システム環境を守るプロフェッショナル「セキュリティエンジニア」

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37 - システム環境を守るプロフェッショナル「セキュリティエンジニア」

日々進化を続けるサイバー攻撃から、最新の知識や経験を活かし、ネットワークやシステムを守る「セキュリティエンジニア」について解説します!

セキュリティエンジニアとは

セキュリティエンジニアとは、サイバー攻撃からネットワークやシステムを守るエンジニアです。 サーバー関連業務や情報セキュリティ業務を専門として、サーバーの構築・運用・保守、セキュリティに配慮したシステム設計や機器の導入、サイバー攻撃を未然に防ぐ調査や対策などを行います。

セキュリティエンジニアが重視される背景

セキュリティエンジニアが重要視されるようになった背景には、近年のネットワーク環境や利用場面の多様化による、サイバー攻撃の高度化があります。ITシステムの急速な発達と普及により、利便性が向上した一方で、セキュリティの強化も一層求められるようになってきました。

ITシステムやソフトウェア、アプリケーションの開発によって、企業や組織は多くのメリットを得ましたが、その分、ランサムウェアなどの新しいサイバー攻撃から、情報を保護する必要も高まっています。今や企業にとって、外部からのシステムやソフトウェアの攻撃による情報漏洩は、経営上、大きなリスクとなっており、最重要課題となっていると言っても過言ではありません。

このような中で、セキュリティエンジニアは、情報資産の保護や、個人情報漏洩の防止、ウィルス感染防止を行い、セキュリティリスクから未然に企業や組織を守るプロフェッショナルとして、需要が高まっています。

セキュリティエンジニアの仕事内容

この項目では、情報を保護するプロフェッショナルであるセキュリティエンジニアの具体的な仕事内容について紹介します!

企画・提案

企画・提案の仕事は、システムのセキュリティ診断や要件の集積・分析なども行い、いわばセキュリティコンサルタントのような仕事です。

情報セキュリティマネジメントの企画立案・設計・運用支援
クライアントから現状、課題、要件などをヒアリングし、導入から運営支援までも視野に入れた具体的なセキュリティ対策方法を検討し、企画書を作成します。
企画書をもとに提案を行い、クライアントから得られたフィードバックも加味して、最適な情報セキュリティマネジメントを設計します。セキュリティマネジメントの設計には、対象範囲の明確化、組織体制の構築、業務ルールの策定、情報システムや一般業務フローのチェック項目の設定、情報システムや業務ルールの運用方法の考案などが含まれます。

設計・実装

ネットワークや機器、運用形態などのセキュリティ対策を実施するために、クライアントの情報セキュリティシステムの設計・実装を行います。

要件定義・設計
システム構築に必要なセキュリティ要件定義を行います。各レイヤー別に要件定義を行いますが、特にインフラ関連のセキュリティ要件は、ハードウェア、ミドルウェア構成に影響を与える場合も多いため、機器選定前に実施する必要があります。
次に、ネットワークやサーバーなどの分析結果をもとに、レイヤー別のセキュリティ対策を立て設計書を作成します。
アプリケーション上のセキュリティ脆弱性も考慮し、アプリケーション上の設計に対策を盛り込む場合もあります。

セキュリティ対策の実装
作成した設計書に沿って、ネットワークやサーバ、OSなど各レイヤーでセキュリティ対策を実装します。具体的には、セキュアプログラミング、機器のマウンティング、コンフィグ作業、暗号や認証設定、アクセス権設定などを行います。

テスト・運用・保守

設計・実装を行ったセキュリティ対策に対して脆弱性を確認するテストを行い、脆弱性が見つかった場合は、改善を行います。また、セキュリティシステム導入後の運用・保守業務もセキュリティエンジニアの重要な仕事です。

システムのセキュリティ診断
情報セキュリティの確保を目的として、クライアントの既存システムや新規開発システムに対し、セキュリティ診断を行います。脆弱性や、リスクとなりえる構成などを抽出し、状況報告や対策の提言などを行います。

ペネトレーションテスト
実装したシステムやアプリケーションに、脆弱性がないか確認するためにテストを行います。特に外部に向けて開かれているWebシステムなどでは重要な工程です。
過去のサイバー攻撃の手口をシステムに実行して、脆弱性の問題がないかを確認します。脆弱性が見つかった場合は、再び設計・実装工程に戻り、改善策を検討します。

セキュリティ面でのシステムの運用、保守
セキュリティエンジニアは、システムの完成後の運用・保守業務も担当します。アプリケーションやOSのアップデートをはじめとして、通信データの監視、アクセス権の管理、ログファイルのチェックや保存、不正侵入調査などを行い、多方面からセキュリティの維持に努めます。
また、セキュリティ分野で次々と現れる脅威に対して、担当システムが対象となるか見極め、必要に応じて対策を講じることも、システムエンジニアの重要な仕事となります。

セキュリティエンジニアのやりがい

IT犯罪を未然に防ぎ、企業やユーザーを守ることができる

何よりもセキュリティエンジニアのやりがいは、高い専門スキルで企業やユーザーをIT犯罪から守ることです。IT技術社会の中で、IT犯罪は企業の存続やユーザーの生活に、非常に大きなダメージを与える脅威となっています。
自身のスキルを活かして、多大な被害を未然に防ぎ、人を助けることができるセキュリティエンジニアは、現代社会の中で必要不可欠であり、非常にやりがいのある職種です。

高い専門性と幅広い知識を身につけることができる

セキュリティエンジニアのもうひとつの大きな魅力は、高い専門性と幅広い業務知識を身に付けられることです。セキュリティは他のシステムと連動しているため、セキュリティだけでなく、システム全般の知識を身に付ける必要があります。
またセキュリティエンジニアは顧客のシステムに対して、セキュリティ対策を施すのが主な仕事になります。そのため、顧客のシステムや、システムを実装するために顧客業務の知識もある程度必要になり、幅広い知識を身につける機会に恵まれています。

セキュリティエンジニアに向いている人

強い責任感を持って、業務を完遂できる人

セキュリティエンジニアは、クライアント企業のセキュリティを預かる重要な役割を担っています。そのため、セキュリティにトラブルが発生したときには責任を持って、解決に至るまで、粘り強くトラブルに対応することが求められます。

正確かつ緻密な仕事ができる人

サイバー攻撃や情報漏洩を防ぐには、それぞれのフェーズにおいて、小さな問題や脆弱性をも見逃さずに、正確かつ緻密に強固なセキュリティシステムを設計、実装する必要があります。また、システム導入後も、テストをしながら、厳密に保守・運用していける人が、セキュリティエンジニアに向いています。

最新技術や知識への関心が高い人

サイバー攻撃の手口は日々、進化し複雑化しています。このように次々と登場する新しいサイバー攻撃に対処するには、常に最新の技術や知識を身につけ、自分自身をアップデートする必要があります。そのため、新しいノウハウやスキルを、興味や関心を持って、積極的に身につけることができる人が向いていると言えるでしょう。

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セキュリティエンジニアへのキャリアパス

セキュリティエンジニアには、高度で幅広い知識や技術が要求されます。そのため、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアでの実務経験を生かして、転職する場合も多いです。
ネットワークエンジニアやインフラエンジニアの経験があれば、一定のセキュリティ関連の知識を習得していると思われます。

しかし、セキュリティエンジニアに転職するには、サーバーやネットワーク、OSの知識やスキル、サイバーセキュリティや法律に関する知識などを、一層深める必要があり、さらなる学習が必要です。
セキュリティエンジニアへの転職には資格の習得も有効ですので、次の項目で、セキュリティエンジニアの転職に役立つ資格も紹介していきます。

セキュリティエンジニアの仕事に役立つ資格

セキュリティエンジニアになるために必須の資格はありませんが、前述した通り、セキュリティエンジニアに転職する際に、有利となる資格がいくつかありますので、紹介します!

情報処理安全確保支援士試験

情報セキュリティに関する知識、技能を有することが認定される試験です。情報処理安全確保支援士試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運用されており、試験に合格すると、情報セキュリティに関するネットワークやハードウェア、アプリケーション、法令まで幅広い知識を有していることを証明できます。

また、合格者は所定の手続きを行うことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」を取得することができます。

CompTIA

世界中で250万人以上が取得している、ベンダーニュートラルなIT実務スキルの認定資格です。セキュリティ、ネットワーク、サーバーなどいくつかの資格があり、そのうちいくつかの資格はISO17024の認証を受けています。また、それぞれの資格は3~4つのレベルに試験が分かれています。

合格率は公開されていませんが、セキュリティの最高レベルの試験であるCASP+は、長年のIT全般の管理者、セキュリティ管理者としての実務経験やスキルを問われる、高度なエンジニア向けの資格となっています。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント人材を対象とした国家試験で、独立行政法人情報処理推進機構IPAによって運営されています。
セキュリティエンジニアが、企業におけるセキュリティマネジメント人材がどの程度の知識を持つべきかを知るために役立つこともできる試験です。

シスコ技術者認定

シスコシステムズの認定資格で、ネットワークに関する知識やシスコ製品の取扱スキルを証明することができます。エントリー、アソシエイト、スペシャリスト、プロフェッショナル、エキスパートの5つのレベルに分かれています。プロフェッショナル以上の試験では技術領域別にさらに詳細化された試験があり、効率的にネットワークセキュリティを学ぶことができる、技術者認定制度です。

LinuC

Linuxの技術力を証明することができる資格で、レベル1〜3に分かれています。サーバーセキュリティに関する出題もされるため、知識の補填に役立てることもできます。

セキュリティエンジニアの年収

セキュリティエンジニアの年収は、年齢や個人の能力によって大きく異なり、平均年収は600万円前後とされています。また、国内企業よりも外資系企業のほうが年収が高い傾向にあります。
高いスキルや経験が評価された場合は、年収1,000万円以上となる場合もあるので、高年収を狙う場合には、積極的に経験を積んで、スキルを磨いておくことをおすすめします。

セキュリティエンジニアの将来性

セキュリティエンジニアへの転職を目指す人にとって、セキュリティエンジニアの仕事は将来なくなるのか?というのは大きな懸念事項だと思います。
しかし近年、企業は情報化社会の中で、情報セキュリティを重要視しており、その傾向は今後さらに強くなるため、セキュリティエンジニアの将来性は高いと思われます。
この項目では、今後さらに活躍が期待される、セキュリティエンジニアの将来性が高まる理由について解説します!

ITの普及による情報資産価値向上

近年、急速なITの普及の普及により、企業が持つ情報資産の価値は、昔とは比べ物にならないくらい向上しています。また、多くの企業では、コロナ禍によって推進されたテレワークによって、データとして蓄積された様々な情報に、アクセスしやすい環境になりました。
このようにデジタル化が進む中で、サイバー攻撃の脅威も増加しており、情報を守るセキュリティエンジニアの需要が高まっています。

個人情報漏洩に対する危機感の高まり

氏名や住所、電話番号やEメールアドレス、カード情報やパスワードなど多種多様な個人情報が管理される中で、個人情報漏洩に対する危機感は日々高まっています。個人情報の漏洩事故は、企業内部の人間によるミスによって引き起こされているケースも多く、このような重大な事故を未然に防ぐためにも、セキュリティエンジニアによる、徹底したセキュリティ対策が重視されています。

日々進化するウィルスへの感染対策

日々進化し、次々と現れるコンピュータウィルスは、企業にとって大きな脅威です。ウィルス感染は、システムの不具合だけでなく、個人情報や機密データの漏洩や破損を引き起こすこともあり、企業は甚大な被害を被る危険性があります。

企業サイトへの、不正アクセス、不正改ざんなどにより、企業の信頼が失われ、倒産にまで追い込まれるケースもあります。このような中で、最新の情報や知識、経験を活かし、ウィルスなど様々な脅威から情報や企業を守るセキュリティエンジニアは、今後さらに必要不可欠な存在となっていくことが予測されます。

セキュリティエンジニアからのキャリアパス

セキュリティエンジニアの経験を生かして、他職種に転職し、様々なキャリアを歩むことも可能です。こちらの項目では、セキュリティエンジニアから転職するのにおすすめな職種をご紹介します。

まず、セキュリティエンジニアと同じ情報セキュリティを扱う分野でおすすめな職種は、「セキュリティアナリスト」「セキュリティコンサルタント」「セキュリティアーキテクト」「セキュリティマネジメント担当者」などがあります。
これらの職種はセキュリティエンジニアの経験や、セキュリティエンジニアより幅広い知識やスキルが必要となることも多いですが、その分年収アップを期待することもでき、やりがいも大きい職種と言えるでしょう。

また、異分野への転職としては、セキュリティの専門的知識を活かして、セキュリティエンジニアと関連性の高い、ガバナンス側のセキュリティやシステム監査分野に転職することが可能です。セキュリティ対策が不可欠な社内システム環境において、自社で運用はできるものの、セキュリティ対策の専門的知識を持った人材を必要とする企業は多く、セキュリティエンジニアの経験を生かして活躍することができます。

さらに、セキュリティエンジニアとして、マネジメント経験がある場合は、マネージャーとして転職するキャリアプランもあります。IT業界をはじめとして、近年では、多くの企業に存在する情報システム部門で、社内SEなどをリードする重要な人材として活躍する道も開かれています。

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | システム環境を守るプロフェッショナル「セキュリティエンジニア」

高畑賢一

[ 経歴 ]
成城大学卒業後、東証一部(現プライム)の大手人材紹介会社に就職。IT業界の人材紹介業務に従事。

[ 担当業界 ]
CTO、CIO、CISO、情報セキュリティ、ITエンジニア、新規事業開発