企業の発展に寄与する「事業企画」:事業の企画から実行までをサポート

企業の発展に寄与する「事業企画」
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15 - 企業の発展に寄与する「事業企画」:事業の企画から実行までをサポート

近年、さらに加速化する「グローバル化」や「IT化」など、社会の変化に伴い、あらゆるマーケットでの競争が激しくなっています。このような中で、企業の将来を左右する職種として、需要が高まっている「事業企画」について解説します。

事業企画とは

事業とは企業の収益につながるための全ての活動を指し、「事業企画」は、事業の目標策定、計画、実行までをサポートする役割を担います。
経営戦略に則した事業の売上目標や目標利益率などの目標設定、財務部や人事部など関連部署との調整、具体的な計画立案を行い、事業の実行をサポートします。また、事業部の目標やKPIの達成度をモニタリングし、新規事業計画に活かすという重要な役割も担っています。新規事業の企画立案においては、海外事業を手掛けたり、業務・資本提携、M&Aを図るケースなど幅広い業務に携わります。

事業企画と事業開発、経営企画の違い

事業企画は、1つの事業に対して企画から計画の実行まで一連の業務や、予算と実績の進捗管理、目標や施策の修正などを行います。事業企画と混同されやすい職業に、事業開発と経営企画があります。
この項目では、「事業企画」と「事業開発」、「経営企画」の違いについて見ていきたいと思います。

事業企画

事業企画は、企業の1つの事業に対して具体的な戦略を練り、計画の立案を行います。具体的には、KPIや予算の設定、活動実績や達成度のモニタリング、その結果に基づく課題選定と対策の立案など、担当する事業の方針を明確にするのが主な仕事です。事業企画では、営業やマーケティング、財務管理のスキルを求められることが多く、事業企画での実績が評価されれば、経営企画へのキャリアアップを望むことができます。

事業開発

事業開発は、新規事業の立ち上げや推進を担い、売上を作り出す仕組みを開発します。事業企画の仕事内容と似ていますが、事業開発では、マーケティングなど0からの事業を開発する役割を担っています。事業開発では、営業やマーケティング、プレゼンテーションスキルなどが求められ、将来のキャリアパスとして、経営企画や事業企画へのキャリアアップ、経営コンサルタントへの転職の道も開かれています。

経営企画

経営企画は、企業の経営戦略に着目をします。経営戦略を立案・実行・管理し、経営層と密接に連携して企業全体の成長を導く役割を担います。
企業経営において社会のトレンドや技術の進歩などを考慮して、長期的なビジョンを達成するために、将来に向けて自社は何をするべきか、どの分野に力を入れるか、中期的な経営計画を策定します。

事業企画の仕事内容

こちらの項目では、事業企画の主な仕事内容について解説します。

まず、「事業の目標設定、計画の立案、計画の実行推進」です。経営戦略に則した目標の設定を行い、財務部や人事部と連携して、予算や人事に関する調整をしながら、具体的な計画や対策の立案を行います。

事業企画は、対象とする事業活動は幅広く、たとえば既存の商品の販売計画から新製品や新規市場への参入計画、複数の製品群をもつ事業部全体の事業計画にわたる場合まで様々です。
事業部全体の事業企画の場合は、製品ごとの活動計画を立てるだけでなく、分野ごとに経営資源の配分や財務・人事部門との調整を行うための活動計画を立てる必要があります。
また事業部制をとっている企業の中で事業部の中に製造・開発部門がある場合には、事業全体のバランスシートを作成し、管理する必要があります。なお事業本部制で事業ごとの経営が独立している場合には、経営企画に近い業務を行うこともあります。複数の製品を複数の地域や市場で販売している場合は、それぞれの製品、地域、市場毎に事業実績の分析を行い、計画の策定を行います。

次に、「現場へのヒアリングやKPIのモニタリング」です。目標達成に向けた進捗状況の管理や、モニタリング結果に基づく、目標の修正も大事な役割です。KPIの達成率など進捗状況を正確に把握するための、現場スタッフへのヒアリングも欠かせません。

さらに、「新たな事業計画へのリサーチやディスカッション」も事業企画の重要な業務です。既存事業の収益の安定だけではなく、社会のニーズや価値観の変化などに常に目を向けて、継続的リサーチを行い、新規事業計画に向けたディスカッションを行います。

事業企画のやりがい

事業企画が最もやりがいを感じることができるのは、自身が打ち出した施策を実行した際に、売上が向上したり、顧客獲得に繋がったりと、事業の成功が実感できた時です。

事業企画は、経営陣と現場の板挟みになったり、重責を担ったりと、苦労も多い立場ではありますが、その分、会社の事業に最も近い位置で向き合えるため、大きなやりがいを得ることができます。売上の向上は、社会への価値の提供、組織の拡大、雇用創出など、良い循環を生み出します。

このような企業の成長や、社会の良い循環を実感できることが、事業企画の醍醐味とも言えるでしょう。そういった「成長」を実感できる事が何よりのやりがいと言えるでしょう。

事業企画に必要なスキル

事業企画は自ら事業計画を立てたり、各部門との調整やプロジェクトの進行を行うため、多様なスキルが求められますが、この項目では、具体的に求められることの多い代表的なスキルについてご紹介していきます。

マーケティング力

事業を成功に導くためには、販売戦略やブランディング、適切な価格設定などを通して、収益を上げていく必要があります。市場調査や、マーケット調査、消費者ニーズやトレンドの把握のためには、マーケティング力が非常に重要となります。マーケットのニーズを、タイムリーかつ正確に把握しなければ、収益性の高い事業を展開していくことはできません。そのため、迅速かつ的確なマーケティング力が必要です。

近年では情報媒体も多様化しており、オンラインのマーケティング戦略スキル、インターネットや様々なSNSも活用して多方面から効率的に情報を収集できるスキルが求められます。

また製品やサービスの開発、流通経路の選定、販売促進施策の策定などのために、フレームワークを用いた分析やカスタマージャーニーを活用したターゲット選定を行うこともあります。市場調査や課題の分析結果をもとに、販売戦略を立案するために、分析ツールなども取り扱える人材は、より一層重宝されます。

経理・財務管理能力

企業の経営戦略に基づき、具体的な事業の企画立案を行い、事業を推進していくためには、予算や収益などに関わる財務管理能力も求められます。

利益向上のためには、効率的な資金調達や、予算管理が重要となってきます。
資金の確保は、事業の継続にとって必要不可欠です。経営者と同等の財務管理能力があれば、自社や事業に関する財務状況が把握でき、事業の推進と成功に役立つでしょう。

営業力

事業企画には事業の魅力をアピールしたり、ニーズに沿った提案を行う「営業力」も求められます。新しく事業を始めるにあたっては、全社的な理解と協力が必要ですが、これらを得るためには、事業の魅力を効果的に社員に伝え、賛同を得る必要があります。また、新規事業を立ち上げる際には、社会のニーズやトレンドを十分に踏まえた上で、必要とされるサービスを考案することが重要です。

社内と社外に双方に向けて、最大限事業の魅力を伝え、効果的に事業を展開していくためにも、営業力は事業企画にとって必要不可欠なスキルです。

コミュニケーション力

事業企画は、さまざまな部署と連携して事業の計画、推進などを行います。新たな事業計画を説明したり、現場の様子をヒアリングしたりといった他部署との業務を円滑に進めていくには、高いコミュニケーション力が求められます。

経営方針や経営戦略に基づいた事業計画を立てても、すべての社員の賛同が得られず、事業の進行が困難になるケースもあります。このような際には、コミュニケーション能力を生かして、納得してもらえるような説明をしたり、効果的なプレゼンテーションが必要となります。高いコミュニケーションスキルや、明確で説得力のあるプレゼンテーションスキルは、経営層の承認を得る際にも役立つでしょう。

また、事業の実行段階においては、経営側の意向を現場に伝えたり、現場の声を経営側に届けたり、経営側と現場の橋渡しをするのも事業企画の役割です。各部署間のスムーズな連携のためには、事業企画の優れたコミュニケーション力が必要不可欠なのです。

さらに、資本・業務提携やM&Aなど、外部との交渉や協業が必要となる際には、双方の利害を一致させ、スムーズな進行ができるようなファシリテーション能力が求められます。

マネジメント力

事業を推進し、目標を達成するためには、会社の経営方針と各部門の目標を統一する必要があります。事業企画の仕事は、様々な部署や多数の従業員と連携して進めていく場合が多いため、関連部署や関係者を統率しリードしていくマネジメント力が必要です。
また各部門における担当者のスキルやモチベーションを把握し、設定した目標通りに、プロジェクトを進めていくために管理する能力も求められます。これにはタイムマネジメント能力が含まれ、設定した期限に沿って計画を進めていくために、各部署に効果的な働きかけを続ける必要があります。

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事業企画に向いている人

前項目で挙げたスキルを持っている人は、事業企画に向いていると言えるでしょう。
またこれら以外にも、自社の事業に関する幅広い知識や、全体の状況を俯瞰して、中長期的な視点で、効率的に計画を進めていく能力なども役立ちます。

これらの能力は、実務を通した経験の中で身につくものです。このため、事業企画の仕事は、やはり経験者の方が有利となります。
しかし、マーケティングや、営業企画、管理職などの経験やスキルを活かして、事業企画未経験から、転職をして、活躍されている方達も多数おられます。

事業企画に役立つ資格

事業企画に必須な資格は特になく、どちらかというと、経験が重視されます。
しかし、MBA(経営学修士)や公認会計士などの資格は役立ちますし、これから企業がグローバル化やIT化を推進していく上で、語学力やITに関する専門知識があると有利になるでしょう。

事業企画の将来性

事業企画の需要は、「グローバル化」や「IT化」によって今後さらに高まっていくものと予想されており、将来性の高い職種となっています。

グローバル化

現代は「グローバル化」が進み、日本の多くの企業が海外に目を向け、海外進出に注目しています。昨今、日本の市場は飽和傾向にあり、新たな市場を求めたこの傾向は今後ますます加速していくことが予測されています。
グローバル化の波に乗り遅れることなく海外進出や新規事業を進めていくためには、事業企画の活躍が期待されています。このため、今後は「英語力」や「国際感覚」も事業企画にとって重要なスキルとなっていくでしょう。

IT化

急速な「IT化」も事業企画の将来性を高める要因となっています。AIやAR、VRなどと多様なIT技術を事業と融合させていくことで、新たな事業創造の可能性が広がっていきます。LINEやX(旧Twitter)、Instagramを始めとするSNSも人々の生活の一部として定着しており、企業はSNSに関連した新事業の展開に意欲的です。
今後はさらに多くの事業を創出するためにも、事業企画が主導して、IT化と事業の融合を推進していく必要があります。

事業企画のキャリアパス

事業企画は経営目線と新規事業の立ち上げに携わることのできる人気の職種です。
この項目では、事業企画のキャリアパスについて、「事業企画へのキャリアパス」「事業企画からのキャリアパス」に分けてご紹介します。

事業企画へのキャリアパス

事業企画への転職を希望している場合、マーケティングや営業企画の経験を積むことをおすすめします。
事業企画の主な仕事は、経営方針や経営戦略に則った、事業の目標設定や事業計画の立案・推進などです。これらを進めていくためには、社内外に向けたマーケティング力や、企画力、営業力などが必要になります。このため、マーケティングや営業企画の経験があると、事業企画への転職に有利となります。

また事業企画は、中長期的な視点に立ち、事業を俯瞰してみること、進捗管理などをしながら、事業を統括して推進していく能力が求められるため、管理職の経験を活かして、事業企画に転職し、活躍する道もあります。

基本的には即戦力となることを求められるので、これまでは経験者が優遇されてきました。
しかし、近年は新事業立ち上げや経営戦略に若い人の新しい視点を取り入れたいという風潮から、ベンチャー企業などで未経験層や若い人材を歓迎する求人も増加中です。

事業企画からのキャリアパス

事業企画に従事する中で、努力やその功績が認められれば、マネージャーなどの責任あるポジションを任されることもあるでしょう。また、事業企画での経験や実績を評価されて、経営企画への異動を打診されることもあるでしょう。

企業の発展を左右する事業企画や経営企画は、優秀な人材が起用される重要なポジションであり、事業企画での経験や実績がある人は、マーケティング力や営業力、経営者目線を身に付けていると評価されるケースが多いです。そのため、事業企画や経営企画で培った経験やスキル、能力を評価されて、執行役員やCOO、子会社の社長などを任されたりする場合もあります。

また事業企画として他社に転職する人や、経営企画へとジョブチェンジする人も多く、キャリアを積むことでより重宝される人材になろうと考えている人も多いようです。

まとめ

企業にとって、収益を生む事業の企画を行う「事業企画」は非常に重要なポジションです。
特に、昨今の「グローバル化」や「IT化」に伴う、新規事業の企画立案を重視する企業は多く、事業企画は、企業の将来を左右する大きな責任を担っています。このため、高い能力や、多様なスキルを求められることも多く、転職の難易度は決して低くはありません。

しかし、これからの将来性も高く、チャレンジする価値の高い職種とも言えます。ニーズやトレンドに敏感になり、変化に適応しながら、施策を打ち出していく事業企画は難しさもありますが、自分の様々な能力を高め、自身の市場価値を上げることのできる職業です。

これまでの経験や自身の能力を活かしてさらにステップアップされたい方、企画職として企業の発展に寄与したい方、事業企画への転職を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 企業の発展に寄与する「事業企画」:事業の企画から実行までをサポート

荻野剛之

[ 経歴 ]
慶應義塾大学経済学部卒業後、ベンチャー企業のインターネット広告代理店に入社。 その後人材紹介会社にて企業担当を数年間経験。管理部門系業務の経験を積むべく、不動産ベンチャーにてIPO・経営企画、人事・マーケティング、ネットベンチャーにてマーケティング、事業推進等に従事し、現職。

[ 担当業界 ]
IT業界、WEB系企業、コンサルティングファーム、マーケティングポジション