国家公務員からの転職 おさえておくべき強みとマーケット評価

国家公務員からの転職 おさえておくべき強みとマーケット評価
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国家公務員の転職に対する関心の高まり

国家公務員であれば、以前は入省から転職することなしに、公務員としてキャリアの大半を終えることが当たり前でした。しかし、近年20代〜30代を中心に、キャリアシフトに関心を持つようになっています。

実際、内閣人事局の調べによると、30歳未満・男性職では、7人に1人の割合(14.7%)が数年以内に辞職の意向を有していることが判明しています。

人事評価の改善に向けた有識者検討会(第1回)議事次第(資料P24)

弊社では、国家公務員の転職支援やヒアリングを通じて、以下のような理由から、転職に関心を持っていると理解しています。

国家公務員の方の転職理由

・50代等のタイミングで退職勧奨を受けキャリアをつなげるより、国家公務員としての知識・経験と新たな領域でのチャレンジに向かう能力・意欲のバランスが取れるタイミングのほうが、自身と採用側の双方にとって良いと考えた。

・ルールメーカーよりプレイヤーとして挑戦してみたい、もっと手触り感が欲しい。

・時間的な拘束の長さ、報酬水準などが、バランスを欠いているのではないかと疑問を感じている。

・米国で採用されているリボルビングドアのような官民における実質的な人材流動化が将来的に実現していくならば、民間でのビジネス経験も積み、ビジネスをわかったうえで改めて国家公務員として貢献したい。

国家公務員からどのようなキャリアシフトができるのか、転職成功のポイントは何か、転職に対して関心を高めている方も多いのでははないでしょうか。

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国家公務員の持ち味、転職に対する不安

国家公務員の方は、地頭の良さや適応力といった能力、長時間労働に耐えて来たタフさ、行政機関ならではの経験・ネットワークなど、行政マンならではの持ち味をお持ちです。

民間ビジネスの成長において、行政や政治との関係は切り離せません。そうした中、行政機関で勤めることによってのみ得られるアプローチの方法やネットワーク、カルチャーに対する理解を有する人材は、大企業やベンチャーなど問わず、これから新しい事業を開発したり、マーケットをつくっていくような企業にとっては魅力的です。

国家公務員の持ち味
地頭の良さ、適応力

1〜2年に一度など、全く畑違いの部署に異動し、それでも着任から1週間後には、一人で政治家や財務省等に説明に行く必要があることから、地頭の良さが必要かつ鍛えられているとともに、適応力の高さを有する。

イノベーションのスピードが速まり市場環境も目まぐるしく変わる中では、適応力の高さは重要。

経験値■多くの国家公務員がかなりの長時間労働をしており、タフな環境の中で鍛えられている。
■早期から省庁の代表として、企業の社長や政治家と裁量権を持って1対1で話す機会が多い。
■法制度に関して、法制度の立案や解釈の経験がある。
行政・政治ネットワーク

どのような事業においても、事業拡大のフェーズにおいてなど、行政や政治との関係は切り離せない。
法制度等の規制はもちろんのこと、事業推進においても、行政・政治の活用は事業成長においては必要である中、ならではのアプローチの方法やネットワーク、カルチャーの理解を有する。

その一方で、

「公務員に対する理解度によって採用においての温度差が出ることもあり、有能で活躍できる人材にも関わらず、転職市場に出るとあまり評価が高くないのではないか。」

「転職先として検討できる企業や機会が少ないのではないか。」

といった転職に対する不安をお持ちの方も少なくはないと認識しています。

国家公務員の転職に関する心得

国家公務員の転職成功には、どのような機会が存在し、何をプレゼンテーションすべきなのか、マーケット情報や自身を客観的に把握することが肝要です。

国家公務員出身者が、ベンチャー企業社長や外資系投資ファンド日本代表など、民間ビジネスをリードしているシーンを目の当たりにするようになりました。
こうしたアウトスタンドした事例だけでなく、様々なタイプの人材が、民間ビジネスで活躍するようになってきています。

ビジネスマンとしての活躍にあたり、企業からは、論理的な思考力や体系的な物事の理解力を有すること、難しい折衝・調整業務の経験などのソフトスキルへの期待があります。
これに加えて、ベンチャー支援、ESGなど、即戦力が期待できる業界経験を官の立場から経験していること、更には、ビジネスに優位な環境や存在意義を高めるためのロビイングやアドボカシー活動に関するネットワークとカルチャー理解なども期待があることも認識しておくべきでしょう。

一方で、ビジネス経験が無いことに対して、懸念を抱かれる場合があることも事実です。また、国家公務員というだけで差別化が図れる訳でもありません。
さらに、国家公務員の転職がまだ一般的でないことから、転職事例や市場価値を知る機会も多くは無いでしょう。

転職の成功にあたっては、転職マーケットにおける機会と脅威、自身の強みと課題について、専門家からの情報や助言を得ることが必要不可欠となります。

 ポジティブネガティブ
外部環境[機会]
国家公務員の方へ関心を持つ企業も増えてきており、実際に活躍している例も知られ始めている。
ex. ベンチャー企業・代表、バイアウトファンド・パートナー、事業会社・企画や社長室等
(目立つような方だけでなく、様々なキャラクターの方が活躍)
[脅威]
■民間企業とは組織の目的が異なるため、ビジネス経験が無いことに対して懸念を抱かれる場合がある。
■国家公務員からの転職者も増えて来ているため、国家公務員というだけで差別化できなくなって来ている。
国家公務員自身[強み]
■法制度や政策立案の経験、高学歴・難関採用試験・海外修士を経ている方など、論理的な思考力や体系的な物事の理解力を有する。
■難しい折衝・調整業務の経験。
■即戦力が期待できる業界経験を官の立場から経験(ベンチャー支援、ESG等)。
■ロビイングやアドボカシー活動に関するネットワークとカルチャー理解。
[課題]
■国家公務員転職は民間での転職と比べると未だ事例が少なく、転職先に関する情報も少ない。「まずは戦略コンサルだろう。」といった画一的キャリア方針にもなりがちである。
■民間企業からの期待や評価されるポイント(市場価値)について知る機会が多くはない。自身の志向性と企業ニーズのギャップが知らないうちに生じている可能性もある。

国家公務員のネクストキャリア(転職先)

国家公務員の持ち味や、国家公務員に対する客観的なマーケット評価を考慮すると、地頭の良さといったポテンシャルに期待した採用に加えて、企画能力やルールメイキングといった国家公務員としての経験にも期待があります。

具体的な転職先についても、戦略コンサルタント、再生コンサルタント シンクタンク、パブリックセクターコンサルタント 金融・事業会社 ベンチャーキャピタル、 インパクトファンド など多岐に渡ります。

国家公務員の仕事は、金融、経済産業、外交、国土、農林水産、環境など、相当に幅が広いです。
これまでの自身の経験がどういった業界、企業に通じるのか、想像する以上の広がりがあるのです。

戦略コンサルタント、再生コンサルタント
ポジション■コンサルタント
企業例McKinsey、BCG、Strategy&、Monitor Deloitte、IGPI等
期待役割企業の経営課題、経営戦略に対するコンサルティング
注目のポジション■戦略・再生コンサルタント
シンクタンク、パブリックセクターコンサルタント
ポジション■研究員
■コンサルタント
企業例■シンクタンク
三菱総研、日本総研等
■パブリックセクターコンサルタント
監査法人、アビーム等
期待役割■政策提言、制度設計
■行政機関や社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進
■インフラ等官民連携プロジェクトの推進
■ESG・サステナビリティに関するコンサルティング(民間向け、政府向け)
注目のポジション■パブリックセクターコンサルタント
■サステナビリティ・ESG
■インフラ・PPP/PFI
金融・事業会社
ポジション■企画
■政府渉外
企業例■メガバンク、投資銀行
■総合商社
■ベンチャー・スタートアップ(メルカリ等)
期待役割■経営企画、事業企画、社長室等での企画機能
■ルールメイキングにかかる提言
■ロビイング、アドボカシー活動
注目のポジション■事業会社、金融等(コンサル以外)
ベンチャーキャピタル、インパクトファンド など
ポジション■キャピタリスト
■企画
企業例グローバル・ブレイン、グロービス等
期待役割ファンドレイズ、投資、投資先支援、アクセラレーション
注目のポジション■事業会社、金融等(コンサル以外)

各ポジションについての詳細は、以下の記事で解説しています。

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コトラでの官公庁経験者への転職支援

転職を成功させるには、自身がキャリアシフトする先の業界の動向の把握、自分自身に対するマーケット・企業の期待、逆に懸念点や留意点などを把握し、適切な行動を取ることが必要となります。

コトラでは、官公庁での経験を実際に持つコンサルタントが、自らの民間企業への転職経験、これまで官公庁経験者を多数支援した経験、転職先企業とのリレーションを生かして支援を行っている。

国家公務員の方など、官公庁経験者への転職支援で実績を残しており、以下のような声を頂いています。

公務員からの転職をお考えでしたら、ぜひコトラへご相談ください。

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この記事を書いた人

KOTORA JOURNAL | 国家公務員からの転職 おさえておくべき強みとマーケット評価

宮崎達哉

信州大学工学部卒、ゼネコンでの施工管理者を経験した後、三重県庁にて産業政策の企画・運営業務に従事。県庁在籍中に、経済産業省資源エネルギー庁及びNEDOにてエネルギー政策に係る新規事業立案や規制・制度の合理化に従事。デロイトトーマツグループでの地方創生及び教育分野のコンサルティング業務を経て現職。
【担当業界 】ESG/サステナビリティ領域、シンクタンク、コンサルティングファーム、監査法人、パブリックセクター、教育、経営層、管理系人材、技術者