株式会社新日本科学PPD(PPD-SNBL)は、新日本科学とPPDが2015年に設立した合弁のCRO(臨床試験受託機関)です。この記事では、事業内容と強み、CRAの分業モデル(ECDモデル)、働き方、中途採用で求められる経験を整理します。
PPDはサーモフィッシャーサイエンティフィックの臨床研究事業です。もう一方の出資元である新日本科学は、1960年に国内で初めて非臨床試験(安全性試験)の受託を始めた会社で、新日本科学PPDに40%を出資しています。合弁の設立によって両社の日本の臨床事業が統合されました。従業員数は1,053名(2025年1月時点)です。
同社の特徴は、国際共同治験(グローバル試験)の比率が高いことと、CRAの業務を役割ごとに分けるECDモデルを取り入れていることです。採用の中心は臨床開発モニター(CRA)ですが、メディカルライター(MW)や安全性情報管理(PV)、データマネジメントの職種もあります。
1. 株式会社新日本科学PPDの会社概要
東京・築地の聖路加タワーに東京本社を置き、大阪(中之島)と鹿児島にもオフィスがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社新日本科学PPD(PPD-SNBL K.K.) |
| 設立 | 2015年4月1日 |
| 親会社・出資元 | PPD(サーモフィッシャーサイエンティフィックの臨床研究事業)/株式会社新日本科学(東証プライム:2395、出資比率40%) |
| 代表者 | 代表取締役会長 兼 CEO Sebastian Pacios 代表取締役社長 永田 一郎 取締役 General Manager 栗岡 康雅 |
| 本社所在地 | 東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー12階 |
| 主要拠点 | 東京本社(東京都中央区明石町)、大阪オフィス(大阪市北区中之島)、鹿児島オフィス(鹿児島市唐湊) |
| 従業員数 | 1,053名(2025年1月時点) |
| 公式URL | https://www.ppd-snbl.com/ |
| 主な事業内容 | 医薬品・医療機器・再生医療等製品の臨床開発受託(CRO事業) ・臨床開発モニタリング(CRA / 国内治験および国際共同治験) ・メディカルライティング(MW / プロトコル・CSR作成) ・ファーマコヴィジランス(PV / 治験中・市販後安全性情報管理) ・データマネジメント(DM)/ 生物統計解析 ・メディカルモニタリング(医師による医学的支援・助言) ・薬事業務、GCP QA業務 |
2. 新日本科学PPDの強み
① 国際共同治験の比率が高い受託環境
同社は採用向けのインタビューで、グローバル試験の割合が9割を超えると説明しています。新日本科学の時代は国内試験だけでしたが、PPDとの合弁後にグローバル試験を受託する体制が整いました。日本法人のCRAやPMも、海外チームと英語でやり取りしながら試験を進める場面が多くなります。
PPDは、日本法人に意思決定と説明責任を置き、機能別のリーダーが日本のゼネラルマネージャーに報告する体制をとっていると紹介しています。
② CRAの役割を分けるECDモデル(Evolved Clinical Delivery)
ECDモデルは、1つの施設を複数のCRAがチームで担当する分業の仕組みです。施設全体をリードするRemote CRA、施設訪問などの現地業務を担うOn-site CRA、Remote CRAの管理下で内勤業務を行うAssistant CRAの3つの役割があります。同社の説明では、1人で全業務を担うと担当施設は5〜6程度ですが、ECDモデルでは約10施設を横断して見られるようになったそうです。産休・育休から復帰した後など、外勤を控えたい時期に訪問を伴わない役割へ移ることもできます。
③ PPDの臨床開発基盤と新日本科学の国内実績
新日本科学PPDは、PPDのグローバル試験の受託体制と、新日本科学が国内で積み上げてきた臨床試験の受託実績や医療機関とのつながりを合わせて事業を進めています。PPDの日本向け紹介ページでは、20社以上の海外製薬企業と取引があり、国内で150件以上の試験に携わってきたとしています。
3. 事業内容と主な職種
臨床開発の工程ごとに専門職が分かれています。
- クリニカルオペレーション(臨床開発モニタリング / CRA)
- CRA(Clinical Research Associate):治験実施施設の選定(FS)、治験責任医師・CRCへのプロトコル説明、IRB審査対応、患者リクルート支援、原資料照合(SDV)、GCP適合性監査対応
- CTL / PM(クリニカルチームリーダー / プロジェクトマネジャー):国内およびAPAC・グローバル試験の進捗管理、予算管理、海外スポンサー(製薬企業)との定例会議や折衝
- ファーマコヴィジランス(PV / 安全性情報管理)
- Safety Specialist:治験中および市販後の重篤な有害事象(SAE)の評価、データ入力、医学的トリアージ、グローバル安全性DB(Argus等)への入力
- Project Manager, Pharmacovigilance:グローバル安全性報告のタイムライン管理、国内外規制当局(PMDA/FDA/EMA)への報告書作成マネジメント
- メディカルライティング(MW)
- 国際共同治験実施計画書(グローバルプロトコル)の日本語化・適合化、治験総括報告書(CSR)、治験薬概要書(IB)、CTD(承認申請資料)の作成・レビュー
- メディカルモニター(Medical Monitor / 臨床開発医師)
- 医師が、治験実施計画書の医学的な妥当性の評価、治験責任医師からの医学的な問い合わせへの回答、有害事象が起きた際の医学的な助言を担当
- データマネジメント(DM) & 統計解析
- EDCシステムの構築、データクリーニング、SASプログラミング、CDISC標準化対応、統計解析計画書の策定
4. 年収と待遇
新日本科学PPDは非上場で、平均年収は公表されていません。求人情報でも、給与は経験や能力、資格を考慮して社内規程に基づき決めるとされており、具体的な金額は示されていません。年収は選考の中で個別に確認することになります。
公開されている求人情報によると、年間休日は125日(完全週休2日制、土日祝)で、年末年始休暇と夏季休暇があります。確定拠出年金(日本型401K)制度と、会社指示の転勤時に使える借り上げ社宅制度もあります。
5. 働く環境
研修制度と職場の特徴
新卒採用情報によると、研修制度、メンター制度、社内TOEIC受検制度があります。グローバル試験が中心のため、海外チームと英語でやり取りする機会が多い職場です。
勤務制度と休暇
フレックスタイム制(コアタイム11時〜16時)を導入しています。2023年度の平均有給休暇取得日数は14.6日、育児休業取得率は男性35.5%、女性100%でした。2024年度の月平均所定外労働時間は10.6時間です。在宅勤務の運用は職種や役割で異なるため、応募時に確認してください。
6. 中途採用の傾向と求める人物像
採用の中心はCRAです。新卒でも臨床開発モニター職を毎年採用しており、2023年は65名、2024年は102名、2025年は65名でした。中途採用ではCRAのほか、PM、PV、MW、データマネジメントなどで募集が出ることがあります。
歓迎されるバックグラウンド
- 臨床開発モニター(CRA):CROまたは製薬企業でのCRA実務経験。グローバル試験の経験があると業務になじみやすい
- プロジェクトマネジメント(CTL / PM):国際共同治験または国内治験のプロジェクトリード、タイムライン・予算管理の実務経験者
- ファーマコヴィジランス(PV):治験中・市販後のSAE評価、グローバル安全性DB(Argus等)の入力・評価、英語での症例情報処理経験者
- メディカルライター(MW):英語での治験実施計画書、CSR、CTD等の作成・レビュー実務経験者
- メディカルモニター(医師):臨床経験を持ち、グローバル治験のプロトコルレビューや医学的判断を担いたい医師免許保有者
- 語学力:英語の治験実施計画書を読み、海外チームとメールや電話会議でやり取りできる英語力
仕事で求められる姿勢
- 世界の患者に新薬を届ける仕事への使命感とプロ意識
- 海外のプロジェクトチーム、国内の医師・CRC、社内各部門と円滑に対話し、信頼を築ける高いコミュニケーション力
- DCT(分散型臨床試験)やリモートでのモニタリングなど、新しい手法を学び続ける意欲
7. まとめ
新日本科学PPDは、国際共同治験の受託が多く、CRAの業務をECDモデルで分担している国内のCROです。国内試験が中心のCROや製薬企業でCRA経験を積み、英語を使うグローバル試験に移りたい人には検討しやすい会社です。
PVやMW、データマネジメントの経験者にとっても、グローバル試験の手順で働く経験を積める環境です。年収水準は公表されていないため、条件面は選考の中で確認してください。


