銀行員からの転職 ~部下を慰留している中間管理職銀行員が転職先などを解説~

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新しい生活様式、新しい働き方も定着しつつある現在、銀行員の転職に対する意識は年々高まっています。私は勤続30年の銀行員ですが、自分が入社した当時は「銀行に骨をうずめる」覚悟を持つのがごく当たり前でした。

しかし、今は違います。終身雇用といった言葉はもはや前時代のもので、入社して数年間で銀行から転職していく若手銀行員を慰留するのが、私たち中間管理職の仕事の1つにもなっています。

とは言え、銀行だけが仕事ではありません。そこで今回は、新しい場所に向かおうとしている人の背中を少しでも押せればと思い、この記事を書いています。

実際に部下を慰留してきた経験を交え、私が慰留できなかった人、つまり銀行からの転職を成功させた実例から感じた秘訣をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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銀行員の転職理由(辞める理由)3選

まず銀行員が転職する理由に関してお話します。

一つ目は転職する理由、つまり辞める理由・辞めたい理由です。

二つ目は転職に対する不安、つまり転職を阻害する原因、辞められない理由になります。(こちらは次項で説明)

なおここからは、引用に適した公的な統計資料がないため、サイト記事などで検索した中から筆者がまとめました。

辞める理由1.ノルマ、プレッシャー

辞める理由の最上位は、やはりと言うか「ノルマ」です。銀行員なら当然、と言ってしまえばそれまでですが、やはりきびしいノルマに疲れ、退職を決める人が多いようです。

また、ノルマと似た内容でプレッシャーも上位の理由になっています。

・目標、ノルマ達成への上司からのプレッシャー
・資格や検定試験などプライベートをすり減らしてまで勉強に追われる日々のプレッシャー

こうしたさまざまなプレッシャーも転職理由で目立ちます。

辞める理由2.理想とのギャップ、社風に合わない

「金融を通じて社会に貢献したいと銀行に就職したのに、やらされるのはお願い営業や意に沿わない金融商品の販売ばかり」
「仕事より『銀行員はこうあるべき』と言った古い社風、堅苦しい空気にもう疲れました」

これは転職の相談で部下から聞いた生の声です。

理想と現実のギャップや、こんなはずじゃなかったと期待はずれに感じることはどんな業種でもあります。また金融業、銀行という仕事では特にイメージが先行して、入社してからギャップに苦しむ若手社員が多いのも事実です。

辞める理由3.人間関係、独特な企業体質

「銀行は体育会系」

これは良く言われることですが、本当にそう思います。これは証券会社など、金融業界全体も同じだと思います。自分自身は転職経験がないのですが、金融業界の他業種(証券会社、保険会社)の人と話す機会があり、そう感じたからです。

・ノルマより人間関係が辛い
・出世への足の引っ張り合い
・職場で聞こえるのは他人の悪口ばかり
・銀行で出世するには根回しや要領の良さが必須
・この時代になっても、まだ学閥が生き残っている

こうした人間関係や、閉鎖的な空気感も転職の大きな理由です。

転職に対する不安(辞められない理由)3選

転職に対する不安があると、タイミングを逸したり、決断がにぶったりして、気づけば転職できない年齢になってしまうこともあります。ここからはそうした障壁となる「辞められない理由」を解説します。

辞められない理由1.年収、待遇

なんといっても銀行員の年収の高さは目立ちます。

転職を考える人が、必ずぶつかるのは、「現在の年収を捨てることができるか?」と言う問題です。

大変な職業だからこそ年収も高い。イヤな仕事でも、ボーナスをもらうと辞めにくくなる。

お金に関係する仕事だからこそ、転職にもお金の問題が立ちはだかって来ます。

辞められない理由2.プライド、地位

銀行に入社できたくらいなので、それなりの学歴のある人が多く、自分はエリートだと自負している人は辞めにくいものです。

「銀行員」という言葉は自虐的であると同時に、銀行員自身にとっては心のよりどころ、アイデンティティともいえるものです。

私自身は幸いにも、銀行員という仕事に少なからず意義を感じられたので今日まで続けてこられました。

しかし、仕事に行き詰まり転職に悩む部下に対し「君が銀行員という看板にしがみついているだけなら、いっそのこと辞めたほうが良いかもしれない」そうアドバイスしたこともあります。実はこの時、自分を振り返ると偉そうに言えるのか?そう自問自答した記憶があります。

辞められない理由3.家族の反対、不安

これは上記と共通する部分ですが、銀行員への思い入れは、本人よりパートナーのほうが強い場合もあります。

「さすが銀行員ね!」こうした言葉をステータスだと感じているパートナーから、「銀行員だから結婚したのに……」と言われて、転職できなくなる人もいます。

また転職による生活の不安に対し、言い返すことができなくなる人も多く(もちろんこれは、銀行に限ったことではありませんが)家庭を持つと自分一人の人生ではなくなるので、転職もより慎重に考える必要があります。

銀行員の強み3選

銀行員の転職について述べた記事では、この強みに関する部分は多種多様、多くの強みがあると社会では見られているようです。しかし、そう簡単ではという側面もあります。

これらの強みをすべて額面通り受け取ってもらえるなら、銀行員の転職は簡単でしょう。いえ、そもそもそんなに素晴らしい強みばかりの人材なら、ムリに転職することはないでしょう。

しかしながら「銀行員の強みはそれほど多くないし、それほど強くもない」こう考えたほうがむしろ転職では落ち着いて対処できると考えます。

前置きが長くなりましたが、そうはいっても強みというか、銀行員にしかない特性ともいうべきものは、あると思います。

銀行員の強み1.ストレス耐性がある

「辞める理由」でお話ししたとおり、銀行に就職して何年か過ごせただけでもストレス耐性があると胸を張っていいでしょう。こちらはこれ以上説明はいらないと思います。

銀行員の強み2.財務、決算などの数字に強い

銀行員に対する社会一般のイメージで代表的なのが、この「数字に強い」というものです。しかし、これは先入観や過度の期待にもつながるリスクがあります。

「銀行員のくせにこんなことも知らないのか?」と期待を裏切って(過度な期待でも)しまうとかえってマイナスとなります。

銀行員の転職に関する記事でよく見かける「銀行員は転職しても使えない、仕事ができない」といった反応はここからくるもので、注意が必要です。

銀行員の強み3.お金にまつわる知識

こちらは一般にあまり知られていない、いわば隠れた強みです。銀行員なのでお金に強いのは当然ですが、では具体的にどのような状態、知識を指すのか一般人にはなかなか想像できないようです。

「借りたお金を返さない人に対する督促の方法や、法律に触れない程度の強い催促」
「担保になっている不動産を換金して不良債権を少しでも多く回収するノウハウ」

このように、あげればきりがありません。

「銀行屋」「金貸し」と揶揄される銀行員の強みこそこの部分だと私は考えています。

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銀行員に来て欲しい業種3選

「銀行員に転職して来て欲しい業種」「銀行員が転職している業種」はちがいます。

これは銀行員を求めている業種と、銀行員にとって実際にメジャーな転職先が違うという意味になります。では、銀行員への求人が多い業種から見ていきましょう。

来て欲しい業種1.金融業

銀行員を求めているのは銀行です。

これも考えると当然なのですが、転職する銀行員が多いということは、そのポストに空きができるということにつながります。銀行がイヤで転職する人なら論外でしょうが、スキルアップや違う業務、たとえば融資担当の銀行員が投資部門に転職するなど、ある意味で現実的な転職先とも言えます。

また、銀行以外の金融業(証券会社や保険会社など)も銀行員を求めています。

来て欲しい業種2.コンサルティング業

こちらはコンサルティング会社(コンサルティングファーム)全般です。

金融系、会計監査法人・M&A会社、経営支援といったコンサルティング業務に、銀行員としての知識や経験を求めています。

来て欲しい業種3.不動産会社

お金の仕事をしてきた経験、住宅ローンや不動産担保など不動産の知識もある点などが求められている理由です。

また不動産会社は銀行にとってお客様(融資の相手、ローンなど不動産関連で付き合いが生じる)であり、近い業種とも言えます。

銀行員が転職している業種3選

実際に銀行員がどういった業種にどのくらい転職しているか、これも信頼できる公的統計がないので、ここでは私の経験から具体例を紹介することにします。

転職している業種1.金融業

・ほかの銀行へ転職し、まったく同じ業務をしている20代男性銀行員
・金融機関としては格下の銀行に転職し、以前より高給取りになった30代女性
・生命保険会社の営業職に転職し、地域の統括マネージャーになった40代中間管理職

これらは私の同僚や、他部署の例です。経験や知識をそのまま持っていけるので、紆余曲折はあっても同じ銀行に転職する人は、私のまわりでは意外と多くなっています。

またメガバンク等大手銀行の優秀な方々は、外資系の金融機関に転職されることもあります。

転職している業種2.不動産会社

これは実際に私の部下だった20代男性銀行員でした。一流私大卒で将来も嘱望され、私もいろいろと期待していたのですが、彼自身は自らの適正に悩んでいたようでした。

優秀な人材だっただけに、悩んでいる姿を見るのはつらかったのですが、転職していった数か月後に、偶然転職先の不動産会社名が入った営業車を笑顔で楽しそうに運転する姿を見かけ、良かったなあと感じました。

転職している業種3.公務員

これも部下の例です。

一流国公立大出身で、官僚を目指した時期もあったが銀行に就職してきた優秀な若手でした。沈着冷静な性格で、こちらも期待していたのですが、官僚への道をあきらめきれず退職して自ら退路を断ったうえで、公務員試験の受験に向け猛勉強することにしたそうです。

後日連絡を取る機会があり、第一目標ではないがほぼほぼ希望に近い官庁に就職できたと聞きました。

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まとめ

この記事を読んでいる人で自分が銀行員なら、まず振り返ってみてください。たとえば辞める理由、辞められない理由など、きっといくつか当てはまると思います。

また、銀行員としての強みも、どうか自分を過小評価せず考えてみてください。ここに紹介した以外にも、銀行員として働いてきた強みがきっと見つかるはずです。

もちろん銀行がイヤで、疲れて転職を考える人もいるでしょう。それでも、銀行員としての強みは消えることはありませんので、どうか胸を張って前向きに転職の原動力にしてください。

私は、年齢や生活などいろいろなハードルで転職はしません(できません)が、銀行のなかから皆さんの転職が成功することを祈っています。そして、この記事が少しでも参考になってくれれば幸いです。

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 銀行員からの転職  ~部下を慰留している中間管理職銀行員が転職先などを解説~

加藤 隆二

[ プロフィール ]
銀行勤続30年 現在も勤務中 
個人・法人の融資対応全般に従事 
不動産登記関連契約書類の点検業務及び不動産担保の調査、担保評価業務なども経験
カードローン、住宅ローンから個人ローン全般、法人事業資金調達に従事