件付きで元本が保護される商品とは異なり、投資商品では値動きを受け入れる必要があります。投資を始める際は、利益が期待できる一方で、元本割れの可能性もあることを理解することが重要です。
資産が減る要因1:価格変動リスク
株式や投資信託の価格が動く理由
価格変動リスクとは、株式や投資信託などの価格が上下することで、資産価値が変わるリスクです。株式の価格は、企業の業績、業界の動向、景気、将来への期待などによって動きます。
投資信託は、複数の株式や債券などに投資する商品です。そのため、組み入れられている資産の価格が変動すると、投資信託の価額も変動します。国内株式に投資する投資信託であれば国内株価の影響を受けやすく、海外株式に投資する商品であれば海外市場の動きにも左右されます。
景気や企業業績が価格に与える影響
景気が拡大し、企業の売上や利益が伸びると見込まれる局面では、株価が上昇しやすい傾向があります。一方で、景気後退への懸念が高まったり、企業の業績見通しが悪化したりすると、株価が下落することがあります。
ただし、価格は現在の業績だけで決まるものではありません。市場参加者が将来をどのように見ているかも影響します。業績が良くても、すでに高い成長期待が価格に織り込まれている場合は、期待を下回る結果を受けて価格が下がることもあります。
値下がりによる損失の考え方
保有する商品の価格が下がっても、売却しなければ損失は確定しません。しかし、評価額は減少しており、購入額を下回る状態になることはあります。売却した時点で購入額より売却額が低ければ、その差額が損失となります。
価格の下落時に慌てて判断すると、本来の投資目的や保有期間に合わない売却につながるおそれがあります。値動きが起こることを前提に、どの程度の下落まで受け入れられるかを考えたうえで投資額を決めることが大切です。
資産が減る要因2:金利変動リスク
金利と債券価格の関係
金利変動リスクとは、市場金利の変化によって、主に債券の価格が変動するリスクです。債券は、国や企業などが資金を借りるために発行する金融商品で、一般的には利息を受け取り、満期に元本が支払われる仕組みです。
債券の市場価格は金利と反対方向に動く傾向があります。市場金利が上がると既に発行されている債券の価格は下がりやすく、市場金利が下がると債券価格は上がりやすくなります。
金利上昇で債券価格が下がる理由
たとえば、市場金利が上昇すると、新しく発行される債券は以前より高い利息を受け取れる条件になることがあります。その場合、低い利息の既存債券は相対的に魅力が下がるため、売買される価格が下がりやすくなります。
特に、満期までの期間が長い債券は、金利変動の影響を受けやすいとされています。満期まで保有する場合でも、発行元が利息や元本を支払えなくなるリスクとは別に、途中で売却する際の価格変動には注意が必要です。
株式や投資信託への金利の影響
金利の変化は、債券だけでなく株式にも影響を与えることがあります。金利が上がると、企業の借入負担が増える可能性があり、利益の伸びに影響する場合があります。また、預金や債券などの利回りが上がると、株式に投資していた資金の一部が別の資産へ移ることもあります。
投資信託についても、債券を多く組み入れる商品は金利変動の影響を受けやすくなります。株式と債券の両方に投資する商品では、それぞれの市場環境を確認する必要があります。
資産が減る要因3:為替変動リスク
為替変動リスクの仕組み
為替変動リスクとは、円と外国通貨の交換比率が変化することで、外国資産を円に換算した価値が変動するリスクです。外国株式や海外の債券、海外資産に投資する投資信託などで生じます。
海外資産の現地通貨での価格が変わらなくても、為替相場が動けば円換算の評価額は変わります。そのため、海外投資では資産価格の変動と為替変動の両方を考える必要があります。
円安・円高が海外資産の価値に与える影響
一般的に、外国通貨建ての資産を保有している場合、円安になると円換算の資産価値は上がりやすくなります。たとえば、海外株式の現地通貨建て価格が変わらなくても、円の価値が下がって外国通貨の価値が相対的に上がれば、円に換算した金額は増えます。
反対に、円高になると円換算の資産価値は下がりやすくなります。海外株式の価格が現地通貨で上昇していても、円高が進むと、その値上がり分が小さくなったり、円換算では損失になったりする場合があります。
外国株式や海外投資信託で確認したい点
外国株式や海外投資信託を選ぶ際は、どの国や地域、通貨に投資しているかを確認することが重要です。また、為替の影響を抑える仕組みがある商品かどうかも、商品説明書などで確認するとよいでしょう。
為替の影響を抑える仕組みがある場合でも、完全に損失を防げるとは限りません。さらに、その仕組みにかかる費用が運用成績に影響することもあります。投資対象の値動きだけでなく、為替との関係も踏まえて判断する必要があります。
資産ごとに異なる市場リスク
国内株式で受けやすい影響
国内株式は、企業の業績、国内景気、業界の動向などによる価格変動の影響を受けやすい資産です。また、金利の変化や海外経済の状況が国内企業の収益見通しに影響し、株価が動くこともあります。
特定の企業や業界に投資先が偏ると、その企業や業界に特有の要因によって資産価値が大きく変動する可能性があります。
債券で受けやすい影響
債券は、金利変動の影響を受けやすい資産です。市場金利が上昇すると、保有する債券の売却価格が下がる可能性があります。また、発行元の財務状況が悪化すれば、利息や元本の支払いに対する不安が高まり、債券価格が下がることもあります。
外国債券では、金利だけでなく為替の変動も資産価値に影響します。円での受取額を考える場合は、通貨の値動きも確認が必要です。
投資信託で受けやすい影響
投資信託のリスクは、組み入れている資産によって異なります。株式中心の商品は株価変動の影響を受けやすく、債券中心の商品は金利変動の影響を受けやすい傾向があります。海外資産を組み入れる商品では、為替変動も重要な要素です。
投資信託は複数の資産に投資できる点が特徴ですが、分散されているからといって価格が下がらないわけではありません。投資対象、地域、資産の比率を確認し、どのような値動きが想定される商品なのかを理解することが必要です。
海外資産で受けやすい影響
海外資産は、投資先の国や地域の景気、金利、政治・社会情勢に加え、為替変動の影響も受けます。国内資産とは異なる値動きをする場合があるため、資産全体の分散につながる可能性があります。
一方で、海外市場の急な変動や、円高による円換算額の減少が起こることもあります。海外資産へ投資する際は、投資先の価格変動と為替変動を分けて考えることが重要です。
初心者ができる市場リスクへの備え
投資先を分ける分散投資
市場リスクに備える方法の一つが、投資先を分ける分散投資です。国内外の株式や債券など、値動きが異なる複数の資産に投資することで、特定の資産の下落が資産全体へ与える影響を抑えやすくなります。
ただし、分散投資は損失をなくす方法ではありません。市場全体が大きく下落する局面では、複数の資産が同時に値下がりすることもあります。目的は、値動きを小さくし、特定の要因への偏りを減らすことです。
長期・積立投資による値動きへの向き合い方
長期的な目的で投資する場合は、一度に大きな金額を投じるのではなく、定期的に一定額を積み立てる方法もあります。価格が高いときには購入量が少なくなり、価格が低いときには購入量が多くなるため、購入価格が平準化されやすくなります。
ただし、長期・積立投資であっても損失が生じないわけではありません。途中で資金が必要になれば、価格が下がっている時期に売却せざるを得ない可能性があります。生活費や近い将来に使う予定の資金とは分けて考えることが大切です。
自分に合ったリスクの確認
投資額を決める際は、年齢や収入だけでなく、投資の目的、運用できる期間、資産状況、値下がりした場合に受け入れられる範囲を確認しましょう。短期間で使う予定の資金は、価格変動が大きい商品に振り向けない判断も必要です。
商品を選ぶ前に、どの程度の損失が出た場合に保有を続けられるかを考えておくと、相場の変動時にも冷静に判断しやすくなります。
値動きだけで判断しないための注意点
短期間の値上がりや値下がりだけを見て売買を繰り返すと、投資判断が感情的になりやすくなります。価格が下がった理由が市場全体の動きによるものなのか、投資対象の状況が大きく変わったためなのかを分けて確認することが重要です。
市場リスクを完全になくすことはできません。しかし、商品の特徴を理解し、投資先や購入時期を分け、無理のない金額で続けることで、値動きと向き合いやすくなります。投資の目的と運用方針を定期的に見直しながら、自分に合った資産配分を検討しましょう。













