金融・コンサル・経営幹部の転職コトラ HOME > 企業インタビュー > 特集:UBSウェルス・マネジメントに聞く、キャリアとしてのウェルス・マネジメント

Vol.1 スイス・プライベートバンクの雄、UBSウェルス・マネジメントの日本戦略

UBS銀行ウェルス・マネジメント本部 事業開発・営業推進部長

1.ウェルス・マネジメントとは何か?

金融界に身をおくものでも、自らのキャリア設計にウェルス・マネジメントを視野に入れるものは、今までそう多くはなかっただろう。しかし世界的に大きく成長するこの分野に日本国内でも注目が集まってきている。特にウェルス・マネジメントをコアビジネスとするスイスのUBSグループは、その世界戦略において日本市場での事業を強化しており、日本国内でもウェルス・マネジメント分野の人材登用を積極化していく方針だ。

では、ウェルス・マネジメントとは具体的にどういうビジネスなのだろうか?ウェルス・マネジメントという言葉に馴染みが薄いという人でも、プライベート・バンキングという言葉は聞いたことがあるだろう。スイスで発祥したプライベート・バンキングは、富裕層を対象に当初は決済・貸付機能を中心に行われていた。しかし、1990年代以降、金融商品の多様化にともない富裕層のニーズも複雑化していった。決済・貸付といういわゆる銀行業務に留まらず、デリバティブを使った資産運用やグローバル市場へのアクセスというようなサポートも求められるようになっていった。そうした一連の機能を有機的に結びつけようとする機運が高まる中、業務内容がバンキングという言葉の中には収まりきらないということから「ウェルス・マネジメント」という概念が広がりを見せていったのだ。

ウェルス・マネジメントという広義のプライベート・バンキングの世界ランキングにおいて、預かり資産総額世界ランキング第1位(Scorpio Partnership調べ:https://prottapp.com/p/281d9e)が、今年で日本に進出して10年を越えたUBS銀行のウェルス・マネジメント部門だ。

スイス・プライベートバンクの伝統を受け継ぐUBS銀行は150年余りの歴史を誇っており、成長分野である超富裕層向けの資産管理において世界をリードしている。そのUBS銀行がウェルス・マネジメントの世界戦略において、日本市場に熱い眼差しを向けているという。

その狙いは何か?また、UBSの戦略実現に向けてどのような人材が求められているのか、UBS銀行ウェルス・マネジメント本部事業開発・営業推進部長のK氏に話を聞いた。



2.動き出す個人金融資産

— 今、なぜUBS銀行ではウェルス・マネジメント事業に力を入れているのですか?

K氏:「UBSグループは日本に進出して今年で50年になります。ウェルス・マネジメントに関していうと、昨年10周年を迎え、今年で11年目に入りました。お陰さまでこの10年で預かり資産も順調に増えています。次の10年を考えた時、日本のウェルス・マネジメント市場は大きく動き出すと言われています。日本では、1600兆円以上とも言われる個人金融資産の多くが高齢者に集中しています。これから社会の高齢化がますます進み、富が次の世代に大きく動き出すと予想されます。そうした環境下で、我々UBSウェルス・マネジメントとしては、グローバルな金融機関としての強みを発揮し、我々のノウハウを日本の富裕層の皆様にご提供していきたいと考えております。UBS東京支店の業容拡大に合わせてより質の高い人材をできるだけ多く採用したいとと考えています。

— 具体的にUBSウェルス・マネジメントがターゲットとするのはどういったお客様なのでしょうか?

K氏:「我々は富裕層と超富裕層いう2つのセグメントにわけて考えています。前者はUBSへの預かり資産が2億円以上の方、後者は50億円以上の方です。とは言っても、お客様のお持ちの資産のすべてをお預け頂けることは少ないでしょうから、実際には富裕層の方ですと5億円以上の金融資産をお持ちの方になると思います。色々な統計があるのですが、金融資産が5億円以上の富裕層は5万世帯以上いるのではないかと考えています。」

日本には元々欧米のような超大富豪が少ない上に、資産運用についても保守的な考えを持つ人が多く、プライベート・バンキングやウェルス・マネジメントには不向きのマーケットだという言説もあった。しかし、先述のとおりウェルス・マネジメントは単なる資産運用ではなく、より幅広く富裕層のニーズや悩みに対応していくビジネスだ。それを考えると、今後は富裕層の相続や事業承継の問題が深刻化していくことが避けられない環境の中、向こう10年、日本のウェルス・マネジメントビジネスに大きなチャンスがあるのは間違いないだろう。



3.外資撤退するも広がるビジネスチャンス

しかしながら、イギリスのHSBCグループやアメリカのCitiグループなどの外資系企業が次々と日本の富裕層ビジネスから撤退している。金融に関する規制が海外とは異なる中での苦戦も報じられているが、そのような中でUBSウェルス・マネジメントはどこにビジネスチャンスを見出しているのだろうか?

K氏:「富裕層の中でのプライベート・バンキングに対する認識はこの10年間で変わってきています。途中リーマン・ショックなどもあり停滞した時期もありましたが、私たちのビジネスも順調に伸び続けているからこそ、UBSもグローバルで強力にバックアップしてくれています。他の外資系企業の撤退については個々の事情があるのでしょうが、ひとつ言えるのは彼らにとってのウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングは数ある事業の一つに過ぎなかったということです。それに対しUBSではウェルス・マネジメントを銀行のコアビジネス(中核事業)として位置づけているので、コミットメントの強さが違います。最近では、撤退した外資系金融機関の事業を日本の金融機関が受け継ぎ、銀行業務ではカバーし切れないことをグループ全体でサポートし、シナジー効果により事業を大きくする試みも見られます。事業として顕在化していない、お客様自身も気づいていないニーズはまだまだあるので、ウェルス・マネジメント業界は成長の余地が十分にあると言えると思います。

UBSウェルス・マネジメントとしては、今後日本の金融機関との差別化要因をより明確に打ち出し、UBSだからこそ提供できる様々なサービスを通じてニーズを満たし、お客様にご満足頂くことで、ウェルス・マネジメント業界をさらに一層成長させるべく、業界のリーダーとして尽力したいと考えています。



4.邦銀にないコアビジネスとしてのウェルス・マネジメント

では日本の金融機関に提供できないUBSウェルス・マネジメントならではのバリューとは一体どういったものなのだろうか?

K氏:「私たちはお客様にどういった体験をお約束できるかという『クライアント・プロミス』を強く意識してビジネスを行っています。UBSウェルス・マネジメントのクライアント・アドバイザー(CA)は、単に商品を売り込む営業マンでもなければ、お客様からの注文を受けるだけの御用聞きでもありません。お客様が抱えているお悩みや顕在化していないニーズまでをも汲み取って、解決策を提案する。お客様の立場、ライフステージ、更にはその時々の市場環境、予測される将来の状況を考慮した上で、最適な提案をし、実行する。結果を検証し、さらに改善を続ける、そのサイクルを繰り返すことで、お客様との信頼関係をより確かなものにしていく、これこそが『クライアント・プロミス』です。

「人はお金のことや家族の問題は本当に信頼した相手にしか相談しません。単に金融機関の目線で接していては相互の信頼関係を築き上げてゆくことはできません。我々としては金融業界における医師やカウンセラーのように健康と心の悩み以外はすべてご相談頂けるような存在を目指しています。」

K氏さんによれば、欧州のクライアント・アドバイザーは実際にそのような存在であることが多いという。もちろん日本においてはファイヤーウォール規制があるので、すべての問題に対してUBSウェルス・マネジメントが直接対応するわけではないが、必要に応じて専門家を紹介したり、様々な相談にも乗りながら信頼を獲得し、一人のクライアント・アドバイザーが一つの家族を、世代を越えて代々担当するということもある。

K氏:「会社やビジネスの問題から家族の問題に至るまで様々な悩みに対して色々な人脈、情報、サービスを使ってお応えするようにしています。お客様が価値を置くことについては、可能な限りお応えしようという企業文化があります。実際、 ヨーロッパでのビジネス展開で悩んでいらした日本のお客様に対し、UBSウェルス・マネジメントの副会長が来日した際に、ヨーロッパのネットワークを通じ、お客様の会社との橋渡し役を買ってでたこともあります。UBSにはグループ全体でお客様のニーズにお応えするカルチャーがあります。」



5.クライアント・アドバイザーのコアバリューとは?

スイス・プライベートバンクの伝統を受け継ぐUBSウェルス・マネジメントがこれから日本での体制強化を図っていくということだが、そのビジネスを支えるのにどのような人材が求められているのだろうか。

K氏:「もちろんすでにウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングの業務に携わっており、経験をお持ちの方は即戦力として採用しているのですが、必ずしも同業界の経験者である必要はありません。優秀な営業担当やコンサルタントは、業界によって備えている専門知識は異なってくると思いますが、営業担当としてのコアの部分には共通するものが有るのではないかと考えています。」

「営業担当の資質をピラミッドに喩えてみると、ベースにあるのは社会人としての基本的なスキルであり、頂点にあるのは金融や商品などの専門知識です。一方でコアとなる資質は皆同じなのではないかと思います。それはお客様の抱えている問題やニーズを理解するコミュニケーション能力であり、そうしたお客様の情報を整理する力であり、そしてそれを解決する力です。その部分が確立されていれば、金融の専門知識は後からでも身につけることはできます。」

インタビュー中、K氏は繰り返しこの「営業担当のコアスキル」の部分の大切さを強調した。クライアント・アドバイザーの資質を尋ねると「地頭のよさ」や「人間力」というワードがでることもあったが、それらはすべてこのコアバリューを培うためといえよう。

K氏は「必ずしもウェルス・マネジメントやプライベート・バンキングの経験者である必要はない。」と繰り返す。ウェルス・マネジメントがターゲットとする超富裕層は多くの場合は社会の成功者だ。彼らの信頼を勝ち得る真のアドバイザーに求められるのは少しばかりの経験や小手先の金融知識ではないということだろう。

ましてや未だ規模の面で十分に成熟していない日本のウェルス・マネジメント業界の中だけから優秀な人材を探すというのは合理的でないというのは説得力がある。都銀、地銀、信託銀行、証券、保険、不動産など、ウェルス・マネジメントに関係しているどの業界からでも転職のチャンスはあるのではないかという印象を受ける。



6.求められるのは”振り付け”のできる人材

とはいえ金融業界にいたなら誰でも優秀なクライアント・アドバイザーになれるわけでもあるまい。では具体的にどのような人物がクライアント・アドバイザーに向いているのだろうか?

K氏:「一言でいうと人と協同するのが上手い人です。何か案件があったときにすべてを自分で抱え込んでしまうのではなく、上手く周囲の人の協力を得られる人です。といっても協力を要請するだけで終わりというのではだめです。ちゃんとゴールに達する画を描いた上で、必要に応じて人の助けは借りるが、あくまで自分が司令塔であること、言うならば”振り付け”のできる人です。」

「いいCAは上司も含めて上手く振り付けして周りに動いてもらうことができます。きちんと振り付けをしながら仕切って、無事に”演目”を終了させてお客様から『ありがとう』といってもらえるのが理想です。そしてその一連のプロセスこそが、我々UBSウェルス・マネジメントのクライアント・プロミスだといえます。」



7.スイス公認の研修プログラム

営業マンとしてのコアがしっかりできており、周囲を上手く巻き込みながら仕切れるタイプなら知識は後からカバーできるとK氏は言う。しかし、異業種から転職してくるとすれば、専門知識の不足への不安は大きいだろう。また外資系はすぐに結果を残せないとレイオフされてしまうのではないかと心配する方も多いだろう。UBSウェルス・マネジメントでは、未経験者にどのような研修をし、どのような育成プログラムを有しているのだろうか?

K氏:「しっかりとした研修プログラムを用意しています。11科目の研修を1年半かけて行います。研修の中には株、債券、デリバティブ、ローンといった金融商品に関わるものから、営業スキル、新規開拓マネジメント、営業顧客管理まで、クライアント・アドバイザーとして必要なスキルに至るまで広範囲にカバーされています。」

「このプログラムはスイス公認のプログラムで、研修項目も細かく決められています。11課目の研修が終了すると、ロールプレイによる口頭での最終試験があります。その試験では、お客様の属性やこうした悩みがあるのではないかというヒントが与えられ、UBSや自分自身について説明しながら、お客様の悩みや問題点を聞き出し次回のアポの約束を取り付けるところまで行います。このテストに合格するとスイス公認のCertified Wealth Management Advisor (CWMA)として認定されます。日本でこの資格を取ることができるのはUBSウェルス・マネジメントのCAだけです。」



8.結果を求めるまで3年半

K氏:「20代のポテンシャル採用の方はジュニアCA、30代を中心とする転職者の方はキャリアCAとして、シニアCAの下について一から学ぶことになります。その後ジュニアCAは2年後、キャリアCAは1年後に独り立ちすることが期待されています。

独り立ちしてから1年半以内にある程度の目標を達成することは要求されますが、その間先ほどお話した研修を1年半かけて行いますし、ジュニアでしたら3年半の間、キャリアでも2年半の間に自分なりの成果を出せばいいので、決して短期で結果を求められるというわけではありません。」




9.全員がCAを向いているバックアップチーム

先に日系金融機関と比較したときのUBSウェルス・マネジメントの強みについて話を聞いたが、クライアント・アドバイザーとしてUBSウェルス・マネジメントをフィールドに選ぶことにどのようなメリットがあるのだろうか?

K氏:「邦銀でもウェルス・マネジメントやプライベート・バンキング業務にやりがいを感じていらっしゃる方もいますが、ジョブ・ローテーションにより異動や転勤が生じ、業務から離れざるを得ないことがよくあると聞きます 。しかし、UBSウェルス・マネジメントではそのようなことはほとんどなく、長期に渡ってお客様にコミットして頂けます。こうした継続性はCAのみならず、お客様にとっても非常に大切です。実際ウェルス・マネジメントの業務にやりがいを感じていながら異動しなければいけないということから、邦銀から転職されてくる方もいらっしゃいます。」

「またUBSではウェルス・マネジメントをコアビジネスに据えています。コアビジネスとは、企業がその事業にどれだけコミットしているかの現れでもあります。お客様からみれば、今後の市場環境の変化に左右されることなくウェルス・マネジメント事業にコミットし続けてくれるという安心感もあるでしょうし、CAからするとプラットフォームの充実や、CAが主役になれるということになります。最近他行から転職してきたCAにヒアリングをしたところ、一番強く感じていたのはサポート・ファンクションがとても充実しており、CAの仕事をサポートしようという周りの意識が高いということでした。CAを向いているということは、お客様の方を向いているということでもあり、髙い付加価値の実現に貢献できていると思います」

ウェルス・マネジメントはUBSのコアビジネスであり、ウェルス・マネジメントを通じてグローバルに貢献したい気持ちがUBSウェルス・マネジメントには強いということをK氏は繰り返す。そのためにクライアント・アドバイザーは富裕層にとって医師、心理カウンセラーなどと並んでなくてはならない存在にならなければならないと強調する。

それでは実際のクライアント・アドバイザーはどのような人物で、どういう業務を担っているのかを、現在第一線で活躍をする2人のクライアント・アドバイザーから話を聞いてみたい。

関連記事

Vol.2 一段上のウェルス・マネジメントを目指して。求められる人材像とは?

株式会社コトラ

Vol.2 一段上のウェルス・マネジメントを目指して。求められる人材像とは?

UBS銀行ウェルス・マネジメント本部 東京第二営業本部部長

38歳の時、異業種からウェルス・マネジメントの世界に飛び込んだK氏は、今ではUBSウェルス・マネジメントのクラスタヘッドでもあり、クライアント・アドバイザー (CA)として活躍している。

異業種から転職するということのハンデとメリットについて実体験に基いて聞くとともに、クラスタヘッドとしてどのような人材を求めているかについても尋ねてみた。


>>続きを読む

presented by KOTORA

Vol.3 セカンドキャリアとしてのウェルス・マネジメントビジネスへの挑戦

株式会社コトラ

Vol.3 セカンドキャリアとしてのウェルス・マネジメントビジネスへの挑戦

UBS銀行ウェルス・マネジメント本部 クライアント・アドバイザー

T氏、30歳。 現在UBS銀行大阪出張所でクライアント・アドバイザー(CA)、アソシエイト・ディレクターとして活躍する彼がUBSウェルス・マネジメントでCAとしてのキャリアを歩み始めたのは2年半前。

それまではUBS証券で投資銀行業務を担当していた。なぜウェルス・マネジメントのCAにキャリアチェンジをしたのか?またその業務とやりがいなどについて話を聞いてみた。


>>続きを読む

presented by KOTORA

UBSウェルス・マネジメントへの転職相談をする

ページの先頭へ戻る

→ UBSウェルス・マネジメントへの転職相談をする