
近年、さらに加速化する「グローバル化」や「IT化」など、社会の変化に伴い、あらゆるマーケットでの競争が激しくなっています。このような中で、企業の将来を左右する職種として、需要が高まっている「事業企画」について解説します!
事業企画とは
事業とは企業の収益につながるための全ての活動を指し、「事業企画」は、経営戦略に即した事業の目標設定、関連部署と調整、具体的な計画立案を行い、事業の実行をサポートします。また、事業部の目標やKPIの達成度をモニタリングし、新規事業計画に活かすという重要な役割も担っています。そのため、企画立案力だけでなく、コミュニケーション能力や実行力など、多様なスキルが求められます。
事業企画と事業開発の違い
事業企画は、1つの事業に対して企画から計画の実行まで一連の業務や、予算と実績の進捗管理、目標や施策の修正などを行いますが、事業企画と混同されやすい職業に、事業開発があります。この項目では、「事業企画」と、「事業開発」の違いについて詳しく見ていきたいと思います!
事業企画
1つの事業に対して具体的な戦略を練り、計画の立案を行います。具体的には、KPIや予算の設定、活動実績や達成度のモニタリング、その結果に基づく課題選定と対策の立案など、担当する事業の方針を明確にするのが主な仕事です。事業企画では、営業やマーケティング、財務管理のスキルを求められることが多く、事業企画での実績が評価されれば、経営企画へのキャリアアップを望むことできます。
事業開発
新規事業の立ち上げや推進を担い、売上を作り出す仕組みを開発します。事業企画の仕事内容と似ていますが、事業開発では、マーケティングなど、0からの事業を開発する役割を担っています。事業開発では、営業やマーケティング、プレゼンテーションスキルなどが求められ、将来のキャリアパスとして、経営企画、事業企画へのキャリアアップ、経営コンサルタントへの転職の道も開かれています。
事業企画の仕事内容
こちらの項目では、事業企画の主な仕事内容について解説します。
まず、「事業の目標設定、計画の立案、計画の実行推進」です。経営戦略に則した目標の設定を行い、財務部や人事部と連携して、予算や人事に関する調整をしながら、具体的な計画や対策の立案を行います。
次に、「現場へのヒアリングやKPIのモニタリング」です。目標達成に向けた進捗状況の管理や、モニタリング結果に基づく、目標の修正も大事な役割です。KPIの達成率など進捗状況を正確に把握するための、現場スタッフへのヒアリングも欠かせません。
さらに、「新たな事業計画へのリサーチやディスカッション」も事業企画の重要な業務です。既存事業の収益の安定だけではなく、社会のニーズや価値観の変化などに常に目を向けて、継続的リサーチを行い、新規事業計画に向けたディスカッションを行います。
事業企画に必要なスキル
事業企画には多様なスキルが求められますが、この項目では、特に必要とされる、代表的なスキルについて紹介していきます!
マーケティング力
まず、事業企画に求められるのは、マーケティングスキルです。マーケットのニーズを、タイムリーかつ正確に把握しなければ、収益性の高い事業を展開していくことはできません。そのため、迅速かつ的確なマーケティング力が必要です。
近年では情報媒体も多様化しており、インターネットや様々なSNSも活用して、多方面から効率的に情報を収集できるスキルが求められます。また、将来を見通したニーズを把握する能力も求められます。
さらに、市場調査や課題の分析結果をもとに、販売戦略を立案するために、分析ツールなども取り扱える人材は、より一層重宝されます。
経理・財務感覚
事業企画には、費用対効果や収益性、損失リスクを把握した上で、適切なコスト管理を行い、予算計画を立てるために、適切な経理や財務の感覚も求められます。
また、事業の計画にあたって、予算の調達やバランスシートを作成する際にも、経理や財務の知識が必要となります。
コミュニケーション力
事業企画は、さまざまな部署と連携して事業の計画、推進などを行います。新たな事業計画を説明したり、現場の様子をヒアリングしたりといった他部署との業務を円滑に進めていくには、高いコミュニケーション力が求められます。
時には、現場などから、事業企画の計画に反発される場合もあるかもしれませんが、うまくコミニケーションを取り、論理的に説明することで、関連部署を納得させるスキルがあると、事業をスムーズに進めていくことができます。
また、高いコミュニケーションスキルや、明確で説得力のあるプレゼンテーションスキルは、経営層の承認を得る際にも役立つでしょう。
マネジメント力
事業は、様々な部署や、多数の従業員と連携して進めていく場合が多いため、関連部署や関係者をまとめてリードしていく、マネジメント力も必要です。各部門における担当者のスキルやモチベーションを把握し、設定した目標通りに、プロジェクトを進めていくために管理する能力が求められます。
これにはタイムマネジメント能力も含まれ、設定した期限に沿って計画を進めていくために、各部署に、効果的な働きかけを続ける必要があります。

事業企画に向いている人
前項目で挙げたスキルを持っている人は、事業企画に向いていると言えるでしょう。
またこれら以外にも、自社の事業に関する幅広い知識や、全体の状況を俯瞰して、中長期的な視点で、効率的に計画を進めていく能力なども役立ちます。
これらの能力は、実務を通した経験の中で身につくものです。このため、事業企画の仕事は、やはり経験者の方が有利となります。
しかし、マーケティングや、営業企画、管理職などの経験やスキルを活かして、事業企画未経験から、転職をして、活躍されている方達も多数おられます!
事業企画の将来性
事業企画は「グローバル化」と「IT化」により、将来性の高い職種となっています。
現代は「グローバル化」が進み、多くの企業が、海外に目を向け、海外進出に注力しています。日本の市場は既に飽和しており、新たな市場を求めたこの傾向は、今後ますます加速していくことが予測されています。
今や、多くの企業が飽和した日本市場に見切りをつけ、未開拓の市場が豊富にある海外に進出して、さらなる発展を望んでいます。このような中、事業企画がリードして、海外で新規事業を推進していくことが求められています。このため、今後は「英語力」や「国際感覚」も事業企画にとって重要なスキルとなっていくでしょう。
また、急速な「IT化」も事業企画の将来性を高める要因となっています。
現在、ありとあらゆる場所でIT化は進んでおり、InstagramやLINE、X(旧Twitter)などの多様なSNSも、人々の生活の一部として定着しています。このような中で、企業はSNSに関連した新事業の展開に意欲的です。
また、AIやAR、VRなどの新技術も、事業に積極的に活用しようという企業も増えています。今後は、これらの技術を応用した新規事業の推進のために、事業企画の活躍が期待されており、事業企画の将来性は、さらに高まっていくことが予想されています。
事業企画のキャリアパス
この項目では、事業企画のキャリアパスについて、「事業企画へのキャリアパス」「事業企画からのキャリアパス」に分けて紹介します!
事業企画へのキャリアパス
事業企画への転職を希望している場合、マーケティングや営業企画の経験を積むことをおすすめします。
事業企画の主な仕事は、経営方針や経営戦略に則った、事業の目標設定や事業計画の立案・推進などです。これらを進めていくためには、社内外に向けたマーケティング力や、企画力、営業力などが必要になります。
このため、マーケティングや、営業企画の経験があると、事業企画への転職に有利となります。
また事業企画は、中長期的な視点に立ち、事業を俯瞰してみること、進捗管理などをしながら、事業を統括して推進していく能力が求められるため、管理職の経験を活かして、事業企画に転職し、活躍する道もあります。
事業企画からのキャリアパス
事業企画に従事する中で、努力やその功績が認められれば、マネージャーなどの責任あるポジションを任されることもあるでしょう。
また、事業企画での経験や実績を評価されて、経営企画への異動を打診されることもあるでしょう。
企業の発展を左右する事業企画や経営企画は、優秀な人材が起用される重要なポジションであり、事業企画での経験や実績がある人は、マーケティング力や営業力、経営者目線を身に付けていると評価されるケースが多いです。
そのため、事業企画や経営企画で培った経験やスキル、能力を評価されて、執行役員やCOO、子会社の社長などを任されたりする場合もあります。
まとめ
企業にとって、収益を生む事業の企画を行う「事業企画」は非常に重要なポジションです。
特に、昨今の「グローバル化」や「IT化」に伴う、新規事業の企画立案を重視する企業は多く、事業企画は、企業の将来を左右する大きな責任を担っています。
このため、高い能力や、多様なスキルを求められることも多く、転職の難易度は決して低くはありません。
しかし、これからの将来性も高く、チャレンジする価値の高い職種とも言えます。
これまでの経験や自身の能力を活かしてさらにステップアップされたい方、企画職として企業の発展に寄与したい方、事業企画への転職を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。