PwCアドバイザリー合同会社 企業インタビュー

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平林康洋 氏 / ディールアドバイザリー部門トランザクションサービス パートナー

PwCアドバイザリー合同会社 ディールアドバイザリー部門は他のFASと何が違うのか?

――PwCのディールアドバイザリー部門はDTFA、KPMG FAS、EYTASと並んで“4大FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)”と呼ばれていますが、他社との違いをどのように認識されていますか。

平林氏:
PwCの特徴は、経営戦略の策定や業務改善の支援サービスを提供するコンサルティング部門と、M&Aのような外部成長戦略や事業再生等の支援サービスを行うディールアドバイザリー部門、この2つの部門を一つの企業体の中に併せ持っていることです。

さらに申し上げますと、支援のフェーズがM&AのトランザクションからPMIの領域にスムーズに移行できるよう、ディールアドバイザリー部門とコンサルティング部門の間を繋ぐ橋渡しのための専門チームを置き、クライアントへ提供するソリューションを淀みなく一気通貫したものにしていることも、PwCの特徴だと考えております。

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コンサルティング部門に関しては、Big4系列の以外のコンサルティングファームと競合することも多く、またディールアドバイザリー部門に関しても、いわゆるFAS以外にも、投資銀行や再生を専門に手がけるファームと競合することも非常に多いですね。 手掛けているソリューションの幅が広いからこそ、その特徴を一言では言い表しにくいのですが、我々PwCが目指してるのは、企業の経営を改善する上で必要な様々なプロフェッショナルサービスを提供するファームとして、ナンバーワンになることなんです。

グローバルネットワークの上に存在する、幅広いソリューション。その総合力がPwCの強み

――そんなPwCの強みとは?

平林氏:
第一には、グローバルなネットワーク。第二は提供するソリューションの幅の広さです。日本経済が低迷する状況下で、海外の様々な地域に進出しようとする企業はますます増えていますが、グローバル企業の場合、同じ企業の中でも、ある地域では税務について知りたい、ある地域では規制環境を調べたい、ある地域ではM&Aをやりたい、と多様なニーズが存在しています。

しかしそこで一企業が、興味をもっている一つ一つの国に対して、その国がどのような法規制で、どんなビジネスの問題があって……と自前で調べていたら莫大なコストがかかります。それを解決するには、幅広いソリューションと各国をカバーするネットワークを擁しているプロフェッショナルファームが必要なのです。

たとえばシンガポールに本部があって、製造拠点はマレーシア、販売はASEANや欧州にまたがるような場合、税制をはじめとする各国固有の規制へどのように対応していくか、生産管理や流通のためのシステムをどのように組んでいくのか、人事制度をどのように構築するのか等、色々な問題が出てきます。

その際、監査や税務は国ごとの独自の規制に基づいたサービスを提供する必要がありますし、コンサルティングやM&Aアドバイザリーは国境を越えてお互いの組織が協力しないと案件がまとまりません。

その点、PwCグローバルネットワークは157カ国の776都市に、18万人以上のスタッフを抱えています。これだけのネットワークがありますから、前述したような複雑化したニーズに対しても、監査や税務、コンサルティング、M&Aアドバイザリーなどの個別にも対応できますし、それらを組み合わせたソリューションを提供することもできます。

グローバルネットワークの上に、様々なソリューションが乗っている――この総合力がPwCの売りであり、強みです。

アジアは注力地域、IN-OUTだけではなく、OUT-INも積極的に扱う。

――今、世界の中で力を入れている地域は。

平林氏:
PwCグローバルは世界市場をCentral Cluster、East Cluster、West Clusterと、大きく3つの地域に分けて強いリレーション作りをしてます。 現在、成長領域として力を入れているのはアジアを含むEast Clusterです。日本企業が行う買収の対象企業はまだ欧米企業の方が多いですが、アジアの企業を買収するケースも少なくありませんし、東南アジア、日本、オーストラリア、この一帯でディールアドバイザリー部門をさらに強化するべきか、議論を深めています。

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――日本から世界へ、のIN-OUTだけでなく、海外の企業が日本に進出するOUT-IN案件も扱っているのでしょうか。

平林氏:
はい。日本企業が海外へM&Aを仕掛けるIN-OUTの案件だけではなく、近年でも外資系企業が日本企業を買収するようなOUT-INの案件もあります。 まだ日本企業の経営には効率化されていない部分もありますので、PEファンドのような企業が活躍する余地が残っています。そのため海外のPEファンドが日本の会社を買収するようなケースでも、財務デューデリジェンスやバリュエーション等の買収に関するサポートを行っています。

ジャパンファームから世界へ。国境を越えて人材を育てる「モビリティ」

――日本企業の海外進出等、クロスボーダーの案件を行う際、プロジェクトの主導権を握るのは、日本のPwCでしょうか。それとも現地のファームですか。

平林氏:
企業によって違いますね。ただし戦略的な投資をしていく場合、予算の執行権限やオペレーションのリスクマネジメントを世界中に分散させて、現地の判断に任せる会社は少ないと思います。本社の意思決定で動いているのがほとんどなのではないでしょうか。そのような観点からは、日本企業が海外に進出する際は、本社のあるジャパンファームがプロジェクトを主導すると考えて良いと思います。

とは言え、現地のプロフェッショナルの能力を上手く活用しなくては、プロジェクトは進みません。そこで現地と日本とのコミュニケーションをうまくコーディネートしてほしい、というニーズは多いです。

――PwCグローバルの中で、海外との人材の交流はありますか。

平林氏:
「グローバルモビリティ」と呼ばれる、短期間から2、3年ほど海外に出向するプログラムがあって、現在、ジャパンファームから100名ほど海外に出ています。これはかなり多い数字なのではないかと思います。

一口に海外に出向するといっても、ジュニアレベルの人材がトレーニングのために出向するのと、ミドルクラスやシニアクラスの人材がビジネスリーダーとして出向するのは、出向する当人にとっても、PwCにとっても、全く異なる意味を持ちます。そのため将来的には、例えばジュニアの時に1回、マネージャーレベルで1回、パートナーになったらもう1回と、一人の人間が複数回にわたって海外で働く機会を設けることが大切だと考えておりまして、それを実現するべくモビリティのペースを上げて、現在の何倍ものメンバーが海外に出向できるような体制作りを目指しています。 同様に海外からも、PwCに多くの出向者が来ています。 人材の行き来が多いことは、ネットワークの強化やソリューションの共有にも役立っています。

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時代に合わせて変わっていく事業再生サービスと、その可能性。

――ディールアドバイザリー部門の中で注力してるセクションは、どこでしょう。

平林氏:
ディールアドバイザリー部門には色々なソリューションチームがありますが、企業のどのフェーズをサポートするのか、という観点からは大きく二つに分かれます。 ひとつはクライアント企業の成長局面を支援するM&Aアドバイザリー、ひとつは下降局面の下支えをする事業再生です。

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景気が良い時は企業のグロースをサポートするM&Aアドバイザリーは伸びていきますし、逆にリーマンショックの後などは信用収縮が起きましたので、事業再生の仕事がかなりありました。ここ2~3年では電機業界など、業界再編を行おうとしているエリアもあり、そのようなときも事業再生チームが活躍する良いチャンスです。

景気にも波がありますし、個々の企業にも、業績が拡大しているときと伸び悩んでいるときで波がありますから、そのどちらにも対応することができるよう、PwCが車の両輪としてM&Aアドバイザリーと事業再生というソリューションを常に持っていることが大切だと思います。その時々で、どのチームが活躍するかは変わってきますね。

また事業再生の業務も、中身が変化しています。以前は運輸業や流通業などの企業で、業績が悪化した後に財務的なリストラを伴うケースが結構ありましたが、今は業績が悪くなるもっと手前の段階で、会社の建て直しを図るようになっています。本来の事業再生を予防するサービスへのニーズが高まっているわけですが、そのような時代の流れに伴うニーズの変化に対して、PwCの事業再生チームが貢献できる領域は広がっていると感じています。

最近では中小企業の再生案件が増えつつありますし、今後も増えていくことが予想されますので、PwC全体で中小企業再生支援室という専門部隊を作って準備をしたりという動きもあります。 事業再生を支援していくビジネスはまだまだ拡大が見込まれると思います。

PwCが擁するチーム「DDV」とは?

――ディールアドバイザリー部門の中にDDV(デリバリングディールバリュー:PMI業務を専門に行う)チームがあると聞きました。

平林氏:
DDVは2009年に本格的にチームアップを行った、M&A後のサポートとして、PMIのアドバイザリーを行うチームです。

PwCのディールアドバイザリー部門では、M&Aが完了する前のフェーズ、例えばM&Aに関するトランザクションアドバイザリーの一環として財務デューデリジェンスや税務のストラクチャリング等を行うケースが多いですが、無事にM&Aが成立した後は、クライアントの課題は買収した企業をいかにスムーズに自社と統合していくか、というPMIの領域に入っていきます。

その領域においては、クライアントのニーズは、必ずしも財務や税務的な課題の解決に留まらないところがありますし、実際に案件を進めていくと、対応も小刻みに進化していきます。 たとえば人事制度や企業年金制度、ITシステムやオペレーションをどのように統合していくのか――そのようなニーズが生まれた場合、組織人事のプロフェッショナル、ITのスペシャリスト、戦略コンサルタント等、ディールアドバイザリー部門だけではなく、コンサルティング部門のメンバーを集めて、プロジェクトを動かす必要が出てくるケースもあります。

人事制度の統一やシステムの統合等は、特にコンサルティング部門がサポートしていく必要がありますので、ディールアドバイザリー部門からコンサルティング部門へと、M&Aの前後で上手く引き継ぎを行って、クライアントニーズを丁寧に拾い上げ、円滑に対応していくようにしています。

ファイナンシャルアドバイザリーだけを専門としているようなファームであれば、買収後の課題解決にはあまり力を入れていないと思いますが、クライアントの視点から考えると、買収後の統合をいかにスムーズに行い、収益性を高めていくか、ということにおいてそのM&Aが成功だったかどうかが決まるわけです。 PwCでは、そのようなクライアントニーズに応えるため、ディールアドバイザリー部門の中にDDVというPMI専門チームを置いて、M&Aの提案からM&A後の統合までを一貫してサポートすることができる体制をとっています。

「入口は小さくても、総合力があれば、案件が大きく育つ」。チームが連携していくプロジェクトの全貌

――御社の総合力が分かるようなプロジェクトの事例があれば教えてください。

平林氏:
毎年、ベストプロジェクトをアワード表彰していまして、去年表彰されたのがDDVのチームでした。

ある案件の買収後の統合の際に、PwCのDDVチームが企業に出向する形で統合プロジェクトのチームに入り、サポートをしていたのですが、ちょうどその企業が別の海外企業を買収するという話が持ち上がり、その買収案件のM&Aディールアドバイザリー業務を依頼されました。

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財務デューデリジェンスやトランザクション、タックスやHRのチームが協力し、また買収対象は海外企業ですから、現地のPwCグローバルのメンバーの力も借りながら、M&Aのプロセスを進めていきました。

またある流通系の企業の経営統合をした時も、案件の入り口はM&Aトランザクションの財務デューデリジェンスでして、トランザクションサービスチームが活躍しました。 買収後は、人事制度、IT、販売チャネル、調達、物流オペレーションなど、色々な統合準備作業をする必要がありますので、DDVチームが事務局となって、組織人事のチーム、ITのチーム、コンサルティングのチーム等をうまく取りまとめ、プロジェクトを牽引した結果、めでたく新会社が立ち上がり、現在はITシステムの改善についてのコンサルティングを継続しています。

こうした作業は、それぞれのチームが断続的に行うわけではなく、前のチームが少しずつ後のチームにも参加する感じで、切れ目なくバトンを渡していくことが大切です。一つのソリューションチームだけで担当することは、そんなに多くないんですよ。これも様々なソリューションチームがあるからこそ成し得ることではあります。

このように、入口は小さな業務であっても、高い専門性と総合力があれば、その後に生じる様々な課題に対応できますから、結果として案件規模は大きくなりますし、クライアントに継続して依頼をしていただけるのです。

コンサルティングファームに求められるサービスというのは、時代とともに移り変わっていますが、今後はさらに総合力が問われていく気がします。 一つひとつの領域を切り出して、そこだけにフォーカスするのであれば、スキルの高い人材がいれば、高付加価値のサービスは提供できるでしょう。 しかし、現代という変化の速い時代において、企業の経営はますます複雑になってきていますしスピードが求められるようにもなっています。またグローバル化の影響で、様々な地域で生じている様々な課題に速やかに対応していく必要が出てきています。

クライアント企業が置かれているそのような状況を考えると、世界中に広大なプラットフォームを持ち、そこに各種のプロフェッショナルが常に存在するという組織の方が、専門性の高い、幅広い課題を扱うことができますから、クライアントの課題を解決していく力が高いのではないかと思います。

他のファームが手がけていない業務に挑戦することが、PwCの存在意義である

――去年、御社で目についた動きが、PPPサービスライン(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公共施設の民営化等のプロジェクトファイナンスに関するアドバイザリーを行う)の拡大でした。なぜ真っ先に手がけたんですか。

平林氏:
政府の財政が悪化した90年代のイギリスでは、サッチャー政権がいろいろな政策を試みました。いずれ日本でもそうした作業が必要になるのではないかと考えていた矢先、この課題についてイギリスで勉強していたパートナーが日本に戻ってきたので、2000年から日本でいち早くPPPを始めたんです。

実は日本で最初に事業再生を手がけたのもPwCで、さまざまな業務を最初にやり始めたという自負はあります。他のファームがまだ提供していない分野に挑戦することも、PwCの存在意義のひとつですから。

これからの成長戦略については、あまり多くを公表できないのですが、前述したような中小企業に特化した事業再生チームの立ち上げや、コンサルティングのチームと協力して海外進出を支援する専門チームもできています。

そのような未知の領域の案件や、利害関係が複雑な案件、難易度が高い案件を扱うことも非常に多いです。そこにチャレンジするのが、ひとつのプロフェッショナルだと我々は考えています。

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PwCで仕事をするならば、この3つの要素は欠かせない

――若手にはどんな資質を求めますか。

平林氏:
3つあります。まず必要なのは、業務課題を抱えているクライアントを満足させていこうという情熱。専門性が高い仕事を志す方の中には、専門性を追求すれば良いと考える方もいますが、PwCのようなコンサルティングやアドバイザリーサービスを提供する会社はクライアントがいないと成り立たない商売ですので、きちんとしたソリューションをお客様に届ける、という気持ちは常に持っていただきたいと考えています。

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二つ目がコミュニケーション能力です。たとえばM&Aのディールにおいては、クライアントだけではなく、投資銀行、弁護士、アドバイザー、金融機関など、様々な業種の関係者と交流し、協力して案件を進めていくことになります。そのため、どのような立場の人とも円滑にコミュニケーションをとり、自分の意見を伝え、相手の意見を聞き、調整していく能力は必須です。

そして、チームプレーができること。PwCでは一人で仕事するわけではなく、部署をまたいで、また時には国境を越え、色々なソリューションチームの中で動きます。そうしたチームに無理なく溶け込める人であってほしいですね。

英語は今完璧にこなせるかより、不断の努力ができるかどうか在意義である

――PwCは英語のレベルが高い、というイメージがあります。英語ができなくても活躍できる領域はあるのでしょうか?

平林氏:
例えば現在の再生ビジネスは国内企業を対象にすることが多いですから、その業務を遂行するという点だけを考えると、必ずしも高い英語力が必要とされるわけではありませんが、これからのビジネスがさらにグローバル化していくことを考えると、ビジネスレベルの英語力を身につけるという意欲はマストです。

ジュニア採用ではポテンシャルを期待するところもありますし、トレーニングも用意していますので、入社時点では必ずしも英語で完璧にディスカッションができる必要はないでしょう。個人的には、英語は慣れの問題で、時間をかければ誰でもビジネスレベルまで到達できると思っています。今の段階で完璧かどうかより、これから不断の努力ができるか、の方が大事でしょうね。

ただしミドル以上はポテンシャル採用ではありませんし、即戦力で英語を使わなくてはいけない場面もあります。またM&Aは国を越えた案件になるので、一定以上のレベルの英語力は必須です。

PwC Experience~成功体験の共有が、ファームの成長の柱になる

――英語以外のトレーニングについても教えてください。

平林氏:
私自身研修も担当していていますが、様々なトレーニングモジュールがあります。 年次が上がるほど、リーダーシップトレーニングやクライアントリレーションシップなど、ソフトスキルを向上させるためのトレーニングの占める割合は上がっていきますね。

今力を入れているのは、「PwC Experience」。これは業務の成功体験をクライアントやチームの仲間と共有するプログラムです。共有するためのミーティングは部署単位で頻繁に行っておりますし、ファーム全体で実施する場合もあります。

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プロフェッショナルファームの財産は何かと突き詰めて考えると、クライアントとチームの仲間の二つだけなんです。 ですから案件を成功させたという、成功体験を共有することがファームの成長の柱になる。そしてさきほどの3条件が揃ってる人であれば、それを一緒にできると期待しています。

PwCは世界各国に広がるネットワークの広さ、そして擁するプロフェッショナルメンバーの専門性の高さで、世界でトップレベルのコンサルティング・アドバイザリーファームです。 そのインフラを活かしてクライアントのニーズに応え、成功体験を共有し、共に成長していきませんか? 皆さまのご応募を、お待ちしております!

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)