意欲的なビジネスパーソンやコンサルタントの方々であれば一度は気になったことがあるであろう「経営企画」というポジション。

よく聞く部門名でありながら、その実態や業務内容は同じ会社の社員からしてもあまり良くわからないというのが実情です。

今回はそんな「経営企画」業務について、元一部上場企業の経営企画室スタッフだった筆者より実体験に基づいた解説をしていきますので、是非最後までご覧いただければ幸いです。

経営企画とは

「経営企画」とはある一定以上の規模の企業によく見られる部門で、「経営企画室」、「経営企画部」と呼ばれる場合や、「社長室」のような名称の部門がその機能を担っていることも見られます。

混同されがちな言葉に「事業企画」があります。

事業企画は「新しい事業を立ち上げる」ということに主眼を置いています。経営企画も同じような機能を有す場合も多いですが、単体の事業よりももう少し上流の「経営」そのものについてのプランニングを行う部署と言えます。

経営企画室は英語ではManagement(Corporate) planning officeなどと表記されますが、まさにそのとおりの意味合いです。

事業企画よりも、会社全体の経営状態や戦略を考え、立案実行していく部隊といえるでしょう。

経営企画の業務内容と組織図上の立ち位置

とは言え実際にどういった仕事をしているのか、どういう立ち位置なのかはなかなか分かりづらいところですので、実例を挙げて紹介していきましょう。

経営企画の業務内容

一言でいえば、「経営に関わることすべて」です。

経営者や役員会直轄の部門である場合も多い経営企画セクションでは場合によっては社長より先に経営情報を目にすることも少なくありません。

各種財務データ、M&A、新規事業、撤退・縮小などあらゆる情報が集まるため、上場企業の場合には経営企画部門のスタッフには自社株式の購入にも制限がかかります。

会社の規模にもよりますが、例えば新しい海外拠点を作る場合、実際の設立プロジェクトはどちらかと言うと現場部門寄りですが、「海外拠点を出すのかどうか」や「出すならどの国に出すのか」といった根本の部分は経営企画部門が中心になることが多いでしょう。

上場企業であれば有価証券報告書や決算書に記載される内容に関わることも珍しくありません。

レイヤーが一段も二段も経営層に近い部門と言えます。

経営企画の組織図上の立ち位置

こちらも会社によりますが、イメージとしては「どの部門からも独立している部門」になります。

社長直轄の部門とされている場合も多いですし、各部門と横断的に連携して仕事をすることが多い都合上、どこかの部門の配下では都合が悪くなるという事情もあります。

役員会の決定を受けて経営企画部門でプロジェクトを発足、必要な部門のスタッフをキャスティングするというのもよくある業務の一つです。

経営企画経験者のキャリア

その経営企画を経験したスタッフのキャリアパスはどうでしょうか。

そもそも経営企画部門に配属されるのは社内では管理部門、社外からの転職であればコンサルティングファームや経営企画部門の経験がある方が多いようです。MBAや公認会計士と言った経営・財務関係の資格も有利に働くでしょう。

また、経営企画の後のキャリアも気になるところですよね。ここでは社内外のパターンをいくつか見てみましょう。

パターン1(社内):経営幹部候補に

日常的に経営に直接関わる情報に触れ、役員会などとも緊密に連携を取る経営企画スタッフが経営幹部候補であることは珍しくありません。

もちろん直接ではなく、他部門の責任者を経ることもあるでしょうが、経営層に入っていく可能性が高い部門であることは間違いないでしょう。

一般的な部門にいるよりも高い視座を得ることができるため、その経験は後に経営者になったときにも大きく役立ちます。

経営企画スタッフならではの経験を比較的若いうちから積むことができるのは貴重な財産になります。

他社の経営者、関係省庁の官僚、日本経済新聞の記者などとのやり取りも発生しますので、日常の業務を大きな学びの場にすることが可能です。

パターン2(社内):海外拠点の責任者に

こちらも良くあるパターンです。海外拠点の責任者には本社では課長〜部長クラスが派遣されることが少なくありませんが、いざ赴任すると「経営者」としての機能を担う必要があります。

経理部門でも無い限り、簿記や会計の知識があるスタッフは稀ですし、逆に経理部門のスタッフでは営業や技術が全くわからないということも。

広範囲に渡って仕事をしてきた経営企画スタッフは海外拠点の責任者に適任となりやすいのが背景と言えます。

逆に海外拠点の責任者から経営企画部門という流れも考えられ、やはり親和性が高いポジションであるといえるでしょう。

パターン3(社外):他社の経営企画部門に

社外に出るパターンとして多いのは同じ部門である経営企画部門への転職です。幅広い知識やスキルを求められる経営企画スタッフの育成は難しく、社外から経験者を募集する案件に対して経験者が少ない傾向にあるようです。

実際に筆者のもとにもヘッドハンターからの連絡も数多くありましたし、より高い待遇を求めての転職もしやすいキャリアであると言えます。

パターン4(社外):コンサルタントに転職

コンサルタントの方が経営企画部門に転職してくる場合が多いと述べましたが、その逆も然りです。

経営企画部門スタッフに求められるスキルや知識を最も高いレベルで身につけている職種の一つが戦略コンサルタント。

経営企画部門にいれば自然と興味が出る職業であることからか、志望者や実際に転職する人が多いパターンです。

一般的に事業会社の経営企画部門より戦略コンサルタントのほうが年収が高いことも人気の一因でしょう。

パターン5(社外):起業・独立

「起業・独立」の道を選ぶ経営企画スタッフもいます。もちろん全体からすれば数は少ないものの、実際に経営の近くで仕事をするにつれ、「自分で経営をしてみたい」と思うのも不思議ではありません。

筆者もこのパターンですが、実際に独立してみても経営企画部門で得た経験が大きく役立っていることは間違いありません。

企画立案、事業計画策定、実行、見直し、修正といった経営企画ならではの業務や、財務・会計・税務知識は独立後に必須になりますので、起業・独立を視野に入れた経営企画部門への転職もとても理にかなった選択と言えます。

経営企画に転職するメリット

そんな経営企画部門に転職するメリットとは何でしょうか?

それはズバリ、「会社を動かしているという充実感」です。

現場部門の声は経営層に届くまで時間がかかりますし、コンサルタントとしてアドバイスをしても実際に動いてもらえるとは限りません。

自社社員である経営企画スタッフは企画・立案だけでなく実働部隊としても入り込むことが出来ますので、会社全体を考えて仕事をするという充実感、そして何かを成し遂げた時には大きな達成感があります。

また、将来起業・独立を考えている場合にも、実際の経営のすぐ近くで見聞きできることは経験になりますし、何より数多くの経営者と話す機会は実に貴重です。

よく「経営者目線で考える」といいますが、実際のところ自分が経営者にならないと100%その目線に立つことは不可能です。経営企画スタッフでいることとは、会社員の立場で限りなく経営者に近い立場を経験できる環境とも言えるでしょう。

経営企画部門に求められるスキル・人物像

ではそんな事業会社の経営企画部門スタッフに求められるスキルや、好ましい人物像とはどういったものでしょうか。

スキル、人物像両面から見ていきましょう。

経営企画スタッフに求められるスキル

一言で言えば「幅広い知識とスキル」が必要になります。

経営情報を扱うので財務・会計の知識は必須ですし、全社の効率化を考える場合にはITの知識も必ず必要になります。

昨今の企業ではその多くが外国企業とのやり取りがありますので、最低限の英語力もあったほうが良いでしょう。

更に、自社製品の知識や、技術的な理解、各種法律や規制への理解も欠かせません。

「経営者に近いレイヤーで仕事を行う」ポジションですから、「ほぼ経営者と同じ範囲の知識とスキル」が求められると考えればわかりやすいでしょう。

もちろんすべての方面で専門家レベルになるのには時間がかかりすぎますので、ある程度以上は各専門家がいる部門に協力を仰いだり、一緒にプロジェクトを進めていくということになります。

とは言え、「器用貧乏」では説得力が出ないポジションでもありますので、何かしらの専門領域を持ちつつ、広範囲をカバーするという形が理想と言えます。

この財務・IT・語学・法務などの知識、スキルをバランスよく備えている人材は非常に少ないことが、経験者や元コンサルタントなどを外部から採用する動きになることが多い要因の一つです。

経営企画スタッフに向いている人物像

スキルについては前述のとおりですが、実はスキル以上に重要になるのが「人物像」、言い換えれば「人柄」です。

「経営企画部門」というのは他の部署の社員からすると「謎の部門」であり、「社長とつながっていて怖い」部門であったりもします。

その経営企画部門のスタッフが中心となって各部署の部課長クラスを集めてプロジェクトを発足し、その事務局をすることも多い経営企画スタッフはとにかく警戒されがちです。

人間は変化を恐れる生き物であり、経営企画室が動くときは変化を伴うことが多く、現場部門からの反発を受けることも少なくありません。

そういった中で杓子定規に正論を振りかざすだけでは協力も得られず、本来会社のためになるはずだった目的の完遂も危ういでしょう。

中長期の経営計画の策定にも関わる経営企画スタッフと現場部門の責任者ではその視座も価値観も違うのは当たり前です。

更に製造や技術サイドと営業サイドなど対立しやすい部門との協業も多いため、旗振り役となる経営企画スタッフにはとにかく「コミュニケーション能力」が求められます。

誰よりも広範な知識・スキルを持ち、全体を俯瞰しながら、感情的にならず、それぞれの参加者のプライドにも配慮しながら最適解へ全体を導いていく、経営企画スタッフとして最も重要なのはこういったウェットな部分なのかもしれません。

日頃経営層とばかり仕事をしていたり、高い視座で仕事をすることに慣れてしまうと、知らず知らずのうちに他の社員から「上から目線の人」と認識されてしまうのもよくある話です。

特に横文字系の経営用語や専門用語の使用は控え、どの部門の人にもわかりやすく説明していくなどの配慮が必要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

経営に関わる仕事をしたい人にとっては最適とも言える部門が経営企画とも言えます。

ルーティン業務は少ないですし、社内で誰も経験がしたことの無い仕事に先頭を切って立ち向かっていくやりがいもあります。

特に一般的な部門の人件費において、外注や非正規化による削減が進んでいる現代においては、まさに頭脳とも言える経営企画部門の重要性は増すことはあっても減ずることは無いでしょう。

事業会社において「特別な職場」である経営企画部門。

仕事のやりがい自体も大きい上にキャリアパスとしてもプラスに働くことが多いの部門は一度は経験しておきたいポジションです。

今回の記事を参考に、経営企画部門への転職や転属をご検討いただければ幸いです。

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この記事を書いた人

枝松健志

東北大学経済学部卒。日本長期信用銀行(現・新生銀行)に入行。大企業および中堅企業向け融資、審査業務に従事。長銀破綻時には会長秘書を務める。その後ベンチャーキャピタルに転じ、ソフトバンク系VC及び伊藤忠商事系VCにてベンチャー企業への投資と成長支援に注力、複数の投資先でマネジメントを経験する。「企業の成長を人材面からサポートする」ことを目指し人材コンサルタントに転身。
[ 担当業界 ]
経営幹部人材(CXO / 事業推進責任者等)、バイアウトファンド、ベンチャーキャピタル